「いやぁ、今週の金魂も面白かったね」満足そうに少女が言った。
「・・・・・楽しめたようでなによりだ」皮肉っぽく少年が言った。
「うん、ボクの金魂エピソードベスト200に入る出来だったね」
「・・・・・ビルボードのチャートより範囲が広いじゃないか。本当に面白かったのか、それは?」
「だからベスト200に入る出来だと・・・・・」
「・・・・・わかったわかった。しかし初っ端から「未来日記」とやらから外れているではないか」
「そんなことないよ、ホラ」と言って少女はノートを開いて見せた」
「2012年12月14日 10:30 康太とコンビニで仲良く立ち読み。今週も金魂は面白かった」
「・・・・・予定立てて立ち読みするんじゃない。さっきの店でジャンポが売り切れだったらどうするんだ」
「ふふふ、ボクを甘く見てもらっちゃあ困るなあ。そういうことも見越してあえて店名を入れずにコンビニとしたんだよ。売り切れだったら別のコンビニに行けばいいんだよ」
「・・・・・なんでクリスマスデートで、ジャンポ求めてコンビニ巡りせにゃならんのだ」
「それよりも心配だったのは、今週の金魂が面白くなかったらどうしようと思ってドキドキしちゃったよ」
「・・・・・心配すべきところは他にあるんじゃないのか」
こうして二人でコンビニから出た。
「・・・・・で、「未来日記」とやらでは、次の予定はなんなんだ?」
「「ギャラクシーに行って康太をストリートファイターでボコボコにした」だね」ギャラクシーとは、この街で一番大きくて新しいゲームセンターだ。
「・・・・・そこは普通に「ゲーセンに行った」でいいと思うんだが」
「ボコボコにしないとボクの気がすまないんだよ」
「・・・・・「未来日記」なのに、お前の本音がダダ漏れしてるぞ」
10分ほど歩いてギャラクシーについた。中に入ると人だかりがしていた。
「・・・・・なんだこの人ゴミは」
「よっぽどウマい人がプレイしてるのかな?」
「・・・・・全然前に進めんな」
「今後のプレイの参考になるかも知れないから、ちょっと見ていこうよ」そう言うと少女は人ゴミの中にツッコんで行った。
「ふう、やっと前にでたよ。さてどんな名人がプレイを・・・・・アっ、アンナちゃん?」
そこにはドラムマニアを叩いているアンナの姿があった。
「・・・・・スゴイな。Super Hardでプレイしてるぞ。あれってプロのドラマーでも難しいらしいぞ」
「スーパーモデル並みのスタイルの銀髪美人がSuper Hardでプレイしてたら、そりゃ人だかりもできるよね。みんな写メ取りまくりだよ」
「・・・・・まあ、プレイ中は口がきけないからな。口開けば天然ボケのオタクなんだが」
「それはそうと颯太君はどうしたんだろう?」二人が周囲を見渡して颯太を探したら、柱の陰から顔を半分だしてアンナを見つめている颯太を見つけた。
「あそこにいるけど、どうみてもアンナちゃんのストーカーだよね、あれ」
「・・・・・デート中と言っても誰も信じないな」
「まあ、デートの形は人それぞれだから。じゃ、行こう」
「・・・・・助けるつもりは全くないわけだな、お前は」
「康太、ストリートファイターはこっちだよ」少女が少年に声をかけた。
「ふふふ、ほらほらマコちん、そろそろライフが無くなっちゃうよ」陽向の楽しそうな声が聞こえてきた。
ストリートファイターの筐体に陽向が、反対側の椅子に同級生の男生徒が座って、必死な顔でレバーを操作してた。
「てめぇ、陽向。こっちは初めてなんだ少しは手加減しやがれ」
「十分手加減してあげてるよ。開始から30秒は攻撃してないし、レバーとボタンを逆の手で操作してあげてるんだよ」
「このアホ、こんなことまでこなしやがる」男生徒が悔しそうにつぶやいた。
「ねぇ、竜崎。あんたが負けず嫌いなのはわかったけど、もう1000円も使ってるのよ。いい加減にしといたら」女生徒が呆れたように言った。
「・・・・・デジャビューだな」少年が言った。
「しばらく空きそうにないみたいだから別なところに行こうか」
「ねえ、康太」少女が言った。
「・・・・・なんだ?」
「さっきからプリクラのところに陽太君たちがいるんだよね」
「・・・・・プリクラ撮るつもりなんだろう」
「ボクもそう思ってたんだけど、15分もああやって立ち尽くしてるんだよね。何してるんだろう?」
「これがプリクラっていうものなのね・・・・・」由美子が言った
「そうみたいだね。初めて見た」陽太も言った。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「これで写真が撮れるのね・・・・・」
「写真が撮れるんだね・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「二人で撮るのって初めてね・・・・・」
「初めてだね・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「だっ、大丈夫かしら・・・・・」
「大丈夫だよ、僕がついてる・・・・・」
「あの二人、プリクラっていうのがどんな機械なのか理解してないんじゃないのかな?」少女が不思議そうに言った。
「・・・・・かなり悲壮な決意をしてるみたいだが」
陽太たちがプリクラを撮り終るのに、さらに10分を要した。