ハイスクールD×D ~自堕落主と相談屋~   作:タロー☆マギカ

17 / 24
ダンガンロンパ面白いーーーーーーーーーー!
代償は執筆速ry


番外編1 相談部のお仕事 その3

 決闘という概念が一体どういう物なのか、僭越ながらこの俺ーーーーー天童摩耶が説明させていただこう。

 

 ……あのヘンタイの言葉遣いがほんの、ほんのすこ~しカッコイいと思ってしまったためか、『僭越』なんて文字遣っちまった。やっぱ俺にこんな上品なセリフは似合わんね。

 

 まあ、基本的に決闘は自分の名誉の為に闘い、時には何かの事件に巻き込まれた際、無実を証明するために行われた物でもある。

 

 ただまあ、無実を証明したはずの人物が実は有罪だったなんてコトもあり、決闘はその正当性が問われ、最終的には廃止になった。

 

 現に日本でも、決闘は法律で禁止されているからな。

 

 あのヘンタイーーーーーボルドランが俺にけしかけた決闘は言うまでもなく前者の方である。

 

 そしてその申し込み方法は、相手の足下に白手袋を投げつけて、相手がそれを拾えば決闘が受理されたということになる。

 

 他にも相手を白手袋で叩くなどの方法があるらしいが、俺との距離が空いていて、更には両者とも電柱の上に立っていたのだから、ボルドランは俺の胸らへんに手袋を投げてきたのだ。

 

 足下なんかに投げたら拾う前に落ちちまうからな。

 

 俺が古風なんて言ったのは、この手袋のコトを指している。今時決闘なんてするバカいないし、いたとしても決闘状とかで済ますだろうからな。

 

 因みにさっきも言ったが、決闘は法律で禁止されている。……まあ、バレなきゃ犯罪じゃあないんですよ♪

 

 ましてや俺らの裏の顔は日本のーーーーーいや、この世界の法律すら通用しない悪魔そのものなのだ。いちいちそんなコト気にしていたらラチがあかない。

 

 そんなわけで、俺は今現在ボルドランと熾烈を極めた闘いーーーーーもとい決闘を繰り広げている。

 

 「ホラホラホラホラ!どうしたんですか?アナタの実力はこんな物ではないでしょう!?それとも私程度には本気も出さずに終わらせるという余裕ですか!?」

 

 やべえコイツ超うぜぇ。そして根っからの戦闘狂だ。さっきから笑いながら俺に拳を振るってきやがる。

 

 紳士のくせに変態で更には戦闘狂。

 

 コイツ一体何個特徴持ってんだよ。歩くキャラ百科事典かっつーの。

 

 だがしかし、そんなボルドランの一撃が目の前を通り過ぎる度に、肌で空気が振動したような衝撃が感じ取れる。

 

 偶に俺の体を捉えようとする打撃も、受け流しただけで骨に響くような重みがあった。

 

 俺とここまで打撃戦が出来て、尚且つ小猫ちゃんを凌駕しかねない戦闘センス。

 

 ……間違いないわ。こいつの特性は『戦車』だ。しかも不意打ちとかで主を殺したのではなく、己の力のみで倒したのだろう。コイツにはそれほどの実力を感じ取れる。

 

 うわ~、嫌だな~。イッセーも道ふみ外したりしたらこうなるのかな~。

 

 ありもしない未来を想像しているのも束の間、ボルドランが俺の命を刈り取ろうとするために渾身の右ストレートを打ち放つ。

 

 俺はそれを右手の平で受け止めるが、あまりの威力のせいで足に力を入れ、地面から離れないよう踏ん張るのを余儀なくされた。

 

 ボルドランの視界には多分、苦痛で顔を微妙に歪ませている俺が映っているのだろう。ボルドランはほんの少し口角をつり上げ、楽しそうに笑い声を漏らしていた。

 

 その態度が気に入らず、俺は手のひらに収まっているボルドランの拳を捨てるように扱うと、さっきまでだらしなくぶら下げていた両腕の手のひらを交差させるように地面に接着し、そのまま逆立ちをするような姿勢になると、腕を回転させ、連動させるように体自身も回転させる。

 

 体操の開脚のように大きく広げていた両足は、遠心力が味方してくれたおかげで結構えげつない威力を持った蹴りへと昇華した。

 

 簡単に言えば、カポエイラキックみたいなものだ。

 

 「ぐっ……!」 

 

 さすがにこんなトリッキーな動きは予想していなかったのか、俺の蹴りは見事にボルドランの胴体を捉え、呻き声をあげさせるコトに成功した。

 

 あのヘンタイが初めて発した呻き声を聞いた直後、思わず『ざまぁ!』と心中で叫んでしまった。

 

 今までアイツ余裕ぶっこいてた喋り方してたからな……これで少しは紳士ぶるのを止めるだろ。

 

 再び俺とボルドランとの間に距離が出来、嵐のような怒涛の攻撃がようやく止んだ。

 

 ボルドランは蹴られた部位を抑えながら、前髪で隠れぎみになっている双眸で俺の方をじっと睨んでくる。

 

 右手で前髪を掻き揚げ、美男子とも呼べる美貌を露わにしたボルドランは俺に問いかけてくる。

 

 ていうか何で俺の知り合いは結構なイケメンが多いんだろうか。しかもそいつら性格面に措いて悲しき汚点を背負ってるとか……完全にギャグだろ。一番マシなのは裕斗ぐらいだよ、ほんと。

 

 「一つ、訊いてもいいですか?」 

 

 「何だよ?」

 

 「私の調べた情報が正しければ、アナタは私と同じか、それ以上の戦闘狂だと確認しています。それなのにも関わらず、アナタは先程から戦闘を楽しんでいる素振りを一切見せません。……私との勝負は楽しむ程高度な物ではないと?」

 

 「あ?そんなことかよ……お前の訊きたいコトって」

 

 思ったよりくだらない質問が来たので、俺はボルドランが知りたいであろう答えを伝える。

 

 「アーシアちゃんの時はよぉ、イッセーが後でどうにかしてくれる、ていう心の安心……て言うより、余裕があったから楽しんでたんだよ」  

 

 「心の、余裕……?」

 

 ボルドランは俺が何を言っているのか理解できてないのか、俺の台詞を反芻する。

 

 まあ、普通の奴は俺が何を言ってるのか訳が分かんねーと考えるだろうな。……目の前にいる男は普通じゃないけど。

 

 「でも今のこの状況は俺がどうにかするしかないじゃん?あの子の問題だからと言って、お前ら悪魔が関わってるとなっちゃあの子だけじゃどうしようもならない」

 

 つまり俺が何を言いたいのかというとーーーーー

 

 

 

 「楽しむべき戦闘と、やり遂げなければならない戦闘の区別くらいつくんだよ。」  

 

 

 

 そう言って俺が真っ先に思い出したのは二人の男の姿。

 

 一人は俺より年下で、ドラゴンの力を宿しているのにも関わらず俺にまだ一度も勝ってない弟のような存在。そして強い者を求めて戦いの日々を送る程の戦闘狂。

 

 もう一人は俺の義父の一人で、戦闘こそが我が快楽、とまで言える程戦いにドハマりして、戦争が終わった途端再び戦争を起こそうかと考える程の戦争狂。

 

 俺の人格はこの二人がきっかけで形成されたと言っても過言ではない。

 

 だが俺は二人のようにはならない。戦いを楽しむコトだけを考えて、自分が何のために戦っているのかを理解できなかったら、それは只の自己満足だ。

 

 満足した後、その出来事をよくよく思い返してみれば、下らないことしかやってきていない。

 

 そうならないよう、俺は『戦い(ケジメ)』と『闘い(娯楽)』の区別をつけて雌雄を決する。

 

 もう二度と同じ過ちを繰り返さないために。

 

 「お前を今ここでボコボコにする」

 

 首、指、手首。ありとあらゆる関節を鳴らした後、ゆっくりと歩き出しボルドランとの距離を徐々に埋める。

 

 ボルドランは納得のいく答えを俺の口から聞いたからか、不敵な笑みを浮かべながら手に持っているシルクハットを深く被り、

 

 「そうですか……どうやらアナタは私が追い求めている物となりそうだ。そうと決まればーーーーー」

 

 シルクハットを取り、俺に向かって投擲してきた。さながらブーメランのように。

 

 ていうかさっき被ったばっかなのに早速捨てるってどうゆうこと!?最近はジェントルマンが帽子投げるのが流行ってんの!? 

 

 仕方なく俺は足を止め、シルクハットを軽く弾き返そうとした所であるコトに気が付いた。

 

 アイツ……シルクハット捨ててなかったっけ?

 

 戦う前に邪魔だと言わんばかりにどこか彼方へーーーーー。

 

 意識が思考だけに傾いていたせいか、気が付けばシルクハットがかなり俺へと肉薄していた。

 

 さっきまでは只の帽子に見えたそれが、今になってはおぞましい凶器に見えた。

 

 挙げ句の果てには毒々しく、禍々しいオーラを醸し出しているように見えーーーーー

 

 「いや何か変なオーラ纏ってるーーーーー!?」

 

 防御本能が働きかけ、俺は次の動作を急変した。

 

 上半身を九十度以上反らし、紙一重という所でシルクハットが頭上を通過していく。

 

 シルクハットはそのまま旋回し続け、電柱にぶつかった所で勢いを緩めるーーーーーコトはなかった。

 

 物理法則を無視するかのように前進しようとし、遂には電柱をへし折ってしまった。

 

 そのままブーメランと同じ要領で戻ってき、再び俺の命を刈り取ろうと接近してくる。

 

 一体どんな素材で出来てるんだよあの帽子!?

 

 ほんの少し冷静になった俺は跳躍するコトによって攻撃をかわし、目的を見失ったシルクハットは主人に向かって推進していく。

 

 ボルドランは優雅な立ち振る舞いで飛んできた帽子を掴むと、再び頭の上にそれを乗っけた。

 

 「やりますね。只の帽子と油断してくれていれば、今頃アナタもあの電柱と同じ様になっていたというのに……」

 

 「お前……そのシルクハットは一体何なんだ?」

 

 「言うと思いますか?」

 

 「思わねえ」

 

 くそ、コイツ腹立つ!さっき俺が言ってた台詞取りやがった!案外根に持つタイプかよ……面倒くさいコトこの上ないな。

 

 とは言えあのシルクハットの正体が何なのか分からないが故に、迂闊に手が出せない訳で。

 

 裕斗や俺と同じ創造系の神器か?でなきゃ、あんなおかしな威力を持つ帽子がこの世にあるわけないもんな。

 

 もう少し敵の情報を探りたかったのだが、当然向こうは待ってくれない。何度目かになる帽子を取る仕草は、ボルドランが攻撃体制に入るコトを予期してた。

 

 俺は飛んできた帽子をグローブの力で絡め取ったが、未だ推進力を失わずただひたすらに前へ進もうとしていた。

 

 目の前で回転運動を繰り返しているシルクハットを注視していたせいで背中から伝わってくる殺気に気付くのに一瞬遅れてしまった。

 

 ボルドランがいつの間にか俺の背後まで接近しており、既に放たれていた回し蹴りが右腕に炸裂する。

 

 あまりの威力の高さ故、俺は塀の所まで吹っ飛ばされた。

 

 咄嗟に腕で防御したのはいいものの、ハンマーで骨を砕かれたような鈍い痛みが体中を走り抜ける。

 

 「つかこれ……折れてんじゃねえか」

 

 本来曲がらない方向に曲がっている自分の右腕を一瞥し、『砕かれたよう』どころじゃない状況に陥ったコトを鼻で笑う。

 

 もう笑うしかねえよこれ……笑ってねえとすっげえ痛いもん。

 

 尻餅を着いていたままだとカッコ悪いので、俺は地面から臀部を離し、そのまま立ち上がった。

 

 アイツなかなか嫌らしいコトしてくるじゃねえか。あれだけシルクハットを印象づけておいてそれを囮に使うなんてよ。

 

 「どうしました?まさかこれで終わりなんてコトはないですよね?」

 

 エセ紳士はいつの間にか新しいシルクハットを被っており、自分の策が通用したからか顔がさっきよりもニヤツいていた。

 

 くそったれ、その顔絶対に苦痛で染めてやる!

 

 「時にですが……アナタの『兵士』は無事生き残ってるのでしょうかね?」

 

 「あ?いきなりなんだよお前は?」

 

 突然イッセーの話題をフってきたボルドランの意図が読めず、俺は首を傾げた。それと連動して、右腕に鈍い痛みが走る。

 

 ……出来る限り体を動かすのは止めておこう。

 

 「いくら彼が神器持ちだからといって相手は二人。それも兵藤君よりかなりの実力を兼ね備えており、兵藤君の持っている神器は只の『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』。精々彼が私の仲間と戦えるのは五分程度と思いますが?」

 

 「そうか?俺はイッセーが勝つのに全財産賭けてもいいぜ?」

 

 「……やけに自信がおありですね。私の知らない何かが彼にあるとでも?」

 

 「あるね。大ありだ」

 

 俺は左腕を自分の顔の高さまで持って行き、人差し指をピン、と立てた。

 

 「一つ目は俺があいつに提示した報酬。それだけであいつの戦闘力はガラリと変わる」

 

 アーシアちゃんと一線越えられるかどうかが懸かってるからな。今のイッセーは恐らく上級悪魔を凌駕しかねない実力を兼ね備えている。

 

 てゆうかあいつアーシアちゃんと彼氏彼女の関係になったんだからキスの一つぐらい簡単にしろよな。邪魔してんのは俺なんだけど……。

 

 「二つ目はお前が持っているイッセーに関しての情報が間違ってるコトだ」

 

 次に俺は薬指を立て、手をピースサインのような形にした後、ボルドランにもう一つの可能性を示した。

 

 ……左腕動かしてるはずなのに右腕がめさくさ痛ぇ。骨折れたのなんて初めてだからこんな風になるなんて思ってもみなかった。

 

 「……何ですって?」

 

 ボルドランはそこで初めて疑惑の表情を作った。

 

 「お前言ったな。イッセーの持っている神器は只の『龍の手』だって。それを聞いた瞬間、俺はお前の目はまだまだだなって思っちまったよ」

 

 「それは一体どうゆうーーーーーッ!」

 

 ボルドランは信じがたい光景を目にしたせいか、これまでにないくらい瞳孔を開いている。……つかそんなに開いて大丈夫なの?

 

 対して俺は後ろから足音が聞こえるコトから、誰かがコッチに来ているのを理解した。

 

 それが誰かだなんていちいち振り向かなくても分かる。だってソイツは、俺が絶対に勝つって分かってたから置いてきた奴なんだ。

 

 「摩耶さん一体どこまで移動してるんですか!?捜すのに苦労しましたよ!」

 

 息を切らしながらシャウトしているのは言わずもがな、俺の『兵士』だ。

 

 「お疲れさんイッセー。敵さんはどうだった?倒すのに苦労したか?」

 

 「したに決まってるじゃないですか!……つか摩耶さんはまだその変態倒してなかったんすか?」

 

 イッセーが後ろで『俺が最初に倒した。二人相手だったのに先に倒しきった♪』と虫酸が走る台詞を吐いていたが、俺の右腕を見たのかやけに焦ったような声を出した。

 

 「摩耶さんその腕……!」

 

 「大丈夫だって。ハンデみたいなもんさ」

 

 俺は他の筋肉を使うコトによって力が入らない右腕をプラプラと左右に振る。

 

 ふぇぇ、痛いよ~泣きそうだよ~。でも泣いたらイッセー余計に心配するだろうしな……あと高三にもなって泣くのかカッコ悪いから嫌だ。

 

 「ハンデ、ですか。ならこれからはもう少し本気を出してくれるというコトですか?」

 

 ボルドランは露骨に嬉しそうな笑みを作り、頭に乗ってあった帽子を取り外すと同時に俺達に向かって投げてきた。

 

 俺はイッセーの首根っこを掴むと、帽子というな名のブーメランを避けるべく真上に跳んだ。

 

 「うわわわわ、高ぇぇぇぇえええ!」

 

 「黙ってろ、舌噛むぞ……ッ!」

 

 流石に二度目なので今度は感知し、イッセーに『ちゃんと受け身とれよ』と耳打ちし、さっきまで俺らが立っていた所に放り投げた。

 

 「えっ、ちょっ、何ーーーーーーーーーー!?」

 

 我が『兵士』が驚きの声を上げているが、俺はイッセーの心配をしている余裕はない。

 

 「さすがに二度同じ手段は通用しませんか。しかし自分の眷族を逃がす為に自らが囮になるとは、その事故犠牲精神には感服するばかりです!」

 

 俺の更に上の空間を支配しているボルドランは迸る程の殺気を撒き散らしながら、空中で一回転するとそのままの勢いでかかと落としを決めにきた。

 

 体操選手かと思わせられる程の華麗な回転運動とは裏腹に、威力は必殺という質が悪いコトこの上ない攻撃が容赦なく披露される。

 

 「くそが……ッ!」

 

 両腕を十字にクロスさせ、ボルドランからの攻撃に備えたが全ての威力を吸収しきれず、三振した野球選手がヘルメットを地面に投げるような勢いで落下していった。

 

 背中からかなりの激痛が走り、路面に叩きつけられたコトを自覚する。

 

 「がっ……!」

 

 やべぇ、最悪。右腕は神器で無理矢理動かしたからかもう感覚すらないしさっきのでかなりダメージが溜まった。あと同じのを二、三発もらったら多分オチる。

 

 最悪なシチュエーションが頭に浮かび、それを否定するかのように二本の足で立ち上がる。

 

 「摩耶さん!」

 

 「でぇじょうぶだって。ハンデみたいな……もんさ」

 

 空元気を振り回すが、生憎イッセーにもバレる始末。そろそろ本格的にやべぇな。 

 

 「…………くくっ」

 

 ボルドランは勝利を確信したのか低い笑い声を漏らし、

 

 「ハハハハハハハ!」

 

 堂々と大声で笑い出した。

 

 「勝てる、勝てるぞ!私は遂に目的を達成するコトが出来る!アナタという強敵に打ち勝てば、『奴』も私を無視するコトは出来なくなる!」

 

 一体何言ってんだコイツは?アドレナリンが分泌されすぎておかしくなったか?

 

 イッセーもボルドランを怪奇を見てるような目で見つめーーーーー

 

 

 

 「私はもう一度、『白の龍』と戦える!」

 

 

 

 ーーーーーその言葉を聞いた瞬間、俺は何故だが、風前の灯火に近かった闘志が蘇るのを感じた。

 

 ボルドランは、『アイツ』と戦ったのか?しかもあの言い方だと、どうやら『アイツ』に負けたらしいが。

 

 「アナタは私の目的の為の架け橋になる!私は今ここでアナタと兵藤君を完膚無きまでに叩き潰しーーーーー」

 

 ボルドランが最後まで言いたかったであろう言葉を紡ぐコトは出来なかった。何故なら、

 

 「ギャーギャーギャーギャー喧しいんだよ、石油王。いいからとっとと決着つけようぜ」

  

 俺が神速とも呼べるスピードでボルドランに接近し、アイツの腹を思いっきり蹴り飛ばしたからだ。

 

 もう限界、みたいなコトをさっきまで言ってたが前言撤回だ。コイツは何があってもぶっ潰す!

 

 「おいイッセー」

 

 「な、なんすか!?」

 

 しゃべりかけられるとは思ってなかったのか、それとも俺がいつもの調子を取り戻したコトを不思議に思っているのか、イッセーは困惑したような声を発した。

 

 そんな我が『兵士』に、俺は絶対的な自信を持って宣言する。

 

 「絶対に勝つからよぉ、最後まで俺の戦い見とけよ」

 

 イッセーは少し驚いたような表情をしたが、すぐにいつもの明るい笑みを作った。

 

 「ウス!信じて待ってますから!」

 

 「お前ソレアーシアちゃんみたいな可愛いヒロイン系の女の子が言う台詞だぞ」

 

 最後の最後までおちゃらけた態度を取った俺は、直ぐにボルドランのいる方へ体を向けた。

 

 ボルドランも既に体制を整えており、何回か地面を転がったのか服装がかなり乱れていた。

 

 「さーて、アルマゲドンとしゃれこもうか?」

 

 俺とボルドランは戦闘狂の証である『笑み』を作り、第二(ラウンド)へと突入した。




イ「そういえば何でボルドランのコトを石油王って呼んだんですか?」

摩「いやほら、帽子武器にして戦うなんてまるっきりあの人じゃん」

イ「……それって誰ですか?」

摩「スピードワーーーーー」

イ「はいアウトーーーーー!」

正直ここまで続くとは思ってなかった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。