四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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それから

 

「たしかここにいけば・・・・・・。おっ、あったあった大体元いた世界と同じなんだなぁ」

 

ピコピコと君と響きあうRPGをプレイしている。この私、話を聞くにここは元いた世界から80年くらい進んだ世界らしいが、第3次世界大戦により、娯楽関係の発展は停滞していたようでゲーム等は元いた世界と変わらない

 

「いやぁ、にしても衣食住全部保障してくれるなんてありがたいな」

 

子供とはいえ、いや子供だからこそかかる金も多いだろうに、それを退屈しないようにゲームまで買ってくれるなんて

 

「いい人達に拾われて良かったなぁ、トリップ早々生き倒れなんてシャレにならんし。まさに地獄に仏」

 

ほんの数時間前まで人体実験されかかってたとは知らず、のほほんと言う。

 

「地獄に仏というより知らぬが仏ね」

 

「左様で、奥様」

 

別室では、彼の部屋の様子を四葉家当主真夜とその執事葉山がカメラで監視している。

 

前回、人体実験しようとしたら意味不明な現象により失敗し、扱いに困り果てた二人であった。(何故か魔法も彼に危害を加えようとすると上手く発動できなかった)捨ててしまうのも一つの手だったが、こちらでも把握できない技術を持つ人間を外に出すのは四葉の敵となったとき脅威となる。

 

「ならば引き取って、彼の力を探るというのはいかがでしょうか?ちょうど、身寄りもないことですし」

 

という葉山の案を採用し、今に至る。

彼に危害を加えられない以上、このような消極的手段を取らざるを得ないのだが、それが真夜には不満のようだ。

 

(全く、あの子みたいに扱いづらいのが増えるなんてね)

 

彼女は扱いづらいもう一人の無愛想な少年を思い浮かべながら憮然とモニターを見つめる。

 

彼は歳不相応に大人びているのと対称に、カメラ越しの彼は少年らしい少年だ。たまによくわからないことを言うが

 

「う~ん、だがただ暇をむさぼるのもなぁ」

 

「彼、独り言多いですね」

 

「そうね」

 

「よし、ここは、部屋を一面真紅に染めて赤ひげのサンタクロースにならざるを得ないな」

 

「葉山さん今すぐ止めてきて」

 

「御意」

 

俺の真っ赤な誓いは阻止されてしまいましたとさ

 

 

「黄身と響き合うTKGってなんか高級そうじゃありません?」

 

「ほう、それが君の夕飯のリクエストかね?」

 

「すいません、その後ろのおいしそうなのを食べさせてください」

 

そんな貧乏学生みたいな夕飯は元の世界だけで充分だったので素直に謝罪する。

 

「まぁ、実際白身毎入れてるんですがね。白身が仲間はずれなのはかわいそうなので」

 

「君の場合は分けるのが面倒なだけだろう」

 

「間違ってはない。まさに黄身と白み合うTKG」

 

「私がしらけるRPG」

 

意外にノリのいい葉山さん

 

夕飯はうまうまでした。

 

 

 

 

 

 


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