四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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今度こそ達也と会えます?
会えます(小並感


過ごせない

「・・・・・・」

 

今、四葉家の訓練場で訓練の見学をしておりますが・・・・・・

何というか凄いという言葉しか出てこない。

 

かたや、触れてもないのに大の大人数人を吹き飛ばし

かたや、対峙したと思ったら、片方が全身金縛りにあったかのようにバタリと倒れた。

 

魔法というものを知識では知っていたが実際見て、目の前で繰り広げられる超常現象の数々を体験すると確かにこれは『魔界の法』、魔法を冠するに相応しい。

 

「言葉もないようだね」

 

貢さんが笑いながら話かけてくる。そういえばまともに話すのこれが初な気がする。

 

「すいません。殺さないで下さい」

 

「少し怖がらせすぎたかな」

 

条件反射で土下座する俺を見て貢さんは、笑いを苦笑いに変える。

 

そりゃ、毒蜂なんていうおっかない魔法を二回もくらったんだ。

トラウマにもなる(自業自得です

 

「君が亜夜子をいじめなければ何もしないんだが」

 

「いじめてなんかないですの」

 

「自覚なし、じゃないよね?」

 

だから怖いっす。

 

「いや、だって彼女ピリピリしてたんで緊張をほぐそうとですね」

 

「・・・・・・」

 

亜夜子が自分の得意魔法、つまり四葉として自分が生きていく道が見つからず悩んでいたのは知っていた。

 

貢は、時間が解決するだろうと経験談から思っていたが、本人にとっては、楽観視などとてもできず、苦悩したに違いない。

 

だが、会って間もない彼が気づくとは

 

「驚いた」

 

「だてに21歳やってませんよ」

 

少年はふふんと誇らしげに笑う。

 

「ふ、私が君の境遇を聞いているのもしっているのか」

 

あっ・・・・・・しまった

 

「( ̄Д ̄;;」

 

「」

 

「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」

 

「迂闊か!!」

 

迂闊でした。

 

 

 

 

貢さんがほかの人に呼ばれてしまったのでまた一人になる。

 

「ん?」

 

何気なく道場を見渡していると、俺と同世代の男の子を見つけた。

 

いや、黒羽姉弟の例もあって、同世代の人間がいるのは特に珍しい事ではないのだが、特異なのが、

 

「え?あの少年、4対1で無双しとりますがな」

 

無論、少年の方が1である。

魔法の知識も、格闘の知識もない俺が説明するのもなんだが、なんかこう・・・・・・動きが違うのだ。相手の隙間を縫ってヌルヌルというかプルプルっていうか軟体物か何かのように柔軟に動いている。

 

「よし、あれはプルプル真拳と名付けよう」

 

良かったな少年、君は晴れて毛狩り隊の隊長だぞ。

 

あっ、もう訓練終わり?てか汗一つかいてねぇし、よしここは・・・・・・

 

俺は意を決して少年に近付いた。

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました」

 

少年、司波達也は無表情に座り込んでいる大人たちに向かって頭を下げた。

大人たちの反応は様々で、笑いながら手を振る者、忌々しげに舌を打つ者。だが彼はそれら一切を思慮にもかけず、その場を後にした。

 

彼は、諸事象により、感情というものが希薄だ。自分が歓迎されていない空気も、彼ぐらいの年齢の子供が興じる遊戯も彼には一切関心がない。

 

彼にただ一つある確かなモノ

 

それは・・・・・・

 

 

「お~い、そこな少年」

 

「・・・・・・」

 

「やらないか?」

 

達也はしばし困惑した。

 

 

 

 

う!

 

こ、この少年の目・・・・・・養豚場のブタを見るかのように冷たい目だ

『可哀想だけど、明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね』ってかんじの!

 

実際は、思考が停止しているだけなのだが、達也の生い立ちのせいもあって、少し誤解を与えてしまっている。

 

だが、そんなことなど露とも知らない少年は、

 

「あれ~?ポケットの中に千円札!」

 

「・・・・・・」

 

「父ちゃん、母ちゃん、兄ちゃん、姉ちゃんみんな会わせてロドリゲス!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「肩をトントン、ワシント~ン!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

必死こいて、達也の反応を引き出そうとするが、いかんせん相手が悪すぎる。

彼のネタは虚しく空を切るだけであった。

 

「チクショォォォォォォッ!!」

 

しばらく頑張っていたが、少年はやがて泣きながら走り去って行った。

 

(一体何だったんだ?)

 

考えたところで答えが出ないのはわかりきっていたが、思わず頭をひねってしまう達也であった。

 

 

 

 

 

「あ、いたいた。どこいってたのさ」

 

「俺の、完全敗北だ・・・・・・っ!」

 

「はい?」

 

 


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