〜○○side〜
「ゆうじく〜ん」
俺の名前は、高橋雄二。
今の父さんと母さんがつけてくれた名前だ。
どうして俺が『今の』っていうかって?
それは…俺は一度別とは違う世界で死んで転生してきた『転生者』だからだ。
この『D.C.Ⅱ』の世界に転生できるなんて夢にも思わなかった。神様って本当にいるんだなって感謝したさ。
転生してからは、かなりの月日が経って、今は幼馴染みの女の子と遊んでいる。
今さっき俺の名前を呼んだ女の子。それは、俺が一番大好きなヒロイン『白河ななか』だ。
ななかとは、俺の親とななかの親が仲が良く、家も隣同士で生まれた時から、今までほとんど一緒にいる。
幼馴染みって響きに俺憧れていたんだよな〜。
この『幼馴染み』という特典は、神様が転生する前に願いを3つ叶えた時のひとつだ。
俺の3つ願い事は
1つ目は、ななかと幼馴染みになれるように願ったこと。本当は、ななかと恋人になりたかったけど…それは、俺のプライドが許さない。
どうしてって?それは…
ななかも好きだが、他にも音姉や由夢、それに小恋に杏に茜…原作に出てくる女の子。みんな大好きな俺は、難しいが『ハーレム』を狙っている。
2つ目は、ハーレムを目指すにはやっぱりイケメンだろ?
たとえヒロインが可愛くても俺がブサイクだとそのヒロインの子に申し訳ない。
美男美女…最高の響きじゃないか?
3つ目は、魔法が使えること。
魔法っていっても今は、運動神経が良いことにしか使っていない。(魔法について詳しく知らない)
もっと便利に扱えれるようになりたいのにな。
これも少しでもヒロイン達の注目を集めるために考えたことだ。
やっぱりこの世界に来たからには、俺に有利な方向に持っていくしかないよな。
そんなことを考えていると
「ちょっ〜と、待ってよ〜!」
俺のヒロインが息を切らしながら来てくれた。
「ごめん、ごめん。これでも手加減したつもりなんだけどな?」
「ゆうじくん、とても速いから、ぜんぜん勝てないよ〜」
家から大きな桜の樹まで追いかけっこをしていた。手は抜いたつもりだが調節が難しいな。
「本当、ごめんって」
「ぜ−たいに、許さないんだからね!」
そんなフグみたいに頬を膨らましてぷんぷんするなよ?可愛い顔が台無しじゃんか。
それでも可愛いな、ななか♪
「そんな怒るなよ〜」
「いいもん!今度ぜったいに負けないからね!」
「おう!じゃあ次は何して遊ぶ?」
そんな感じでいつも仲良しな俺達だ。絶対ななかは、俺のこと好きなはず。間違いないだろう。
「だめだよ〜今日は小恋ちゃんと小恋ちゃんのともだちと遊ぶやくそくしてたじゃない!待たなくちゃ!」
「あ、そうだった…確かもうすぐだよな?」
「そのはずなんだけど…あっ!小恋ちゃんだ〜!」
そんな会話をしていると小さな女の子と男の子が慌てながらこっちに来た。
「遅れてごめんね。まったよね?よしゆきが遅いからだよ」
「だって、今日遊ぶなんて約束してなかったじゃん…」
「驚かそうと思って…黙ってたんだよ…」
「へへっ。二人ともまってないよ〜。私たち今来たところだよ〜」
…こいつが義之か。俺がハーレムを目指すにはかなり邪魔だが…こいつになんかには負けねー。
「はじめまして〜♪私は、白河ななかっていうのよろしくね」
「…はじめまして。ぼくは、たかはしゆうじ。よろしくね」
俺は仕方なく挨拶をした。
「ぼくは、さくらいよしゆき。よろしくね」
「本当はね、もう一人つれてくるつもりだったけど、風邪でこれなくなっちゃたんだ…」
「そうなの小恋ちゃん?じゃあ、その子にお大事にねって伝えておいてね」
「うん、わかったー。伝えとくよ」
ふーん風邪か。この流れだと由夢かな?大丈夫かな?
「そうなんだ…。僕からもお大事にって言っといてね」
あぁ〜小さい頃の由夢ちゃんかー、見たかったなー。俺ついてないわ。
「じゃあ、4人で今から遊ぼっか?」
そうななかが言うと俺たちは日が暮れるまで遊んだ。
かくれんぼやおにごっこ。子どものする遊びを遊び尽くした。一応魔法で体力には自信あるが、疲れるもんは疲れるな。
そうして今日も1日は終わった。
〜陵side〜
俺は今、風邪でふとんに寝込んでいる。義之は小恋に遊ぼうと誘われて家から出ていった。
「はぁ〜たまには家でのんびりも良いっか」
毎日義之と由夢と遊んで疲れがたまったのか?
俺って体力ないのかな?
「お兄ちゃんだいじょうぶ?」
俺を心配してか、由夢がドアの方で覗いていた。
「由夢ちゃんか。入ってきちゃダメだよ。風邪うつるかもしれないから」
「…だってひまだもん。お姉ちゃんは、今日もなんだか怒っているし、よしゆきお兄ちゃんは遊びに行っちゃったし」
「それでもダメだよ…ってこら!」
俺がいってる間に由夢が部屋に入ってきた。
「だいじょうぶだよ。ゆめ、お兄ちゃんよりつよいもん。」
…義之め、由夢が風邪になったらあいつのせいだからな。
「でも、僕、風邪だし遊べないよ?」
「いいよー、一人でいるのがさみしいから一緒にいるの」
「…?」
「そうだ!お医者さんごっこしよ。お兄ちゃんは寝てるだけでいいよ」
「って、遊ぶのかよ」
「だから、お兄ちゃんは寝ているだけでいいんだよ」
とか言いながら結局、家で遊んだ。どこにあったか知らないが、聴診器を持ってきて由夢のいう、お医者さんごっこをした。
まぁ、本当に寝ているだけだったから遊んだ?に入るのか?
夕方になると、義之は家に帰ってきた。俺が風邪だと今日遊んだ友達に言ったら『お大事に』って伝えてくれと言われたらしい。
誰だろ?きっと、優しい子なんだな…。
そんな感じで今日1日終わろうとして…いなかった。
夜中に誰かが俺の部屋に入ってきた。
「…お兄ちゃん」
昼に続き…由夢だった。
いつもは4人で寝ている。しかし今日は、俺が風邪のため1人別の部屋で寝ていた。
「こわい夢をみちゃって…一緒に寝ていい?」
普段なら別に良いが、今回はダメだ。これ以上一緒にいたら確実に由夢は風邪になるだろう。
…っておい。すでに布団に潜り込んでいた。
「由夢ちゃん…僕、風邪なんだけど…」
由夢は体が冷えていたのか布団が少し冷たくなった
「だってね。お姉ちゃんも、よしゆきお兄ちゃんもぐっすり寝ているもん…お兄ちゃんなら起きてるかな?って思ってきちゃった」
…きちゃったって。
俺は今日1日布団で寝ていたから寝れないでいた。
「…風邪になっても知らないぞ」
「お兄ちゃん今日そればっかり。」
「はぁ〜。…ってかどんな怖い夢を見たんだ?」
「わかんない…でもね、とってもこわい夢だったの。またさっきと同じ夢見そうでこわいの…」
「わかんないって…しゃーない。今日だけだぞ」
「ありがと。なんかね、お兄ちゃんと一緒に寝たらこわい夢見ないような気がするの」
「僕がいても、もしかすると怖い夢みるかもよ?」
「そんなことない!おにいちゃんがいるから、だいじょうぶ!」
どうしてそんなに言いきれるんだ?まったく、不思議なやつだな。
「ほら!さっさと寝よ?寝坊したらお姉ちゃんに怒られるよ?」
「そうだね。じゃあ、寝よっか」
少し時間が経ったら由夢は寝ていた。良かった、大丈夫そうじゃん。
「…お兄ちゃん、だい…きだよ…すぅ…すぅ…」
…?寝言か。
きっと夢の中でも遊んでそうだな。
…次の日、由夢は昨日俺と一緒にいたから風邪になった。
あれだけ注意したのに聞かない由夢が悪いと思いながらも、自分の風邪がうつった罪悪感で1日中、看病をした。