ハイスクールD×D ~自堕落主と相談屋~   作:タロー☆マギカ

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「あ!ダークポケモンがいるわ!」
そんなコトを言う女の子と旅をするゲームをまた始めだした今日この頃。
そしてサブタイトルがもう限界。これからは『~ます!』じゃなくなるかもしれません。ある程度はがんばりますけど……


これからの日々、今までの日々

 「ア、アーシア・アルジェントです!これからは相談部の皆様と共に活動させて頂きます!よろしくお願いします!」

 

 「アーシアちゃんカタい、カタすぎるよ。もう少し柔軟になっても俺はいいと思うけどな~。それから皆様とか言ってるけど、他のメンバー俺とイッセーしかいないからね?」

 

 相談部部室内でアーシアの律儀な自己紹介が終わり、摩耶さんがそれに口出しする。俺も一瞬そう思ってしまったが、それがアーシアの魅力でもあるのだから仕方がない。仕方がないと思うな!うん!

 

 ーーーーあの戦いから少ししたある日、アーシアが正式に駒王学園に転入するコトになった。

 

 なんでも摩耶さんがリアス先輩にそうしてくれるように頼み込んだとか。

 

 因みにリアス先輩もあの教会の外で堕天使達と死闘を繰り広げていたとのコトだった。知らない間に色んな人に迷惑掛けてたんだな、俺。

 

 それから教会の中で俺と摩耶さんはリアス先輩からたっぷりとお説教を喰らった。

 

 あの教会は俺達ーーーー殆ど俺と摩耶さんーーーーが暴れまくったせいで戦地後のような殺伐とした建物になってしまった。ありとあらゆる所に亀裂が入っており、少しさわっただけで壁はボロボロと崩れ落ち、床は少し歩いただけで新たな亀裂が生まれる始末。

 

 このままでは教会自体が崩壊しかねないので、仕方なくその場にいた全員で修復作業に取りかかった。神を拝める為にある教会を悪魔に破壊された、なんてコトが知れ渡ったら戦争になるかもしれないからだそうだ。

 

 その張本人である摩耶さんは少し手伝った後にすぐ寝てしまった。もっとも、小猫ちゃんに蹴り起こされていたが……。

 

 因みにその修復作業中、小猫ちゃんはずっと摩耶さんの後ろをついて回っていた。摩耶さんと一緒に瓦礫の処理をしたり、セメントを壁に塗るのも一緒にやっていた。……ついでに摩耶さんが寝始めたら起こしたりもしていた。

 

 その様子をオカ研の皆様は温かい目で見守っていた。まるで娘の恋が成就してほしいと願う親のような感じで。

 

 ……ていうか小猫ちゃんあれだよね。絶対摩耶さんに惚れてるよね。摩耶さんの後をついていく姿なんて愛しい飼い主を追い掛ける猫のような感じだったし。それを口に出したら小猫ちゃんに蹴り飛ばされてしまったが……。

 

 でも摩耶さんは小猫ちゃんからの好意に気付いていないらしく、その後もただ普通に作業をこなすだけだった。小猫ちゃんも『どうして気付いてくれないんですか……』と独り言のように呟いた後、ソッポを向いて帰路についてしまった。

 

 後に女性陣から摩耶さんは罵詈雑言を浴びせられ、その場で正座をするというカッコ悪いコト極まりない事態に陥っていた。はぐれ神父達と戦っていた時に感じた修羅のような雰囲気が微塵もなかった。

 

 それにしても何で摩耶さんは小猫ちゃんの好意に気付かないんだろう。あの人読心術とか観察眼なんかは人一倍すごいのに、どうして自分に向けられている感情を察するコトが出来ないんだろうか。

 

 などと呆れつつ、教会での出来事を鮮明に思い出していたら、アーシアが突然目に涙を浮かべ始めた……て、ウェ!?

 

 「ど、どうしたんだよアーシア!いきなり泣き出したりなんかして……そんなにこの部活に入りたくなかったのか?」

 

 「いえ、そうじゃなくて……今この瞬間が本当に幸せだな~と思いまして。そしたら急に涙が……」

 

 「何だろう、軽くディスられた気がする」

 

 アーシアが涙を拭いながら俺達に笑顔を振りまく。だがその表情には少し硬さがあり、何かを隠しているように俺は思えた。摩耶さんに関してはノーコメントで。

 

 「それで?過去に何かあったりした?」

 

 摩耶さんもその笑顔の裏にあるものに気がついたのか、アーシアに問い掛けた。俺に感じ取れるコトが、この人に感じ取れないはずないもんな。出来れば小猫ちゃんからの好意にも気づいてほしいものだが……。

 

 アーシアは笑顔を崩した後、顔をうつむかせ、今まで何があったのかを話し始めた。

 

 アーシアが持っている神器の名前は『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』と言うらしく、能力はケガを治すという回復系の物らしい。

 

 この神器の特性とアーシアの困っている人を見かけたら放っておけない、という優しい性格が合わさってか、彼女は教会の連中から『聖女』と呼ばれていたという。

 

 だがある日、アーシアは目の前で傷ついていた悪魔を治療した。それが教会の連中に知られてしまい、天敵である悪魔を助けるとは何事だ、というコトでアーシアは『魔女』という不名誉な烙印を押されてしまったらしい。

 

 アーシアの心優しい性格が、その場では逆効果になってしまったのだ。アーシアはただ、自分の信念に従って行動しただけだというのに。

 

 家族もいない。友達もいない。文字通り天涯孤独の身でアーシアはこれまでの人生を過ごしてきたのだ。その重圧は、俺のようなやつには到底計り知れない。

 

 「なんだよそれ……向こうが『聖女』とか勝手に祭り上げといてテメェらに不都合なコトがあったら簡単に切り捨てるのかよ!ざけんなよ!」

 

 「アーシアちゃんにキレても問題は解決しねぇよ。少し頭冷やせイッセー」

 

 「あ……」

 

 アーシアは未だ顔を伏せており、前髪で顔が隠れているため表情が読み取れない。肩を震わせているので、俺は彼女が泣いていると思った。

 

 「ご、ごめんアーシア」

 

 「いえ、いいんです。もう過去の出来事ですし、さっき言ったとおり今は幸せですから」

 

 「確かに教会の奴らは性根が腐ってやがる。アーシアちゃんみたいな年端もいかない少女を平然と捨てやがるんだからな……反吐が出る」

 

 最後の一言はいつものふざけたような口調ではなく、戦っていた時のソレでもなかった。

 

 もっともっと深くて、暗い。正に『闇』と言っても過言ではない程の威圧感を醸し出していた。

 

 「摩耶……さん?」

 

 「……ああ、何もない何もないぞ。気にするなイッセー」

 

 いつもの調子に戻った摩耶さんは目の前のテーブルに置いてある湯呑みを掴み上げ、そのまま自分の口へ持って行った。

 

 この人にも恐らく過去に何かあったのかもしれないが……本人が何もないと言っているのだから今の所は気にしないようにする。だが……いつかは言ってほしいと思う自分がどこかにいる。

 

 この人のコトをちゃんと知った上で、俺はこの人に並べるようになりたいんだ。いや、知らなければ並べない。だから、あの人からそのコトを告げられるまでの男になってみせる!

 

 「ところで話は変わるんだけどよ……」

 

 いつの間にか湯呑みを口から離した摩耶さんが俺とアーシアに目線を送り、

 

 

 

 「アーシアちゃんってイッセーに告白の返事したの?」

 

 

 

 ーーーー今までのおもぐるしい空気が一変して別の意味でおもぐるしい空気を作る要因を口にした。

 

 心臓の鼓動が一気に速くなる。バクンバクン、と太鼓を乱打されたように激しい音が自分でも聞こえる程に。

 

 そうだった。今の今まで忘れてたけどアーシアからの返事ってまだ貰ってないじゃん!レイナーレと戦ってた時はキッチリ覚えてたけど、あの後アーシアの笑顔を見れただけで胸がいっぱいだったからすっかり忘れていた!

 

 ヤベェヤベェヤベェヤベェ、メチャクチャ緊張する。どうしよう、断られたりしたら俺身投げする自信あるわ。いやマジで。

 

 「……イッセーさん」

 

 「は、はい!」

 

 思わず声がうらがえってしまい、自分が起こした醜態を自覚して更に顔が熱くなる。

 

 「私は教会の皆さんには未だ敵意を向けられています。『魔女』というあだ名のせいで周りから非難させるかもしれません。……もちろんイッセーさんも」

 

 それでも、とアーシアは一度区切って、

 

 「それでも私はーーーーイッセーさんの側にいてもいいんでしょうか?」

 

 「当たり前だ!」

 

 ようやく顔を上げたアーシアはーーーーやはり泣いていた。目から滝のように涙を溢れさせ、顔もくしゃくしゃな表情になっていた。

 

 「俺はお前を独りになんかしない!ずっとずっと俺が側にいる!お前を支えてやる!だからアーシアも俺の側にいろ!絶対幸せにしてみせるから!」

 

 アーシアは言質を取った途端、涙を含んだ目を大きく見開き、また泣きそうな顔になると俺の胸に顔をうずめてきた。

 

 「……ずっと、ずっと一緒にいます。イッセーさんと一緒にいます。側に……います」

 

 制服の胸の辺りに温かい水滴が染み込んでくる。アーシアがそれ程涙を流しているという証拠だ。さすがにこれ以上泣かす訳にはいかないよな。

 

 「……アーシア」

 

 俺は愛しい女の子の名前を呟き、俺の胸から彼女の顔を離す。

 

 「イッセーさん……」

 

 視界にアーシアが入る。いや、もはやアーシアしか入っていない。

 

 目は泣きすぎたせいか赤くなっており、彼女の端正な容貌が台無しになってしまっている。けれど、アーシアに対する俺の評価は変わらない。

 

 俺はアーシアのその美貌に自分の顔を近付ける。俺が何をしようとしているのかを察したのか、アーシアも目を閉じてその瞬間を待った。

 

 俺の唇とアーシアの唇が誰かに一押しされたら重なるといった所で、

 

 「『ダメよ!ここは保健室なのよ!誰か来たら大変じゃない!』『そんなコト言ってる割にはお前も嫌がっている素振りを見せないじゃないか……期待しているんだろ?』『そ、そんなコトあるわけ……アッ!』」

 

 摩耶さんが読んでいる漫画のページを急に朗読し始めた。

 

 その場面が丁度俺達のやろうとしていたコトと似ているので恥ずかしくなった俺は思わずアーシアと距離をとる。アーシアも思うところがあったのか、顔を真っ赤にして明後日の方向を向いている。

 

 今思い出したけどここって元保健室だったんだっけ……ていうかその漫画絶対未成年が読む代物じゃないでしょう!

 

 「それにしても我が天童眷属も今やメンバーが三人になったのか……早いもんだな」 

  

 「え、三人?誰か新入りが入ったんですか?」

 

 摩耶さんがとても気になるコトを口にしたので、俺は思わず摩耶さんにそのコトを訊ねる。……まだ顔が熱い、絶対俺の顔真っ赤だよ今。

 

 「誰って……目の前にいるじゃねえか」

 

 「目の前ってーーーーまさか!?」

 

 「はい。そのまさかなんです」

 

 そう言った途端アーシアの背中から俺と同じ悪魔を彷彿とさせる翼が生えた。……いやアレ悪魔の翼じゃん!

 

 「アーシア、悪魔になったのか!?」

 

 「はい。イッセーさんと同じになりたくて部長さんに頼みました」

 

 「因みに使った駒は『僧侶』だ。あとアーシアちゃん。これからは俺のコト摩耶って呼んでくれるとうれしいな~」

 

 「分かりました。えと……マヤさん?」

 

 「発音が少し可笑しいけど……この際目を瞑ろうか」

   

 俺の知らない間で摩耶さんとアーシアが着実に友好関係を築いていた。 

 

 俺が可笑しいの?今この状況についていけてない俺が可笑しいの?

 

 「アーシアちゃんは一応留学生ってコトになってるからホームステイという理由で住居先決められるけど、どこがいい?」

 

 「イッセーさんのお家がいいです!」

 

 なにやらとんでもないコトまで決定してしまったらしい。俺とアーシアが一緒に住むっていうーーーー

 

 「ええぇぇぇぇえええええ!?」

 

 「奇声上げるなよイッセー。いいじゃねえか、好きな女の子と一つ屋根の下なんざ今時漫画の世界ぐらいでしかありえねぇんだぞ」

 

 「い、いやでも……!」

 

 アーシアと一つ屋根の下なんて俺の理性が保てるかどうか分からない。そういうのはもっと俺達自身が大人になってから……。

 

 「イッセーさん」

 

 アーシアが不意に俺の服の袖を掴み、上目遣いで訴えてきた。

 

 「ダメ……でしょうか?」

 

 「全然いい!大丈夫!すぐ住もう今住もう!」

 

 「案外チョロいなお前」

 

 摩耶さんが何か言っているが聞こえない。男がどれだけの思いで決意したとしても、女の子の前ではどうにもならないコトもあるのだ。

 

 「という訳で摩耶さん!俺これからアーシア連れて親説得しないと駄目なんでもう帰ります。お疲れさんした!」

 

 「え……い、イッセーさぁぁぁん!?」

 

 俺はアーシアの手を取り、すぐさま部室から出て家へと帰宅するためいつもの帰り道を猛然と走り抜ける。

 

 俺にとって今この瞬間がなにより大切な時間だと、アーシアの手の温もりから思った。

 

 絶対にこの子を守り抜く。

 

 部室を出て行く最中、摩耶さんが優しい笑みを浮かべていた気がするが、真実は不明だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「イッセーの奴ハリキリすぎだろ。まあ、好きな子と一緒に住めるようになるんだから仕方ねぇか」

 

 自分しか居なくなった部室で摩耶はどこか呆れたようにそう呟き、手元にある湯呑みを自分の口へと持って行く。

 

 正直言って、自分がこんな風に楽しい人生を過ごせるとは思っていなかった。

 

 悪魔の世界に身を置いている理由すら特には無い。普通な日々を過ごし、偶に強い奴と戦う。それだけが自分の日常だと思っていた時があった。

 

 だが、それは違った。摩耶が思っていたようなコトは、全てこの駒王学園に入学してから変えられた。

 

 同じ悪魔の同級生ができ、後輩まで増えて、更には自分の下僕すら持つようになった始末。摩耶にとってはその日々がどれも予想の斜め上を行くものだったが、不思議と悪い気分じゃなかった。

 

 いつの間にか自分は皆に必要とされており、自分も皆を必要としている。今の自分がいるのは皆が居てくれたからと言っても過言ではない。そんなコト、絶対本人達の前では言わないが……。

 

 するとズボンのポケットの中で、何かが振動した。摩耶はその振動している物体をポケットの中から取り出すと、その物体の画面に出ている『通話』と表示されている部分をタッチする。

 

 その後、その物体ーーーー携帯電話を自分の耳まで持って行く。

 

 『ようバカ息子。最近調子はどうだ?元気にしてるか?』

 

 「いきなりなんだってんだよ、義父(オヤジ)

 

 電話の主はまさかの義父であった。早いうちに両親を亡くした自分を拾ってくれた恩人でもあり、父親でもある人物からの電話だった。

 

 『お前さんからの手紙が届いたもんでな。ちょいと珍しいから、掛けてみようと思っただけさ』

 

 「ああ、ちゃんと届いた?面白いコト書いてあるだろ?」

 

 『確かに面白いっちゃ面白いが、何でこんな特ダネを手紙なんかで知らせてくるんだよ。今はデジタルの時代だぜ?オマケに下っ端の堕天使にソレを持ってこさせるなんてよぉ』

 

 「別にいいじゃねえかよ。偶々そういう気分になったんだよ」

 

 摩耶は回線の向こう側にいる義父にそう言うと、今度は茶請けであるせんべいを頬張り始めた。

 

 結論から言うと、摩耶は堕天使達を逃がした。もちろんその中にはレイナーレも含まれている。

 

 教会に突入する前に、リアス達の姿を見た摩耶はリアスに『堕天使を生け捕りにしてくれ』と頼み込んだ。

 

 リアスは要望通りに堕天使を生け捕りにし、自分の目の前に引っ張り出してくれた。何故そんなコトを言ったのかというと、摩耶は堕天使達と交渉をしようと目論んでいたのだ。

 

 自分の書いた手紙を届けてくれるなら、命だけは見逃してやろう、と。

 

 それを言った瞬間、堕天使達は怪訝そうに摩耶を見つめ、リアス達は摩耶に考え直せと言ってきた。

 

 だが摩耶は周りの意見に一切耳を傾けず、堕天使に手紙を渡した。

 

 レイナーレ達もその提案に乗ったほうが一番の得策と考えたらしく、手紙を届けるコトにした。

 

 このコトで摩耶はリアスから説教されるハメになったのだが、本人は何一つ反省していなかった。

 

 『まさかお前さんが眷属を持つようになるとはな。しかも、よりによって赤龍帝なんてなぁ。名前はなんていうんだ?』 

 

 「兵藤一誠。因みにアイツは自分が赤龍帝ってコトを知らないでいる」

 

 『はぁ!?というコトはなにか?その兵藤一誠とかいう奴はコッチの世界に入ったばっかりってか?』

 

 「そういうコトになるな」

 

 すると義父が大きな溜め息をついた。

 

 『……ハッキリ言うぞ摩耶。ソイツじゃあ今の白龍皇には勝てねえよ』

 

 「そいつは分からないぞ?なんたってアイツは俺が育てるんだからな」

 

 イッセーを擁護した摩耶は目の前にあったせんべいを全て平らげ、渇いた喉を湿らせるために日本茶を飲んだ。そして確かに口にした。

 

 イッセーを育てる、と。

 

 『……なるほど。確かにお前が赤龍帝を育てるとなれば、間違いなく驚異になりえるな。後でアイツによろしく言っておくよ』

 

 「ああ、よろしく言っといてくれや」

 

 そうして摩耶は電話を切ろうとしたところで、

 

 『そうだ息子よ。最後に訊いておきたいコトがあるんだが』

 

 「……なに?俺これから寝ようとしてたんだけど。用件なら早く言ってくれ」

 

 『ハハハ!そいつは失礼したな。そいじゃあ訊くが……』

 

 義父は声を低くし、真剣な雰囲気で摩耶に問う。電話越しで話しているのにも関わらず、その一言で摩耶は周囲の空気が重くなる感覚がした。

 

 『下っ端共を逃がした最大の理由はーーーー殺したくなかったからだろ?』

 

 「……それだけか?だったら切るぞ、俺は寝たいんだ」

 

 義父が何か叫んでいるようにも聞こえたが、摩耶はそれを無視した。画面に出ている『通話終了』という部分に触れると、そのままソファーに携帯を投げ捨てた。

 

 そして宣言通りに摩耶はベッドに倒れ込み、目を閉じた。しばらくすると、あれだけ騒いでいた相談部の部室とは程遠い静寂な時間が訪れた。

 

 

 

 摩耶の携帯の画面には、彼の義父である堕天使総督の名が刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天童眷属メンバー

 

 『王』:天童摩耶

 

 『兵士』:兵藤一誠

 

 『僧侶』:アーシア・アルジェント

 

 そして、次に使われた駒は『女王』の駒であり、新メンバーは駒王学園関係者全員が予想もしていない人物であった。 




ア「あ、あの……部活動はしなくてもいいんですか?」

イ「心配すんなってアーシア!こんな所に人なんてまずこないから」

摩「そうそう!そうなるように俺はこんな部活作ったわけだしな!この部屋に来る奴なんてよっぽとの暇人とかそんなんだぜ!」

客「す、すいません……」

イ&摩『………………え゛?』

 相談部にお客様が訪ねてきました。

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