たのしい宮永一家   作:コップの縁

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世界一嫌いな男の話

 キョータローが個人第三位という成績で今年度のインカレを終えると、去年まで本戦出場すらままならなかったダークホースの登場は大学麻雀界を大いに沸かせた。特に人々がこぞって口にするのはやはりあの準決勝での倍満ツモ。一部の人は「ただの偶然に決まっている」と言うけれど、私にはとてもそうは思えない。本戦が始まって以降彼が見せた打ち筋は非常に大胆で――当たり牌のビタ止めとか単騎待ちリーチとか、その一部は注目を集めるに十分なものだったにもかかわらず、何故か見るものをハラハラさせない安定感があった。今回の大会で、彼は何かを掴んだようだった。

 その一週間後、私は未だ夏休みの明けない大学へと足を運んでいた。私物を引き上げたいというモモの手伝いをするためだ。寂れた講義棟の入り口では撮影機材を担いだ数人の映画研部員たち――彼らも私たちと同じくこんな僻地に居を構える哀れなサークルの一つである――とすれ違った。中にはよく知った顔もいるようだ。

 

「あっ、淡!おひさ〜」

「サッチーじゃん。おはよー」

「この前の大会テレビで見てたよ!マジヤバかった!!」

「へへ〜ん、それほどでも」

「それに須賀くんも………って、あれ?須賀くんは一緒じゃないんだ」

「たぶん部室じゃないかな。っていうか、別に常に一緒にいるわけじゃないし」

「そう?淡と須賀くんってセットのイメージなんだけど」

 

 そこにモモが入っていないのは、ひょっとして見えていないのだろうか。

 実を言うと私は少々遅刻気味なのだ。別に寝坊ってわけでもなければ、なかなか髪型が決まらずに手間取っていたわけでもない。モモのメッセージに「行く」と返したのは確かに自分だというのに、いざとなると何故か部室に行きたくなくて、自然と歩みが重くなってしまった。

 

「サッチーはこれから撮影?」

「うん、今新しい映画撮ってんだ。来月の学祭で流す予定から観においでよ」

「また観るに堪えないモノじゃなければね」

「言ったなー!!」

 

 外の路地から彼女を呼ぶ声がする。「はーい」と返すと、サッチーはレフ板とクーラーボックスを抱えて駆け出していった。もう二十歳だというのに、彼女はいつまでも中学生の少女のような顔をしていた。

 彼女は今まで演劇や映像系の部活にいたわけでも将来そういった道を志しているわけでもない。ただ今を楽しむために映画研に入ったのだと、少なくとも彼女自身はそう言っていた。彼女の青春があんなにも眩しく感じられるのはなぜだろうか。一団が去っていくのを、その姿が向こうの建物の角に隠れるまで眺めていた。

 しかしどれだけ牛歩で進もうと、高々数十メートルの距離など瞬く間に辿り着いてしまう。思った通りモモとキョータローは既に部室に揃っていて、雀卓に座ったまま雑談に花を咲かせていた。

 

「大会、終わっちゃったっすね」

「そうだなぁ」

「はぁ……いい加減インターンとか考えなきゃ」

「へー、意外だな。俺はてっきり加治木先輩のところに永久就職するもんだとばかり」

「それとこれとは話が別っすよ。今の時代何があるか分からないし、働いた経験があればもしもの時に絶対役に立つっすから」

「そんなもんかい」

「だからこれからは忙しくなるっすよ。ここに来る機会だって暫くは」

「そう寂しいこと言うなって。俺と淡はもう少し居座ることになりそうだし、たまには息抜きしに来いよ」

「京さんは本気でプロ雀士を目指すつもりっすか」

「まぁな」

「男子の部で個人第三位………結構世間でも話題になったし、確かに実績としては悪くない。でもだからって、これから先もずっと上手くいく保証なんて無いっすよ?」

「そんな保証は誰にだって無いさ。俺達に出来るのは、やれるところまでやることだけだ」

 

 さて。彼はそう立ち上がると、ロッカーから古めかしい箒を取り出した。それを見て私やモモも、各々のことを始めた。もっとも元々手伝いが必要なほどの荷物があるわけもないし、きっとモモだって単純に集まる口実が欲しかっただけだろう。私と彼はしばらく埃を掃いたり窓を拭いたり、取り敢えず目につく仕事をしていた。

 ふと思い至って私は雀卓の上面を跳ね上げた。最近コイツの調子が良くないので、そろそろ整備をしなければと話していたのを思い出したのだ。普段これは彼の仕事だったけれど、今日は何故かしたくなって…………ダメだ。全然わからない。

 

 やっとの思いで修理した雀卓を元に戻し電源を入れ直す。中央の赤いボタンを押すのと同時に十七幢の牌山が問題なくせり上がるのを見て、形容し難い達成感を覚えた。その感覚に反して気づけば結構な時間が経っていたらしく、モモと彼はすることの大概を終えていた。私は今日コイツを直しに来たといっても過言ではないだろう。

 果たして私は今までこの卓で何半荘を打っただろうか。1000半荘?2000半荘?部の記録を見れば細かい数字まで判るだろうけど、とにかく数え切れないくらい打った。そしてその大半は彼らが相手だった。

 キョータロー、モモ、そして私。三人で作り上げた青春は一つの終焉を迎えようとしている。確かに私とキョータローはまだ残るし、モモもまた来るかもしれないけど、そんなことは関係ない。それはモモが就活準備のために部活を引退するためだけではなく、むしろ私にとっては『もう一つの理由』の方が余程重要だった。

 

「……さてと。こんなもんっすかね」

「あーあ、せっかくの一張羅なのに汚れちまったぜ」

「どうしてそんな……あぁ、なるほど」

「お察しの通り。実は付き合い始めてからアイツと出掛けるの初めてでさ」

「リンシャンさんも物好きっすねぇ。こんなチャラ男のどこが良いんだか」

「俺ってそんなにチャラいか?」

「金髪だし、実際軽薄な性格してるじゃないっすか」

「失礼な奴だなぁ」

「半分冗談っすよ」

「半分は冗談じゃねーのかよ………」

 

 モモは利いた風な表情を浮かべた。彼の服装が到底掃除しにくるようなものではないことくらい見ればわかる。

 

「それで、どこに行くつもりっすか?」

「具体的には決めてないんだ。都心の方に行くつもりではあるんだけど」

「はぁ!?よく大事な初デートにそんな準備で臨めるっすね」

「ま、マズかったか!?」

「確かに京さんは大学生かもしれないけど、相手はれっきとした社会人っすよ?夕食だってその辺のファミレスってわけにもいかないに決まってるじゃないっすか」

「しかし俺と咲の仲だしなぁ………あんまり堅苦しいのも良くないだろ。それに、初めてなんだからそんなこと言われても困るぜ」

「情けないっすねぇ」

「なら教えてくれよ。モモは普段どうしてるんだ?」

「えーっと………あー、ウチはいつも先輩がセットしてくれるから………」

「よくもまあ偉そうに言えたもんだな、おい」

 

「――っと、もうこんな時間か」

「待ち合わせは?」

「四時に新宿駅で」

「なら早く行ってくるっすよ!遅刻したら市中引き回しの上打首獄門っす」

「なんでお前が………まぁいいけど。じゃ、またな」

 

 小洒落たジャケットの裾を払うと、会釈の代わりと言いたげに右手を軽く上げて彼は部室を後にした。宙に舞う埃が窓から差し込む西日によって映し出され、その隙間を縫ってヒグラシの鳴き声が聞こえてくる。額に浮かんだ汗をハンカチで拭い取ったモモは辟易した様子で言った。

 

「まったく、浮かれちゃって………男ってホントに単純っす」

「………そうだね」

「淡さんらしくないっすね。普段ならもっとおしゃべりなのに」

「黙っちゃ悪い?」

「やっぱりあの人のことっすか」

「別に。キョータローのことそんな目で見たことないし。友達としては一緒にいるのは楽しいけど、付き合うなんて死んでもイヤ。こっちから願い下げ」

「そこまでは言ってないっすよ」

 

 モモは何故か時々、私が心の内に留めておこうと決めたことを開けっ広げに言う。止めてほしい。モモのことを嫌いになってしまいそうだ。数秒の沈黙の間に、視界がその端に彼の姿を捉えた。目を引く長身、美しい金髪。私と同じ金髪。窓の枠はそれ以上彼を認めることを許してはくれない。

 

「……あーもう、しょうがないっすね!」

「な、なに?」

「失恋くらいでそんなにショゲてどうするんすか。男や女の十人や百人くらい、淡さんならすぐにいい人見つかるに決まってるっすよ」

「だからそんなんじゃ――」

「こういう時は気分転換が一番!駅前のゲーセンで豪遊して、その後いつもの居酒屋にでも行けばサッパリ忘れられるっす」

「ちょ、ちょっと待ってってばー!」

 

 普段のモモはこんなに強引な性格だっただろうか、ともかくズンズン進む彼女に腕を引かれるまま私は歩くほかなかった。通りに出て、彼が歩いていった方とは別の方へ歩いた。駅は反対側にあるということはきっと彼女だって分かっているだろうに。

 いつまで夏で、いつから秋なんだろう。少なくともこの照りつける日差しは夏のもので、日焼け止めクリームだけでは防げない熱気が肌をジリジリと焼いている。

 

「淡さん、音ゲーとか好きっすか?」

「うーん……あんまりやったことないかな」

「やってみたら絶対ハマるっすよ!最近のオススメは――」

 

 彼がいなくても、まだ夏は楽しめるだろうか。

 


 

「生中追加で!それからたこわさ一つ」

「モモ、そんなに飲んで大丈夫?」

「ガハハハ!相変わらず桃子ちゃんはうわばみだなぁ!」

「無駄口叩いてないで早く持ってくるっすよ」

「冷てぇや」

「あ、ピーチソーダもお願いしまーす」

「はいよ」

 

 旨くもなければ綺麗でもなく、安いくらいが取り柄であるいつもの居酒屋のカウンター席。駅から離れ、やけに路地からも入り組んだところに店を構えているので客は少ない。こういう穴場感を私は結構気に入っているのだ。テーブル席に座っていた数人連れの客も少し前に出ていき、今では私たちの話し声と喧しいラジオの音が店内に流れていた。

 

「生中とピーチソーダ、それとたこわさお待ち」

「どうもっす」

「そういや一人足りなくねえか?須賀くんはどうしたのよ」

「キョータローなら………」

 

『――最後に麻雀、M1リーグの対局結果をお伝えします。午前中に行われた第二十八節A試合、立川・富山・松山・恵比寿戦を制したのは立川ブルーセーラーズです。前半には宮永が大物手を二度和了りきって素点+30.7のトップ。後半でフロティーラの戒能が盛り返しますが、神原がリードを守りきりました。B試合はつくばが延岡・美作・仙台を下し――』

 

「おっ、やるなぁ宮永」

「おっちゃん、セーラーズファンなの?」

「地元だしな」

 

 スマホで検索すると、試合の内容は既に記事になっている。立川の宮永(咲)選手、南二局にメンチンの倍満ツモ。続く親番では二着目に大明槓からの嶺上開花でダメ押し18000を直撃……相変わらずの暴れっぷりだ。キャスターが読み上げる全国金太郎飴的なニュースは終わり、また下品な自称ミュージシャンが人生相談のハガキを読み上げながら持論を語り始めた。

 

「京さんなら今頃、その宮永プロとデート中っすよ」

「宮永だって?そりゃなんでまた」

「中学からの同級生で、この度無事お付き合いすることになったらしいっす」

「ははあ……しかし『あの』須賀くんがなァ」

 

 おっちゃんの目線がこちらへ向く。

 

「なによ」

「俺はてっきり淡ちゃんとデキてるもんだとばかり」

「そ、そんなわけないじゃん!」

「付き合ってるってのも嘘なんじゃねえの?実は淡ちゃんの気ィ引こうとしてハッタリ掛けてるとか」

「それにしては悪手な気もするっすけど……」

「ま、しばらく待ってみるのも良いんじゃないか。知らんけど」

「……今更そんなこと言ったって知らないっての」ボソッ

 

 それ以降私があまり喋らなくなったのを見ると、モモはおっちゃん相手に雑談を始めた。モモと違ってアルコールに強いわけでもない。どういう内容だったかはいまいち記憶にないが、キョータローと関係ない話だったような気がする。

 

 

「じゃあ私はここで」

「またねー」

 

 居酒屋からすぐ近くのバス停でモモと別れる。彼女と加治木先輩の住まいはそう遠くないので路線バス一本で帰ることが出来るが、都心方面の私はそうもいかない。まず駅に向かい、数回の乗り換えを挟まなければ我が家に辿り着けないのだ。あと二時間もしないうちに日付が変わるが、街は未だに人で溢れかえっていた。

 

 歩きながら一日の出来事を振り返る。久々に入ったゲームセンターではモモに振りまわれ続けた。音楽ゲームの才能は全然なかったがUFOキャッチャーの才能はあったようで、お陰で私の右手にはぬいぐるみで一杯の紙袋がぶら下がっている。居酒屋は相変わらずだったな。お酒は美味しくないし、悪酔いして頭がガンガン痛くなる。店主のおっちゃんはやけに馴れ馴れしい上に下品だけど、案外ああいうのは嫌いじゃない。ただ、キョータローの話を振ってきたのはムカついた。ハッタリだなんて変なこと言わなくたっていいじゃない。そもそもキョータローはそんなことするような性格じゃない。不器用だし、そんな回りくどいことはしない気がする。でも、もしかしたらってこともあるのだろうか。

 

「……私、またキョータローのこと考えてる」

 

 結局、本当に私は彼のことが好きだったんだろうか。好きな人が他の人と付き合うなんて話を聞いたら、普通は「悲しい」とか「つらい」とかそういう感想を持つものだろう。でも私はそうじゃない。別に悲しいとは思わないし、涙の一滴も流れそうな様子はないのだ。今思えば、数ヶ月前の『アレ』も所詮は一時の気の迷いだったのだろう。実際彼に抱いているのは友情であって、誰かを好きになったことがないからそれを恋情だと勘違いしてしまっただけだ。

 

 だからキョータローがサキと恋人になろうがどうしようが、私の関知することではない。私とキョータローは友達で、それが変わるわけではないのだから。

 ………たぶん。きっと。

 

「あーもう!よくわかんなくなってきた!…………キョータローに会ってみたら、ちょっとは整理つくのかな」

 

だから私の足は駅でなく、彼の住むアパートへと向いていたのだろう。

 

 

 二階にあるキョータローの部屋の玄関は――当然その隣にあるサキの部屋と共に、すぐ外の路上から十分はっきり見える。携帯電話の時計は時刻が間もなく夜の十時半を回ることを示していた。キョータローが帰ってくるとしたらそろそろだろうか。でも仮に会えたとして今更何を話せばいいんだろう?とにかくまずはインターホンを鳴らしてみて、それから考えよう。

 

「………人?」

 

 その時だった。鉄柵で囲まれた螺旋階段を昇っていた二つのシルエットが廊下に出ると、キョータローの部屋の前で止まった。逆光のせいでそれが誰かまでは判らない。目を凝らしたって双眼鏡を使ったって、あんなのわかりっこない。

 

 

『今日は………………』

『………………今度………行く………………いてね!』

『分か………………』

『……………でも、楽し………………す』

『………俺も………………………』

『あのさ……………………………………』

『……………………そんな………………………?』

『……だって……寂し………………………』

『………………てとなり………………』

『………………ね………いで………?』

『仕方………………文句言う………』

『………だから、………………………』

『……………………………』

『………………………』

『……………』

 

 

 『影が重なる』。そんな表現知ったのはいつだったろうか、私はそれを比喩の一種だと思っていた。気づけば、両脚は否応なしに駅へと駆けていた。

 

 

「あれ……?」

「どうしたの?」

「いや、今そこに誰かが居たような気がしてさ」

「………まさか。見間違いだよ」

「そうかな」

 


 

「……ただいま」

「あら、おかえりなさい。晩ご飯は用意してないけど平気?」

「モモと飲んできたから大丈夫」

「また東横さんと?一度ご両親に挨拶したほうがいいのかしら」

「子供じゃないんだからそんなことしなくていいってば」

 

 私は彼女を無視してキッチンへとズカズカと歩いた。ティーバッグが入った紙の袋を開けて電気ポットに水を乱暴に注いだ。何かを飲んで落ち着きたい。そうでもなければこの苛立ち、動揺、あるいは痒みのような何かは収まりそうにもなかった。

 

「そういえば淡、一つ話があるの」

「なに」

「あなた、ずっと一人暮らししたいって言ってたわよね」

「…………」

「お父さんと話したんだけどね。あなたももう二十歳だし、そういう経験があってもいいのかな……って思って」

「――ママのバカッ!!!」

「…………………淡?」

 

 もうお茶なんてどうでもいい。また脚が勝手に駆け出して、勢い良く自室のドアを閉める。天井の照明は最近LEDに替えたばかりだが部屋はちっとも明るくはならない。スイッチを入れていないのだから当然だ。右手の紙袋を乱暴に放り投げ、肩に掛けたポーチも同じように――しようとしたが、少し考え直して丁寧に置く。上着とストッキングを床に脱ぎ捨て、ベッドに寝転がって布団を頭まで被った。

 嫌なことがあった後は昔からこうするのが一番だった。何もせずともいつの間にか眠りに落ちていて、朝になればどんな悩みも大した事には思えなくなっている。化粧がそのままだったけど、そんなのは些末事だ。

 もしあの時、もしあの場面で、もしああしていたら未来は違っていた?私の求めていた『好き』が手に入ったと思った。でもそれは穢れていた。こんなはずじゃなかった。私はどうするべきだったのだろう。モモの問いかけにどう答えるべきだったのだろう。全てを認めて、恋のために何でもすると誓うべきだったのか。そうすれば今キョータローの隣にいるのはサキじゃなくてこの大星淡だったのか。私が彼とキスしていたのか。彼の腕に抱かれて眠ることだってできていたのか。私って惨めだ。

 とにかく、全て忘れてしまいたかった。それなのに。

 

 

 

 

私の名前はどこ?「明日からはお前がキャプテンだ。頼んだぞ」頑張るよ「――私、あの子苦手なんだよね」やめて「頑張ってね、淡ちゃん」あなたは私に何をくれるの?「わかるわかる!いっつも偉そうにしちゃってさ」してないよ。これが私「大星淡さんですか?実は、現代麻雀出版の者でして」そう、私が大星淡「あんた何様?って感じ」私ってナニ?「大星くん。今度の試合も期待しているよ」私じゃないくせに「ねえねえ大星さん、一緒にお弁当食べない?」何のために「私たちだって三年間頑張ってきたんだよ!?」なんで無駄なことを「仕方ねーじゃん。ウチらなんかよりずっと強いんだから」あんたが弱いからでもあるでしょ「遊園地?いいよいいよ、今度行こっか」嘘「あんなやつ……!」惨めなのはアンタ。私じゃない 優勝はサキ。あなたの好きな「個人戦準優勝、大星淡殿。あなたは右の通り優秀な成績を――」ホントに優秀だって思ってる?「外見は小奇麗だし、広告塔には丁度良いんだろ」騙された「嫌な大人っすね」嫌。「でも██だからな」私は仕事じゃない」「大星さん凄い!」ホントに?「大星淡?ないない、あんなんルックスだけじゃん」私を見てよ「さすが大星だな」ついたり消えたり、フラフラ「後で校長室まで行くように」なんで私だけ「あいつマジでムカつく」知りもしないくせに「、少し時間いいかな?」触らないで「████████」

 

 

「嫌いだ。お前のこと」

 

 

 

 

 

「…………なんでよ………………なんで、いまさら………」

 

「すきでも……………なんでもないのに…………どうでもいいのに……………………」

 

「…………………………わたしのこと………まもってよ………………」

 

「……きょう、たろう………………」

 

 

 

 

 朝が来た。いつも通りに陽が昇り、いつも通りに降りていくと、階下では母親がいつも通り朝食を用意していた。彼女は何も言わなかった。

 得体の知れないナニかは、未だ私の心にのしかかったまま離れない。

 




一部入れるべきか迷った部分がありましたが、丁度いい具合になったかと思います。

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