ハイスクールD×D ~自堕落主と相談屋~   作:タロー☆マギカ

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モチベーション上がらなかったり、フェイト見たり、試験だったり、モチベーション上がらなかったり、ケンイチ見たり、モチベーション上がらなかったり。やっとのおもいで投稿しますた。

 ……モチベーションを上げる薬とか欲しいなぁ。


摩耶さんキレてます!

 ……さて、この状況をどう切り抜けようか。

 

 さっきの発言からして、摩耶さんが激オコプンプンなのは確実。ヘタに刺激すればかなり募っているであろう鬱憤が俺に向かって一気に放出される。

 

 逃げる、という選択肢が一瞬浮かんだが、俺ごときの脚で摩耶さんから逃げ切るなんて到底不可能。ましてやアーシアを置いて逃げる訳にはいかない。

 

 となると今の俺に残されてる道は何か……真剣に考えなければ殺される!

 

 俺は普段使わないーーーーたとえ授業中だとしても!ーーーー脳みそをフル稼働させ、生き残れるかもしれない唯一の道を模索する。そのために、昔の記憶も引っ張り出す。

 

 何か使える物があるかもしれない……思い出せ、そして今に繋げろ!

 

 ーーーー何?お前そのシスターに惚れたの?ーーーー

 

 ーーーーケジメはつけられたのか?ーーーー

 

 やはり鮮明に思い出せる物といったらあの時の死闘。生まれて初めて誰かの為に命懸けで戦い、そして自分の為に戦ったあの時間。

 

 はっきりいって俺はあの戦いを忘れるコトは無いだろう。あの出来事があったから今の俺が形成されたんだ。忘れてしまえば、俺は何のために力をふるえばいいのか分からないタダの人形になってしまう。

 

 俺は絶対に俺が何のために戦うのかを忘れまいと、固く誓ーーーーて違う!今俺がやりたいのはそんなだいそれたコトじゃない!

 

 俺は今生と死の瀬戸際に立たされてるんだ。ヘタな選択をすれば冗談ぬきで死にかねない。このコトを懐かしんで話せば、

 

 『リア充自慢かボケナス!』

 

 なんて理不尽な怒りが飛んでくるのは必至だ!もっと慎重にーーーー

 

 「それにしても……」

 

 さっきまで残酷極まりない格闘ゲームをプレイしていた摩耶さんは、もうやりきったというような顔をし、手に持っていたコントローラーを放りながら呟いた。

 

 突如耳に入った摩耶さんの声に、俺は意識を向けた。

 

 「昨日の客は他の奴らより一層塞ぎ込んでたな。一体何をそんなに悩んでたんだか」

 

 どうやら昨日、俺とアーシアの知らない間に客が来ていたらしい。摩耶さんの一言を聞く限り、その客が抱えている悩みはかなりの物なのだろう。

 

 何せわざわざ、こんな影の薄い部活にまで救済を望むほどだ。

 

 だが、俺にとってはやっと示された救いの道の一つ!客には悪いがこの話に乗っかって摩耶さんのご機嫌を取る!

 

 俺はアーシアが寝ているベッドの端に腰を下ろし、摩耶さんに昨日の事柄について尋ねる。

 

 「昨日客なんて来てたんですね。一体いつ来てたんですか?」 

 

 とりあえず無難な切り出しで摩耶さんの台詞を誘導する。これで摩耶さんは俺に昨日の出来事を説明せざるを得ない。そこから何か解決策を模索するしか方法はーーーー

 

 「ああ、そっか。そういえばお前ら居なかったっけな。何せお前ら、俺をほっぽりだして二人で仲良くランデブー決め込んでたもんな」

 

 墓穴掘ったぁぁぁあああああ!やべえよ、これ完全にやべぇよ!摩耶さんやっぱりまだ俺らが勝手に帰ったコト根に持ってるよ!

 

 こころなしか摩耶さんの表情に段々陰がさしていってるように見える。キレてるのかな、あれやっぱりキレてるのかな!?

 

 体中のいたるところから嫌な汗が噴き出し、服が肌に吸い付いて気持ち悪い。夏場の体育の授業中みたいな不服感が俺を襲う。

 

 やっぱり素直に謝った方がいいのかな。そうすれば被害は必要最低限の物に抑えられる。そうしよう、やっぱりそうしよう!

 

 俺はベットから跳ねるようにして立ち上がり、電光石火の勢いで摩耶さんの前で正座する。

 

 突然のコトで摩耶さんは俺を怪訝そうに眺めている。

 

 アーシア、父さん、母さん。どうか先立つコトをお許しください!

 

 バン、と激怒した人が机を叩いた時になるような爆音を響かせながら床に手を付き、そのままの勢いでヘドバンを決め込もうとしたところで、

 

 「……すいません。どうやらお取り込み中みたいだったようですね」

 

 後ろから爽やかな、それでいて聞いた者を魅了するかのような声が耳に入った。

 

 俺はこの声の主を知っている。学園中の女子に好かれ、男子には妬まれているイケメン騎士。

 

 「大したコトじゃねえよ。それよか何しに来たんだ、裕斗」

 

 摩耶さんがその名を口にし、俺はその真偽を確かめるために顔を後ろに向けた。 

 

 やはりと言うべきか、木場裕斗が扉の前に立っていた。

 

 木場は現在の状況を理解しかねているのか、表情は困惑してるようで少し固い。

 

 それもそのはずだ。ここは部活として大した行動をしていないのにも関わらず、運動部顔負けの謝罪オーラを出していたら誰でも戸惑う。

 

 「あの、立て込んでるようならまた暇な時に来ますので……」

 

 遂には気を遣ってそそくさと退出しようとする始末。ここらへんの融通が利くあたり、流石はリアス先輩の騎士と言いたいが、今ここで木場に帰られたら俺は再び無言の重圧に身を置かねばならなくなる。それだけは避けたい!

 

 そしてその願いが通じたのか、我が部長はソファーから体を起こし、木場に対面する形で座った。

 「別に構やしねえよ。つうか、今がその暇な時だしな……要件は?」

 

 摩耶さんが仕事モードに入りーーーー相談時にほんの少し真面目になるだけーーーー木場にここに来た用途を話すよう促す。

 

 さっきまで漂っていた謝罪オーラは完璧に消え失せ、俺がやっていた行為も過去の遺物と化した。

 

 俺は何事も無かったかのように別のソファーに座る。ヘタに刺激すればまた空気が変わりそうだからな。

 

 木場も俺達が相談に乗ってくれると分かって安堵したのか、笑みを漏らしながら摩耶さんの目の前にあるソファーに腰を下ろす。

 

 そして、木場がここに来た理由を話し始めた。

 

 「リアス部長についてなんですがーーーー」

 

 「断る」

 

 早!断るの早!木場がまだ何も言ってないのに仕事断ったよこの人!あと相談部が相談断ったらお終いでしょうが!

 

 驚く俺とは裏腹に、木場はこうなるコトが予測できていたのか、特段変わらない様子でしゃべり続ける。

 

 「アナタがそうおっしゃる理由は知っています。それでも僕は、こうやって相談部に足を運んだんです」

 

 「それはとんだ見当違いだな。残念だが他を当たれ」

 

 食い下がる木場に辛辣な言葉を投げ掛ける摩耶さんの意図が分からず、たまらず俺は木場を擁護するために口を開く。

 

 「ち、ちょっと待ってくださいよ!」

 

 「あんだよ?」

 

 「摩耶さん!何でそんなにリアス先輩のコトを目の敵にするんですか!?ケンカでもしたんすか!?」

 

 「別にそんなコトしてねえよ。ただリアスのコトが気にくわないってだけだ」

 

 「気にくわないって……一体なんで?」

 

 分からない。摩耶さんが何を思っているのか理解できない。

 

 あんなに綺麗で、芯があって、慕われているのが一目で分かる程のカリスマ性を持っているあの人が気にくわないなんてーーーー

 

 「俺に夜這い掛けてきた挙げ句、何もしないで帰って行きやがったからな。あんなの只の嫌がらせだろ。こっちは睡眠時間減らされてイライラしてんだ」

 

 「自慢かコノヤローーーーーーーー!!」

 

 分からない。この人の言っているコトがさっぱり分からない!

 

 リアス先輩のような人から迫られたら反応しない男なんていないだろう!それなのにも関わらずこの人は自分の利益(すいみん)を優先して行動してーーーーまさか!?

 

 

 

 摩耶さんってもしかして薔薇方面の人間!?

 

 

 

 「はっ倒すぞボケナス」 

 

 額に鈍器で殴られたような痛みが襲い、気が付くと俺は天井を見ていた。背中からは冷えた鉱物の感触がする。

 

 ……あり、もしかして本当にはっ倒された?

 

 未だ痛みがする額を押さえながら、上体を起こす。

 

 摩耶さんが人差し指だけを俺に向けてるのが視界に入った。……もしかして、デコピンなんかでふっとばされたの?俺。

 

 ていうかこの人また心読んだよね。もう驚かないわ。デコピンで倒されたのはショックだけど。

 

 「……気にくわないんだよ」

 

 摩耶さんが同じ台詞を吐くのを鼓膜で感じ取る。だがその声色はさっきまでのとは違い、理解しがたい何かを孕んでいるように思えた。

 

 悪魔の世界に足を突っ込んだばかりの俺には分からない、何かが。

 

 「誰でも良かったんだよ」

 

 「誰でもって……何が?」

 

 今の摩耶さんに話し掛けるのはかなり抵抗がある。一問一答してるだけで変な緊張感が場を包む。それほど今の摩耶さんは機嫌が悪かった。

 

 「自分を抱いてくれる男が誰でもよかったってコトだよ。今のリアスにはグレモリーの誇りもクソもない。何をどうすればいいか分かってない幼児みたいなもんだ」

 

 「そんなコトはありません!」

 

 摩耶さんが淡々と紡ぐ言葉に、木場は聞き捨てならない事柄があったのか、急に声を荒げる。

 

 「確かに部長は自暴自棄になっている。けれどグレモリーの誇りを捨ててはないし、誰でも良かった訳じゃありません!」

 

 「いいや、誰でも良かった。アイツは俺を男として見てなかった。自分が窮地から脱却するための道具として見ていた」

 

 摩耶さんの雰囲気が徐々に暗いものになっていく。

 

 何者も寄せ付けない、未曽有の領域に潜んでいる何かを引き出してきている。

 

 俺はその正体を漠然とだが知っている。アーシアが入部した時に見せたーーーー『闇』。

 

 俺達の知らない何かが、摩耶さんにはある。そしてそれが、摩耶さんが今キレてる原因なのだろう。

 

 「それがムカつくんだよ……反吐が出る」

 

 この台詞で、確信した。

 

 「……どうしても、相談にのってくれないのですか?」

 

 「嫌だね」 

 

 摩耶さんは相変わらず首を頑として縦に振らず、木場に辛辣な返答を続ける。

 

 ここまで食い下がった木場も、とうとう限界を感じたのか、険しい表情をしながらソファーから腰を上げた。

 

 「……分かりました、失礼します」

 

 踵を返し、俺達に背を向けた木場はそのまま部室を出ようとする。

 

 その背は震えており、拳は硬く握られていた。それだけで、木場がどれほど悔しい思いをしているのか一目で分かる。

 

 ーーーー俺は、知り合いを助ける力すら無いのか!

 

 木場には劣るが、俺も自分の不甲斐なさを歯痒く思う。

 

 会話の核心に触れるコトさえ出来ず、二人の話を黙って聞くコトしか出来なかった。

 

 相談部は相談をするだけ。摩耶さんの方針通りの展開になったが、俺はやはりそれだけでは満足出来ない。

 

 困ってる人を、ましてや友人となれば、手をさしのべーーーー

 

 「相談にのってくれれば、リアス部長が書類の件を会長に何とかするよう言ってーーーー」

 

 「しょうがないなぁ~。コッチに戻りなさい木場君。友人を放っておく訳にはいかないからね」

 

 「……………………」

 

 もう何も言うまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて、裕斗の話を聞いた後、俺達は今オカ研の部室に足を運び、リアス本人から昨日どうしてあんな奇抜な行動を取ったのか問いただそうというわけだ」

 

 「何すかその説明口調?」

 

 「気にするな我が兵士よ」

 

 摩耶さんの言ったとおり、俺達は今四人でオカ研の部室に向かっている。俺、木場、摩耶さんの男三人組と俺の背中で眠っているアーシアだ。

 

 最初はアーシアを連れて行くかどうか迷ったが摩耶さんが、

 

 『アーシアちゃん目を覚ましたら一人置いてけぼり喰らってた、なんて可哀想だな~。しかも周りに知らない男がいて為すすべもなく弄ばれてたりしたら……』

 

 なんてコトを言うもんだから速攻で背に乗せた。

 

 恐らく摩耶さんはアーシアを背負いたくなくて俺に押し付けようとしたんだろう。だがそれは愚の骨頂。摩耶さんに言われずともアーシアは誰にも触らせたりはしない。ましてや俺の隣

を歩くイケメン二人組には!

 

 「おい、隣からなんかすっげ~殺意向けられてんだけど。俺何もしてないよ?裕斗、お前何かした?」

 

 「い、いえ……特になにも」

 

 摩耶さんはあっけらかんとした態度で歩を進め、苦笑いを浮かべる木場が併行する。 

 

 木場は最近苦笑いが板についてきたような気がする。

 

 摩耶さんみたいな自由人に付き合わされた結果だろう。摩耶さんが急に話を聞いてくれるようになった時、部室でも苦笑いをかましてたからな。

 

 「ーーーーッ!」

 

 そんな木場が、今度は眉間にシワを寄せ、顔の筋肉が緊張感で強張ったような表情を見せた。

 

 「……この僕がここに来るまで気付かないなんて」

 

 「どうしたんだよ、木場?」

 

 不意に立ち止まり、騎士の顔になった木場を戸惑いながら凝視する俺。

 

 木場のこんな顔を見るのは、摩耶さんが小猫ちゃんと模擬戦をする時以来だ。二人の間に迸っていた、足が地面に縫いつけられたような緊張感によってあんな顔になった。

 

 つまりーーーー今木場はそれと同等の緊張感を抱いている。

 

 「……結構ヤバいやつか?」

 

 「うん。恐らく……最上級クラスの持ち主だ」

 

 最上級……その言葉がどんなに危険な意味を持つのかは一瞬で理解出来た。

 

 上級悪魔よりも上……言ってしまえば、摩耶さんより強いというコト。

 

 化け物(摩耶さん)を凌駕する化け物が、今から俺達が向かう場所にいるというコトだ。

 

 「繰り返して訊くけど、ヤバいんだよな?」

 

 「うん、そうだよ。どうかしたのかい?」

 

 「いや、だってさ……」

 

 木場が今この瞬間に最上級クラスの気配に気がついたというコトは、木場を凌駕する実力を持っている人物ならその前の段階で気づいていたはずだ。

 

 そして俺達の中で一番の実力者が誰なのかは言わずもがな。その人物が、

 

 「お~い、何してんだよ。さっさと部室行ってリアスから話聞き出そうや。そうすれば俺はソーナからとやかく言われなくなるからよ」

 

 何事も無いという感じで、俺達より速く先に進んでいる。

 

 強烈なプレッシャーを放っている張本人がこの先にいるというのに何があの人の足を止めさせないのか、俺には到底理解出来なかった。

 

 隣で木場が『恐ろしい胆力だね……』なんて呟くが、最早あれはそんな言葉で片付けられないと思う。ただ、これだけは分かる。

 

 ……摩耶さんは俺より、遥か先の領域にいる。




イ「そういえば腕治ったんすか?」

摩「ゲーム出来るくらいには治ったが、無理したらまたポッキリいくな」

イ「例えばどんな?」

摩「小猫ちゃんの蹴り受け止めるとか」

イ「ほぼ治ってんじゃないすか」

 もう少しで完治

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