東方双夢譚   作:クジュラ・レイ

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15 黒服

 霊夢が必死に説得を続けたところ、懐夢はとうとうその口を割り、天志廼の場所を霊夢に教えた。

 天志廼は妖怪の山の、かつて八俣遠呂智が封印されていた神殿があった場所よりも更に奥のところにある、大きな扉の向こうにあるらしい。

 霊夢はそこは盲点だったと思った。何故ならば、妖怪の山の、かつて八俣遠呂智が封印されている場所の更に先にあるのは外の世界へ続く結界だからだ。――天志廼は外の世界への境界のぎりぎりの場所に存在しているらしい。まさか、そんな場所に街があるなんて思いもよらないし、第一思いつきもしない。その辺りの点から考えても、天志廼は見つけづらい場所にあるなと思った。

 霊夢は天志廼の場所を把握すると、再び妖怪の山の天狗の里へ向かい、天志廼の情報を欲しがっていた文に天志廼の場所を発見した事を伝えた。文は天志廼の情報を見つけるべく、幻想郷の空を右往左往していたのは何だったのかと怒りの声を上げた。しかし、霊夢がそのお詫びに天志廼へ連れて行くと文に言ったところ、文の怒りはすぐに治まり、目を輝かせ始めた。

 怒りを鎮めた文に、霊夢は、明日、天志廼へ出かけると伝えた。霊夢が文を再び訪れた時には、もう夕暮れ時だったからだ。文は確かに明日の方がいいと納得してくれたが、霊夢は更に、明日の午前十時に天志廼へ向かう事、天志廼へ向かうのは自分の他には慧音、魔理沙、早苗、懐夢がいる事を伝えた。

 何故このような面子なのかと文が問うと、慧音と懐夢は師匠である霊紗に会うため、魔理沙は何か起きた時の用心棒として、早苗は幻想郷を学ばせるためだと霊夢は説明した。文は霊夢の説明に満足すると、準備のために自分の家である御殿へ帰って行った。

 霊夢は文との打ち合わせを済ませると、慧音、魔理沙、早苗の元へ向かい、天志廼という未知の街へ共に向かってくれる事を頼んだ。魔理沙は興味津々な様子で霊夢の頼みを受け入れてくれ、早苗は何だかあまり機嫌がよくない様子だったが、幻想郷の未知の部分を学ぶ事が出来るという理由で承諾してくれた。

 そして慧音はというと、天志廼の場所を見つけたと言われるなり、目を見開いて「本当か!?」と喰い付くように迫り来た。霊夢は慧音の反応を見て、慧音がかなり深刻に懐夢の師匠に会いたがっていた事を把握し、心の隅で嬉しさを感じながら明日の午前十時に天志廼へ向かう事、魔理沙、早苗、文、懐夢が共に向かう事を告げた。

 慧音は霊夢の言葉を素早くメモに書き写し、この時を待っていたと言わんばかりに、霊夢に、天志廼へ向かい、霊紗に会って懐夢の事を何とかしてもらおうと言った。

 霊夢は勿論だと言って慧音と固く約束すると、寺子屋を出て、夕暮れに染まる街の上空へ飛び上がり、博麗神社を目指して飛んだ。

 秋の匂いを運ぶ風を浴び、博麗神社の上空をへ到着し、博麗神社の境内に降り立ち、早く義弟の元へ行かなければと思って、神社の中へ入り込もうと歩みを進めたその時だった。

 

「ふん、ふん、ふん、ふん、ふん、ふーん、ふん、ふん、ふん、ふん、ふーん。ふん、ふん、ふん、ふん、ふん、ふん、ふんふー、ふーふー」

 

 どこからともなく声が聞こえてきて、霊夢は足を止めた。

 鼻歌だった。それもかなり聞き覚えのある声によるものだ。いや、そんなに聞いているわけじゃないのに覚えてしまった声と言った方が正しい。

 そしてその鼻歌は、屋根の上の方向から聞こえてきていた。

 

(この声は……!)

 

 霊夢は声の聞こえてくる屋根の上の方へ目を向けて、声の根元を見つけると、驚きを混ぜたような声で言った。

 

<黒服>(クロ)!」

 

 屋根の上にいたのは、黒い服を身に纏い、穏やかな微笑みを顔に浮かべた深紅の瞳の『自分』だった。

 あれと出会って数十日が経ってから、霊夢は黒服を身に纏った自分の事は、<黒服>と呼ぶようにしていた。しかし、<黒服>とはそれから全く会う事がなかったから、黒い服を着た『自分』の事を<黒服>と呼ぶのはこれが初めてだった。

 <黒服>は相変わらず穏やかな微笑みを顔に浮かべて、血のように紅い瞳で霊夢を見ながら、声をかけてきた。

 

「お久しぶりです霊夢。一月ぶりですけれど、元気にしていましたか?」

 

 霊夢はぎっと<黒服>を睨みつけた。<黒服>は自分と視覚などを共有しているらしく、自分の身に起きた事を全て知り尽くしている。だから、自分が元気にしていたかどうかなど、筒抜けだ。

 

「全部見てるくせに、何を言ってるのよ」

 

 <黒服>はうふふと笑った。

 

「そうでしたね。貴方の身に起きた事は全て知っております。

 季節の変わり目で具合を悪くしてしまうのではないかと思ってしまいましたが、そんな事はなくて安心しましたよ」

 

 <黒服>は神社の屋根に腰を掛け、両手を頬に当てた。

 

「さてと……貴方に関しての話は、どこからにしましょうか。近頃貴方の身には、沢山の出来事がありましたからね」

 

 霊夢は首を横に振った。

 

「言わなくていい」

 

 <黒服>は「あぁ」と言って何かを思い付いたような表情をした後、微笑んだ。

 

「そういえば、貴方のかわいい懐夢が帰ってきましたね。懐夢が帰ってきた事によって、貴方はとても喜んでいました」

 

 霊夢は目を見開いた。

 <黒服>は少しだけ眉を寄せた。

 

「でも悲しい事に、懐夢は強くなったけれど、とても大きな問題を抱えて戻ってきてしまった。

 その解決策を今必死に考えているところでしたね。良い事です」

 

 霊夢は怒りに満ちた表情で<黒服>を睨んだ。

 

「お前、何のつもりよ」

 

 <黒服>は首を傾げた。

 

「何のつもり、と言いますと?」

 

 霊夢は鋭い目で、<黒服>を指差した。

 

「お前の目的は幻想郷を滅ぼす事だった。なのに、私の事をそんなに気にして、何のつもりなのよ。

 滅ぼすんなら、滅ぼす異変をさっさと起こしなさいよ。その時に、お前を消したげるから」

 

 <黒服>は困ったような表情を浮かべた。

 

「それは叶わないのよ」

 

「何故。あんたはあの化け物……『黒い花』を生み出しているじゃない。

 あれをいくつも生み出せば、幻想郷を滅ぼせる異変を起こせるんじゃないの」

 

 <黒服>は首を横に振った。

 

「『黒い花』はそんな事に使えるものじゃないの。『黒い花』はあくまでちょっとした目的のためだけに動くものであり、幻想郷を滅ぼすためには使えないのよ。……まだね」

 

「ちょっとした目的のためだけに動く? どういう事よ」

 

 <黒服>はふふっと笑った。

 

「その辺りは自分で調べなさい。あまり口を割る事は出来ないの」

 

 霊夢は素早く地面を蹴り上げて宙に舞い上がり、<黒服>に掴みかかった。

 しかし、<黒服>は霊夢が迫り来る前に屋根から宙へ飛び上がり、霊夢の攻撃を回避した。

 <黒服>は上空から霊夢を見下しながら、静かに微笑んだ。

 

「言ったはずよ霊夢。真実に辿り着きたいのであれば、探求なさいと。

 そして、明日貴方は天志廼の地で探求を深める事になるでしょう」

 

 霊夢は懐から札を取り出し、構えた。

 

「……邪魔しようっていうの? それとも『黒い花』を遣わせる気?」

 

 <黒服>は首を横に振った。

 

「いいえ。わたしは出来れば、貴方に早く真実に辿り着いてもらいたいのです。

 そうすれば、貴方は全てを悟り、わたしも、もっと自由に動けるようになるのですから」

 

 霊夢はぎりっと歯を食い縛った。

 

「そんな事をするよりも、お前を半殺しにしてやれば、聞き出せそうな気がするけれど」

 

 <黒服>は首を傾げた。

 

「わたしを半殺しに? 半殺しにされかけた貴方が、ですか?」

 

 <黒服>は首を横に振った。

 

「そんな事は言うものではありませんよ、霊夢。本当に、心の底からやりたい事を理解していない貴方が、わたしに勝てるわけがありません」

 

 霊夢はついに怒りが頂点に達したのを感じ、怒鳴り、スペルカードを構えた。

 

「言いたい放題言ってんじゃないわよッ!!」

 

 霊夢は<黒服>に狙いを定めると、スペルカードの名を宣言し、発動させた。

 

「霊符「夢想封印」」

 

 霊夢の声が周囲に響き渡り、霊夢の両手に七色に輝く光弾が出現したその時だった。

 <黒服>が刹那ともいえる時間の中で一気に霊夢との間合いを詰め、霊夢のすぐ目の前まで近付いた。

 <黒服>が突然目の前に現れた事に霊夢が驚こうとした次の瞬間、<黒服>はそっと手を伸ばし、霊夢の胸元に触れた。

 

「少し大人しくなさい。まぁ、血の気が多い事は嬉しい事なのだけれど」

 

 <黒服>に胸を触られた瞬間、霊夢は胸に急な痛みを感じてつんのめった。

 

「ぐぅ―――ッ!!?」

 

 時折来る、心臓を何かに力強く掴まれて、胸のあちこちを鋭い牙を生やした得体のしれない生物に噛まれて、食い破られようとしているかのような、気が狂いそうな痛みに、霊夢はたまらず姿勢を崩し、屋根へと落ちた。がしゃん、と瓦が鳴り、ぶつかった時の衝撃と傷みを受けて、霊夢は声にならない悲鳴を上げた。

 あまりの痛みに息が詰まり、呼吸が出来ない。数えきれないほどの蝉が鳴いているかのような激しい耳鳴りで音が聞こえず、目の前が銀色と金色と白金色に光っているように見えて、何が見えているのかもわからない。

 自分は<黒服>にやられてこうなっている事は思い出せる。<黒服>からすれば、今の自分は仕留める事が容易い、格好の獲物だ。きっと<黒服>は自分の事を狙っているに違いない。何故なら、自分の計画を頓挫させようとする、邪魔者以外の何物でもないのだから。

 自分はこのまま、<黒服>に殺されるのだろうか。

 その時、耳鳴りに紛れて<黒服>の声が聞こえてきた。

 

「その痛がり様は……うんうん、かなりいいところまでいってるって事なのね」

 

 <黒服>が何かに感心しているかのような声の後に、黒の母親のような優しげな声が聞こえてきた。

 

「大丈夫よ霊夢。貴方は死なない。貴方はわたしの大切な子なのだから、死にはしないわ。

 この痛みについても、貴方は探求する事になるわ。原初の地にて、沢山知識を得てきなさい。

 原初の地での知識は、確実に貴方の探求を手助けするわ。早く真実に、わたしのところに辿り着いて頂戴ね。私のかわいい霊夢……」

 

 <黒服>の声が聞こえなくなると、霊夢は<黒服>を逃がすかと思って手を伸ばしたが、何にも触れなかった。そして、耳鳴りがさらに強くなったところで、目の前が真っ白になった。

 

 

               *

 

 

 次に目を開けた時、最初に霊夢は温かくて柔らかい布団の上に寝ている事に気付いた。

 目の前には見慣れた形状の天井が広がっている。いつも使っている、寝室の天井だ。自分は今、寝室にいる。

 辺りはすっかり暗くなっていて、行燈が部屋を小さく照らしている。いつの間にか、夜になったらしい。

 霊夢は軽く起き上がると、<黒服>に触られた胸を見た。痛みはすっかり引いており、耳鳴りもしない。いつもどおり、ある程度傷んで、引いたのだ。

 

(……)

 

 霊夢は胸痛を起こした時の事を思い出した。あの時の痛みは今までどおり自然に来たわけじゃなく、<黒服>に触れられた事によって発生したような気がする。まるで、<黒服>が自分に痛みを与えて来たかのような……。

 もしかして、今までの胸痛の原因は、<黒服>だったのだろうか。だとすればいつから……。

 考えたその時、霊夢は横に誰かが座っている事に気付いて、その方に目を向けた。

 そこには、正座して、膝に手を付けた姿勢のままで、ぐっすりと眠っている懐夢がいた。

 しかも懐夢と来たら、頭の重さに引っ張られるように身体を傾けていくが、ある程度傾けたところで目を閉じたまま、びくりと頭を起こすというのを繰り返していた。……今まで一緒に暮らしてきた中では見せなかった面だ。

 よっぽど疲れているのか、全く起きる気配を見せなかった。

 

「懐夢……?」

 

 霊夢が声をかけても、懐夢は起きず、身体をぐらぐらと言わせていた。

 霊夢は身体をそっと動かし、懐夢に手が届くくらいの位置まで行ったところで、懐夢に手を伸ばして、肩に軽く触れた。その次の瞬間、懐夢の頭は一気に傾き、体勢を立て直さないまま、どすんっという音を立てて床に激突。霊夢は驚き、懐夢へ声をかけた。

 

「ちょ、懐夢!?」

 

 懐夢は呻き声にも似た声を出しながら、ゆっくりと身体を起こすと、痛みを感じているのか、額を撫でながら何が起きたのかわからないような顔になって、辺りを見回した。

 霊夢は何度も瞬きをしながら懐夢の事をしばらく見ていたが、やがて懐夢は霊夢と顔を合わせて、小さく霊夢の名を読んだ。

 

「霊夢?」

 

 霊夢は何も言わずに懐夢の事を見ていたが、やがて懐夢は意識がはっきりしたような顔になり、目を見開いて霊夢に近付いた。

 

「霊夢! 目、覚めたの?」

 

 霊夢は頷いた。

 

「えぇ、何とかね」

 

 霊夢の答えを聞くなり、懐夢は安堵したような表情を顔に浮かべて、深い溜息を吐いた。

 

「よかった……屋根の方ですごい音が聞こえて、行ってみたら霊夢が倒れて動かなかったから……」

 

 霊夢は「あぁ……」と言った。

 

「ちょっと良からぬ事が起きてね……それで倒れちゃったのよ」

 

 霊夢は懐夢から視線をそらし、枕元に置いてある時計の文字盤へ向けた。

 時計は午後九時を指していた。

 

「夜になるまで寝ちゃってたのね……」

 

 懐夢は不安そうな顔になった。

 

「それって、あの時と同じ?」

 

 霊夢は懐夢へ視線を戻した。

 

「あの時って?」

 

「ほら、前に胸の痛みで倒れた事あったじゃない。それと同じって事?」

 

 霊夢は頷いた。

 

「そうよ。前と同じ痛みが来てね。たまらず気を失っちゃったみたいなの」

 

 懐夢は霊夢の手を両手で掴んで、霊夢と顔を合わせた。

 

「そんな事になったって事は、霊夢、病気なの?」

 

 霊夢は首を横に振った。

 

「病気じゃないみたいなのよ。気絶するくらいの痛みが胸に来るっていうのにね」

 

 懐夢は顔を蒼褪めさせた。

 

「病気だよ! 何もないのに胸が痛くなるなんて、ないよ!」

 

 霊夢も懐夢と全く同じ気持ちだった。

 胸に来るこの痛みは病気によるものとしか考えられない。

 だが、この幻想郷で最も腕のいい医者である永琳は病気ではない、胸に異常はないと嘘を言っていない顔と目で言ったから、病気ではないらしい。

 その言葉を受けて、病気でないなら胸に何かがいるんじゃないかと考えた事もあったが、すぐにそれは否定した。何故ならば、胸に何かがいて、何か悪さをしているようなのであれば永琳が真っ先にそれを見つけたはず。なのに、永琳は異常なしと答えた。だから、自分の胸には何ら異常はないのだ。

 だけど、そう決め付けてしまうとこの痛みの原因が何なのか、何によるものなのかが不明になる。何の異常もないのに、こんな気絶するような痛みが来るだろうか。こんな痛みが、襲うのだろうか。そして、このまま痛みに襲われ続けたらどうなってしまうのだろうか。やはり、死ぬのだろうか。

 

「病気じゃないのよ。永琳に言われた」

 

 懐夢は「え?」と言った。

 

「永琳先生が言ったの? 霊夢は病気じゃないって?」

 

 霊夢は頷いた。

 

「そうよ。だから私のこの痛みは病気じゃないの。何か、わからないものなの」

 

 その時、霊夢は気付いた。懐夢の手が小刻みに震えている。

 身体の方に目を向けてみると、同じように身体も震えている。

 懐夢の異変に気付いた霊夢が声をかける前に、懐夢は唇を震わせながら言った。

 

「それを放っておいたら、霊夢、どうなっちゃうの?」

 

 霊夢は俯いた。

 

「わからない。何なのかわからない痛みだから、放っていたらどうなっちゃうのか、わからないわ」

 

「まさか、死んじゃう、とか?」

 

 霊夢は顔を上げて、首を横に振った。

 

「それはないわ。私は貴方を残して死んだりなんかしない」

 

 懐夢は今にも泣き出しそうな顔になって、俯いた。

 

「でも……」

 

 霊夢は懐夢の頬にそっと手を伸ばして、当てた。

 

「聞いて、懐夢」

 

 懐夢は顔を上げた。

 霊夢は小さく言った。

 

「私はね、貴方を一人にしたくない。だから、死にそうでも死ねないのよ。

 ううん、そもそも死ぬかもしれないなんて考えないわ。だって、貴方ともっと生きていきたいもの。貴方を一人になんかさせたくないもの。」

 

 懐夢は何も言わなかった。

 霊夢は続けた。

 

「だからね、懐夢。これだけは約束するわ。

 私は貴方を一人にして死んだりしない。貴方を勝手に博麗の守り人から降ろしたりしない」

 

 霊夢は微笑んで、懐夢の頭に手を移し、その髪の毛をそっと優しく撫でた。

 

「だから、そんなに不安にならないで。私は大丈夫だから。

 だいじょうぶ、だいじょうぶ」

 

 懐夢は何も言わないまま、頭を撫でられ続けたが、そのうち口を開いた。

 

「本当に、約束だからね」

 

「うん。大丈夫よ」

 

 霊夢が懐夢から手を離すと、懐夢は顔を上げた。

 懐夢の顔を見ながら、霊夢は笑んだ。

 

「明日、一緒に天志廼に行こうね」

 

 懐夢は頷いた。

 その時、霊夢はふと思いついた。

 ひょっとしたら、天志廼にならこの胸痛の正体が書かれた資料などがあるかもしれない。それを見つけ出せば、この胸痛が何なのか掴む事が出来るし、治療法がわかれば懐夢を安心させられる。

 それに、もしかしたら、あの<黒服>の事も、<黒服>が生み出している『黒い花』の事もわかるかもしれない。明日は、探求が深まる日となるだろう。

 

(……明日は、すごく重要な日になる)

 

 霊夢は心の中で呟いた。

 




黒花編 第捌章 天志廼は今回で終了となり、次回から新たな章へと突入します。
ここまで読んでくださった皆様方、ありがとうございました。
良ければ感想や意見、評価等を宜しくお願いいたします。

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