ZMB48~少女たちは、ゾンビの徘徊する船上で戦い続ける~   作:ドラ麦茶

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『推され』と『干され』

 キャプテンが会場を後にすると、みんな顔を見合わせ、気まずそうに笑った。

 

 あたしの後ろの愛子さんが、大げさな動きで肩をすくめた。「――やれやれ。やっとうるせーのがいなくなったか。まったく。初の5大ドーム公演だからって、張り切りすぎなんだよ。こう連日徹夜させられたんじゃ、やる気もなくなるっつーの」

 

 現在、時刻は深夜の12時を過ぎているけど、リハーサルはまだまだ長くなりそうだ。終わるのはきっと、明け方近くになるだろう。こんな状態が、もう1週間近くも続いているのだ。

 

「だいぶ荒れてたから、すぐには戻ってこないよ」と、隣のちはるさんが笑う。

 

 早海愛子さんと並木ちはるさん。二人ともアイドル・ヴァルキリーズ一期生で、ランキングは16位と24位。ランクインこそしているものの、一期生の中では、どちらかと言えば下位の方である。

 

 ちはるさんが、あたしを見た。「ちょうどいいや。カスミ、あたしたち、裏で休んでるから、由香里が戻って来たら、教えて」

 

 そう言って、行ってしまおうとする。またか、と、あたしは心の中でため息をついた。

 

 愛子さんとちはるさんは、ヴァルキリーズではちょっとした問題児だ。練習をサボったりするのは当たり前、先輩風を吹かせて後輩メンバーをパシリに使ったり、些細なことで怒鳴ったり、時にはケンカをしたりで、特に後輩メンバーから、かなり敬遠されている。厄介なことに2人とも武術の腕前は高く、愛子さんは柔道の有段者、ちはるさんはアメリカ軍隊で使用されている格闘技・マーシャル・アーツの達人だ。だから、後輩メンバーはもちろん、同期の人たちでも、あまり強くは言えない。

 

 そのまま会場を出て行こうとする2人だったけど。

 

「ちょっと、2人とも。待ちなさいよ」

 

 高い、それでいて重みのある声が止めた。

 

「あん? なんだよ?」

 

 振り返り、まるで不良学生のような目つきで声の主を睨む2人。しかし、それが亜夕美さんだと分かると、ちっ、と、舌打ちをして、めんどくさそうな表情で視線を逸らした。

 

 2人を止めたのは、本郷亜夕美さんだ。アイドル・ヴァルキリーズ一期生で、ランキング2位。薙刀の達人で、高校時代は全国制覇をしたこともある。ヴァルキリーズ屈指の武闘派で、愛子さんとちはるさんを注意できる数少ないメンバーの1人である。

 

 亜夕美さんは2人に臆することなく、ハッキリとした口調で言う。「あんた達、今キャプテンが言ったこと、聞いてなかったの? 本番まで時間が無いんだよ? 5大ドーム公演の一番最初の舞台で、失敗なんて許されないのよ? サボってるヒマなんてないでしょう。ちゃんと練習しなさいよ!」

 

 愛子さんは頭をがしがしと掻いた。「はん。知るかよ。コンサートったって、どうせ目立つのはお前ら『推され』メンバーだけだろ? やってられっかよ」

 

「そうそう」と、ちはるさんも言う。「あたしたち『干され』メンバーなんか、どうせ誰も見てないだろうし、少しくらい歌や振り付け間違えたって、バレやしないよ。頑張るだけムダ」

 

 そして、2人で笑った。

 

 あたしたちアイドル・ヴァルキリーズに限らず、大人数のアイドルグループでは、人気が出るメンバーと、そうでないメンバーに別れてしまう。理由は色々だが、やはり、事務所やプロデューサーなど、いわゆる「運営」の意向が大きく影響していると思われる。早い話、運営側が「この娘はイケる」と思ったメンバーは、積極的に売り出され、テレビや雑誌などのメディアへの露出が多くなり、それにつれて自然に人気も上がってくるのである。こういうメンバーのことを、『推され』と呼ぶ。キャプテンの橘由香里さんや、ランキング2位の本郷亜夕美さんが、『推され』の代表だ。逆に、運営側から特に目を掛けられることも無く、メディアへの露出も控えめで、全く人気が出ないメンバーのことを、『干され』と呼ぶ。愛子さんやちはるさんは、典型的な『干され』メンバーと言えるだろう。当然、あたしもだが。

 

「じゃ、そういうことで。『推され』様は、頑張って、いいコンサートにしてね」

 

 愛子さんは再び背を向け、手を振りながら行ってしまおうとする。

 

 と。

 

「――はあ。そんな考え方だから、いつまでたっても『干され』メンバーなんですよ」

 

 ぼそり、と、誰かが言った。

 

 ヤバイ――その場にいた全員が、息を飲む。まるで空気が凍りついたかのような雰囲気。その声と口調だけで、誰が言ったのか、この後どうなるのか、簡単に想像がつくのだ。

 

 愛子さんとちはるさんは足を止め、振り返り、声の主を鬼のような形相で睨んだ。「――エリ、今、なんか言ったか?」

 

 睨まれた娘、藍沢エリは、普通の女の子ならすくみ上がってしまうような2人の鋭い視線を気にした風もなく、すました表情で言う。「別に? 何も言ってませんよ?」

 

「『そんな考え方だから、いつまでたっても干されメンバーなんですよ』って言っただろ!?」ちはるさんが凄みを込めた声で言う。

 

「……聞こえてるんじゃないですか。だったら、いちいち聞き返さないでください」

 

「どういう意味だって訊いてるんだ!」

 

「そのまんまですよ。『推され』だ『干され』だ言いますけど、推されるのも干されるのも、それだけの理由があるんです。どうして自分たちが干されているのか? 少し考えれば、分かりそうなものですけどね?」

 

 挑発的なエリの言葉に、愛子さんとちはるさんの2人はどんどん殺気立っていくのが分かる。いつものことなんだけど、ホント、どうにかしてほしい。

 

 藍沢エリ。あたしと同じ二期生で、ランキングは3位。二期生では最高順位で、現在ヴァルキリーズファンの間で大ブレイク中の娘だ。

 

 エリは、武闘派集団のアイドル・ヴァルキリーズでは珍しいお嬢様タイプの娘だ。一応、週2回の剣道の稽古をしていて、それなりの腕前ではあるけれど、彼女の人気の理由は、何と言っても、看護資格を持っていることである。高校では衛生看護科に通っていたそうで、去年、看護資格を取得。『武術もできる白衣の天使』というキャッチコピーで大ブレイクし、ランキング12位から、一気に9ランクアップの第3位にランクイン。見事、称号“ゲルヒルデ”を獲得したのだ。また、看護師らしい面倒見のいい性格で、ファンの人たちだけでなく、多くのメンバーからも慕われている。激しいダンスでメンバーがケガをしたときなど、真っ先に駆けつけ、手早く手当てしてくれるし、コンサートやテレビ番組の収録後は、いつも、手作りスポーツドリンクを用意してくれている。この特製ドリンクがメンバーの間で大好評なのだ。数十曲も歌って踊るコンサート終了後の彼女の特製ドリンクは極上の味わいだ。

 

 ――が。

 

 その面倒見のいい性格の裏に隠された真の顔を、ファンのみんなは知らない。

 

 藍沢エリの真の姿は、『天使』などとは程遠い、『暗黒魔王』とも言える存在なのだ。

 

 今の愛子さんたちとの会話を聞いていれば分かる通り、エリは、とにかく口が悪いのだ。カワイイ外見に似合わず非常に好戦的な性格をしており、売られたケンカは先輩後輩問わず喜んで買う。瞬時に敵の弱点を見破り、そこを的確に狙う。その攻撃ならぬ口撃に耐えられるメンバーは存在しない。ヴァルキリーズでは最も危険な人物である。

 

 そんなエリの天敵と言えるのが、愛子さんたちだ。愛子さんたちはヴァルキリーズのランキングをかなりに気にしていて、後輩メンバーが自分たちよりも高いランクにいるのがとにかく気に入らないらしい。特に、後輩メンバー最高位のエリを目の敵にしていて、たびたびケンカを売っているのだ。ケンカを売られたエリが、我慢するなりスルーするなりすればいいのだけど、彼女はたとえ相手が先輩だろうと武術の達人だろうと、売られたケンカは買うのが信条だ。だから、このようなケンカが日常茶飯事なのである。

 

「――いつもいつも舐めた口ばかり利きやがって。今日という今日は許さねぇ」

 

 愛子さんは怒りに肩を震わせながら、エリに近づく。ちはるさんも、指の関節を鳴らしながら愛子さんの後に続く。2人とも武術の達人だ。週2回の剣道の稽古しかしていないエリに太刀打ちできる相手ではない。なのに、エリは逃げることも、怯えることも無く、相変わらず涼しい顔で2人を見ている。このままではエリは袋叩きにされるだろう。大事なコンサートを前に、ランキング3位のメンバーがケガをしては大変だ。ヘタすりゃ傷害事件となり、コンサートが中止という事態にもなりかねない。早く止めないと。でも、武術の達人である愛子さんとちはるさんを止められる人は、そういない。こういう時はキャプテンの由香里さんの出番だけど、さっき会場を出て行ってしまった。他にあの2人を止められる人と言えば……。

 

「止めなさいよ、2人とも! エリの言ったことは、別に間違ってないでしょうが!」

 

 そう言って、エリをかばうように立ったのは亜夕美さんだった。ランキング2位で、薙刀の達人。

 

 良かった。これでもう安心だ――と、思う娘は、1人もいなかった。むしろ、話はますますややこしくなったと言える。

 

 確かに亜夕美さんは、ヴァルキリーズでは1、2を争う武術の達人で、愛子さんたちを止めることはできるだろう。

 

 しかし、亜夕美さんは亜夕美さんで、実は愛子さんたちよりも頭に血が上りやすい性格なのだ。これは本格的な大乱闘の予感。こうなったら、巻き込まれないようにするのが第一だ。あたしはそっと後退りし、いつでも逃げられる体勢に入った。

 

 が、その時。

 

「まあまあまあまあ。そう熱くならないで。頭冷やして」

 

 そう言って、4人の間に割って入ったのは、小橋真穂さんだった。一期生で、ランキング14位。愛子さんたちと同じ一期生だけど、特に何かの武術の達人というわけではない。あたしやエリと同じく、週2回の剣道の稽古をしているだけだ。また、キャプテンの由香里さんのようなリーダーシップでみんなをまとめるような存在でもない。こう言っては何だけど、真穂さん、大丈夫か?

 

「なんだよ真穂!? 邪魔するなら、てめぇからやっちまうぞ!!」愛子さんは真穂さんにも敵意むき出しだ。

 

「まったく……だれかれかまわず牙をむいて、その辺のチンピラよりもタチが悪いですね」聞こえよがしにつぶやき、またまた火に油を注ぐエリ。

 

「てめぇ! 言わせておけば!! ぶっ殺してやる!!」エリの挑発にさらに怒るちはるさん。

 

「上等だよ! エリを殺るっていうなら、代わりにあたしが相手になってやる!」案の定、話をややこしくする亜夕美さん。

 

「だーかーらー。みんな、とりあえず落ち着きなさい、っての」

 

 真穂さんは4人のペースに巻き込まれることなく、落ち着いた口調でそう言った。

 

 そして、まずエリを見る。「エリ。あんた、ついこの前、『つまらないこと言って、余計な騒ぎを起こすな』って、由香里に注意されたばかりでしょ?」

 

 エリは挑発的なおすまし顔に、少し気まずそうな笑顔を浮かべた。

 

「……そうですね。スミマセン」

 

 そして、ペコリ、と、頭を下げる。

 

 それは、決して愛子さんたちに謝ったわけではないと思うけれど、一応謝罪したから、愛子さんたちも、少し落ち着きを取り戻す。

 

 真穂さんは、今度は愛子さんたちを見た。「あんた達も。いちいち後輩の言うこと真に受けて、怒りなさんな。少し頭を冷やしてきなさい」

 

 そう言われ、じっと、鋭い視線をエリに向けていた愛子さんだったけれど。

 

「フン。今度生意気な口叩きやがったら、容赦しねぇからな」

 

 そう言って背を向けた。

 

「ちょっと待ちなさいってば!」と、亜夕美さん。「サボってるヒマなんかないって言ってるでしょ! 本番まで時間が無いんだから!」

 

 愛子さんたちは「うるせーな」と、またまた振り返った。放っておけばそのまま収まったのに、亜夕美さんが余計な正義感を出すから、またもめそうだ。サボるのは確かに問題だけど、ケンカをされるよりははるかにマシなんだけどな。

 

「いいから、行きなさい」と、真穂さんが愛子さんたちに言う。そして、亜夕美さんを見て。「本番まで時間が無いのは確かだけど、さっき由香里が出て行ったのは、あれ、なんだかんだで、みんなに休憩をあげたんだと思うよ? じゃないと、出て行ったりしないでしょ?」

 

 確かに、そう言われたらそんな気がしないでもない。

 

 亜夕美さん、戸惑ったような表情になる。「そうかもしれないけど……でも! そうだとしても、ホントに休んでるヒマはないだろ? 歌もダンスもめちゃくちゃだし、本番まで時間が無いのは確かなんだ」

 

「あのね。みんなが亜夕美みたいに体力が有り余ってるなんて思わないで。無理をして、怪我したり体調崩したら、元も子もないでしょうが。休むのも重要。違う?」

 

 真穂さんの言葉に、亜夕美さんは、納得がいかないという表情ながらも、それ以上は何も言わなかった。その姿を見て、愛子さんたちは「フン」と、鼻を鳴らし、また歩き始めた。

 

「ああ、それと」と、真穂さん、亜夕美さんの後ろを見る。「深雪。あんたも、行っといで」

 

 亜夕美さんから少し離れたところで、騒ぎに一切関心を向けることも無く、1人、黙々とダンスの練習をしていた人に声をかけた。

 

「え? あたし?」突然声をかけられ、深雪さんは、ダンスをやめ、戸惑った表情で真穂さんを見た。

 

 神崎深雪さん。一期生。アイドル・ヴァルキリーズのランキングは、最高位の1位。誰もが夢見る栄光のセンターポジションを務める、称号“ブリュンヒルデ”の所持者。しかも、今年でなんと、4年連続の1位獲得という快挙を成し遂げている。ファンの間では、『神撃のブリュンヒルデ』とか、『マスター・オブ・ブリュンヒルデ』などと呼ばれており、アイドル・ヴァルキリーズの顔とも言える人だ。

 

「深雪も、相当疲れてるでしょ? さっき居眠りしてたの、見てたよ」真穂さんは笑いながら言った。

 

「あはは。バレてた?」ペロリ、と、舌を出す深雪さん。

 

 コンサートを3日後に控え、寝るヒマもないくらい大忙しのヴァルキリーズだけど、深雪さんに関しては、その中でも群を抜いているだろう。

 

 現在美雪さんは、コンサートの練習と並行して、映画の撮影も行っている。日本を代表する映画監督の新作で、しかもヒロイン役だ。深雪さんは女優志望で、夢へと大きく近づく1歩である。これが他のメンバーなら、コンサート出演を辞退して映画に専念してもいいくらいだ。でも、残念ながら深雪さんは、誰もが認めるヴァルキリーズの絶対的エースである。コンサートに出ないわけにはいかない。もちろん、映画の撮影に穴を空けるわけにもいかず、コンサート会場と映画の撮影所を行き来する、超ハードなスケジュールが続いている。間違いなく、メンバーで一番疲れがたまっているはずだ。

 

「でも、大丈夫だよ」深雪さんは、多くのファンを虜にしている自慢の笑顔を向ける。「由香里の言う通り、コンサート本番まで時間が無いのに、デキは最悪。あたし、ただでさえ練習に参加できてないのに、休んでなんかいられないよ。今日も朝から映画の撮影だから、次、いつ合流できるか分からないし。それに、こんな時にブリュンヒルデが休んでたら、示しがつかないでしょ?」

 

「ブリュンヒルデだから、だよ」と、真穂さんも笑顔を返す。「深雪に倒れられたら、みんなが困るんだから。ファンの人たちにも心配かけちゃうよ?」

 

「うーん、でも――」と、唸る深雪さん。

 

 真穂さんは、今度はみんなに向かって言った。「みんなも、時間が無くて焦る気持ちはあるだろうけど、無理だけはしないでね。辛かったら、遠慮なく休みなさい。ただし、キャプテンが戻って来るまでね」

 

 真穂さんの言葉で、みんな笑顔に戻った。

 

「ほら、深雪。行っといで」再び深雪さんを見る真穂さん。「あんたが休まないと、他の娘が休めないでしょ?」

 

 深雪さんほどではないけれど、連日の徹夜で、みんな、かなり疲れがたまっているのは確かだ。でも、誰が考えても一番疲れている深雪さんが練習している姿を見れば、愛子さんたちのような人を除き、みんな、休むわけにはいかなくなる。

 

 深雪さんは、みんなを見て、言った。「――じゃあ、そうさせてもらおうかな。ありがとね」

 

 そして、真穂さんにウィンクをして、愛子さんたちの後を追う。亜夕美さんは、特に何も言わなかった。それに安心したのか、みんなもリラックスした雰囲気になった。

 

 真穂さん、スゴイな。あの殺伐とした雰囲気を、一気に和らげちゃった。まるでキャプテンみたいだった。

 

 真穂さんは、アイドル・ヴァルキリーズ一期生として、グループの立ち上げ時から所属。パワフルなダンスはヴァルキリーズトップクラスと評判で、現在ランキングは14位。どちらかと言えば『推され』メンバーに属している。

 

 しかし、最初から『推され』だったかと言えば、実はそうではない。

 

 真穂さんは無理な練習を重ねたためか、デビュー後まもなく、右足を疲労骨折。長期療養を余儀なくされた。リハビリを続け、1年後、復帰を果たすものの、ランキングでは圏外。目立たないポジションでの活動が続くけど、その後、地道に努力を重ね、徐々に順位を上げていく。そして、今年春のランキングでは14位獲得となったのである。最近はテレビや雑誌などのメディアへの露出も増えてきていて、この調子でいけば、次回のランキングで称号獲得も夢ではない。そんな苦労人で努力の人だからこそ、あたしみたいな『干され』メンバーにとっては憧れの存在である。また、エリや亜夕美さんや、深雪さんはもちろん、不良メンバーである愛子さんやちはるさんさえも、一目置いてるんだろうな。

 

 真穂さんに「休んでもいい」と言われたので、会場は一気にリラックスした雰囲気になった。さすがに愛子さんたちのように会場を出て行く娘はいなかったけれど、スマホやケータイをいじったり、仲のいい娘同士でお喋りしたり、本当に疲れている娘は座った姿勢のまま寝たりと、各自休憩を取り始めた。もちろん、亜夕美さんをはじめとした真面目なメンバー(と言うよりは、真穂さんの言った通り、体力が有り余っている人たちだけど)は、ダンスの練習や進行の確認をしていたりするけれど、基本的にはだらけモードである。

 

 ……うーん。真穂さんいわく、「キャプテンはなんだかんだで休憩の時間をくれた」とのことだけど、さすがに帰って来てこの状態だったら、また怒られるんじゃないだろうか? それに、ちはるさんから、キャプテンが戻って来たら知らせるように言われている。しょうがないな。あたしはキャプテンが出て行った東側の会場出入口へ向かい、帰って来ないか見張ることにした。

 

 

 

 

 

 


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