ZMB48~少女たちは、ゾンビの徘徊する船上で戦い続ける~   作:ドラ麦茶

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CTF・出場メンバー

 5分間の作戦会議を終え、建物から出て、中庭の中央まで進む。由香里さんチームも建物から出て来た。キャプテンの由香里さんを先頭に、宮本理香さん、夏川千恵、栗原麻紀さん、大町ゆき、降矢可南子、浅倉綾、雨宮朱実の8名だ。

 

 ……って、え!? 亜夕美さんがいない!? 紗代さんも!?

 

 本郷亜夕美さん。アイドル・ヴァルキリーズのランキング2位。戦闘力は18万と、こちらも最強忍者・燈に次ぐ2番目に高い数値だ。そして、吉岡紗代さん。キックボクシング元アマチュアチャンピオンで、その戦闘力は、恐らくちはるさんたちに匹敵するだろう。どう考えても、由香里さんチームの中核をなすメンバーである。2人とも能力は不明。もしかしたらCTFのルールには向いてない能力なのかもしれないけど、それでも、その戦闘力だけでもかなりの戦力になるはずだ。由香里さんチームの8名の中に、本格的な武術を習っている娘はいない。全員、週2回の剣道の稽古のみで、キャプテンの亜夕美さんが初段を取得しているくらいだ。その戦闘力は、ランキング1位の深雪さんと同じ程度と見て、2万4千。こっちのチームは戦闘力5万以上のメンバーが4人も出ている。限定能力『リスポーン』のおかげで最大HPが低くなってるとは言え、由香里さん1人ではとても手に負えないのではないだろうか? このゲームにメンバーの途中交代は無い。戦闘力の高い亜夕美さんと紗代さんを出さない意味が分からない。

 

「おいおい。亜夕美と紗代はどうしたんだよ?」ちはるさんが笑う。「まさか、怖気づいて逃げだしちまったか?」

 

 由香里さんたちは応えない。綾たち四期生の若いメンバーが、不安そうに顔を見合わせた。作戦会議中に何かあったんだろうか? そんな表情だ。

 

「それでは、ゲーム開始の前に追加ルールの説明を追行います」

 

 案内人が現れる。追加ルール? まだ何かあるのか?

 

「橘由香里チーム出場メンバー。

 

 橘由香里

 宮本理香

 夏川千恵

 栗原麻紀

 大町ゆき

 降矢可南子

 浅倉綾

 雨宮朱実

 

 

 

 篠崎遥チーム出場メンバー。

 

 桜美咲

 篠崎遥

 早海愛子

 並木ちはる

 前園カスミ

 秋庭薫

 高倉直子

 西門葵

 

 

 

 以上、16名がゲームに参加。

 

 

 

 橘由香里チーム。

 

 藤沢菜央

 宮野奈津美

 

 

 

 篠崎遥チーム。

 

 小橋真穂

 白石さゆり

 本田由紀江

 佐々本美優

 鈴原玲子

 

 

 

 以上の7名は控室で待機。

 

 なお、

 

 

 

 本郷亜夕美

 吉岡紗代

 沢井祭

 朝比奈真理

 藤村椿

 

 

 

 以上の5名は、橘由香里チームより離脱しました。現在はミッションエリア外に転送され、このゲームに参加、干渉することはできません」

 

「何だと!? ホントに逃げたってのか!?」愛子さんが怒りを込めた声を上げる。

 

「ははは。どうしたキャプテン? 5人も離脱するなんて、リーダーシップに陰りが出て来たんじゃないのか? 年齢(とし)には勝てないな」ちはるさんは挑発的に笑う。

 

「――返す言葉も無いわね」由香里さんは自嘲気味に笑った。「逃げたわけじゃないけど、ちょっと、意見の対立があってね。それをあたしがまとめられなかったってだけ。ちはるの言う通り、年齢には勝てないかも。遥のチームは誰も離脱しなかったんだ? スゴイよ。これは、時が来た、って感じかな」

 

「いえ……そんなことは……」遥、戸惑いの声。

 

「だから言ったろ。本当の問題児はあたしたちじゃなく、亜夕美たちだって」ちはるさんは頭を掻いた。「まあいい。亜夕美が出ようと出まいと、最初からこのゲームに負ける気はないからな。ここで由香里たちを倒して、その後亜夕美をブッ殺すだけだ」

 

「残念だけど、そう簡単にはいかないわよ?」由香里さんの顔に笑顔が戻る。「戦闘力面での不安はあるけど、これはキャプチャー・ザ・フラッグ、旗取りゲームよ。重要なのは戦闘力じゃなくて、能力と戦略。その面では、強力なメンバーを選んだから、期待してちょうだい」

 

 ……自信があるということか。まあ、相手はヴァルキリーズ大キャプテン・由香里さんだ。どんなメンバーでチームを組んでも、たやすく倒せる相手では無いだろう。

 

「追加ルールの説明を続けます」案内人が言った。「両チーム、リーダーの参加が確認されました。これにより、由香里さんには、限定能力『キャプテンのカリスマ。リーダー生存時、チームメンバーの戦闘力が、一期生・二期生は15%、三期生・四期生は5%増える』が、遥さんには、限定能力『次世代キャプテンのカリスマ。リーダー生存時、チームメンバーの戦闘力が、一期生・二期生は5%、三期生・四期生は15%増える』が付与されます」

 

 リーダーが生きていれば戦闘力が増すわけか。これは地味ながらじわじわ効果が出そうな能力だな。

 

「また、前回の特殊ミッションでは、『無理矢理転送させて戦わせ、勝ち残ってもご褒美無しと来たか』というクレームを頂きましたので、今回は、勝者チームには、敗者チーム出場メンバーの能力カードを1枚ずつ差し上げます」

 

 ……そのクレームって、あたしが前回の特殊ミッション終了時に心の中で思ったことだよな? 運営はあたしの心が読めるのか? そりゃ読めるか。これはVRMMO。脳波で操作するゲームだ。となるとヤバイな。あたし、ゲームが始まってからさんざん運営の悪口を言ったような気がする。スミマセン。今までのは全てウソです。運営様は、本当に素晴らしい人ばかりです。

 

「ゲームのスタートは5分後の7時20分とします。それまで、皆さんはエリア内を自由に探索していただいて構いません。ゲーム開始までは一切の戦闘行為は行えませんので、ゆっくりと探索してください。なお、今回はエリア内アイテムはありませんので、ご了承ください」

 

 まあ、あっても何の役にも立たなかったからな。今自分が使っている武器が1番だろう。

 

 案内人が消えた。よし! さっそく探索を始めよう。このゲームのルール上、地形把握はスレイヤー以上に重要だろう。敵陣のフラッグを取っても、自陣に帰るまでの道のりが分からないと意味が無いからな。あたしたちは、それぞれ探索を開始した。

 

 

 

 3分ほどで探索を切り上げ、あたしたちは得た情報をまとめ、簡易的な地図を作った。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

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 まず、エリアはサッカー場と同じくらいの、南北に長い長方形の広場だ。四方は、高さが10メートルほどの石造りの壁に囲まれていて、お城の中庭という雰囲気だ。壁の上には通路があり、階段を使って上がることができる。壁の外はエリア外で、外に飛び降りることはできなかった。

 

 エリアの中央には地上3階、地下1階の建物があり、その屋上に出ればエリアのほとんどを見渡すことができる。ただし、エリアには大きな岩や木、石造などのオブジェがいくつかあり、身を隠すことは可能だ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 北と南の壁には2階建ての建物がある。北は青、南は赤の色が塗られており、青が由香里さんチーム、赤があたしたちのチームの陣地だ。あたしたちの陣地の建物は1階の北側に広場への出入り口がある。扉は無く、自由に出入りが可能だ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 自陣の建物の屋上の西側は壁の上の通路に続いている。通路を20メートルほど進むと北へ折れ曲がり、すぐそばに中庭へ下りる階段がある。壁の上の通路をそのまま北へ進むと、60メートルほどで下へ降りる階段に通じている。階段を下りた先は壁の中の通路だ。そこからさらに60メートルほど進むと東に折れ曲がり、敵陣1階の西側出入り口に通じている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 自陣の建物の東側は西側の逆だ。1階に壁の中の通路へ通じる出入口があり、20メートルほどで北に折れ曲がる。そのまま60メートルほど進むと上へ続く階段があり、壁の上の通路へ出ることができる。さらに進んで西に折れ曲がると、敵陣屋上の東側出入口へ着く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 両通路とも壁の中の通路の途中に地下に続く階段があり、エリア中央の建物の地下1階に通じている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 探索情報をまとめ終わったところで、案内人の声がした。「それでは、ただ今の時間を持ちまして、探索を終了し、ゲーム開始とします。先攻後攻は、ランダムで決めさせていただきます。転送後、すぐにゲームスタートとなりますので、頑張ってください」

 

 そして、あたしたちのチームは、自陣の建物内に転送された。

 

 

 

 いよいよ、CTFの開始だ――。

 

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 

TIPS 21:『チーム・カトル(仮)』合格メンバー24名発表

 

 

 

■『チーム・カトル(仮)』合格メンバー24名発表■

 

 

 

 今年4月から募集が始まり、アイドルファンを中心に話題となっている新アイドルユニット『チーム・カトル(仮)』の合格者24名が、23日、『チーム・カトル・プロジェクト・オフィシャルホームページ』内で発表された。同時に、それまで仮称だったグループ名が『ドリームペインター』に決定した。

 

 

 

『ドリームペインター』は、大人気アイドルグループ『アイドル・ヴァルキリーズ』の姉妹ユニットとして、同グループのプロデューサーを始め、ヴァルキリーズスタッフが手掛けるアイドルユニット。オーディションを終えたばかりだが、すでにCDデビューが決まり、いきなり日本武闘館でのデビューコンサートを予定するなど、破格の高待遇でのデビューが約束され、話題を呼んでいる。

 

 

 

 ヴァルキリーズプロデューサーは、同ホームページにて「アイドル・ヴァルキリーズにも負けない個性的なメンバーが集まった。『第2の神崎深雪』とも言える逸材も発掘できた。期待してほしい」とコメント。プロジェクト成功へ自信を見せた。

 

 

 

『ドリームペインター』の合格メンバーは、10月中にレッスンに入り、来年2月に日本武闘館でのデビューコンサート、4月にファーストCDシングルを発売予定。

 

 

 

ドリームペインター合格メンバー

 

 

 

 浅倉綾

 朝比奈真理

 雨宮朱実

 井上咲良

 大林ユミ

 大屋真澄

 神坂智恵理

 川井マナミ

 菊池優香

 倉林さおり

 黒川麻央

 河野ミサト

 後藤恵

 篠原聡子

 園田実花

 高橋花恋

 田辺樹理

 夏野晴香

 二宮明日香

 平野未來

 福田和美

 藤村椿

 降矢可南子

 森川日南子

 

 

 

以上24名

 

 

 

(2011年9月14日、大手インターネット検索サイトのニュース記事より抜粋)

 

 

 

 

 

 


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