ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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投稿が遅れてしまい本当に申し訳ありません!
言い訳をなんですが、先週は課題が多くあった上に、体調を崩していたので
書く暇がありませんでした。
それにアーシアとの話がうまく自分の中で決まらずにだいぶ時間がかかってしまいました。
とりあえずはまとまりましたので投稿させていただきます!

2015/02/25 修正


第6話 もう友達だろ?

『はぐれ神父との戦闘で疲れているだろうから明日は休みなさい』

 

と、家に帰った翔はリアスからそう連絡が届いた。

特に疲れてはいなかったのだが、遠回しに一日休んで気持ちを整理しろ、と言っているため、翔は素直に学校を休んだ。

いつも通りの時間に起きた翔は、いつも通りに朝の鍛錬と朝食をすませた後、昼前に外に出て軽く散歩をすることにした。

 

さてと、アーシアをどうやって助けだすか・・・

 

翔は散歩をしながら、アーシアをどうやって助け出すかを考えていた。

下手に仕掛ければ、リアス達にも迷惑をかけてしまう。

仕方がないとはいえ、リアスの眷属になってしまった自分が忌々しく思う。

別にリアス達が嫌いになったわけじゃない、むりろその逆だ。

出会って間もないが、翔はリアス達のことを信用している。向こうもそうだ。

だが、仮にも現在の翔はリアスの眷属。つまり悪魔陣営にいることになる。

組織に入ってしまった以上、翔が勝手に動けばそれだけ、リアス達にまで迷惑がいく。

 

・・・・・・俺がリアスの眷属から外れれば、自由に動けるんだがな

 

『相棒、そんなことをあの娘が許すと思っているのか?』

 

ドライグの言葉に翔は、だよな・・・と呟く。

翔がリアスの眷属から外れる・・・。つまり、はぐれ悪魔となれば自由に動けるようになるが、リアスがまずそれを許すはずがない。

まだ一か月も経たないが、リアスのことはある程度理解できた。

彼女はとにかく自分の眷属を大切にしている。時には厳しいことも言うが、それは眷属の事を思っているからだ。そんな彼女が、翔がはぐれ悪魔になることなど許すわけがないのだ。

 

「どうするか・・・」

 

穏便にことをすませられるように色々と考えていると、ふと知っている気配が近くにいた。

すぐにそちらに視線を向けると、そこには―――

 

「アーシア・・・?」

 

「翔、さん・・・」

 

昨日、置いて行ってしまったアーシアがいた。

何故にここにいる? という疑問が浮かぶ前に翔は心の底から安堵した。

見たところ傷などはなくいたって健康体であった。

殺されることはないとは思っていたが、それ以外なら何かされているかもしれない。

そんなことを考えていたが、どうやら思い過ごしだったようだ。

 

「無事でよかった・・・」

 

心から安心したような表情を浮かべる。

 

それから立ち話もなんだと思い、翔はアーシアと共に近くにあったハンバーガー店へと入った。

アーシアが注文の際に自分でできる、と言い一人でやろうとしたが、英語しか喋れないため結局できずに翔が代わりに注文をした。

 

「あまりこういったものは健康によくないんだが・・・腹が減ったら何とやらだな」

 

そういって、翔はハンバーガーを食べる。

 

「ん? 思ったよりも美味いな・・・それにバランスよく作られてる」

 

一口食べて感想を述べる翔。

思ったよりも美味しく、そこまで不健康ではなかったため意外と気に入った様子を見せた。

食べる際も紙に包まれたハンバーガーの食べ方が分からずに四苦八苦しているアーシアに苦笑しながら教えたりもした。

 

「アーシア。何故、一人で外にいたんだ?」

 

二人とも食べ終えて、一息ついたところで翔はアーシアに静かに問いかけた。

その問いかけにアーシアは視線を逸らしながら答える。

 

「や、休み時間になったので、その・・・街に、散歩でも・・・」

 

「・・・・・・そうか。いや、変なこと聞いて悪かったな」

 

少しの間の後に、普段通りの優しい表情を浮かべる。

 

間違いない、アーシアは堕天使のもとから逃げ出したようだな・・・

俺が声をかけるまで、怯えるように周りを気にしていた

・・・・・・それを指摘する必要はないか

下手に指摘して俺を巻き込まないようにするために逃げ出すかもしれない・・・

なら―――

 

「アーシア。今日は思いっきり遊ぶぞ」

 

「はい・・・?」

 

突然の言葉に少し素っ頓狂な声を上げるアーシアだが、

それを気にせずに翔はアーシアの手を取り、店を出た。

 

日が沈み始め、街が夕暮れに染まり始めたころに翔とアーシアの二人は

公園のベンチで座っていた。

昼ごろから出会い、色々と楽しんでいたらいつの間にか日が沈み始めていた。

アーシアの腕の中には、遊んでいるときに翔が、力比べで楽々獲得した景品の

ぬいぐるみを大事そうに抱えていた。

二人は互いに黙ったまま、沈んでいく夕日を眺めていた。

すると―――

 

「あの、翔さん・・・少し訊きたいことが・・・」

 

「ああ、俺の神器(セイクリッド・ギア)のことだろ?」

 

翔は周囲に人がいないかを軽く確認して、左腕に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出す。

 

「翔さんも・・・神器(セイクリッド・ギア)を持っているのですね・・・」

 

「まぁな、アーシアみたいに優しい力じゃないけどな・・・」

 

苦笑しながら告げる翔。

 

「優しい・・・ですか・・・」

 

そう呟くアーシアに翔は今まであえて訊かなかったことを問いかける。

 

「・・・アーシアはなんで堕天使と一緒にいるんだ?」

 

何故アーシアほどの信仰心のある者が、堕天使のいる教会に居るのだ。

日本ではなく、本来なら神の加護がある教会に属しているはずだ。

 

「それは・・・・・・」

 

「言いにくかたっら、無理に言わなくてもいい」

 

その問いかけに言葉を詰まらせるアーシアに翔は優しく言うが、

アーシアは覚悟を決めたような目を翔に向けて言う。

 

「・・・いえ、翔さんには聞いて欲しいです」

 

そこから、ゆっくりと涙を流しながらもアーシアは自身のこれまでを語り出した。

『聖女』と言われ、孤独な日々を過ごしてきた少女の物語を・・・。

 

アーシアは生まれてすぐ、教会の前に捨てられた。

そこで健やかに教会の手伝いをしながら、育っていったそうだ。

だが八歳の時にある出来事が起きた。

アーシアは怪我をした犬を見つけ、その犬を助けたいという思い、

祈ったときに神器(セイクリッド・ギア)が目覚め、その力で犬の傷を癒した。

 

そこからアーシアの生活は激変した。

 

アーシアのことは教会中に知れ渡り、いつの日にか『聖女』と崇められていた。

田舎の教会に住んでいたアーシアは大きな教会に移り、

そこで毎日のように何かしらのことで傷を負った者達を癒す日々が始まった。

最初は自分が誰かのためになれたことが嬉しかった。

自分にもできることがあったのだと分かった。

だが、アーシアは孤独だった。

『聖女』と崇められてしまった故に、彼女には友達がいなかった。

支えてくれる者すらもいなかった。

そして、アーシアにある転機が訪れた。

 

―――ある日、教会の近くで傷を負った悪魔に出会ったのだ。

 

アーシアは最初はどうしたらいいか分からんかったが、

悪魔の救いを求める声を無視できるはずもなくアーシアは悪魔の傷を癒した。

それを教会の者達が見てしまった。

 

『悪魔を治療する力だとッ!?』

 

『魔女が!』

 

アーシアの力が悪魔までもを治療するものだと分かり、その力は聖なるものではない、

魔女だと判断した教会は掌を返したように、アーシアに異教徒の烙印を押しそして―――追放した。

 

「追放されたときは確かに辛かったです・・・。でも、それよりも辛かったのは―――」

 

―――私を庇ってくれる人は誰一人いませんでした・・・

 

「ッ!?」

 

アーシアの言葉に翔は溢れ出る怒気を抑えるために、気づかれないように血が出るほど奥歯を噛み締め、アーシアの視界に入らない側の拳を血が出るほど強く握りしめた。

 

「そこで私はようやくわかりました・・・。『アーシア・アルジェント』は誰の目にも映っていなかったことに・・・」

 

「そこで行き場を失ったアーシアは、あの堕天使に拾われたのか・・・」

 

静かに呟く翔であるが、その内心は怒りで燃え上がっていた。

 

「きっと私は、主に対する祈りが・・・足りなかったんですッ! 私は一人では何もできない・・・」

 

どういうことだ・・・

 

「だから、これも主の与えた試練なんです!」

 

何故、これほどの優しさを持つ子を・・・理不尽な目にあっているんだ・・・

周りの勝手な都合で・・・生かされ、そして―――捨てられるんだ・・・ッ!!

 

泣きながら笑うアーシア。

自身を嘲笑うように言いながら、自分自身で自分を傷つける・・・。

 

「これを乗り超えれば、きっと・・・きっと、友達だって・・・!」

 

流れる涙は止まらず、ぬいぐるみを力強く抱きしめる。

その姿は、あまりにも弱く、そして・・・小さい。

 

「翔さん。 私、夢があるんです・・・。普通にお友達とお買い物したり・・・おしゃべりしたり・・・お友達と・・・いっぱい、いっぱい・・・・・・」

 

涙声で夢を語るアーシア。

翔は俯かせているアーシアの顔を優しく上げ、そして頬に伝わっている涙を指でそっと拭った。

そして、アーシアと視線を合わせ、優しく微笑みを浮かべて言う。

 

「今までずっと頑張ってきたんだ。報われないと駄目だろ?」

 

「翔、さん・・・」

 

翔は優しくアーシアを抱きしめた。そして優しく頭を撫でる。

 

「アーシア。少しは俺を頼ってくれ・・・。俺達はもう友達だろ?」

 

「私と、友達・・・?」

 

「ああ。今日だけだが、一緒にご飯を食べて、話して、遊んだだろ? ほら、俺達はもう友達だ」

 

「翔さんは・・・私と友達になってくれるんですか・・・?」

 

「なるんじゃないさ。もう友達だ」

 

不安そうに上目遣いで翔を見つめるアーシアに、優しく答える。

それに、目元に涙を浮かべているが、今日の中で一番の笑顔を見せるアーシア。

 

「友達・・・? そんなの無理に決まってるじゃない」

 

上からそんな言葉が聞こえた。

翔が視線を送ると、そこには背に一対の黒い翼を生やし、

露出の激しい服を身にまとった女がいた。

 

「アーシアが逃げ出したって聞いたから、わざわざ探しに来れば、まさか男とデートとはねぇ・・・。妬いちゃうわ」

 

笑みを浮かべながら言う女性。

そんな女性から逃れるように翔の陰に隠れるアーシア。

 

『相棒。あいつは堕天使だ』

 

そんなこと言わなくても、見ればわかる・・・

 

「レ、レイナーレ様・・・」

 

こいつがアーシアを拾った堕天使・・・明らかに親切心ではないな

 

内心でレイナーレという堕天使を観察していると、レイナーレは翔が視界に入っていないかのようにアーシアに話しかける。

 

「さぁ、アーシア。 帰りましょう、手間をかけさせないで」

 

「い、嫌です・・・・・・人を殺すなんて・・・それに私を―――」

 

翔の腕にしがみついて震えるアーシア。

 

「私達には貴女が必要なの、わかるでしょう? アーシア」

 

「少し待てってくれないか?」

 

「あら? 何かしら?人間風情が私に気安く話しかけないで頂戴」

 

近づいてくる堕天使に翔が制止の口を挟むと、途端にレイナーレは侮蔑の視線を翔に向けた。

 

無駄にプライドが高いな・・・

ドライグ、いけるか?

 

『いつでも』

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を発現させる。

そして、アーシアに後ろに下がるように促す。

 

「なんだ、神器(セイクリッド・ギア)持ちだったの?でも、それは龍の手(トゥワイス・クリティカル)と呼ばれるありふれたものよ。一定時間、所持者の力を倍にするけど、貴方の力が倍になったところで全く怖くないわ」

 

堕天使は余裕の笑みを浮かべる。

たかが人間である翔の力が倍になったところで脅威にはならないと思っているようだ。

翔が力を抑えていることも知らずに・・・。

それに―――

 

ドライグ。あいつ、この神器(セイクリッド・ギア)のこと知らないみたいだぞ?

 

『ああ、どうやら馬鹿のようだな。一発で決めてやれ!』

 

レイナーレは翔の神器(セイクリッド・ギア)を見て、普通の龍の手(トゥワイス・クリティカル)と勘違いする。

それは大きな間違いだ。

ドライグは間違えられたことにご立腹のようだ。

 

「ほう・・・、堕ちた天使如きがが随分と言う」

 

「・・・神器(セイクリッド・ギア)を持っているからってあまり調子に乗らないほうがいいわよ」

 

レイナーレは翔の物言いに、怒りを示し、光の槍を創ると、それを翔に目がけて放った。

だが、それを左手で容易に掴み、そして砕く。

 

「ここまで弱めると壊されちゃうのね。人間にしてやるじゃない。それじゃあ、ストレス発散の相手になってもらおうかしら?」

 

どうやら翔のことを格下だと勝手に決め込んでいるようだ。

油断している相手ほど、戦いやすい相手はいない。

翔は一気に相手との距離を詰め、蹴りを入れるが、空中に逃げられてしまう。

だが、翔はそこで地面を蹴り、追撃をしようとする。

 

「ふん。空を跳んだらいい的よ!」

 

嘲笑と共にレイナーレは光の槍を創り、迎え撃つ。

だが―――

 

「そのくらいわかっているさ」

 

レイナーレは近づいてきた翔に光の槍で突くが、翔は宙にいるにもかかわらず、

その場で壁を蹴ったかのような動きで光の槍を避ける。

 

「ッ!? 何で空中で方向が変えられるのよ!?」

 

「教えると思うか?」

 

予想外の動きに体を硬直させていたレイナーレに翔は勢いを殺さずに、

そのまま踵落しを喰らわせる。

 

「きゃぁああああ!」

 

レイナーレはそのまま地面に叩き付けられる。

 

答えとしては空気中にある魔力を足場にすることにより、宙でも歩くことが出来る

この方が地上と同じ感覚で戦えるから俺にとっては都合がいい

まぁ、宙を蹴って恣意的に跳び蹴りの軌道を変えれるようになってからは、二段階ジャンプも出来るようになったしな

 

『・・・悪魔や天使、堕天使でも出来ない事だぞ? 相棒は本当に人間か?』

 

いや、空手の師匠から教わったんだ。人間死ぬ気でやれば出来るようになるさ・・・

 

遠い目をしながら答える翔に、そういうものか?とドライグ。

着地をし、追い打ちをかけようと翔はレイナーレの方に向かおうとするが―――

 

「きゃ、きゃぁぁあああああああああ!!」

 

後方から突然、アーシアの悲鳴が聞こえた。

視線を向けると、そこにはスーツをきた堕天使がアーシアを気絶したアーシアを抱えていた。

それを見た瞬間、翔は男堕天使へと近づこうとするが、上空から幾つもの光の槍が翔へと降り注がれ、動きとめてしまった。その間に男堕天使はアーシアを抱えたままレイナーレの傍へと飛んで行った。

 

「レイナーレ様、油断がすぎます。貴方は聖母の頬笑(トワイライト・ヒーリング)を持つ少女と共に教会に戻り、早く儀式を・・・」

 

「私は、私を馬鹿にしたこの人間を殺すのよ!」

 

「我慢してください。あの者の処分は我々で済ませとおきます」

 

儀式・・・? 神器(セイクリッド・ギア)を持つアーシアと・・・?

ッ!? まさかこいつらの目的は・・・ッ!?

 

翔が堕天使の目的に気づいたときに、またもや新たな堕天使が姿を現した。

 

「ドナシークの言うとおりです」

 

「レイナーレ様。ここは我らに・・・」

 

新たに現れた二人の堕天使もレイナーレを説得しながらも光の槍を創りだす。

 

「・・・分かったわ。お前はこの三人に殺されるといいわ」

 

「待っ―――」

 

翔が止めるよりも早く、レイナーレは自身の黒い翼でアーシアと自分を覆うと

一瞬、光と共に、数枚の黒い羽根だけを残して消えてしまった。

 

「・・・俺はまた護れなかったのか?」

 

呆然と呟く翔を残された三人の堕天使は、空から見下しながら話す。

 

「で、どうすんだい? この人間?」

 

「さて、人間よ。お前は我々の計画を邪魔したのだ。それ相応の―――ッ!?」

 

ドーナシークの言葉はそこまでだった。

圧倒的な威圧が翔から放たれ、彼から言葉を奪ったからだ。

 

「まったく情けない・・・」

 

右手で顔を隠しながら呟く。

 

『Boost!』

 

機会の掛け声と共に、翔から赤と黒が混じった魔力が噴き出す。

 

「一斉にかかるぞ!」

 

男の堕天使の声がきっかけに三人が一斉に翔に突っ込んでいく。

それに対して、翔は無造作に右手を薙ぎ払うと、赤黒い波動が放たれた。

 

「なっ・・・」「え・・・」「そん・・・」

 

それは三人の堕天使を飲み込むと、後には何も残らず、数枚の黒羽根が舞っているだけだ。

 

「アーシアが居るのは前に行った教会か・・・。一旦リアスに報告しないとな」

 

今した事とこれからする事をリアスに伝えたら確実に怒られると思い、翔は苦笑する。

だが、その瞳には覚悟が決まっていた。

翔は証拠になるだろうと思い、地面に落ちている堕天使の羽を何枚か拾い、学校へと向かう。

 

 

絶対に助ける・・・

 


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