Angel Beats! AFTER BAD END STORY   作:純鶏

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EP00 ― prologue part 2

 保健室前の廊下に出てから10分ほどが経った。

 廊下にある壁時計を見ると、今はちょうど12時になりそうな時間帯だ。

 

 すると、保健室の扉が開いて、そこから死んだ世界戦線の制服姿へと着替えたゆりが出て来た。

 しかし、ゆりは何故か少し恥じらったような表情をしている。

 

 

「……着替え、終わったわよ」

「そうか。じゃあ、今から体育館に行くか」

「え、体育館? なんでよ?」

「それは着いてからのお楽しみだ。な、かなで」

「ええ。きっとゆり驚くわ」

「…………?」

「とりあえず行こうぜ、ゆりっぺ」

 

 

 先ほどまでゆりには、ゆり自身が深い眠りに入っていたこと、死後の世界の現状についてのことを話した。

 ゆりもまた、3日前の第二コンピュータ室で何が起こったのかをオレ達に話してくれた。

 どうやら、この世界に影を発生しないように部屋の中にあったパソコン全てを破壊し、破壊し終えたらいつの間にか気を失っていたらしい。結局のところ、何故ゆりが今日まで深い眠りに入ってしまったのかは謎のままだった。

 

 その後ゆりには、用意してあった死んだ世界戦線の制服に着替えてもらった。

 本来ならゆりが目覚めたということで、ゆりが成仏出来るようにしてあげることが最優先事項ではあった。オレ達4人で、ゆり自身が抱えていた心の葛藤を取り除くことが出来るよう、すぐに手伝っていく予定だった。

 

 ところが、目を覚ましたゆりと話していくうちに、かなではゆりの異変に気付いた。なので、ゆり本人に直接聞いてみたところ、生前の時の未練や心残りはもうなくなったのだと答えた。

 つまりは、ゆりはいつでも成仏することができる状態になったわけだ。それなら、ゆりに対してオレ達がしてあげることはなくなったということになる。

 

 だから、ゆりにも卒業式に参加してもらおうと思い、みんなでその卒業式の会場である学校の体育館に向かうことにした。

 

 

 

   ×    ×    ×    ×

 

 

 

「ふん、ふ、ふふ~ん。ふん、ふ、ふふ~ん」

 

 

 医療棟を出て、みんなで体育館へと歩いている中、かなではオレ達の先頭を歩いて上機嫌に鼻歌を歌っていた。

 きっと、ゆりが目覚めたことがとても嬉しいのだろう。こんな上機嫌にしているかなでを見るのは珍しい。

 

 そういや、さっき体育館にいた時も鼻歌を歌ってたな。

 でも、かなでの鼻歌はどこかで聞いたことのあるような気がする。どこで聞いたのだろうか。

 ……まぁいいか。そこらへんは、あとでかなでに聞こう。

 

 

「そういや、他のみんなは?」

 

 

 体育館に向かって歩いている途中、ゆりはオレの方を見て質問を投げかけてきた。死んだ世界戦線のリーダーであるゆりは、きっと他の死んだ世界戦線の仲間たちのことが気になっているんだろう。

 ましてや、オレ達しかいないというこの現状にゆりはまだ現実味が湧かないでいるに違いない。

 

 

「全員行ったよ。みんな幸せそうにここを旅立って行ってくれた」

「そっか。良かった……」

 

 

 オレの言葉を聞いて、ゆりはとても安心したようにふんわりと微笑んだ。ただその表情は、少し寂しげにも見えた。

 

 

「それも、みんなが手伝ってくれたおかげだ」

 

 

 自分のそばを歩いている日向と直井の2人を見る。

 きっとオレとかなでだけでは無理だったに違いない。死んだ世界戦線のみんなが満足してこの世界から旅立つことが出来たのも、この2人がいなかったら出来なかったはずだ。

 

 

「まぁ、苦労はしたけどな~」

「ふっ、神の成せる技だ」

 

 

 オレの言葉に応えるように、2人は笑みを浮かべた表情でそう言った。

 たしかに日向の言葉通り、みんなを成仏させることは一筋縄ではいかなかった。むしろ、もっと手こずってもおかしくはなかったと思う。

 でも、日向と直井の頑張りのおかげでここまでやり遂げることが出来た。こればかりは本当に2人に感謝している。

 

 

「でも、なんだかんだいってみんなけっこう楽しんでたんだよな、ここの暮らし。この3日間を過ごしてそれがわかったぜ」

 

 

 ゆりの隣を歩いていた日向は、寂しげな表情を浮かべながら空を見つめてそう言った。この3日間の仲間との出来事を思い出して、仲間との別れを惜しんでいるようだ。

 日向がそうなるのも仕方ない。たしか日向は、死んだ世界戦線を作り上げる前からこの世界にいたメンバーの一人だったはず。メンバーのみんなとは長く付き合って来たのだから、多少は別れを惜しむ気持ちは出て来てしまうのだろう。

 

 それに日向は、メンバーの誰かが成仏する時はいつも笑顔で別れの言葉を告げて見送っていた。その度に、この世界から旅立った後はいつも心寂しそうな表情を浮かべていた。

 そうやって、日向はゆりの分まで数々の仲間達の最期を見届けてきたのだ。

 

 そんな日向も、大山との別れでは涙せずにはいられなかった。

 それは、日向にとっても大山にとっても、2人はこの世界で一番の親友だったからに違いない。日向は笑おうとすればするほど涙が止まらなくなっていて、そんな日向の姿に大山も涙していたのは今でも鮮明に覚えている。

 

 そうやって仲間達全員の最期を見届け、別れを果たした日向は、この3日間で見届けて来た仲間のことを次々とゆりに話していた。

 松下、遊佐、高松、竹山、野田、TK、藤巻、椎名、大山。日向は、誰一人として忘れずに仲間達の最期の言葉を日向はゆりに伝えていた。

 

 

「本当に、みんながこの世界を幸せに去っていけたのは、リーダーであるゆりっぺのおかげだと思うぜ!」

 

 

 日向の言葉に、ゆりは嬉しそうに笑顔で応える。

 そんなゆりの嬉しそうな表情が、自分にはなんとなく切なげというか、少し涙をこらえているように見えた。

 

 

「……そっか。そうね、みんながいってしまったのは寂しいわね。けれど、みんなが納得して成仏出来たのなら本当に良かった。リーダーとしてこれほど嬉しいことはないわ。ありがとうね、日向くん。みんなの想いを、ちゃんと伝えてくれて」

「へっ、べつに特別なことは何もしてねぇよ。ただ、俺は当たり前ことをしただけさ」

 

 

 ゆりは毅然として日向にそう言った。決して涙を流すことなく、その堂々とした姿は紛れもなく死んだ世界戦線のリーダーのゆりであった。

 そんなゆりの言葉に日向はちょっと照れくさそうにしているが、やはりとても嬉しそうだ。

 

 

「ふ~ん、ふふふ~ん。ふ~ん、ふふふ~ん」

 

 

 かなでは相変わらず上機嫌のまま、ステップを踏んで鼻歌を歌っている。

 かなでがここまでノリノリでステップを踏んでいるのも初めてだな。

 

 

「その歌なんだっけ? さっき作業してる時も口ずさんでいたよな」

「…………なんだっけ?」

「それ、あれよ。岩沢さんが最後に歌った歌。『My Song』」

「ああ、あの曲か」

 

 

 そういや、どこかで聞いた覚えがあるなと思ったが、岩沢が戦線メンバーの幹部達に聞かせてくれた曲だ。たしか岩沢はこれを歌って成仏したんだった。

 実際、その場にいなかったら詳しくは知らないが、岩沢が歌っている声が学校敷地内のスピーカーで流れたのは覚えている。

 

 

「全校放送で流れたやつだな。まったく……」

「良い曲よね」

「うん。そうね」

 

 

 ゆりとかなでは、仲の良い友達のように微笑んでそう言った。

 たしかに、この曲は良い曲だなと思う。なんというか、心に訴えかけてくるものがある。

 きっと、岩沢本人の想いがたくさん込められた歌なんだろうな。

 

 

「そういや、かなで。朝にピアノで弾いてた曲はなんだ?」

「えっ!?」

 

 

 かなでは急に足を止めて、とても驚いた様子で振り向いた。それにつられてオレ達も立ち止まった。

 かなでにしては珍しく、驚きを隠せない顔をしてオレを見つめている。

 

 

「ん? どうしたんだ?」

「結弦、なんでそれを……!?」

「いや、朝にピアノの音が聞こえたからさ。多分、弾いてたのはかなでなのかなと思ったんだが」

「ええ、そうだけど……結弦はその時どこにいたの?」

「どこって……体育館に向かってる時だから、学校裏の通路を歩いてた時かな」

「……そう。それならいいけど」

 

 

 かなでの問いに答えると、かなでは少し安堵したように驚いた顔が緩んでいく。

 

 本当にどうしたんだろうか。

 最近まで感情をあまり顔に出さなかったあのかなでが、今回は初めて動揺している表情を見せるなんて。

 ここ最近、かなでが感情豊かになっては来たが、今の反応の仕方には少し違和感を覚える。

 

 

「どうしたんだよかなで。何かマズかったか?」

「いえ、そうではないのだけど…………」

 

 

 かなでは何か言い淀んでいる。

 オレがピアノを聞いたくらいで、何故そんな反応をするのだろうか。いまいち理由が思いつかない。

 

 

「きっとあれだろ? 俺達に内緒で準備してたやつだな。かなでちゃん、俺達にサプライズで曲を披露しようとしてたんだろ?」

「……え、ええ。そうね、そんなところ」

「ほら、やっぱりな」

「そうだったのか」

 

 

 つまり、かなでは卒業式でオレ達を驚かすために、ピアノで曲を披露しようとしていたわけか。

 それなら、ピアノの練習しているところをオレ聞かれたら動揺もするか。

 

 

「……でも、やめとくわ」

「え、なんでだよ?」

「だって、それだとサプライズにならないから。それに……やっぱり弾けそうにないもの」

「そうか……それは残念だな」

 

 

 聞いた感じでは上手く弾けていたとは思うんだけどな。

 でも、かなで自身はそうは思ってないみたいだ。

 

 

「でもかなで。下手でも弾いてくれたっていいんだぜ?」

「いいのよ。それよりも、私が考えたやつの方が大切だから」

「ん? ああ、あれか。そうだな、あれもかなでが作ったんだったな」

「おまえら、いったい何の話してんだ?」

「そうよ。私にもさっきから、あなた達が何の話をしているのかまったく分からないのだけれど」

 

 

 ゆりと日向はそう言って、困ったようにオレ達を見ていた。

 日向はまだしも、ゆりには何の話もしていないから、会話の内容が分からないのも仕方ない。

 

 

「そうね、とりあえず行きましょう」

「そうだな、まずは体育館に行ってからにしないとな」

 

 

 ここで会話するより、今はまず体育館に行こう。

 とりあえずは、ゆりに何をしようとしているのか見せてからだ。

 

 オレ達は、止まっていた足を動かして体育館へと向かった。

 

 

 

   ×    ×    ×    ×

 

 

 

 体育館に着いて中に入ると、ゆりは目を丸くして周りを眺めていた。

 

 

「へぇ~。やりたいことって、卒業式だったのね」

 

 

 ゆりは体育館に飾られている卒業式の垂れ幕を見てそう言った。

 他にもパイプイスが並べてあったり、花が置かれたりしてあるのを見てゆりは驚いている。

 

 

「ああ、かなでの希望でな。かなで、やったことないんだってさ」

 

 

 ゆりには、先ほど保健室にいた時には体育館に行こうとしか言ってなかったから、まさか卒業式の準備がしてあったとは思わなかったのだろう。

 ゆりが驚いている様子が見られて、ちょっと嬉しくなる。

 

 

「じゃあ、かなでちゃんも卒業式したことなかったんだ」

「うん。私、一度もしたことがないから。卒業式って面白いのかなって」

 

 

 ゆりの言葉にかなでは楽しそうに答えた。

 卒業式をおもしろいという観点で持ち出してくるあたり、かなでは本当に卒業式をしたことがないんだなと思えてくる。

 

 

「まぁ、面白くはないけどな~。あんなの、ただ退屈なだけさ」

 

 

 日向も卒業式の垂れ幕を見つめては、少し苦笑いをして言った。

 たしかに日向の言う通り、卒業式なんてものは面白い行事ではないのだろう。ましてや、自分が学校を卒業するのならまだしも、自分が在校生であった場合は余計に退屈に思えてしまうのかもしれない。

 

 だけど、結局はやりようだ。中身を形式ばったものではなく、楽しいように面白くすればいい。

 それに今回の卒業式の主役はオレ達だ。自分達で計画して、自分達で準備して、自分達でやりたいようにやれば、それはそれでかなでの言う面白い卒業式とやらになるはずだ。

 

 

「でも、かなでちゃん。本当に卒業式は一度もしたことがないの?」

「うん、そうだけど?」

「普通は小、中、高と毎年あったはずよね? どうして?」

 

 

 不思議そうにゆりは、かなでにそう問いかけた。きっとゆりは最初、かなでが生前の頃に自分が卒業する卒業式をやったことがないのだと思ったのだろう。

 だが、かなでの“一度もしたことがない”という言葉に疑問を持ったようだ。たしかにこればかりは、ゆりがかなでに疑問を抱くのも仕方ないのかもしれない。

 

 

「……実はわからないの。今まで生きてきた時の記憶ってあまり思い出せないから。覚えているのは高校には行っていたことと卒業式をする前に死んでしまったということだけ」

 

 

 どうやらかなでは、高校に通っていた頃のことは思い出せたらしいが、それ以前の記憶は無い。生まれてから高校生になるまでのことはまったく思い出せないようだ。

 それとかなでは、高校3年生になって自分の卒業式の日を迎える前に死んでしまったようだ。それだけに、かなでは卒業式をしたいという気持ちが強いのだろう。

 

 

「そうか。かなでちゃんもこの世界に来て記憶を失ったパターンだったんだな。でも、この世界でなら卒業式くらいはあったんじゃねぇのか?」

 

 

 日向はふと疑問に思ったのか、不思議そうにかなでに質問する。日向の言葉を聞いて、オレも疑問に思えた。

 たしかに、よくよく思えばそうだ。ここは学校なのだから、卒業式があってもおかしくはない。かなではこの世界に長く滞在しているのだから、卒業式に参加していてもおかしくはない。

 それなのに、かなでは卒業式をしたことがないと言う。それはどういうことなのだろうか。

 

 

「いいえ、この世界には卒業式も入学式もないわ。あったのは体育祭とか文化祭などのお祭りごとだけ。きっと、必要がないからだと思う」

「ん? 必要がない?」

 

 

 オレは日向より先にかなでに尋ねた。ふと疑問を抱いてしまっただけに、すぐにかなでに問いかけてしまった。

 でも、かなでに言う“必要がない”とはどういうことなのだろう。

 オレの問いかけに、かなではオレへと視線を向けて話し始めた。

 

 

「そう。この世界には高校にまともに行けなかった人やあまり青春を過ごせなかった人が来るんだもの。入学式も卒業式もそんな人達には必要とされないからだと思うわ」

「あー、なるほどな」

 

 

 つまり、死んだ人間がこの世界にやってくる基準としては、ただ高校に入学したいとか卒業したいという願いは持ち合わせて来ないということらしい。満足に高校に行けなかったやつが、入学式に出たかったとか卒業式に出たかったなんて願うわけがない。かなではそう言いたいのだろう。

 

 たとえ、学校に入学したかったという願いがあったとしても、それは入学式に出たいという願いではない。入学式の後の学校生活を送りたいということになる。NPCが勝手に消えたり増えたりするこの世界で、入学式なんてものは必要ないと言われれば確かにそうだ。

 そして、それは卒業式も同じ理由なのかもしれない。まともに学校に行けなかったから、卒業したいという願いを抱くということになるが、それもまた、ただまともに学校に通いたかったという意味合いの願いにはなる。きっと、そういうことなのだろう。

 

 ただ、入学式はまだしも、卒業式くらいはあってもいいのかなとは思う。だけど実際にないのなら、この世界では卒業式はないということになっているんだろうな。

 

 

「というか日向くん。そんなことも知らなかったの? いったい、どれだけこの死後の世界にいたと思ってんのよ。とんだマヌケねっ!」

「悪かったな、知らなくて! この世界でまともに学校の行事なんて参加していなかったから分かんなかったんだよ!!」

 

 

 ゆりは戦線の仲間である日向に冷たい目線を送って、まるで“信じられない”と言いたげな表情を浮かべていた。

 

 まぁ、日向の言う通り、死んだ世界戦線のメンバーはまともに学校の行事には参加していないのだろう。実際、オレが来てからも、行事には参加したりしなかったりしていた。その理由のほとんどが、リーダーであるゆりの気まぐれによるものだったからだ。

 それに、今思えばこの世界でまともに学校の生活を過ごしていると成仏してしまう可能性があったのも確かだ。日向がこの世界の学校の行事のことを知らないのも仕方ないのかもしれない。

 

 

「だから、どうしても卒業式だけはしたかったの」

 

 

 かなでは用意してあったパイプイスに手をのせ、体育館のステージにある講演台の方を見つめていた。

 もしかしたらかなでは、卒業式をしたいというよりも学校を卒業したという実感を味わいたかったのかもしれない。だからこそ、率先して卒業式をしてみたいと思ったんだろうな。

 

 

「そっか……だからかなでちゃん、卒業式がしたかったのか」

 

 

 ゆりもかなでの想いが伝わったのか、かなでと同じ講演台の方を見ながら優しくそう言った。

 オレは生前に高校の卒業式には出たことがあるが、きっとみんなは違うのだろう。きっとオレのように卒業式に出たことがあってこの世界にやって来た人間なんて、きっと極わずかしかいないはずだ。そこらへんも含めて、自分はイレギュラーな存在なのかもしれない。

 

 

「でも、私もこの歳になって卒業式をするのは初めてね。高校生になってからの卒業式は参加したことがないわ」

「へー、ゆりっぺらしいな。でも、きっとゆりっぺのことだから、卒業式をサボったりとか、友達とボイコットしたりしてたんだろ?」

 

 

 日向はゆりに対して、少し挑発的な態度でそう言葉を返していた。どうやら、さっきゆりからバカにされたので、それの仕返しのつもりなのだろうか。

 でも確かに、ゆりが“面倒だから”という理由で卒業式に参加しない姿が容易に想像できてしまった。ゆりならやりかねないと思えてしまう。

 

 

「失礼ね、私はこれでも真面目な学生だったのよ。残念だけど、卒業式の前に死んじゃったの。高校生になって、半年が過ぎたあたりでね」

「「ええっ!?」」

 

 

 ゆりは日向の態度なんて気にせず、毅然とした態度で日向に反論した。

 だけどオレと日向は、ゆりの発言に驚きを隠せずにいた。まさかの事実に、オレは驚いたまま慌ててゆりに質問してしまう。

 

 

「ということは……ゆりはまだ高校1年生だったのか?」

「そう、永遠の16歳よ。今まで言わなかったけど、生前の年齢ではみんなより年下なるわね」

「そ、そうだったのかよ。今までずっと俺と同じくらいかと思っていたぜ」

 

 

 日向がそう言うのも仕方がない。オレもてっきり高校3年生くらいで、ゆりは自分と同い年であると思っていた。

 この世界に来た人間は成長しない。死んだ当時の年齢のまま永遠に存在することになっている。だから、大概は容姿や体格など外見を見ていれば、その人間の年齢は大体予想がついた。

 

 だけどゆりは違った。女子の割には身長も高く、身体能力も高い。普段からあまりにも堂々としていて、偉そうに仲間達に接していたから、年下であるという感じは全くしなかった。

 ……まぁ、わがままというか気まま加減でいうなら大人っぽくはないのかもしれないが。

 でも、それを抜かしても、ゆりが16歳の女子だったとは到底思えない。よほどかなでの方が高校1年生であったと言われても違和感がないように思える。

 

 

「だって、私が16歳だなんて知られたら絶対にナメられるじゃない。特に私はね、周りの人間に先輩面されるのが嫌だったのよ。たかが1年や2年くらい違うだけで偉そうにされたり、年下だって見下されたりするなんて死んでも願い下げよ!」

 

 

 ゆりは今まで関わってきた年上の人間を、まるで(けな)すかのように堂々とオレ達に言い放った。

 まぁ、ゆりがそう思うのも分からないわけでもない。たしかに、この世界の場合だと過ごして来た年数が違う。多少なりとも精神年齢は高くなっていく。初対面の人間に自分より年齢が年上だからといって偉そうにされたらオレも嫌だ。

 

 でも、だいぶ偉そうに周りを振り回していたゆりがそのことを言えたことではないなとは思ってしまうけれど。

 

 

「だから、絶対に周りには悟られないように黙っていたの。いかにも、高校生活を3年間エンジョイしてきて、普通の高校生よりも高校生らしい振る舞いをしてきたわ。“あ、ゆりっぺって、超高校生っぽい。普通の高校生を超えた高校生らしい高校生ね。さすが、高校生のゆりっぺだわ”なんて陰で言われるくらいにね!」

 

 

 ゆりはたまに声を高くしたりしながら、あたかも別の人間の言葉を代弁するかのように忙しく体を動かしたりして、俺達に熱く語り始めていた。

 

 

「いやゆりっぺ、高校生活を3年間エンジョイしてきて、普通の高校生よりも高校生らしい振る舞いをしている高校生ってどんな高校生なんだよ? それ、むしろ高校生っぽくない気がするんだが。あと、普通の高校生を超えた高校生だと、普通の高校生じゃなくなってるから! あと、陰でそんなこと言うやつもいない! むしろ言われてた方が周りに怪しまれてるから!」

 

 

 ゆりの発言に日向は流暢(りゅうちょう)に一度も言葉を噛むことなくツッコミを入れてみせた。

 さすが日向だ。オレは何からツッコんでいいのか戸惑ったが、とっさにツッコミをやってのけたのはさすがだと言わざるを得ない。

 

 

「そうね。でも、私なんかまだ良いわよ。むしろ私以外のみんなの方がよっぽど高校生っぽくなかったわ」

「あ? なんでだよ? 普通の高校生だったろ?」

「あれで普通とかありえないから。ほら、思い出してみなさいよ。この学校の体力テストの授業での天使の動向を探るっていう作戦があったでしょ?」

「えー? そんなことあったか? 俺、記憶にないんだが」

「それはきっと、あなたは女装をしなかったからね」

「……はぁっ? 女装!? なんで女装なんだ!?」

 

 

 ゆりの言葉が信じられないのか、日向は戸惑いながらもその理由を聞いていた。

 

 

「そんなの知らないわよ。それに、クラスの体力テストでよ? 男女共にグラウンドで体力テストを測ってる際に、天使の邪魔をするっていう作戦だったのにね。こともあろうか、あのアホ共は女装なんかして女子生徒に成り済まして天使の邪魔をしようとしてたのよ。あれには私もまいったわ」

「……マジかよ。まぁでも、あいつらならやりかねないかもな」

 

 

 ゆりは昔のことを思い出しながら、頭を悩ませるかのように頭に手を置いている。

 日向も呆れた表情を浮かべながらも、何故だか納得したように顔を頷いている。

 

 そんなゆりと日向の気持ちも分からないでもない。

 自分もまた、日向と同様にあいつらならやりかねないなと思えてしまうからだ。その辺り、幹部の人間のほとんどがアホな連中だったということは否定できない。

 それだけに、そんな人間達をまとめることが出来たのはゆりであったからだと言っても過言ではない気がしてしまう。

 

 

「ほんと、今思い出しても酷いわね。どうやら、高松くんと松下くんの提案だったらしいけど……私もさすがにそこまでアホだったとは予想も出来なかったわ。てか、高松くんがあそこまでバカだったことに気付かずにいたのが一番の誤算だったのよ」

「まぁ、初めの頃は博識そうな雰囲気出してたからなあいつ。気付かなかったのも仕方ねーだろ」

「でも、そう考えたら私すごくない? あのアホなヤツらを導いて引っ張っていけた私って、高校生としてよっぽどまともだったんじゃない? やっぱ私って、あの中では一番高校生っぽかったんじゃないかしら」

「いやいや、高校生らしからぬ行動を俺達に指示してた時点でもう高校生っぽくはないからな。あと、俺達みたいなアホをまとめられるお前の方が異質だから! それに俺達をまとめてたというよりも、無理に従わせてた感じだったじゃねーか!」

 

 

 ゆりの言動に日向も負けずに言葉を返していく。日向自身、いつもゆりに対して不満を募らせていたのだろう。

 だけど、よくそんなにゆりに対して言葉が出てくるものだ。日向のツッコミスキルには本当に感心してしまう。

 

 

「そうなったのも、あなた達のアホさ加減が度を過ぎてたからじゃない。そりゃあこっちも、あなた達にいちいち気を遣ってなんていられないって話よ」

「それにしたってだいぶ横暴だったけどな。てかおまえ、気を遣うなんてタマじゃないだろ」

「そんなことないわよ。私だって、あなた達のアホさ加減に振り回されたせいで胃が痛んだり、色々吐いたりして、何回か部屋で寝込んだこともあったわ。ほんと、どんな高校生活を過ごしたらそんなにアホになれるのか教えて欲しいくらいよ。そうだ、アホの頂点である日向くんならそれくらいは分からないかしら?」

「アホの頂点ってなんだよ! それに分からないから! そもそもあの中だったら俺ってだいぶまともな方だったし、俺だって何度かあいつらをまとめたりもしてたからな」

「………………まったく記憶にないわね。あなたがみんなをまとめてたなんて、想像も出来ないわ。それってもう妄想か記憶の捏造よ。あなたの頭、とっくにイカレてるんじゃない?」

「イカレてませんから! てか俺、どんだけ低く見られてるんだよ。それくらい出来ますから! あと、おまえさっき何回か部屋で寝込んで吐いたことがあると言ってたが、それは捏造だ! おまえに限ってそんなことは絶対にない! それこそ記憶にないから!!」

「そうかしら? でも私、たまによく気持ち悪そうに部屋の中で吐いたりしてたでしょ。あれよあれ」

「それって、いつもどこかからアルコールを持ち出してチャー達と飲んでただけだろ! それ、単なる二日酔いだからな! 高校生としての領分から外れてるから! 明らかにオレよりおまえの方がイカレてるからな!!」

 

 

 テンションが最高潮へとなり、ゆりと日向の2人はせわしなく体を動かしながら必死に会話劇を広げていく。

 ほんと、2人の会話はまるでコントを見ているようだ。むしろオレには2人がワザとやってるようにしか思えなくなってきた。

 

 

「ゆり、相変わらずね」

「ん? ああ、そうだな」

「ほんと、長い年月をかけて私と殺り合ってきただけのことはあるわ」

「えっ? そこなのか?」

「ええ、さすがゆりよ」

 

 

 かなでは感心したようにうんうん頷きながら、ゆりを見ていた。

 まぁ、ゆりとは長く戦ってはきただけに、2人の会話を聞いて何か感じるものがあるのだろうか。

 でも実際、ゆりからしたら殺られた回数は圧倒的に多そうだな。ゆりと殺り合ってきたというより、ゆり達を殺ってきたという方が適している気がする。

 

 しかし、いくら待ってもゆりと日向が会話を終えようとする気配が感じられない。

 この2人の会話をずっと黙って聞いていたら、1時間はこのまま話をしてそうだ。それでは、みんなで卒業式の準備を始められない。いったいどうしたものか。

 

 

「でも、このままじゃ、いつまでたっても終わりそうにないな」

「そうね」

「どうしようか、かなで」

「どうしましょう……そうよ。良い方法があるわ」

「うん?」

 

 

 かなではそう言うと、近くにいた直井へと視線を向けていた。

 直井は呆れつつも、いかにも“2人の低俗な会話を楽しんでる”という雰囲気で、気取った笑みを浮かべていた。

 そんな直井にかなでが近づいていく。

 

 

「直井」

「ん? なんだ貴様? 僕に何か用か?」

 

 

 直井はかなでの存在に気付くと、すぐに怪訝そうな表情でかなでを見下ろす。

 すると、かなでは右手の甲を直井に見せるかのように、自分の胸の高さまで上げた。

 それはまるで……かつての“天使”みたいだ。

 

 

「あら、返事はそうだったかしら? 直井副会長」

「うっ!!?」

 

 

 その瞬間、直井は片膝を地面につけ、頭を下げては左胸に右手を当てた。

 

 

「も、申し訳ございませんでした生徒会長! いえ、我がルシフェル!!」

「そうよ直井。よく覚えていたわ」

「そ、それで、何用ですか?」

「あの2人の会話を止めて欲しいの。あなたなら出来るでしょ?」

「なんでぼ……何故、私がです?」

「どうだっていいじゃない。とりあえず、彼に催眠術でもかけてやりなさい」

「は、はい。承知しました。全ては生徒会長の御心のままに」

 

 

 直井は頷くと、すぐに立ち上がっては日向の方へと体を向けた。

 それを2人の前に出て制止する。

 

 

「待て待てかなで。催眠術はダメだろ」

「どうして? それ以外、2人を止める方法はないと思うのだけど」

「いや、他に止める方法あるから。それに直井も何で素直に受けてるんだよ」

「音無さん、止めないでください! 僕だって本当はやりたくないんです。でも、やらなきゃ僕が殺られるんです!」

「どんな主従関係だよ! おまえら、以前からそんな感じだったのか!?」

「だってこの人、いつも私のノリにノッてくれるから。面白くてつい」

「いや、どう見てもかなでのノリにノッてあげてた感じには見えなかったんだが。というより、あからさまに畏怖の念を抱いてるだろこれ」

「え、そうなの?」

 

 

 かなでに対する直井の表情と態度は、明らかにノリでやっているようには見えなかった。てか、直井はそんなキャラじゃないことは百も承知だ。

 でも、かなでは今の今まで気付かなかったらしい。今も不思議そうに首を傾げながら直井を見つめている。

 

 しかし、2人のこの様子を見てると、かなでは直井に対してずっとこんな感じだったんだろうな。

 そう思うと、直井がかなでを閉じ込めようと何年もかけて牢獄を作ってた理由も分からないでもない。

 

 

「どうしたの、音無くん」

 

 

 オレ達の様子に気付いてか、ゆりと日向は会話を止めて近づいてきた。

 さすがにオレの声を聞いて、何かあったのかと気になったのかもしれない。

 結果的には、かなでのおかげで2人の会話を止めることが出来たことになる。

 

 

「いや、何でもない。気にしないでくれ」

「そう? ならいいけど」

「とりあえず、卒業式を始めようか」

「ええ、そうね……って、えっ!? 今から? 今からするの?」

 

 

 ゆりは驚きながらオレに尋ねる。

 もしかして、ゆりは卒業式は明日か明後日にするつもりでいたのだろうか。

 

 

「いやいや、何のために着替えたんだよゆりっぺ。もう大体の準備は出来ているから、すぐにでも始めようぜ」

「え、いや、その……本当に消えるのかなって。まだ……心の準備が」

 

 

 ゆりの問いかけに日向が答える。日向はさっきまでと違って少し落ち着いた様子だ。

 ゆりは卒業式を始めようとしていることに戸惑いを隠せないのか、自分の手を見つめながらモジモジとしている。

 そういえば、ゆりは先ほど起きたばかりだった。そうなるのも仕方がないと言えばそうかもしれない。

 オレ達はまだ、卒業式の準備をしている段階で心構えが出来ていたが、ゆりはまだこの世界から旅立つ心構えが出来ていない。心の準備が出来てないというのも、当然と言えば当然か。

 

 

「なんだ? 貴様、それでも元リーダーか?」

「な、なによっ! リーダーとか今は関係ないじゃない!」

 

 

 直井もさっきまでのことがなかったように、平然とゆりに話かけていた。ゆりは少しふくれっ面をしながら、直井に言葉を返す。

 そんなゆりに、オレは少し違和感のようなものを感じる。さっきまでゆりが日向と会話している時にはあまり感じなかったが、今はどことなく以前のゆりと違うような感じがしてならない。

 

 

「おまえ、みんなが消えたらリーダーっぽくなくなったよな。なんか」

「え? そ、そう?」

 

 

 オレの発言に、ゆりはきょとんとした表情でいる。どうやら本人は自分の変化に気付いていないらしい。

 

 

「あ~、たしかになんか変わったな~」

「え、どう?」

 

 

 日向もオレと同意見のようで、ゆりの顔をじぃ~っと見つめながら考え始める。

 ゆりは自分がどう変わったのか気になるようで、自分の体を少し見ては、興味津々な表情を浮かべてオレ達に尋ねる。

 

 

「そうだな、なんか女の子っぽくなった」

「えっ? それ……喜べばいいの? 怒ればいいの?」

 

 

 ゆりにとって、オレの言葉は予想外の回答だったのだろう。ゆりは困ったような表情を浮かべては、どう反応したらよいのか分からない様子でいる。

 というよりも、普段言われたことのない言葉に動揺を隠せないのかもしれない。女の子らしく、恥ずかしそうに手をモジモジとしたり、照れたように下を向いたりしていた。

 

 

「戦い終えたらそんなことも分からない無垢な女の子に戻っちまったんだなぁ……ゆりっぺも可愛いとこあんじゃん」

「んなっ! くわっ、あわわわ、あばばばばばっばばばばばっ!!」

 

 

 日向の言葉に、ゆりは顔を真っ赤に赤らめる。

 まさか、日向にそんなことを言われるなんて想像していなかったのだろう。ひどく動揺してしまったようで上手く言葉が出ないみたいだ。

 そして照れ隠しのつもりなのか、日向に近づいては服を掴んで叩き始めた。

 

 

「あだだだ、い、い、いたいいたいっ!」

 

 

 ゆりの行動に日向も戸惑いが隠せないのか、ゆりに服を掴まれながらもただ無抵抗に叩かれていた。

 そんな2人の様子を見ていると、なんだかゆりが普通の女の子っぽく感じられる。

 

 

「ふふふっ、ゆりおもしろいの」

 

 

 2人のやり取りを見て、かなでは笑う。

 そんなかなでの表情は、本当に“天使の微笑み”と言っても過言ではないくらい可愛い。ついつい自分も頬が緩んでしまう。

 

 

「……ふんっ」

 

 

 ゆりと日向のやり取りを見て、直井は鼻で笑う。

 もしかしたら直井は、この2人を見て少し羨ましく思っているのだろうか。

 直井はけっこう素直じゃないところがあるから、案外そうなのかもしれない。

 

 こうやってみんなで過ごす時間も、今日で最後だ。

 みんなと過ごせないと思うと、今いるこの時間が名残惜しく感じてしまう。

 

 でも、これ以上は自分の決心が鈍ってしまいそうになる。

 このままみんなと一緒にいると、また新しい未練や心残りが生まれてしまう。

 それはダメだ。その前に、オレ達はこの世界から旅立たなければならないんだ。

 

 

「よしっ、とりあえず始めるか!」

「そうね。始めましょう」

 

 

 気持ちを切り替えて、自分に言い聞かせるようにそう言った。

 その言葉に、かなでも頷いてくれた。

 

 

「あ、でも……」

「ん? 結弦、どうしたの?」

 

 

 始めるとは言っても、まだやるべきことは残っている。卒業式の大体の準備は出来ているが、今すぐに始めるのは無理な話だった。

 ……それに、今はちょうど昼時だ。

 

 

「さすがにお腹が空いたなと思ってさ。最後くらい、食堂で飯でも食ってからでもいいのかなって」

「まぁ、それもそうだな」

「音無さんがそう言うのなら、僕は何も異論はありません」

「ふふっ、そうね。これで最後だし、私も麻婆豆腐が食べたいわ。ゆりも一緒にどう?」

「……ごめんなさい。さすがに遠慮しとくわ、かなでちゃん」

 

 

 みんなもお腹が減っていたのか、オレの提案に賛同し始める。

 ただゆりは、難しそうな表情を浮かべながら、かなでの提案を断っていた。

 

 

「……そうよ。これでみんなとは最後なんだし、ごはん食べた後に卒業写真も撮らない?」

「卒業写真?」

「カメラなんて、あったか?」

「そんなの、職員室かどっかからパクればいいじゃない。それか、かなでちゃんか直井くんなら生徒会だからどこにあるかくらい知ってるんじゃない?」

「さぁ……私は知らないわ」

「まぁ検討くらいならつく。仕方ない、僕が持ってきてやろう」

「とりあえず、食堂に行こうか」

 

 

 オレは大食堂へと歩き始める。それにつられるように、みんなも歩き始めた。

 

 みんなには食事をしようとは言ったが、もしかしたら、みんなと食事をするべきではなかったのかもしれない。

 自分の中にあるみんなと別れたくないという気持ちがあったから、こうやって食べに行こうと提案してしまったように思える。

 

 ダメだな。せっかく、気持ちを切り替えたというのに、これではあまり意味がない。

 それだけ、みんなと別れるのが嫌なのだろうか。

 それとも、まだ自分の心の奥では迷っているんだろうか。

 

 …………考えるのはよそう。考えたら、余計にダメになってしまう。

 今は卒業式をするということだけを考えればいい。

 その後のことは、その時に決めればいい。

 

 

 体育館を出て、オレ達は大食堂へと歩き出した。

 


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