少女がこちらに話しかけてくるけども、言葉がわからないので適当に相づちをしながらついていくと、村に出た。
のどかな村で平穏そのものといった感じだ。しかし明らかに日本の町並みではない。本当に此処は何処だと思っていると、村の入り口にある橋の上に俺と同じくらいの青年とその妹だろうか?がいるのが見えた。
その青年がこちらに気付き、近づいてくるにつれて青年の容姿がわかってきた。背が高く、青色の髪は腰辺りまで流していて顔は整っている。特に目力が半端ない、まるで
クマ吉くんを見るうさみちゃんのようだ()
青年は俺の前まで来て、俺が案内してもらった少女を背中に庇い少しキツイ声で話しかけてきた。が、例によってわからない。取り敢えず身振り手振りで、怪しい者じゃないよ!ただの紳士だよ!と、必死で訴えたのが良かったのか通じたみたいだ…………うん、冗談です。
本当は案内してくれた少女と後から来た少女が庇ってくれて事なきを得ました。シスコンお兄ちゃんマジ怖い。
何とか矛を納めてもらい村の中を案内され、着いたところは村の中でも1番立派な家だ。
そこからトントン拍子で事が進んでいった。その家には老人とお手伝いさんがおり、そこから村長ではないかとあたりをつける。
老人は俺が言葉がわからないのをみてとると、直ぐにゼスチャーに切り替えてくれた。どうやらこの家に泊まって言葉を覚えないかと言っているらしく、地獄に仏と俺はこの話に飛びついた。
それから2ヶ月程家事等を手伝いながらここの言葉を学ぶことになった。
2ヶ月程過ごしてこの世界の言葉がわかってきた。
そう゛この世界″の、だ
どうやら俺は異世界にいるらしい。
いや、俺も迷子になったことはもう数えるのも億劫になるくらいあるが、異世界にまで迷子になりに来るとは思わなかった。というか、そんな事考えているのはイタい人だけだろう。
閑話休題、この星の名はエクスぺルというらしく、機械などは発達しておらず、変わりに紋章術というものがあるらしい。これを本で読んだ時俺のテンションが天元突破したが、この村では紋章術は習えないと言われ、さらに紋章術を使うには小さいときから訓練しないといけないと言われ直ぐに燃え尽きた。
だが紋章術を教わることは出来なかったが、他の才能はあったらしい、自分の身を守るために教わり始めた格闘術がそうだ。
他には、この星の教養といったものは一般的に地球よりも下らしく、村長宅のすぐそばにある雑貨屋の仕入れ等を手伝ったりもしている。おかげで片言でだが言葉も話せるようになっていた。案外こちらの方が向いていそうだ。
と、そろそろ来るかな?
「こんにちはー!ランドさんいますかー!」
玄関に行くとレナちゃんとその友達のセシル、それとディアスがそこにいた。
言葉を覚えて改めて自己紹介したが、三人の本名はそれぞれ
レナ・ランフォード
セシル・フラック
ディアス・フラック だ。
気づいたかもしれないが俺はここでランドという名を名乗っている。島という名はこの世界には合わなかったのでアダ名で通している。
「ランドさんまだですか?」
「ゴメン、少し、待って!」
今日はこれから格闘をレナちゃんと共にディアスから教えてもらう予定だ
レナちゃんはなんというか、ふわふわとしていて「光の勇者さま」の話が大好きな少女だ。
そのあまりの無防備さに、俺がディアスに格闘術を教わるときいてレナちゃんの母親が護身術でいいからとディアスに頼んだそうだ
ディアスの教えはかなりのスパルタ(俺にだけ)だが、ディアス本人は俺以上の事をしているので文句は言えない
「大丈夫?」
「大丈夫、ありがとう、セシルちゃん」
セシルちゃんは内気なのかあまり積極的に話し掛けては来ないが、兄譲りの冷静さがあり優しい子だ。
「遅い、基礎の時間を増やすぞ」
「止めてッ!」
その分兄は鬼畜だけどなッ!
中央の広場に移動し、柔軟体操から始まり、走り込み等で体を起こした後、基礎の型を確認し本格的に組み合う。今回は対剣の戦いなのでディアスが相手だ。
この前から木の長剣ではなく刃引きされた長剣に変わっている。
当たれば骨折位しそうだが、それをこちらが捌ききれるギリギリで打ってくるのだからディアスの技量の高さがうかがい知れる。
けれども、ぶっちゃけ怪我しても気にはしない。
こちらの世界にはベリーといった回復アイテムがあるし、何よりレナちゃんがいるからだ
レナちゃんは周りの人にはない怪我を癒す力があり、格闘術を始めてから幾度となくお世話になっている
なのでその辺りを気にせずにディアスとの打ち合いに集中する。
早く強くなりたい。帰るための手掛かりを探す旅に出るために、だから
「はあぁぁ!」
この1日1日を無駄にしないようにしていきたいと思う
ディアスはシスコン(確信)
ディアスって原作では25歳なんだね、もう少し若いかなと思ってました(笑)