ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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第23話 プール日和。白との対面

サーゼクスとグレイフィアが来訪した翌日、翔とグレイフィアが作った朝食を全員で食べた後、翔とリアスはサーゼクスとグレイフィアに街の案内を行った翌日。翔は何故か駒王学園のプール場にいた。

 

「それで、ここに俺らが集まった意味はなんだ?―――リアス」

 

翔とアーシアが日曜日という学生の休日を過ごしていたら、唐突にリアスが翔に体育着とジャージを持って持って駒王学園のプール場に来るように言って来たのだ。勿論、突然であったため、リアスに訳を聞こうとしたのだが、それに耳を貸さずにリアスはそそくさと学園に向かってしまったのだ。

そのため、翔は仕方なくリアスに言われたとおりに準備をして、アーシアと共にプール場に来たのだ。

 

「実はね・・・・・・皆にはプール掃除をやってもらいたいのよ!」

 

「はぁ・・・ソーナから頼まれたのか?」

 

何故か自信気に言い放つリアス。

それを聞いて、翔は溜め息を吐いてから問いかける。

 

「いいえ。まぁ頼まれたらやるけれど、今回は違うわ。私達がプール掃除をする代わりに、今日一日プールを自由に使ってもいいように頼んだのよ」

 

「・・・つまり、プールで泳ぎたいからリアスがソーナに頼んだら、掃除をするように言われたんだな?」

 

「ええ、そうですわ」

 

翔の問いにリアスではなく、朱乃が答える。

どうやら彼女は事前に今日のことを知っていたようだ。

 

「ちょ、ちょっと朱乃! そういうのは普通言わないでしょ!」

 

「あらあら、ごめんなさい」

 

少し頬を紅く染めて恥ずかしそうに言うリアスに、朱乃は謝るが顔を見れば笑みを浮かべている。

絶対に分かっていて、わざと言ったのだ。

相変わらず、誰かをいじるのが楽しくて仕方がないようだ。

 

「事情は分かった。だったら、さっさと始めるか・・・」

 

そう言って、翔は持ってきた体操着等を持ちながら、男子更衣室へと足を進めた。

 

各自体操着に着替えて、プール掃除を開始した。

去年の夏から誰も触れていないプールは凄く汚れており、誰もが時間がかかるのでは?と考えていたのだが、それは杞憂に終わった。

翔が持つ無駄に高い家事能力が遺憾なくの発揮され、瞬く間に終わらせたのだ。

さらに掃除の際に破損していた箇所も修復をし、新設と間違えるほど綺麗になっている。

 

「貴方は本当に何でもできるのね」

 

「いや、掃除をしただけなんだが・・・」

 

呆れたように呟くリアスに翔は普通に答えたのだが、更に呆れられた。

リアスだけでなく、他の者達も同様に呆れたように苦笑いをしていた。。

 

「解せんな」

 

リアス達の態度を見て、翔はそう漏らした。

 

「まぁ、何はともあれ、掃除も終わったことだし、さっそくプールを楽しみましょう!」

 

『はい!』

 

リアスの掛け声に、翔を除く全員が返事を返した。

 

「ほら、翔も!」

 

「はいはい」

 

一人だけ返事をしなかった翔に、リアスは不満げな表情を浮かべながら、返事をするように促し、翔はそれに適当に答えた。

 

「それにしても翔くんの体は何時みても見惚れるくらい綺麗に鍛えられているね」

 

「褒めてくれるのは構わないが、祐斗・・・お前は多分意識してないんだろうが、そういうことを男に言うのは控えた方がいいぞ。変な勘違いをされると思うからな」

 

上半身裸の翔の姿を見て、唐突に語りかけてきた祐斗に翔は僅かに引き攣った表情を浮かべながら答える。だが、肝心の祐斗は翔の言った言葉の意味が理解できていないようで、首を傾げている。

 

掃除を終えて、翔と祐斗は蓋対男子更衣室に戻り、濡れた体操着から水着に着替えているのだ。

これから掃除をしたご褒美に泳ぐことになっているからだ。

 

「僕は筋肉がつきにくいみたいでね。翔くんみたいなのに少し憧れているんだよ」

 

「お前の場合は力よりも速度を重視の鍛え方をしてたからだろ。筋肉をつけて体を重くするより、必要最低限の筋力で大丈夫だと、お前の師匠も思ったのだろうな。ま、俺のは特別性だからな。今の状態にするにはかなり大変だった」

 

遠い昔に柔術の師匠に拷問ともいえる鍛練を課せられたのを思い出す。

 

「特別性? 何か特殊な鍛え方でもしたの?」

 

翔の言葉に疑問を持った祐斗が問いかける。

 

「ああ。まぁここで話すと長くなるから、今度の鍛錬の時にでも説明するとするか。着替え終わったことだし、そろそろ外に出るか。リアス達より後に出てきたら、少しばかり面倒だ」

 

「そうだね」

 

すでに着替え終えた翔はそう言って、更衣室から出ていこうとする。

それに苦笑しながらも同意して祐斗も翔に続く。

 

翔と祐斗の二人が更衣室から出てきて、少し経つと女子更衣室の扉が開いた。

 

「どうやら待たせたようね」

 

「いいや、それほど待っていないさ」

 

開いた扉から布面積が少ない赤ビキニ姿のリアスが姿を現した。

 

「あらあら、やはり男の子は着替えるのが早いですわ」

 

リアスと同じく布面積が少ない白いビキニ姿の朱乃も出てきた。

 

「まぁな。だが、俺達もついさっき出てきたところだ」

 

リアスと朱乃の言葉に翔が返していると、続いてアーシアと小猫が出てきた。

 

「お待たせしました」

 

「・・・・・・お待たせしました」

 

二人はリアスと朱乃とは違って、駒王学園指定のスクール水着だ。

胸のところには、それぞれ平仮名で名前が書かれている。

 

「あれ、ゼノヴィアはまだ着替えているのか?」

 

「はい。初めての水着に手間取っている様子で、先に泳いでていいと仰られていました」

 

まだ出てきていないゼノヴィアについて翔が尋ねると、それにアーシアが答える。

 

「なら、遠慮なく泳ぐとしようか。おっと、泳ぐ前にはちゃんと準備運動をしてからにするんだぞ? それが終わったら好きに泳いでいいからな」

 

「ちょっと、そういうことは部長の私が言うものでしょ! いや、それよりも言うことがあるでしょ!?」

 

翔の言葉にリアスが声をかける。

 

「ん?・・・・・・あ、なるほどな。その赤い水着は実にお前らしいな、似合っているぞ。少し布の面積が少ない気もするがな・・・」

 

「あ、ありがとう・・・/////」

 

最初は何を言っているのかが理解できずに、首を傾げていた翔だが、少し照れたような視線を翔にチラチラと送っていは、自身が着ている水着を翔に見せつけるような仕草をするリアスを見て、リアスが言って欲しかったことを理解できた。

そして、率直な簡素を述べる翔に、リアスは少しばかり恥ずかしそうに照れたようで頬をうっすらと紅く染めるが、その口元は喜びで緩んでいた。

すると―――

 

「あらあら、部長ばかりズルいですわ。私も感想が欲しいですの」

 

むにゅ、と翔の鍛え抜かれた背中に自身の豊満な胸を押し当てるように、朱乃は後ろから抱きつく。その際に耳元で甘い吐息をこぼしながら囁く。誰もが羨むような状態になっているにもかかわらず、翔は平然とした表情を浮かべている。

だが、リアスには翔が鼻の下を伸ばしているように見えたのか知らないが、朱乃を指さしながらも翔に睨むような視線を向けながら声を荒らげて言う。

 

「ちょっと、朱乃! 翔に抱きつく必要なんてないじゃない! 早く離れなさいよ!

それに翔も鼻の下を伸ばさないの!」

 

「いや、別に鼻の下なんか伸ばしてないと思うんだが・・・。まぁいい。ほら、リアスの言うとおり、離れてくれ朱乃。このままだと少しばかり面倒になる」

 

疲れたように溜め息を漏らす翔に、朱乃は何時も通りの笑みを浮かべたままで離れようとはしない。

 

「朱乃! 何時まで抱き着いているのよ!」

 

すると、リアスは強引に朱乃を翔から引き剥がそうとする。

 

「あらあら、部長。私は何時も頑張っている可愛い後輩に少しご褒美をしているところですわ」

 

「ッ!?・・・・・・主である私に対して少し態度が大きいんじゃない?」

 

朱乃の言葉を聞いたリアスは笑みこそ浮かべているが、その眉を吊り上げっており、誰から見ても怒りだす直前だ。

 

「はぁ・・・頼むからさっさと離れてくれ。これ以上面倒なことになるのは勘弁してもらいたい」

 

翔が疲れたような声で離れるよう、朱乃に促すと、彼女は少し残念そうな表情を浮かべながらも離れた。そして、離れた朱乃の水着姿を改めて見直し、翔は感想を述べる。

 

「お前の黒髪にその白い水着はよく似合っているな。まぁリアス同様に布面積が少ないと思うが・・・」

 

「あらあら、ありがとうございますわ/////」

 

リアス同様に、朱乃も僅かに頬を染める。

続けて、翔はアーシアと小猫に視線をずらすと優しい笑みを浮かべながら二人も褒める。

 

「アーシアと小猫も可愛らしいぞ」

 

「えへへ///// ありがとうございます」

 

「・・・・・・ありがとうございます/////」

 

翔の言葉にアーシアは照れたように頬を紅く染めながらも笑顔を浮かべながら感謝の言葉を述べ、小猫は恥ずかしかったのか、そっぽを向いて感謝を述べる。だが、その頬はアーシア同様に紅く染まっていた。

 

「あれ、僕にはないのかな?」

 

「男が男に言ってどうするんだ・・・」

 

祐斗の冗談に翔は呆れたように返す。

 

各自、準備運動を行い、それぞれが自分の好きな事を始めようとしたところで、翔は祐斗にある課題を出した。

 

「それで何だい? プールで修業なんて初めての経験だから何をするのか想像できないよ」

 

「やることは簡単だ。水に浸かったまま前蹴りをしながら進むだけだ。足腰のいい鍛錬になるんだ」

 

「へぇ~。確かに水中では動きが鈍くなるから、いいトレーニングだね」

 

「まぁな。だが、人とは違って悪魔に転生をし、体が人間の体より強靭になった上に、今まで鍛えていたお前には軽い運動にしかならないから、今回はある負荷をかける」

 

そう言って、翔は予め持ってきていた袋からある物を取り出す。

 

「これはパワーアングルかい?」

 

「みたいなものだな。別に錘とかは入れないからな」

 

翔の言葉に疑問を抱き、首を傾げる祐斗であったが、とりあえずつけてみろ、と翔に言われて、両脚に渡されたパワーアングルのようなものを巻く。すると、途端に足が鉛のように重くなる。

 

「こ、これはどういうことだい? さっきまでただの布みたいだったのに・・・」

 

「普通のパワーアングルの錘じゃ、そこまで負荷にならないだろうと思ってな。俺が前に知り合いが作ってくれた同じようなのを朱乃と共同で作ったんだ。それの内側にはある術式が書かれていてな、装着者の魔力を元に重くなるような仕組みになっている。ちなみに今の設定は、片方で10キロほどだな。つまり計20キロの負荷がお前の足腰にかかている。その状態でさっき言ったことをやってもらう」

 

「えっ・・・?」

 

翔の言葉を聞いて、引き攣った表情をする祐斗。

 

「ついでに体力もつけられて一石二鳥だな。このプールは25mだから軽く20往復したら終わりにするか。初めてだからこれくらいでいいだろ」

 

そう言って、翔は袋から同じものを新たに取り出し、自身の両脚にも巻き始めて、プールへと浸かる。

 

「翔くんもやるんだ。重さは僕と同じなのかな?」

 

「いや、俺は片方で50キロほどの負荷だな。ほら、無駄口叩いてる暇はないぞ。早めに終わらせないと自由時間が無くなるからな」

 

「あははは・・・・・・僕は無事に終えられるかな」

 

祐斗の言葉は翔の蹴り上げた水飛沫の音によって、掻き消された。

 

「ほら、その調子だ。あとちょっとで終わりだぞ」

 

翔は小猫の両手を引きながら後ろへと下がり続ける。

対する小猫は懸命にバタ足を行う。

 

祐斗と共に鍛練をしていた翔であったが、開始して30分足らずで終えてしまったところに小猫とアーシアが泳ぎ方を教えてくれと、頼まれたため、現在は先に小猫に泳ぎ方を教えているところだ。

 

「ぶはっ!・・・・・・翔先輩。付き合わせてしまって、すみません」

 

「別に大したことないさ。得手不得手があるからな・・・おっと、端に着いたか」

 

二十五メートルをバタ足で泳ぎ切った小猫は勢い余って翔にぶつかってしまったので翔は支えるように受け止める。

 

「先輩、上手いですよね。教えるの」

 

「まぁな。誰かに泳ぎを教えるのは初めての経験じゃないからな・・・」

 

「・・・・・・そうですか、次はアーシア先輩の番ですね」

 

小猫の言葉に翔は少しだけ憂いを帯びた微笑を浮かべんがら答える。

それを見た小猫は顔が紅くなるのを自覚したため、顔を横に向けて素っ気ない態度でそう言い、プールから出る。すると、入れ替わるようにアーシアが入ってくる。

 

「翔さん、お願いします!」

 

元気よく言う、アーシア。

そして、アーシアの泳ぎの練習が始まった。

 

「きゅぅ・・・・・・疲れましたぁ」

 

プールサイドに敷いてあるビニールシートの上でアーシアが横になる。

あれから翔はアーシアに泳ぎ方を教えた。

その結果アーシアは張り切ってしまい、コースを何週もしてしまったため、かなり疲れたようだ。

翔は横になっているアーシアの隣に座る。

すると―――

 

「・・・・・・すーすー」

 

隣から寝息が聞こえる。

 

「最初からあれだけ泳いだら普通は疲れるよな」

 

疲れて眠るアーシアに苦笑しながら、彼女の濡れた絹のような金色に輝く髪を優しく梳くように撫でる。

翔に撫でられたのに気付いたのか、アーシアは眠りながらも笑みを浮かべている。

すると、不意に視線を感じた翔は逆サイドに目を向けると、手招きしているリアスが映った。

 

長年の経験で面倒事になりそうな予感を感じた翔であったが、無視したら無視したらで、どっちにしろ面倒事になると思い、内心で溜め息を吐きながら立ち上がると、逆サイドにいるリアスの元へと歩き出した。

 

「俺になんか用でもあるのか?」

 

「あるから呼んだのよ。翔、貴方に日焼け除けのオイルを塗ってもらおうと思ってね」

 

リアスの元へと移動した翔は、彼女に問いかけると、リアスは笑みを浮かべながら自身の胸の谷間から一つの小瓶を取り出す。

普通の男子ならば、リアスの今の仕草に何かしらの反応をするのだろうが、生憎と翔にはそういった類には、あまり関心がないため普通に会話を続ける。

 

「悪魔って、日焼けするのか?」

 

「これは美容の特製オイルよ。悪魔式オイルとでも呼びましょうか」

 

リアスはそう言い、予め敷いてあったビニールシートの上にうつ伏せに寝て、ビキニの紐を解く。

 

「さ、背中に塗って」

 

「あのな、リアス。俺は男なんだから、同性の朱乃達の誰かに頼めばいいだろ?」

 

「別にいいじゃない」

 

呆れた声を漏らす翔に、リアスは取り合わずにオイルを塗るように促す。

断っても無駄だと悟り、深い溜め息を吐いてから、翔は瓶の中の入っているオイルを掌に出そうとしたが、そこで一旦手を止めて、翔はオイルをリアスの背中に垂らす。

 

「ひぁっ!? ちょっと、こういうのは一度手で温めてから塗るものよ!」

 

「ああ、知ってるぞ」

 

オイルの冷たさに思わず変な声を漏らしてしまったリアスは、顔だけをずらして翔を見ると、そこには笑みを浮かべている翔の顔が映った。

 

「あ、貴方、わざとやったのね! ぁん!」

 

「変な声を出すなよ」

 

「だっ、だって、気持ちいのよ!」

 

リアスが艶めかしい声を出すが、翔は至って普通に対応する。

それを見て、リアスは納得いかないと言った表情で翔のことを僅かに睨む。

 

「むっ! 少しは喜びなさいよ! こんな美人のオイル塗りをしているんだから」

 

「どんな理屈だよ・・・」

 

呆れと疲れが混じった溜め息を漏らすと―――

 

「翔くん♪ 私にもオイル塗ってくださる?」

 

突然、翔の後ろから朱乃が抱きついてきた。

背中に当たる感触に翔は怪訝な表情を浮かべる。

 

「・・・・・・一つ聞くが、水着はどうした?」

 

「すでに脱いでます♪」

 

翔の問いに満面の笑みで答える朱乃。

 

「ちょ、ちょっと、朱乃。私のオイル塗がまだ終わってないのよ? それにそんな風に私の翔を誘惑しないでって、前にも言ったはずよね?」

 

リアスは上半身だけ起こして、目元を引き攣らせて言う。

 

「お前ら、上半身裸で何をやってるんだ・・・」

 

翔はリアスと朱乃の行動に溜め息を吐く。

すると―――

 

「怖いですわ。翔くん」

 

そう言って、朱乃はより強く翔に抱きつく。

 

「リアスはもう平気だろ、後は自分でやれ。次は朱乃の番だ、さっさと離れろ」

 

「まっ、まだ塗って無いところがあるわよ!////」

 

頬を紅く染めながら言うリアス。 

 

「まだ塗ってないところ? 背中はもう塗り終わっただろが?」

 

「まっ、まだ胸に塗ってないじゃない!!」

 

リアスの言葉に翔は額に手を当てて、呆れたように溜め息を吐いてから、我が儘を言う子供を諭すような声色でリアスに言う。

 

「以前、俺はお前に言ったよな? 女としても慎みを持て、と」

 

翔の言葉を受けてリアスは、うっ!? と小さく唸る。

言い返したいところだが、言い返したら翔は遠慮なくグレイフィアに連絡をするだろう。そうすれば、リアスは義姉から直々に説教をされることになるだろう。それだけは避けたい、と考えるリアス。

だが、翔にオイル塗りを続けてほしい、と言う思いもそれに負けないくらい強い。どうするべきか考えていると、今まで黙っていた朱乃が、何時もの微笑みを浮かべながらリアスに言う。

 

「あらあら、部長は破廉恥なのですね。そんなに翔くんに胸を触って欲しいのかしら?」

 

「・・・・・・翔に塗ってもらうと気持ちいのよ////」

 

「ますます、翔くんに塗ってもらいたいですわ」

 

朱乃の言葉にリアスは頬を紅く染めながら小さく答える。

すると、朱乃はより一層、翔に強く抱きつき、頬ずりを行う。

翔は朱乃を引き剥がそうと動こうとしたところ―――

 

「―――あまり調子に乗らない方がいいわよ、朱乃?」

 

酷く冷たい声が翔の耳に届いた。

声がした方へと視線を向けると、そこには満面の笑みを浮かべるリアスの姿があった。

ただし、額には青筋を浮かばせ、目は一切笑っておらず、放たれる雰囲気は重たく冷たいものだ。

 

やっ、やばいな・・・

 

翔の額に一筋の汗が流れる。

今までの経験上、ああいった雰囲気を放つ女性と関われば、碌な目に合わないことを知っているのだ。そのため、ここは穏便に事を終わらせるように、慎重に対応せねばならないと思い、口を開こうとした時―――

 

「あらあら、これぐらいのスキンシップで嫉妬だなんて、随分と心が狭いのですわね」

 

朱乃から挑発の言葉が放たれる。

ピキッ! とリアスの額に太い青筋が浮かび上がる。

 

「貴方、誰が主かってことを忘れているみたいわね・・・」

 

「忘れてませんわよ。けれども―――貴方とアーシアちゃんだけが惹かれていると思ったら大間違いよ」

 

お互いに非常にイイ笑みを浮かべながら言葉を交わすリアスと朱乃。

 

「・・・言ってくれるわね。―――卑しい雷の巫女さん?」

 

「あらあら、そちらこそ。―――紅髪の処女姫さま?」

 

ブチッ! とリアスと朱乃から切れてはいけない何かが切れてしまった音がした。

 

「貴方だって、処女じゃない!」

 

「なら、今すぐ翔くんに捧げるわよ!」

 

「駄目よ! だいたい、貴方は男が嫌いだったはずでしょ!?

 

「そういうリアスも男なんて興味ない、全部一緒に見えるなんて言ってたじゃない!」

 

「翔は違うわ! 今まで出会って来た男とは全然違うのよ! 誰よりも優しくて、暖かくて、カッコ良くて、強くて・・・・・・ほっとけないのよ!!」

 

「私だって同じよ! やっとそう思える異性に出会えたんだもの! 少しくらい翔くんに構って貰ってもいいでしょ!? この我が儘娘が!!」

 

「何ですって!? 言ってくれるわね、このサド女!!」

 

そう言い争って、二人は悪魔の翼を生やすと、空へと飛び立ち、喧嘩にしては派手すぎるほどの争いを始めた。

 

それをプールサイドから眺めていた翔は深い溜め息を吐いて、その場を後にした。

普段なら周りに迷惑をかけるので、強制的に止めるのだが、先日のコカビエルの一件の後始末なのでストレスも溜まっているだろうから、発散するのには丁度良いだろうと思ったからだ。それに飛び立つ瞬間にプール場全体に人払いの結界と阻害認識の結界も展開しているのだ。

決して、関わりたくはないという気持ちが強かったからではない。

 

「飲み物でも買っておくか・・・。そう言えば、ゼノヴィアがまだ来てないな、様子でも見るか」

 

まだ来ていないゼノヴィアのことが気になり、少し様子を見に行こうと女子更衣室へと向かい、扉をノックしようとしたところで、丁度開き、水着姿のゼノヴィアが姿を見せた。

 

「おっと、こんなところでどうしたんだい?」

 

「いや、少しばかりお前が遅いんでな。気になって様子を窺おうとしたところさ」

 

「そうか。こういったもの着るのが初めてだからな、少し手間取ってしまったんだ。似合うか?」

 

ゼノヴィアが翔に自身の着ている水着を見せる。

リアスや朱乃と同じビキニ水着だが、二人ほど露出はない。

 

「ああ、よく似合うさ。ゼノヴィアの健康的な体が引き立っていて、緑の配色が青髪を更に映えさせて、惹かれるな。学園の男達を魅了されると思うぞ?」

 

「そ、そうか/// 例え、お世辞でも嬉しいものだな」

 

翔の言葉に僅かに頬を紅く染めて恥ずかしそうな様子を見せるゼノヴィア。

 

「お世辞でそんなこと言うわけないだろ。お前は十分可愛いらしい娘だよ。もっと自信を持て」

 

「ッ!?/////」

 

やれやれ、と言った風に言う翔に、ゼノヴィアは顔を真っ赤にさせて顔を俯かせてしまう。

そんな彼女を見て、翔は気に障ることでも言ったのか、と思い、謝罪の言葉を言おうとしたところ、急にゼノヴィアに腕を掴まれ、そのまま女子更衣室へと連れて行かれてしまった。

 

「いきなりどうしたんだ?」

 

ゼノヴィアのいきなりの行動に多少驚きながらも声をかける。

すると、ゼノヴィアは俯かせた顔を上げて、まっすぐと翔を見つめる。

浮かべる表情は真剣そのもので、纏う雰囲気も引き締まっていく。

 

「翔、君に折り入って頼みがある」

 

「ああ、なんだ?」

 

「―――私と子供作りをしよう」

 

「・・・・・・・・・すまないが、もう一度言ってくれないか? どうやら上手く聞き取れなかったようだ」

 

ゼノヴィアの言葉を聞いて、固まった翔は長い沈黙の後に、もう一度聞き直す。

 

「翔、私と子作りをしよう」

 

「・・・・・・・・・」

 

再び、彼女から放たれた言葉は変わず、翔は再び沈黙状態になってしまった。

そんな翔を見て、怪訝に思ったゼノヴィアは再び同じことを言う。

 

「私と子作りをしよう」

 

「・・・・・・ゼノヴィア、どうしてそう言ったことになった?」

 

額に手を当てて、ゼノヴィアにどうしてそう言った思考に至ったのかを問いかけた。

 

「うん、順を追って話そう」

 

ゼノヴィアは語った。

 

自分はキリスト教会の本部であるローマで生まれ育ち、聖剣が使える因子を生まれ持っていたため、幼少の頃から神のため、宗教のため、修行と勉学に励んできた、と。

 

「子供の頃から、これといって夢や目標というものが、全て神や信仰に絡んだものだったんだ。例えば、悪魔を倒すのは主のため、布教させるのもヴァチカンのためだと信じて疑うこともなかったよ。だから、悪魔となった今、私は目標、夢が無くなったと言えるんだ」

 

「なるほどな・・・。だが、何故それが子作りに行く?」

 

翔は眉間を揉みながら再度問いかける。

 

「神に仕えていたときは女の喜びを捨てることにしてた。我が身、我が心はすべて信仰のために封印したんだ。けれど、この通り、現在悪魔だよ。何をしていいか、最初はわからなかった。現主であるリアス部長にそれを尋ねたら―――」

 

『―――悪魔は欲を持ち、欲を叶え、欲を与え、欲を望む者。好きに生きてみなさい』

 

「だから、私は封印していたものを解き放ち、それを堪能しようと思う。そして、私の新たな目標、夢は―――子供を産むことなんだ」

 

「・・・要は今まで宗教上、貞操意識とかで出来なかった事をしたくなって、それが子作りってことか?」

 

「そう、子供を産んでみたいんだ。そのためには男を知る必要もあるのだけど、ちょうどいいだろう? 子作りと同時に知れる」

 

「話は理解できた。だが、何故俺だ? 俺よりもっといい男などたくさんいるだろう? 例えば、祐斗とか。同じ《騎士》同士、話も弾むだろうに・・・」

 

「不服か? 私は翔でいいと思ったから頼んだんだ。私は子供を作る以上、強い子になって欲しいと願っているんだよ。父親の遺伝子に特殊な力、もしくは強さを望む。そこで翔が一番適任だと思った。伝説の赤龍帝の力。

神器は子に受け継がれなくとも、オーラは受け継がれるかもしれないだろう? これは好機なんだ。きっと、主のお導き―――うっ! ついお祈りをしてダメージを受けたが、そういうわけだ。ちょうどここは人気もない。さっそく一度試してみよう。何事も早め早めがいい」

 

言うが早いか、ゼノヴィアは躊躇いもなく水着を脱ぎ捨てる。

普段の翔ならば、ゼノヴィアが水着を脱ぐ前に動きを止めさせることもわけないのだが、いきなりの出来事に頭の中が少し混乱していて、それが出来なかった。

 

「落ち着いてくれ!」

 

「心配するな、子供のほうは基本的に私が育てる。ただ、父親からの愛を子供が望んだら、そのときだけは遊んでやって欲しいんだ。やはり、子に父と母は必要だからね。 悪魔の出生では、子供がなかなかできないそうだが、私は転生悪魔だが、ベースは人間だから毎日していけば十年以内に妊娠するのではないかと予想しているんだよ」

 

駄目だ・・・こいつ、人の話を聞く気がない

 

「残念なことに私は男性経験がない。これから覚えていくつもりだ。今は翔に合わせよう」

 

さらけ出した胸を翔の胸板へと押し当てるように抱きつくゼノヴィア。

 

「―――抱いてくれ。子作りの過程をちゃんとしてくれれば好きにしてくれてかまわない」

 

頬を紅く染めて、上目遣いで潤んだ瞳を翔に向けるゼノヴィア。

だが、翔はそんな彼女に静かに告げる。

 

「それは出来ない」

 

「何故だ? リアス部長や朱乃さんほどではないが、体にはそこそこ自信があるぞ」

 

「そういうことじゃない。・・・俺は愛する資格も愛される資格もない。―――ただの掃除屋だ。

だからそんな資格を持つことは許されないんだ」

 

翔の言っていることが分からずに、ゼノヴィアは怪訝な表情を浮かべる。

 

「分からなくてもいいさ。独り言みたいなものだからな・・・。そういうことだから、これ以上聞き耳を立てる必要はないぞ」

 

そう言って、翔は扉の方へと視線を移す。

すると、静かに扉が開き、そこにはリアスと朱乃、アーシアに小猫の四人が複雑な表情を浮かべていた。

 

「盗み聞きとはあまり感心しないな・・・・・・今回は仕方ないか」

 

そう言う翔に、四人は顔を俯かせてしまう。

 

「俺はこれから飲み物でも買ってくるさ。ゼノヴィアはさっさと水着を着直せ。それと一時の感情に流されるのはよくないぞ、後で後悔するだけだ。さっきも言ったが、俺よりいい男などこの世界にはたくさんいる。慎重に見極めろ。まぁそんな間違いしないか」

 

子供をあやすようにゼノヴィアの頭を軽く撫でてから、翔は女子更衣室を後にした。

残された者達は、気まずい雰囲気を漂わせるだけで何も言うことが出来なくなった。

 

そして、少しの沈黙の後にリアスがポツリと言葉を漏らす。

 

「私達はまだ翔のことを知らないのね・・・」

 

自分の言った言葉にリアスは唇を噛みしめる。

 

主の筈なのに、大切な人なのに、自分は翔のことを知らない、という思いが心の中を強く浮かび上がる。

この前の夜に翔とサーゼクスの話を盗み聞きして、少しは翔のことを知ったつもりでいた。・・・・・・そう、()()()だっただけだ。実際は全然知らないことばかり・・・。

リアスと同じように全員が、似たような表情を浮かべていた。

 

それから、リアス達はこの気持ちを紛らすためにプールを楽しむようにするのだが、最後まで胸の奥にあるモヤモヤまでは、消えることはなかった。

 

「一人で登校するのは、久しぶりだな・・・」

 

そう呟きながら、翔は駒王学園を目指す。

何時もならば、リアスとアーシアの二人と一緒に登校するのだが、リアスは用があって、アーシアは日直の仕事があるため、二人は先に家を出ていったのだ。

 

まぁ、今日は一人でよかったのかもしれないな・・・

 

左腕が微かに熱くなるのを感じつつ、遠くに見える駒王学園の校門前を見据える。

そこには一人の少女が立っていた。

暗い色合いの銀髪を腰まで伸ばし、透き通った綺麗な碧い瞳は真っ直ぐと翔のみを見つめている。

誰もが見惚れるほどの美しさなのだが、門を通る生徒達は彼女の存在に気づきもしない。

 

・・・魔術といった類ではない、ただ静かに身を潜めているだけだな

 

ほう・・・、と翔は感嘆の声を漏らす。

普通ならば誰もが気づく位置に立っていると言うのに、他の者達に自身がいることを悟らせないということは、かなりの実力者であることが窺えられる。

 

翔がゆっくりと歩く速度を下げて、周りにいた生徒達の最後尾になるように歩幅を調節する。

学園前の小さな橋に到着した翔を前に、少女は背を預けていた門から離れ、翔の前まで歩いてきた。

 

「やぁ、いい学校だね」

 

「ああ、確かに良いところだ」

 

まぁその分色々と凄いとは思うがな・・・、と翔は肩を竦めながら付け足すと、少女は翔の言葉に薄い笑みを浮かべる。

二人から放たれる雰囲気は、まるで昔からの知り合いのように感じられるほど、ごく自然なものだ。

 

「色々と凄い、ね・・・。その色々の最たるは君自身のことでいいのかな?」

 

「さてな・・・、個人的にはそうじゃないことを願うが・・・君はどう思うんだ?―――『白い龍(バニシング・ドラゴン)』?」

 

翔の言った言葉に、少女はますます笑みを深める。

 

「ルシファー、レヴィアタンの妹、それに聖魔剣、デュランダル。これだけでも凄いと言えると思うけど、その中でも君は群を抜いていると思うよ―――『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』」

 

無言が続くさなか、二人は申し合わせたようにお互いの手を差し出し、握手を交わす。

 

「知ってると思うが、現赤龍帝の御剣翔だ」

 

「私はヴァーリ。現白龍皇よ」

 

ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!

 

少女・・・ヴァーリと握手をすると、左腕に宿る赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が強く疼きだした。

 

なるほどな・・・、これが以前ドライグから歴代所有者達から受け継がれてきた宿命というやつだな

 

戦え!戦え!戦え!と神器(セイクリッド・ギア)から脳へと送られる。

所有者の意識を塗り替えるような強烈な信号。

だが、それらを翔は―――

 

喚くな・・・―――黙れッ!

 

一喝する。

すると、先ほどまで赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から放たれる疼きは静まり、意思を塗り替えるような強烈な信号を消し去る。

 

ヴァーリは翔の左腕の疼きが治まったのが分かったようで、目を見開いて吃驚するが、すぐに先ほど以上の笑みを翔へと向ける。

 

「で、今日は何の目的だ? わざわざ俺に会いに来たわけでもないだろう?」

 

「いや、もう一度この学び舎を見ようと思っただけださ。・・・御剣翔、君はこの世界で何番目に強いと思う?」

 

「どうだろうな・・・、俺は自身が強いと思ったことはないからな。ただ強くあろうとしているだけだ」

 

「ふふふ、君はそういうことを言うと思っていたよ。・・・この世界は強者が多い、あの『紅髪の魔王(グリムゾン・サタン)』と呼ばれるサーゼクス・ルシファーでさえ、トップ10に入らない」

 

魔王の一角であるサーゼクスさんもトップ10に入らないと言うのか、普通の悪魔とは一線を画す存在だと言うのに・・・・・・。この世界は恐ろしいな・・・

 

翔はヴァーリの言葉を聞き、内心で改めてこの世界のパワーバランスに苦笑してしまう。

 

「だが一位は決まっている。―――不動の存在が」

 

「君ではないことは確かだな」

 

「ええ、私じゃない。でも、いずれわかるさ。―――御剣翔は貴重な存在よ、リアス・グレモリー」

 

ヴァーリが視線を翔の後方に向ける。その先にはリアスが立っている。 その周りには、グレモリー眷属もおり、対応に困ってるアーシアを除いて全員臨戦態勢だった。

 

「白龍皇、何のつもりかしら? 貴方が堕天使と繋がりを持っているなら必要以上の接触は―――」

 

「『二天龍』と称されたドラゴン。『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』。過去関わった者は碌な生き方をしていない。―――貴方はどうなるんだろうな?」

 

「ッ!?」

 

ヴァーリの言葉にリアスは顔を顰めて、拳を握り締める。

彼女の言うとおり、過去において二天龍に関わった者達の悲惨な末路は悪魔にも語り継げられている。

戦い巻き込まれ家族や恋人を失い復讐者となってしまった者、ただ所有者の家族と言うだけで、周りから迫害を受けた者、と数えきれない悲話がある。もちろん、全てがそのような事ではないが、悲惨な目に合っているのも事実・・・。

 

『ドラゴンはありとあらゆる力に惹かれる』

 

リアス達もそうならないという保証はない。

だが―――

 

「どうにもならないさ」

 

その言葉と共に不意にリアスの頭に何かが乗っかる。

それは不快にも煩わしくもなく、むしろ心地良く温かみを感じるものだ。

リアスが視線を横にずらせば、翔が何時もと同じような微笑みを浮かべながら、軽く頭を撫でているのが映った。それを見た瞬間、リアスは全身に走っていた緊張が解かれる。

 

「ヴァーリ、君が白龍皇故に、二天龍の宿命を全うしようがしまいがは俺には関係もなければ興味もない」

 

「それは無理な話よ、御剣翔。君の宿す赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が私の白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)と出会えば、自然とそうなる宿命・・・いや、運命とでも言った方がいいかしら?・・・決して抗えない」

 

「そんな運命、俺が断ち切ってやるさ。ドライグには悪いもしれないがな。俺と君が・・・赤龍帝と白龍皇が争うことで誰かが涙を流すと言うのならば・・・、二天龍の運命で誰かが傷つけられると言うのならば、俺はその運命とやらに抗ってやる」

 

静かに、だが覇気を籠った声で告げる翔にヴァーリは体が震えた。

恐怖からではない、歓喜を感じているが故だ。

自分のライバルとなる存在は、とんでもなかった。

 

最初はどこからともなく現れた赤龍帝ということで知った当初は興味を抱いたが、コカビエル如きで苦戦しているようでは話にならない、と内心落胆をしたが、それは間違いであった。すでに目の前にいる男は先日よりも遥かに強い。まるで、コカビエルの時は力が封印されていた、とでもいうほど、今の翔から伝わる威圧は違う。

 

今すぐ、この男と戦いたい!

 

その想いが体の隅々まで駆け巡るが、それを深く抑えこむ。

 

「ふぅ・・・。君は凄まじいな。今すぐにこの場で戦いたいが、今日は戦いに来たわけじゃないから、今日は帰らせてもらうよ」

 

そう言って、背を見せて歩いて帰ろうとするヴァーリに翔は声かける。

振り返って不思議そうな表情を浮かべるヴァーリに翔はとんでもない言葉をかける。

 

「どうせならこのまま学園でも見学しに来るか? 昼飯ぐらいならご馳走するが?」

 

その言葉にリアス達は驚愕の表情を浮かべ、ヴァーリも一瞬、呆気にとられた顔をするが、今度は今迄みたいな不敵な笑みではなく、見惚れるような笑みを浮かべながら翔の誘いを断る。

 

「その提案は魅力的だけど、私にもやることがあるから、次の機会にさせてもらうとするよ」

 

そう言って、今度こそこの場から去るヴァーリの背中を翔はただ見つめていた。

 

 




やっとできた・・・

ヴァーリの口調が難しい!
イメージ的には男と女の間の口調にしたいのですが、どうしても男のほうにいってしまう・・・。口調に関しては今後の課題です。

次はもっと早く投稿できるように頑張ります!

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