ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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2015/02/25 修正


第一章 旧校舎とディアボロス
第1話 出会い


闇に沈んでいた意識が徐々に浮上する。

横たわった自身の背中には固い感触。そして、ゆっくりと瞼をあけると、視界に広がるのは綺麗な星空。

ゆっくりと起き上がり、辺りを見渡す。

 

「なんでこんなとこで寝てんだ? 確か死んだはずじゃ・・・・・・」

 

実は生きていたのか・・・? いや、それはないな・・・。仮に生きていたとしても、俺はこんなとこで寝てるなんて可笑しい。ならばここは何処だ?

・・・俺には無限に等しい魔力があったはずなのに、魔力が減っている・・・いや、これは契約する前に戻った、って言った方がいいのか?

それに―――

 

「僅かにだが肉体年齢が若返っている、だと・・・?」

 

契約した時点で老いは止まっていたはずなんだが・・・何故か若返っているな

 

あれこれと考える翔であるが―――

 

「駄目だ。情報が足りな過ぎる。・・・とりあえず今はこれからどうするか?だな・・・。ま、金も何もないし、特にこれと言って売れるものも持ってない俺が選べる選択肢は野宿しか残ってないな・・・」

 

現在の翔は黒い襟のシャツに黒いジーパンと全身黒ずくしである。

幸いなことに気温はさほど低くなく、今の服装でちょうどいい温度であった。

 

「さて、ひとます予定も決まったことだし、さっさとこの場から―――」

 

「ヒヒヒッ、不味そうな匂いがするなぁ。甘いのかな?苦いのかな?」

 

不意に変なことを言いながら裸の女性・・・の上半身になにやら獣のような下半身をし、両手には大剣のような武器を持っている異形が翔の前に姿を現した。

 

まぁ、居たことは知っていたが向こうが何もしてこなければこちらも何もすることは無かったが・・・仕方ないか。それに結界らしきものが張られている・・・

こいつの仕業だな・・・?

それにしても―――

 

「どうした?何黙ってる?もしかして怖くでもなったか?」

 

嘲笑を浮かべながらいう異形。

それに対して翔は、深い溜め息を吐いてから答える。

 

「いや、自分の運の低さに軽く嘆いただけだ。目覚めてすぐにこんな出来事が起こるとはな・・・」

 

「そうか、まぁいい。今日はお前で我慢しようかねぇ。ヒヒヒッ」

 

「・・・そっちがやる気ならこっちも容赦はしない」

 

溜め息を一度はいた後、翔の雰囲気が僅かに変わる。

 

そうは言ったが、武器がないからな・・・

相手は俺より格下だが、相手の存在が分からない以上は迂闊に手は出せないな

武器があればやりようはあったが・・・・・・仕方がないか・・・

 

「このクソガキッ!!」

 

異形の存在は翔の言葉が癇に障ったようで、怒りの声を上げながら手に持った両手剣で翔に襲いかかった。

 

「・・・遅い」

 

振り下ろされた二つの両手剣を半身になって躱し、異形の片方の手を蹴り上げる。

すると、異形が持っていた両手剣の一つが翔の蹴りによって手から離れ、翔はそれを片手で掴む。

 

「クッ! 大人しく私の餌になれ!」

 

異形は避けられたのに加え、攻撃を喰らった事に苛立ち力任せに残った両手剣を振り下ろしたが―――

 

「悪いな・・・」

 

掴んだ両手剣で異形を相手が手に持つ両手剣ごと斬った。

 

「な・・・!?」

 

縦に一直線に斬られた異形は信じられないと言った表情を浮かべながら、息絶えた。

翔は手に持っていた両手剣を異形の亡骸へと投げる。

 

案外呆気なかったな。さてと―――

 

「・・・隠れてないで姿を見せたらどうだ?」

 

そう言うと、翔の背後から複数の人影が現れた。

 

「4人か・・・お前ら人か? いや、人じゃないな・・・気配に違和感がある・・・」

 

翔がそう質問すると驚いた様子だ。

 

「何故振り返りもしないで分かるのかしら?」

 

「気配には少しばかり敏感なんだ。あと、振り返ってもいいか? 戦闘の意思はないさ」

 

両手を上げながら言う。

 

「いいわ」

 

女性から許可を貰い、翔が振り返ると、そこには4人いた。

凛々しい表情を浮かべ、腰まで届くほど長い鮮やかな紅い髪を風で靡かせた女性。

黒い艶やかな髪を一つに纏め、ポニーテールにした大和撫子を体現したような女性。

白髪で感情を感じさせない無表情を浮かべた小柄な少女。

綺麗な金髪の貴公子を体現するかのような男の子。

 

「お前達、何者だ?・・・いや、その前に自己紹介だな。俺は御剣翔。人間だ」

 

「あら、名前を言われたら返さないとね。私の名前はリアス・グレモリーよ。正体は悪魔よ」

 

「姫島朱乃ですわ。これでも悪魔ですわ、うふふ」

 

「僕は木場祐斗、僕も悪魔だよ」

 

「・・・・・・塔城小猫・・・悪魔です」

 

「悪魔ってのは予想外だな・・・」

 

・・・嘘は言って無いみたいだな。この世界には悪魔がいるのか

だったら、天使とか堕天使とか居そうだな

まぁ、俺の世界にも似たような奴らはいたが・・・

 

「さぁ! 私達の正体は言ったわ。貴方は何者?」

 

「だから、言っただろ? 俺は人間だ」

 

「貴方がただの人間なわけないじゃない!」

 

翔が内心でこの世界のことについて考えていると、紅髪の女性・・・リアスが翔に問いかける。

それに答えるも何故か強く否定される。

 

いや、否定されても困るんだが・・・

 

「そうですわ」

 

「そうだよ。ただの人間が一撃で、はぐれ悪魔を倒せるわけないよ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

他の者からも攻められ、小猫に関しては非難の目が向けられている。

 

「俺は人間だ。()()の人間ではない事は否定しないがな」

 

翔は口元に笑みを浮かべながら、含みあるように言う。

それに対して、リアスは凛とした態度を崩さずに上品な笑みを浮かべながら問いなおす。

 

「そう・・・じゃあ、言い方を変えるわ。―――貴方はどういう人?」

 

その問いに、翔は静かにリアスに視線を向ける。

数秒程、翔とリアスは互いに視線を交じらすと、翔が不意に小さく笑みを浮かべて言う。

 

「降参だ・・・色々と話し合おうじゃないか。それでいいだろ?」

 

「・・・ええ、いいわ(数秒程しか視線を交じらせていなかったのに、何なのこの感覚は・・・?)」

 

数秒視線を交じらしたリアスは、言いようのない感覚に襲われる。

此方が見定めようとしたが、逆の立場になった感覚をリアスは感じた。だが、不思議と不快には感じなかった。

 

「何処で話す? 俺は別に何処でも構わない」

 

「そうね。・・・私達の部室はどうかしら?」

 

「それでいい。案内してくれ」

 

翔はリアス達の案内され、リアス達の部室に向かった。

 

「(彼との出会いは、何か運命めいたものを感じるわ・・・。これから面白い事になりそうね♪)」

 

 

『正義の味方』を目指すを宿し者と『紅髪の滅殺姫』が出会う。

 

―――運命の歯車が今、動き出した。

 


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