ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~ 作:satokun
もし翔が違う世界に渡ったのなら・・・
これはもしかしたらの可能性の話・・・
幾多ある可能性の話の一つの物語。
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降り注ぐ雪によって作り出される真っ白な世界・・・。
だが、そこにある1人の少年。
身に余る黒いロングコートのような着物を着た少年は、この真っ白な世界にただ独り・・・。
その小さな口からは白い息が吐かれる。
「俺は結局何がしたかったんだろうな・・・。
全てを救いたい、護りたいと言っておきながら、結局、何かを斬り捨てることでしか、何も救えなかった・・・何も護れなかった・・・」
少年の周りには赤く染まった雪・・・・・・流れ出すは少年の体から。
目は虚ろになり、焦点が合っていない。もはやこの少年に残された時間は僅か・・・。
だと言うのに、少年はただそれを受け入れている。
「最後まで歩き続けて来た結果が、この真っ白な世界か・・・」
瞼が閉じ、体から体温が無くなり始め、襲い掛かる“死”を感じながらも天に伸ばし何かを掴もうとする仕草をする。
「それでも、俺は理想を・・・正義の味方になることを・・・・・・諦めはしない」
天に伸ばしたその手が力なく落ち始め、完全に落ちる寸前にその手を掴む者がいた。
薄れゆく意識の中、少年は手から伝わる温もりに心地良さを覚え、思わず微笑みを浮かべる。
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沈んでいた意識が浮上する。
「ん、随分と懐かしい夢を見たな」
敷かれた布団から起きて、軽くストレッチを行い硬まった体をほぐす。
布団を綺麗にたたみ、タンスから動きやすい服を取り出し着替える。
そして、なるべく音をたてないように玄関を出ていく。
外はまだ薄暗く太陽も昇り始めて間もないことが窺える。
そんな時間からランニングを始める。
あれから十年ほどの歳月が経った・・・
俺がこうして普通の生活をおくることになるとはな・・・
そんなことを考えながら、朝日が輝きだした街で走り出す。
こうして御剣翔、改め衛宮翔の日常は始まりを迎える。
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一時間ほど家に帰り、シャワーで汗を流し終えてから、朝御飯を作るためにキッチンに行くと、そこには先客がいた。
「おはよう、セラ。相変わらず早いな」
「おはようございます、翔。これくらいじゃないと貴方が全て終えてしまうじゃないですか」
翔の挨拶に答えたのは、この家のメイドの1人であるセラ。
メイドなのだが、メイド服は着ておらず、何時も普段着にエプロンと言った家政婦のようなスタイルで過ごしている。
「いいじゃないか。料理は趣味みたいなもんだし、まぁセラと料理するのは楽しいからな。俺は一緒にできて嬉しいけどさ」
「ッ!?////」
翔の言葉を受け、セラは思わず顔を真っ赤にさせてしまう。
それに気づいた翔は、疑問符を頭の上に浮かべるが、何か納得したような表情をした後、心配そうな表情を浮かべてから自身の額をセラの額に当てる。
「なっ!?////」
ますます顔を紅く染めるセラを無視して、翔は額を話して不思議そうな表情を浮かべながら言う。
「あれ、可笑しいな。熱でもあると思ったんだが、違うみたいだな。疲れてるんじゃないか?」
「い、いえ! そんなことはありません! さっさあ! 朝御飯を作りましょう!!」
「いや、体調が悪いんなら俺1人で―――」
「作りましょう!!」
「お、おう」
鬼気迫るような表情で言うセラに、翔はやや驚きながらも頷く。
翔は手を洗い、エプロンを腰につけ朝御飯の準備を始める。
その横でセラも同じく、手を洗い調理を開始する。
だが、内心では―――
「(まったく朝からなんですか!/// 不意打ちとは卑怯です! きゅ、急にあんなこと言われたら顔だって赤くなりますよ!!/// ふぅ・・・・・・セラ、落ち着くのよ。翔は別に深い意味で言ったのではありません。そもそも鈍い彼が意識して言うわけがないです。あれは普通に家族として、言っていたわけで・・・・・・)」
非常に大変であった。
そして、その後は何事もなく無事に朝御飯を作り終えた2人は、何気ない会話をしながらテーブルに料理を並べていく。
すると―――
「おはよー、翔にセラ」
セラによく似たショートカットの女性が眠そうな表情を浮かべながら現れた。
「ああ、おはよう、リズ」
「リズ! 貴方はメイドとしての本分をお忘れですか! まただらしない恰好で・・・」
「セラ、朝からうるさい・・・静かにしないと駄目だよ、近所迷惑」
セラと同じくこの家のメイドの1人なのだが、基本家でだらだらと過ごしている。
セラがリズに説教をしていると階段から降りる気配を感じた翔は、セラを諌めて朝食が始められるようにする。
「おふぁよ・・・」
ごしごしと眠い目を擦って挨拶するのは、翔の義理の妹であるイリヤ。
「おはようだ、イリヤ。じゃあ、全員揃ったことだし、朝飯にするか」
何気ない日常・・・それが幸福に感じるのは決して気のせいではない。
だが―――
「はじめまして! 私は愛と正義のマジカルステッキ、マジカルルビーちゃんです!」
それは簡単に崩れてしまう。
「おいおい、どうして・・・英霊がいるんだ?」
街に眠っている7枚のカードにより召喚される英霊・・・。
そして―――
「あれはイリヤだな・・・・・・どうして魔法少女みたいな恰好をしているんだ?」
ふざけたステッキのせいで魔法少女となり、そのカードを回収する手伝いをすることとなってしまった義理の妹。
「アイリさんと爺さんには止められているが、仕方がないか。―――往くぞ」
黒いロングコートのような着物を身に纏い、漆黒に染まった刀を手に持ち、戦場に舞い降りる。
「お、お兄ちゃん!」
「悪いな、妹なんだ。手出し無用に頼む」
英霊と対等に渡り合う1人の男。
「嘘でしょ・・・。英霊相手に生身で挑んで対等に渡り合ってる!?」
「翔にこのような力があったとは!?」
「・・・・・・あの人は、お兄ちゃん?」
本来は存在しないものの介入。
それがどうなっていくかは誰も知らない・・・。
けれども、彼が闘うのは何時だって、誰かのため。
「もういいんだ・・・アルトリア。君はもう聖杯を求める必要なんてないんだ」
「翔・・・貴方を愛している」
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ~正義の味方を目指す者~ 開幕
特に閑話が浮かばなかったので、書いて見ました!
まぁ暇つぶし程度に書いたものなので、かなり手抜きになっています。
設定とかもかなり適当・・・。
とりあえず、翔はほとんどは相変わらずのハーレムを築いていくと思いますww
すでにセラはフラグが建っていますしww