D.C.Ⅱ〜初音島に転生した転生者〜   作:もりっち

9 / 17
始まりのマホウ 

 

 

 

〜ななかside〜

 

 

「ゆうじく〜ん、学校行こー」

 

私の名前は、白河ななか。今から学校に行くところ。毎朝、雄二くんを迎えに行って一緒に登校しているの。

 

「わりー、ちょっと手間取ってて先行っててくれ」

 

「…わかったーじゃあ先行くね」

 

いつもは、一緒に登校するんだけど今日はどうしたのかな?

 

そう思いながら私は一人桜並木を通りながら考えていた。学校いくのは…実話言うと不安なんだ。

 

なぜかと言うと…

 

「ちょっと?白河さん今日高橋くんどうしたの?」

 

するとそこに、5人の女の子がいた。やっぱり…。いやだなー、今日1日ついてないかも…。

 

「なんかね、朝迎えに行くとバタバタしてたみたいで、先に行ってってなったのー」

 

「……じゃあこの際だから言わせてもらうけど…あんた何様?幼馴染みかなんか知らないけどさ?私たちの『雄二様』に近づきすぎよ!」

 

私と雄二くんの仲を嫌っていていつもは影で言われているけど、今日は雄二くんがいないから面と向かって言われた。

 

私と雄二くんは家が近いからいつも一緒にいることが多い。けど、私と雄二くんとは『幼馴染み』ってだけで、みんなが思っているような関係じゃないのに…。

 

「そーよ!ちょっと家が近いだけで昔から仲が良いだけなくせに」

「ちょっと可愛いからって調子乗らないでよ!」

 

口々に文句を言われた。私調子なんか乗ってないし…。

 

そら、雄二くんはカッコイイよ。頭も良くて、運動神経も良くってさ神様は不公平すぎるんだよー。

そんな子がモテないわけないよ。

「雄二さまにこれ以上近づいた…「おはようーみんな!」…わかったわね?」

 

ら、を言い終わる前に雄二くんがみんなに挨拶をしながら教室に入ってきた。

 

教室へ入るなり、私のところに来て

 

「ななか、ごめんな。今日寝坊しちゃってさ」

 

これ以上近づくなって言われたばっかりなのに…どちらかと言うと雄二くんが引っ付いてくるんだけど…。

 

さっきのファンの子達は私をにらんでいた。視線をかなり感じる。今日1日ブルーだ…。

 

どうして私がとやかく言われないといけないのか、なにも悪いことしていないのに…。

 

人の思っていることが知れたら良いのになー。

 

そんなことを思いながら、授業はいつのまにか終わり放課後になっていた。

 

 

 

 

 

 

「ななかー、一緒に帰ろうぜ」

 

雄二くんが、声をかけてきてくれた。けど、朝にあんなことがあったしな…。

 

「ごめんね、雄二くん。今日は少しよるとこがあって…」

 

「ん?どこによるんだ?俺がついて行ってやろうか?」

 

「うんん。一人で大丈夫だから〜」

 

明るく振る舞ってみた。顔引きっていないかな?

 

「…そうかー。分かったわ。じゃあまた明日な?」

 

「ごめんね、また明日ー」

 

 

雄二くんは少し残念そうな顔をしながら教室を出ていった。

 

……んんー。どうしよ、今帰ったら雄二くんと会いそうだし少し学校に残るしかないっか。

 

学校に30分ぐらい残ってて一人下校をした。

 

「ねー?あの噂知ってる?何でも願いが叶う、桜の樹。一番大きく目立ってるあの桜の樹ー」

 

「知ってるけどさーあれって迷信みたいなもんでしょ?」

 

「そんなことないって、噂によるとあの樹に願って実際に叶った人がいるんだって!」

 

「なにそれーってどんな願いが叶ったの?」

 

「えっとー大学合格とかさ、彼氏がほしいとかー」

 

「どれも、その人の努力じゃないのー?願いが叶う樹なんてあるわけないじゃん!」

 

「そうなのかな〜…てかさてかさ…」

 

そんなやり取りを聞いた。何でも叶う桜の樹?あの樹が願いを叶えてくれるの?

 

はじめて聞いたよ、そんな話。でも、本当に叶うのかな?けど叶うのだったら…私のお願いを聞いてほしい。そんな思いでいっぱいだった。

 

 

 

ひときわ目立つ大きな桜の樹に、私は願った。

 

人の気持ちが知れるようになりたい!みんなが考えてることが分かるようになりたい!

 

そんな願い事をした。って叶うわけないよね…あはは。

 

 

 

桜の樹を後にした私は家に帰った。普段と変わらない生活。そうだよねー叶うわけないっか。

 

 

 

次の日の朝。

今日も学校…雄二くんと学校いかなきゃ。急に誘わなくなったら怪しまれるし、今は仕方ないよね。

 

ピンポーン―――ー

 

インターホンをならす。するとドアが開いた。

 

「おはよう、ななか今日は一緒に学校に行こうか」

 

昨日みたいにドタバタしてたらなーっとうまくいかないっかと残念だった。

 

『今日もななか可愛いーまじ昨日寝坊した俺バカじゃん!徹ゲーはやっぱり次の日くるわー』

 

……?なにさっきの感じ?雄二くんの声?

 

「ん?どしたんだ、ななか?」

 

さっき手が少し触れた時かな?なにか聞こえたような?

 

「雄二くん?昨日ゲームして、夜更かししたんだよ…ね?」

 

「そーなんだよ…あれ?俺、ななかに話したっけ?」

 

……当たってる。もしかして人の思ってることが本当に分かるようになったのかな?

 

「……え?その…クラスの子と話してたの聞いただけだよーなんのゲームか気になってさ〜」

 

「なーんだ、聞いてたのかよー、新しいゲームかってさ…………」

後の話なんて覚えていない。願いが叶って手に入れた自分の力について考えていた。

 

これで、人の思ってることが分かる。

 

これで、苛められなく済むのかな?

 

 

この人の心を読める力を使ってその人に合わせていこう。そうしたら、私はきっと幸せになれるかな?

 

 

 

 

〜雄二side〜

 

 

俺が遅刻した次の日からななかの様子が変だ。別に悪い意味じゃなく良い意味で。

 

最近は俺とあまり絡むこともなくクラスの友達や男女みんなと仲が良い。

 

なんか俺から離れていったみたいで嫌な感じだ。

 

………てかあれ?俺なんか大事なこと忘れてないか?ななかって……?あっ。

 

ヤバイヤバイヤバイ!!

ヤバイヤバイヤバイ!!!

 

ななかってもしかして人の心が読める能力を手に入れたんじゃないか?

 

何で忘れてんだよ俺ー!!

 

もしかして俺の考えてること筒抜けだったんじゃないか?

 

…非常にやばいし、俺が転生者のことやハーレム狙ってることがバレたんじゃないか?

 

落ち着け自分。よーく考えろ。今まで転生者のことやハーレムのことなんて考えてなかったしな。そうだよ、読まれてるなんてないか……?

 

…あれ?誰か俺の手握ってないか?

 

 

 

 

〜ななかside〜

 

 

さっきから雄二くんがなにか顔がコロコロ変わってる。顔色悪そうだし、何かあったのかな?

 

そう思い、私は雄二くんに近づいて雄二くんの手を握ってみた。

 

『…非常にやばいし、俺が転生者のことやハーレム狙ってることがバレたんじゃないか?

 

落ち着け自分。よーく考えろ。今まで転生者のことやハーレムのことなんて考えてなかったしな。そうだよ、読まれてるなんてないか……?』

 

雄二くんが私が触っている手を見ている。

 

「うわ?!ななかどうしたんだよ、脅かすなって!」

 

勢いよく手がほどかれた。雄二くん私の能力知っているのかな?……そんなはずないっか♪

 

けど、さっきの『転生者』、『ハーレム』ってどういうことなんだろ?

 

何かのゲームのことかな?

 

「雄二くんさっきから、顔色悪かったから心配になって……大丈夫?」

 

どうしたんだろ…さっきよりも顔色が悪く見える。

 

「へ?あぁー、そんなことない…よ。うん……」

 

「保健室行く?なんか今日変だよ?」

 

「……えーいや、そーだな?俺今日体調悪いから帰るわ…」

 

「えっ?そうなの?」

 

「……わりー、先生に帰るって言っといてくれななか」

 

そう言い終わると雄二くんはランドセルに教科書を積めて教室を出ていった。

 

 

 

 

〜雄二side〜

 

 

「何してんだよ俺…」

 

家に帰る途中、さっきのことを考えていた。

 

確実に読まれたよな?いや、読まれていない…。ななかだから読んでないと信じよう。

 

俺は開き直るしかなかった。

 

ななか対策に心読まれないようにするしかないよな?今日は早めに帰って対策を練ろう。

 

それしかないだろ。こんなのバレたら俺、ここにきた意味ないじゃん。

 

魔法を使えばなんとかなるだろ。やるぞ俺ー!!

 

 

 

 

その日雄二は、ななか対策を考えた。じぶんでも完璧な魔法の対策だと思っていた。

 

……のはずだったが。実は、すべて読まれている雄二だった。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。