GODEATER EVOLVE   作:マルハン

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第4話 腕試し

平原エリアに到着したハヤトはサクヤと作戦会議を開いていた。

 

「今回の相手はコクーンメイデンだから練習台としてはちょうどいいわ。私は後方から攻撃するから君は奴らの注意を引き付けて。」

 

「他に気をつけておくことは?」

 

「調査書によると未確認のアラガミが辺りに居るかもしれないから出くわしたら私の指示に従って。」

 

「未確認?ひょっとしてお楽しみってそいつですか?」

 

「そ。けど君の実力なら大丈夫じゃないかな。何といっても新型だし。」

 

イタズラっぽく笑いながらサクヤが背中を叩いてくれたことにハヤトも苦笑を隠さなかった。

 

「責任重大ッスね。こりゃ後で追加報酬の申請しとかなきゃな。」

 

「どの道やる気なんだ…。けど得点稼げるいいチャンスよ。頼りにしてるわ。」

 

中央にそびえる竜巻が一際唸ったのが開始の合図だった。

 

 

まずは先手を取ることだ。ハヤトはコクーンの群れが無警戒なのを確認すると打ち合わせ通りに陽動を仕掛けた。足音に気づいたのか、コクーンたちが頭部をこちらに向け光球を発射する。ハヤトは立て続けに回避行動をとり盾で弾きつつ前進し、すれ違いざまに剣を一閃した。コクーンの表皮が破れ、体液が噴き出る。その直後、ハヤトが斬りつけた部分に数発の弾丸が命中し、コクーンは大きく仰け反った。サクヤが敵の射程外からスナイパー型神機で狂いなく同じ軌道の砲撃を放ったのだ。身動きがとれないコクーンはさらに背後からハヤトの連撃を受け、二度と動かなくなった。

 

「やるじゃない。これなら早く終わりそうね。」

 

「サクヤさんの援護があったからッスよ。やっぱりベテランの人と組むとやりやすいですね。」

 

「もう、おだてても何も出ないわよ。さて…そろそろかしら。」

 

と、サクヤが空を見上げるとその方向から黒い卵のようなものが飛んできた。よく見ると左右に羽が生え、真ん中には白い彫像に似たものが張り付いている。

 

「ザイゴートよ。戦闘音を探知して集まってきたみたい。では新人君、あれを叩いて…」

 

「援護頼みます!」

 

サクヤが言い終らないうちにハヤトは神機を変形させ、アラガミの一団に引き金を引いた。放たれた火線は先鋒を素通りし、後続を掠めるのに留まったが注意を引かせるには十分だった。計4匹のザイゴートがエサに群がる魚の如くハヤトに接近する。が、目の前をサクヤが放った火線に遮られ一瞬硬直し、そのうちの1匹をハヤトは逃さず袈裟斬りにした。

 

「急に飛び出さないでよ、ビックリしちゃうじゃない!」

 

「すいません!」

 

サクヤの怒声に負けないぐらいの声を張りながらエネルギー弾の合間を縫ってきたザイゴートを捉える。巨大な牙を露にしたザイゴートを横っ飛びでかわし再び迫ってきたところに渾身の一撃を食らわせた。

 

「いただき!」

 

クリティカルだったのかうめき声をあげて落下したザイゴートをすかさず捕食しようとした瞬間、頭上から紫の粉が降ってきた。同時に胸に焼けるような痛みが走る。

 

「それは毒よ。早く離れなさい!」

 

だが経験したことのない痛みに戸惑うハヤトに次々と空気砲が当たり、体をいたぶる。仕方なくサクヤがスタングレネードを投げ何とか離脱できたハヤトは手渡された解毒剤を打ち込んだ。

 

「落ち着いて。戦術通りにやれば勝てるわ。」

 

言わんこっちゃない。ジロ、と向けられた視線が痛かったもののすぐに思考を切り替える。どうにかして接近戦に持ち込みたいがもう一度毒を浴びるのはゴメンだ。かと言って自分に射撃の腕がないことは分かりきっていた。あの粉さえ防げれば…。そこまで考えたとき不意に思いつくことがあった。出来ないわけではない。そう結論付けるとハヤトは先程と同じように敵陣に入り込んでいった。当然ザイゴートも毒を溜め込み放出する。そしてそれが届く直前、ハヤトは神機を垂直に構え銃口を格納したままで引き金を引いた。瞬間、銃口にエネルギーが収束し眩い閃光を放ちながら発射された。その爆発は粉を吹き飛ばしザイゴートをまとめて貫通させ、ハヤトも思わずよろめいてしまった。

 

「すげえ…!」

 

これが新型のロング使いだけが扱える新機能『インパルスエッジ』。想像外の威力に目を見張る一方、使いこなせるか?という思いが今更ながら浮かび、ハヤトは生唾を呑み込んだ。

 

 

「リンドウも言ってたけどなかなかのやんちゃさんみたいね。人の話をまったく聞かないんだから。」

 

帰りのトレーラーの中、サクヤはため息混じりに呟きハヤトの頭を小突いた。

 

「けどこれで少しは戦い方を分かる様になってきたんスよ。あとちょっとしたらモノに出来るかもしれないんだ。」

 

豆が浮き出た手を見下ろしたハヤトが自信の表情を浮かべる。

 

「その戦い方には上官の命令を無視することも含まれた?」

 

「あ、いや、その…」

 

一転しどろもどろになったハヤトは弁明の言葉が言えない自分に恨めしさを覚えた。

 

「冗談よ。今回は見逃してあげるけど次からは注意してね。」

 

そう言うとサクヤは作戦前と同じように顔にイタズラっぽい笑みを広げた。




戦闘描写が下手ですいません。なるべくイメージを基に書いているので…

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