なぜか投稿ができなくなってしまったのでこちらでお世話になることになりました。
本來は新作だけ投稿すればいいのですが、オリキャラやオリ設定が多くなってしまし
まったので、最初から投稿しなければ話が見えないのではないかと思い、移転する
ことにしました。基本ムッツリーニ×工藤さんものです。
宜しくお願いします。
さて遊園地デートをすることになったムッツリーニと工藤さん。
なぜか集められるFクラスメンバー。
雄二によれば「友達としてデートを成功させ、告白すると幸せになれる観覧車に乗せる」というのだが。
第1話
土屋康太は眠れなかった。
枕元に積み上げられた数十冊の本を眺めそのうちの一つを手に取って頁を開いてみた。「彼女を落とせる夜景のキレイな店100」。想像した何かを振り払うかのように頭を振ると布団に寝転がった。
「・・・・・明日だ、ウッ」
鼻血を吹き出すところを危うくこらえた。枕元のクーラーボックスに目をやってみる。そこには輸血パックが詰まっているはずだ。数に余裕は持たせたつもりだが油断はできない。輸血パックの枯渇はすなわち死を意味する。こんなところで使っている場合ではない。
工藤愛子は眠れなかった。
普段は部活で疲れていることもあり、ベッドに入るとすぐに寝入ってしまう彼女だったが、今晩だけは興奮して眠れそうになかった。
「・・・・・明日か、キャアキャア」
いつも抱いている抱き枕を体中で抱きしめて、ベッドの上を転がりまわった。美波や瑞樹や翔子はムッツリ商会でお目当ての抱き枕を手に入れているが、彼女の欲しい抱き枕だけは扱ってなかったし、事情があって注文することもできなかった。そこで自分で写真を撮って中学の友人に作ってもらった大事な抱き枕。視線を枕に落とししばらく睨んでいたが、急に顔が真っ赤になりまた「キャアキャア」とベッドを転がり回る。夜がふけていく。
土屋・工藤「「明日はデートかあ」」
吉井明久は眠れなかった。いや、目さえ閉じればすぐにREM睡眠に入れる自信はあるのだが、眠ろうとすると左側に寄り添うように座った快活そうなスリム(美的表現)な少女が腕関節を極めてむりやり目を覚まさせるのだ。
「眠ってんじゃねえぞ明久」悪友の雄二が言う。
「いいか、翔子情報によれば、明日はムッツリーニと工藤のデートの日だ」
霧島さん情報ならば信用できるだろう。わからないのは、僕がなぜここにいるかだ。いや、僕だけじゃない、霧島さんは当然としても、秀吉、美波に姫路さんまで集められている。雄二は何をしようとしているんだろうか?
「ムッツリーニのデートはわかったけど、なんで僕たちが集められたのさ」
疑問をぶつけてみた。みんな頷いているところを見ると誰も事情を聞いてないらしい。
「お前ら、友達の初デートだぞ。成功させてやりたいとは思わないのか」
「雄二がムッツリーニのことをこんなに考えていたなんて感動したよ・・・・・で、本音は?」
「あいつらがカップルになると俺へのFFF団からの追及が少なくなる」
「さあ、みんな帰ろうか。あ、姫路さんと秀吉は遅いから送っていくよ」
「いや、ちょっと待て。つい本音が・・・いや、言い間違っただけだ」
「どんな言い間違いよ」
すかさず美波がツッコむ。どうもFクラスに入ってツッコみスキルが飛躍的に伸びたみたいだ。これくらい胸の膨らみも逆に曲げられて可動域の限界まで・・・
「いたたた。美波ギブギブ。いきなりなにするのさ」
「アキからよからぬオーラが漂ってきたのよ」
「オーラの気配だけで肘関節極められちゃかなわないんだけど」
「それより坂本。ムッツリーニのデートに協力してもうちらにメリットないじゃない」
「ふむ、確かにメリットはないな、メリットは」
「あの~といいますと」と姫路さんが恐る恐る尋ねる。
「メリットはないがデメリットならある。もしデートが失敗すれば、傷心のあまり最悪ムッツリ商会はツブれるな」
「やるわよ瑞樹」
「ええ、頑張りましょう美波ちゃん」
何やら美波と姫路さんの利害が一致したようだ。その時、トゥルルルルルと携帯の呼び出し音が鳴った。
「・・・・・はい・・・・・久保。どうしたのこんな夜中に・・・・・えっ僕の力が必要な気がした?・・・・・大丈夫」霧島さんは僕を見つめながら話している。「・・・・・ありがとう、じゃあ」
霧島さんは電話を切ると
「・・・・・吉井、久保はいい人」と霧島さんは僕を見つめ続けて言った。
うん、久保君がいい人だってのはよくわかっている。A組2位なのに要観察者の僕にでも優しくしてくれる。雄二とは、大違いだ。だが、相変わらず僕にメリットがないことは間違いはない。ここはキッパリと断ろう。ムッツリーニ?誰それ美味しいの?FFF団に通報しないだけ優しいと思って欲しいというか通報すべきなんじゃないだろうか?
「じゃ雄二、僕は用事があるんで失礼するよ。みんなも余り遅くぅぅぅぅぅぅぅ」
美波が僕の背中にまたがり僕の背骨を信じられない角度まで曲げたおした。
「なに帰ろうとしているのよ。あんたも協力しなさい」
「いや、早く帰らないと姉さんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「お前はどれだけ鶏頭だ。一昨日玲さんアメリカ出発パーティしただろ」
思い出した。姉さんがアメリカの学会に参加するというので送別会をしたんだ。確かクッキーを口に入れた瞬間に姫路さんの「あ、それ私が作ったんです。お味はどうですか?」という嬉しそうな声がして、周囲が暗くなって気が付いたここにいたんだ。