D.C.Ⅱ〜初音島に転生した転生者〜   作:もりっち

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はじまりを迎える新しい家族

 

 

「今日からここが君たちのお家だよ」

 

さくらさんが案内してくれた一軒家…たしか『朝倉家』だよな?

 

「ここが?」

 

「うん。ボクのお兄ちゃんの家なんだけどね」

 

「みんないい人だよ」

 

―――ピンポーン

 

さくらさんがインターホンを押すと、家の中から誰かの足音が聞こえてきた。

 

ドアが開き小さな女の子が俺たちを見ていた。

 

「…………」

 

由夢だよな?たぶん?

 

…その子は、俺と義之を興味津々にじっと見つめてきている。

 

「…………」

 

義之は女の子の行動に困ってるみたいだった。

 

「じ−」

 

「……え、あ、えっと」

 

「じ−−−−−」

 

「あ、あの」

 

「じ−−−−−−−」

 

「り、りょうくん…さ、さくらさん?」

 

もう少し見ていたかったがさすがに困った義之が俺とさくらさんに救いを求めてきた

 

さくらさんは、というと楽しそうに微笑んでいた。

 

「にゃはは、こんばんは由夢ちゃん」

 

「こんばんは」

 

…やっぱり由夢みたいだ。

そこはかとなく似てるわ〜…あ、本人か。

 

「この子が義之くん。この前話した子ね。そしてこの子は、陵くんだよ」

 

さくらさんが俺と義之のことを女の子に紹介してくれた

 

「音姫ちゃんもおいで」

 

さくらさんがドアの奥の方に向かって声をかけていたら音姉?だよな?が出てきた。

 

「…………」

 

あれ?どうしたんだろ?いつも明るい音姉とは違ってなんだか不機嫌そうだ。

 

「ほら、ゆめ。ちゃんと外にでて」

 

「は−い」

 

ひょこひょこと出てくるふたりの女の子。俺たちの前に並ぶ。

 

二人の視線を間近に感じながら、義之は困り果てていて、さくらさんは、いたずらっぽい笑みで見ている

 

「じゃあ、ボクはお兄ちゃんに話があるから。後は適当にやってね。4人とも仲良くするんだよ−♪」

 

…さくらさんは俺たちをおいて家の中に入っていった。

 

さっきからじっと注がれる二人の視線。…俺から自己紹介するか。

 

「お…ぼくは、ささいりょう。よろしく」

 

さすがに前まで『俺』だったのに対し『僕』にかえたのは、違和感がありとても恥ずかしい。

 

「えっと、さくらいよしゆきです。よろしくね」

 

ぺこりと頭を下げながら、右手を差し出す。

 

しかし、その手に触れるものはなく、ぶらぶらと宙に浮いた状態だ。

 

「あ、あははは」

 

義之どんまい。外してしまって少しかわいそうに思えた。

 

「ゆめ」

 

困って戻そうとしていた義之の手が、ぎゅっと由夢の手に包み込まれていた。

 

「へ?」

 

「あさくらゆめ」

 

そう言いながら、由夢はに−っと笑っていた。

 

「あ−っと、名前?」

 

…義之よ?どこからどう考えても名前じゃないか?

 

「うん」

 

「そっか、ゆめって言うんだ」

 

「そう。よろしくね……お…」

 

「「お?」」

 

俺と義之の声が重なった。

 

「お……おにいちゃん」

 

頬を赤らめながら、そんなことを言う。きっと、俺も頬が赤いと思う。

 

『おにいちゃん』なんて転生前では、言われたことがなかったからなんだか嬉しかった。

 

「おとめ」

 

ポツリと一言。

一言言い終わるとすでに背中を向けて家に入っていた。

 

「ぼくたち、めいわくだった?」

 

俺は、そう言いながら音姉に嫌われることしたのかな?と悩んだ。

 

「ん−、そんなことないよ。おねえちゃん、さいきん怒ってばっかりだから。気にしなくていいと思うよ」

 

「おじいちゃんも、お母さんもだいかんげいって言ってたもん」

 

「わ、わたしもいやじゃないし。おにいちゃんがおにいちゃんになるの」

 

俺たちが原因って訳じゃないみたいで安心した。けど、音姉がムスッとしてるのには気になる。

 

「由夢ちゃん、ありがと」

 

「そ、それよりも、はやく中に入ろう?かぜひいちゃうよ」

 

なんだか、今はこの優しさが身にしみる。俺、凍え死なずに済んだよ。

 

そう思いながら由夢に引っ張られながら玄関をくぐる。

 

「えっと…おじゃまします」

 

「おじゃまします」

 

「ちがうよ。ただいまだよ」

 

そうか…これから俺たちの家になるってさくらさん言ってたもんな。

 

「ん?」

 

そうも分からずに義之の頭には?マークがいっぱいだ。

 

「だから、ただいま、だよ。今日からおにいちゃんたちのおうちだもん」

 

そしてこの日。俺と義之は、朝倉家の一員となった。

 

 


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