仕事が忙しいのもあるのですが、片道2時間の出勤に未だになれません。
というか、また大阪出張したんですが暑かった。
本当に更新が遅くて申し訳ありません。
ボクたちがアンナパパに優しくしてあげようとしてそっちの方を見ると、アンナパパと裕ちゃんが向い合ってお茶をすすりながら談笑していた。
「・・・・・ホッホッホ、というわけでお嬢様は私どもに任せて、はやくロシアに帰られたらどうでしょうか」
「・・・・・(ピキッ)いやいやいや、アンナはロシアの広大な土地で育った娘です。このような小さなお宅ではお邪魔でしょう」
「・・・・・(ピキッピキッ)いえいえ、本当に気配りの効く娘さんで、とても大雑把なロシア人とは思えないほどですわ・・・・・」
「・・・・・(ピキッピキッピキッ)いえいえ、もう大雑把な娘で、せせこましい日本人には合わないんじゃないかと心配してます」
「・・・・・(ピキッピキッピキッピキッ)」
「おい、二人とも顔が笑っている割には異様な緊迫感が漂っているんだが、一体何が始まったんだ?」颯太君が尋ねた。
「達人同士の組手争いと言ったところじゃないかな?」ボクが答えた。
「なんか、最初に会った時もこんなことやっていたよな」陽太君が思い出したように言った。
「・・・・・本当は相性が最悪なのでは」康太が言った。
「つかみ合いにならないうちにレフリーストップした方がいいんじゃないですかね」ボクが提案した。
「「「誰が?」」」三馬鹿兄弟が口を揃えて言った。本当にこんな時だけ息がピッタリ合う兄弟だ。
「誰って、そりゃ第三者が入る訳にはいかないと思いますから、ご家族の方が」
「ふむ、よし陽太行ってこい」
「いやいや」
「康太の方がいいのか?」
「とんでもない。もっとピッタリの人材がいるでしょう」
「・・・・・アンナはまだ風呂だぞ」
「兄貴、いい加減に現実逃避は止めた方がいいと思うぞ」
「・・・・・さっさと認めるべき」
「何で俺なんだ」
「何でって、実母と義理の父が言い争っているんだから、関係者として止められるのは颯太君しかいないでしょう」ボクが最後通牒を突きつけた。
「あんなトンデモ親父を義理の父にした覚えはねぇ」颯太君が叫んだ。
「いや、「覚えはない」とここで叫ばれても、あの人がアンナちゃんのパパである事実は変えられないわけで・・・・・」
「ちょっと待て、愛ちゃん。そこがそもそもおかしくないか?あの親父がアンナのパパだと、なぜ俺の義理の父親になるのだ」
「まだ、そんな往生際の悪いこと言っているんですか?颯太君以外の誰も反対していないから問題ないでしょう」不思議な事を言う颯太君だ。
「本人が反対しているのが一番の大問題だろう」颯太君が更に叫んだ。
「いいからトットと止めてこないとバトルが始まっちゃいますよ」ボクは颯太君の尻を押して裕ちゃんとアンナパパの方へ追いやった。
「え~、お話が弾んでいるところ申し訳ありませんが・・・・・」颯太君が2人に恐る恐る話かける。
「何、颯太。今、カリーニンさんとお話が弾んでいたところなのにお行儀の悪い」
「それ以上弾ますなという愛ちゃんの命令なんだよ」
「おぉ、ソータ。ちょうど君に話があったんだ。2人きりになれるところに行こうか」
「いや、お父様と2人だけというとは、とてもデンジャラスな予感が・・・・・」
「ははは、遠慮するな・・・・・」アンナパパはそういうと颯太君の首根っこを掴んで玄関へと引きずって行った。人の話を聞かないところはアンナちゃんにそっくりだ。
「外連れていかれちゃいましたね」
「何するつもりなんだろう?」
「・・・・・リンチじゃないか?」後に残されたボクたちは好き勝手言っていた。
「心配ね。愛ちゃん、ちょっと様子見てきてくれる?」裕ちゃんが言った。
「わかりました、ケンカしないように見張ってきます」ボクが速攻で答えた。
「ううん、それはどうでもいいんだけど、花壇のチューリップの芽が出てきたばかりなので、踏み潰さないようにって」
「心配はそこなんですか?」
「骨は折れてもくっつくけど、踏み潰された芽は戻らないのよ」
「そういうワイルドな教育方針から五馬鹿が生まれたんですね」
「愛ちゃん、俺も行こう」陽太君が言った。
「・・・・・何をするのか興味がある」康太も言った。
「ワン」一緒にお風呂に入れてもらえなかったケンも嬉しそうに尻尾を振りながら吠えた。
ボクたちは玄関に向かい、ドアをそーっと開けてごんずい玉のように固まってドアから首を伸ばして庭を見た。
月明かりに照らされた庭にアンナパパと颯太君が対峙するように立ち尽くしているのが見えた。