ハイスクールD×D ~自堕落主と相談屋~   作:タロー☆マギカ

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やっと……やっと投稿できた。これも全てあの憎たらしいホームワークのせい。夏休みが終わったのに終わらせてない自分が悪いんですけどw

てなわけでようやく投稿できました!これからは本当に早く投稿できるようにしよう。


元カノぶっ飛ばします!

 「下級悪魔の分際で私に勝てると思ってるの!?」

 

 はるか上空から文字通り『必殺』の槍が俺に目掛けて降り注いでくる。何故必殺なのかと言うと、俺達悪魔にとって光は害なのだ。かすっただけでもかなりの激痛が襲う。

 

 まだ俺が人間だった時にアレを一度くらったがために二度とあれはくらいたくない。だって凄く痛いんだもん。アレのせいで俺は死んで悪魔になって摩耶さんの下僕になってアーシアに出会って新たな恋に目覚めたんだ。

 

 ………………。

 

 あれ?よくよく考えたら死んでからの生活の方が充実してないか?それはそれで悲しいんですけど……。

 

 「チョロチョロ動き回ってないでさっさと死になさい!」

 

 戦闘には一切関係のない事を考えていた刹那、すぐ目の前に光の槍が投擲され、その際に発生した衝撃波で後方に吹っ飛ばされる。

 

 「ぐおっ!」

 

 背中から地面に叩きつけられ肺から空気が一気に排出される。やべぇ……あと一歩踏み出してたらやられてた。

 

 「ほらほらイッセー頑張ってー。早くしないと蜂の巣にされちまうぞ~。あ、この場合は串刺しの方がいいのかな……どう思うイッセー?」

 

 「知るかぁぁぁぁあああああああああ!!」

 

 遠くから聞こえてくる応援とは程遠い言葉が俺の精神を一気に覚醒させる。このいい加減な台詞を言っているのは間違い無く我が主だ。

 

 ムカつく!あの人すげームカつく!俺が必死に戦ってるのにやられるコトが前提で話を進めてやがる。絶対アンタの度肝抜くぐらいの戦い繰り広げてやるからな!

 

 『Boost!』

 

 再び俺の左手ーーーー正確にはその腕に装着されている篭手ーーーーから聞こえてくる機械音。

 

 さっきから気になってたんだけどこれ何の音なんだろう?この音が響く度に不思議と体が軽くなっていくような気がする。後何故か摩耶さんがニヤついてるし。

 

 「あらあらどうしたの?逃げ回ってるだけじゃ私を倒すことなんて出来ないわよ?まあ、あなたみたいな下級悪魔が私を倒すなんてこと事態不可能なんだけど♪」

 

 言ってろクソビッチ。その減らず口二度と叩けないようにしてやる。

 

 とはいえ、確かに戦況は拙いわけで、レイナーレはカラスを彷彿とさせる翼をはためかせて空中で静止しており、こちらの攻撃が届かない。向こうは光の槍を躊躇なしに投擲してくるので、避ける作業だけで精一杯な始末。俺にも何か飛び道具があればいいんだけど、無い物ねだりしても仕方がない。

 

 何とかして地上に降ろしたいところなんだけど……さてどうするか。

 

 こっちも翼出して同じ土俵で戦うか?いや無理だ。俺はまだ翼で飛ぶ方法を知らない。付け焼き刃な技術で戦りあっても負けるのが目に見えてる。

 

 くそったれ、八方塞がりとは正にこのコトか……マジでどうしよう。

 

 「イッセー!しゃあないから助言くれてやる!」

 

 遠方からとても頼りになる言葉が掛けられる。ありがてぇ!あれだけ啖呵きっといて情けない話だけど利用できるモンは全部利用して、

 

 「お前がやられたら俺が後始末しとくから思いっきりやれ、特攻だ!」

 

 だから何故あの人は俺がやられる前提で話を進めるのか。

 

 「イヤですよそんなの!」

 

 「そうですよ!私まだイッセーさんに返事してないんですからそんなコトになったら……困るんです……はぅ」

 

 アーシアは自分が何を口走ったのかを理解した瞬間顔を真っ赤にして俯いた。

 

 カワイイ!あの子のああいう一つ一つの仕草が堪らなくカワイイ!アレを見るためなら俺はどんな死地にだって赴いてみせる!

 

 「そうゆう訳だから覚悟しろレイナーレ!お前は俺がぶっ飛ばす!」

 

 「結局特攻なんじゃねえか」

 

 後ろから何か不愉快そうな声が聞こえてくるが気にしない。今の俺にはアイツを倒すことしか頭にないんだからな!

 

 「あらあら、真っ正面から向かってくるなんてナメられたものね。だったらお望み通りに殺してあげる!」

 

 明らかに昂ぶっているレイナーレはそう言うと両手に光の槍を生成し始め、完成した直後俺の命を刈り取ろうとその『必殺』を投擲する。

 

 俺はそれに当たらないように細心の注意をはらいながらレイナーレ目掛けて突貫する。槍が落ちてくるであろう場所に目星をつけ、そこを通過する際には走るスピードに緩急をつけて相手の狙いをずらす。

 

 だがやはり戦闘経験は向こうが圧倒的に多いせいか、それを見越して相手は狙いを修正していく。そのせいで避けれたはずであろう槍は完璧には避けきれず、俺の腕や足に切り傷を作る形となってしまった。

 

 正直言ってマジ痛い。ぶっ刺さっていないのにも関わらずこのダメージだ。急所なんかに刺さった時なんかは恐らく俺の身体が消滅するだろう。それほどのエネルギーを感じる。

 

 思わず漏れてしまいそうになる苦痛の声を噛み殺したまま前に進み、遂に制空権を所持しているレイナーレの真下に到達した。

 

 「そこから一体どうする気?」

 

 レイナーレの余裕な声が上から届いてくる。確かにここまで来たのはいいが相手ははるか、とまでは言わないが結構な高さで陣取ってる。あそこまで跳ぶのは今の俺にとっては至難の業だ。

 

 ーーーーだけど俺にはこれしか出来ねぇ!だからやる!

 

 『Boost!』

 

 俺の決意に応えてくれたかのように篭手から三度目になる機械音を耳にする。それと同時に力が膨れ上がっていくかのような感覚。

 

 「おおぉぉぉおおああああ!!」

 

 咆哮を上げ、足下にクレーターを作るかの勢いで地面を蹴りあげレイナーレに接近する。

 

 「なっ……!?」 

 

 流石のレイナーレのこの展開は読んでいなかったのか、珍しく驚愕を露わにした。

 

 後少し、後少しで届く……!

 

 目的の堕天使を掴まえるために、左手をこれでもかという程伸ばす。だが、

 

 

 

 俺の指先が微かにレイナーレのつま先に触れるという情けない結果となってしまった。

 

 

 

 「クッ!」 

 

 俺の体は物理法則に従って少しずつ下に落ちていっている。視界に映るのは安堵と嘲笑が入り混じったような表情をするレイナーレ。このまま地面に落ちてしまえば俺の勝機は皆無だろう。アーシアの返事を聞けないまま死んでいくなんて……。

 

 「嫌に決まってるだろうがぁぁぁあああああ!」

 

 とっさに背中から翼をはためかせ、視線は尚もレイナーレに向ける。

 

 「そこから一体何が出来るっていうの!?」

 

 レイナーレの勝利を確信したかのような質疑に、俺はすかさず応答した。

 

 「テメェをぶっ飛ばすんだよクソビッチ!」

 

 ビッチ呼ばわりされたレイナーレは怒りで顔を真っ赤に染め上げ、その手に光の槍を生成し始める。

 

 アレがマトモに当たったらやっぱくそ痛いんだろうな~。正直言って戦り合いたくない。女を殴るコトに関しては一切の遠慮はない。だってアイツは俺を殺した張本人だし、今じゃ赤の他人だ。一応元カノっていう設定はあるが……。

 

 よし決めた。背に腹は代えられない。覚悟決めよう。どんな結果になろうが俺はとことんあの女と戦ってーーーー。

 

 「いや俺には勝つしか選択肢残されてないからぁああああああああ!」

 

 どんな結果になってもだと?冗談じゃない!俺にはアーシアからの返答を聞くというある意味この戦闘より緊張感のあるイベントを過ごさなきゃならんのだ!そのためには、

 

 「お前は邪魔なんだぁ!」

 

 俺は瞬時にレイナーレとの距離を詰め、彼女のガラス細工で出来たような美脚を掴む。

 

 「なっ……」

 

 そして彼女が驚嘆の声をあげると同時に足を掴んでいる腕を振り下ろし、天を飛翔していた堕天使を地に落とすコトに成功した。

 

 俺には翼で飛ぶ技術はまだ無い。だが、ほんの一瞬だけ浮かぶコトだったら出来る。それを空中で行って、レイナーレとの距離を無理矢理詰めたのだ。

 

 おかげで無様に地面に着地するコトになってしまったのだが。ーーーー思いっきり頭から落ちました。

 

 「ハア……ハア……よくもやってくれたわねこの下級悪魔が!」

 

 端正なツラは所々汚れており、憤怒でその顔をより一層歪ませる。その姿は正に悪魔のそれだ。背中から生えている物が俺とは違うがな。

 

 結構高い位置から落ちたというのに、俺の身体には目立った外傷がそれほどなかった。この現状を見て、改めて悪魔になってよかったと思ってしまう。レイナーレの方もそんなに目立った外傷は無いように思えるが……。

 

 「もういいわ!じっくりとなぶり殺しにしようかと思ってたけどチャッチャと殺してあげる!」

 

 レイナーレは怒気を孕んだ声でそう宣言すると、生成した槍を投げるのではなく、手に持ったまま俺の方へ走ってきた。

 

 まさかとは思うけど白兵戦か!?アイツ近距離戦闘も出来るのかよ!?

 

 レイナーレは瞬時に俺に肉迫し、『必殺』の威力を持つ槍を刺突してくる。

 

 幸いと言っていいのか、さっき無茶な跳躍をしてしまったせいで足に力が入らず、地に膝を着けたと同時に俺の頭上を槍が通過する。

 

 鼓膜に鋭利な物が空気を切り裂く音が届き、死が一歩手前まで来ているコトを知らせる。

 

 やべぇ。今の攻撃がモロに当たってたら……。

 

 直後、ただならぬ殺気を肌で感じ、視線を上げると槍を振りかぶっているレイナーレの姿が映った。

 

 ヤバい……殺られる!

 

 とっさに俺は襲いかかってくる槍を防ごうと右手を前に突き出す。

 

 しかしそれで防げる訳がなく、槍は何事もなかったかのように俺の右手に風穴を作った。

 

 「ぐ、がぁぁぁぁああああああああ!」

 

 身が焼かれるような激痛が俺の体を走り、思わず意識を手放しそうになってしまう。

 

 これは……予想以上だわ。気合いで耐えれると思ったけれど、そう簡単にはいかなかったや。だいたい光って俺達悪魔にとって毒な訳だし、さっきまで『必殺』の威力だってコトを理解してたじゃないか。

 

 遠くでアーシアが涙声で何かを叫んでいるのが聞こえてくるが、ダメージのせいで声がよく聞き取れない。

 

 アーシア……本当にお前のコトが好きだったよ。もう一度お前の笑顔が見たかったのに、最後の最後でその顔を悲しみに染めちまった。本当に……情けねぇな、俺。

 

 悔しいけど、アーシアのコトは摩耶さんに任せよう。あの人なんだかんだ言っていい人だし、きっとアーシアのコトを笑顔に出来る。アーシアだって摩耶さんなら、きっと心を開くに違いない。

 

 俺は一大決心にも似た諦めをつけると、全てを終わらせて休みたいが為に目を閉じようとし、

 

 

 

 ーーーー自分が窮地に陥ったからといって、簡単に他人からの手にすがろうとするな。

 

 

 

 摩耶さんに言われた言葉を思い出した。

 

 そうだ、あの時確かに決めたんだ。俺がケジメをつけるって。俺一人でやり遂げてみせるんだって……!

 

 さっきまで手放しそうになった意識をなんとかつなぎ止め、槍に刺さっている手をそのまま前に動かし、レイナーレの腕を掴んだ。

 

 「……ッ!アンタまだ!?」 

 

 レイナーレが何か叫んだように聞こえたが、生憎俺はレイナーレに意識を向けちゃいない。

 

 だってやっぱこの槍めさくさ痛いんだもん!さっきまでは意識が朦朧としてたからそんなに痛みは感じなかったが、今は意識がより鮮明化しているから再び身が焼けるような痛みが俺を襲ってきてるんだもん!

 

 でも止まれねぇ。止まっちゃいけねぇ。ここで止まるわけにはいかねぇ。お前は今ここで、この俺様が、

 

 「ぶっとばす!」

 

 『Boost!』

 

 篭手から何度目かの機械音が鳴り響くと同時に、世界が反転するくらい頭を大きく反らし、視界に何も映らない程の速さで頭を振り下ろした。

 

 「ガッ……!」    

 

 俺の頭突きがレイナーレの顔面を綺麗に捉え、彼女の顔を歪めた。比喩とかじゃなくて本当に。

 

 とはいえ頭突きをかました俺の方もかなりキツい。頭の中から直接頭蓋骨を叩かれてるような感覚だ。

 

 痛いだろうレイナーレ。俺も痛かったんだ、今のお前が抱いてる気持ちは誰よりも分かってやれるつもりさ。なんせ俺もやられたんだからな……一番尊敬してる人に。

 

 ただ俺とお前の違いは、やられた相手がどうでもいい奴かそうじゃないかだけだ。でもその僅かな違いがお前にかなりの傷を負わせるコトになるっていうのを教えてやる!

 

 永遠に近い感覚で流れていた頭痛を気力で押さえ込み、今もなおたたらを踏んでいるレイナーレに向かって左拳を叩き込もうとする。

 

 「ひっ!」

 

 直前で気付いたレイナーレが女の子らしい悲鳴を上げたが、今更勢いを緩める気はない。これで全てを終わらせる!

 

 自分でも信じられないくらいの速度で篭手を装備した左腕がレイナーレに突貫し、

 

 「ふっ飛べこのクソ天使ぃぃぃいいいい!」

 

 柔らかい肉を叩いた感触が左手の骨から伝道し、それが元カノをはるか前方にぶっ飛ばしたというコトを理解するには充分な刺激だった。

 

 レイナーレは背中を壁にぶつけ、そのままズルズルと地面に伏していった。

 

 ようやく……終わったぁ。

 

 念願の決着をつけるコトが出来たからか、それとも無事生き延びるコトが出来た安堵からか、自分の何かがプツンと切れた感覚がした。

 

 遠くでアーシアが俺の名を呼んでいる気がしたのでとりあえず左手を天にかざしてみたが、それを最後に俺は意識を完全に手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……セーさん!しっかりして下さいイッセーさん!」

 

 どれくらい、眠っていたのだろうか。

 

 気がつけばアーシアが身を乗り出して俺のコトを看ていてくれて、その隣では摩耶さんが面白いものが観れたと言わんばかりに笑っていた。

 

 アーシアの優しさには相変わらず癒されるが、摩耶さんの俺に対する扱いがさっきからヒドい。この人絶対人の不幸は蜜の味とか言うタイプの人だよ。簡単にいったら絶対Sだよ。

 

 「いや俺はSなんかじゃねえよ。ただの戦闘狂だ」

 

 うわぉ、久々に出た読心術。相変わらずその的確率には舌を巻く。しかし自分で自分を戦闘狂だって言うのはどうなのだろうか。それから自堕落というのを忘れていると思う。

 

 「イッセーさん!よかったぁ、目を覚ましてくれて。もしイッセーさんが起きてくれなかったら私……」

 

 「アーシア……」

 

 胸のあたりに温かい水滴が落ちてくるのが伝わってくる。だから……アーシアにはそんな顔は似合わないっての。

 

 「アーシア、笑ってくれよ」

 

 「イッセーさん……」

 

 「俺はさ、お前の笑顔に惹かれちまったんだ。だからさ……涙なんか拭いて俺に笑顔見せてくれよ」

 

 アーシアの頭を撫でながら俺は静かに懇願する。絹糸のような金髪が俺の手をくすぐってくるような気がして少しこしょばい。

 

 「……はい!イッセーさん!」

 アーシアは手の甲で涙を拭うと、宝石よりも価値があるであろう笑顔を向けてきた。悪魔で俺の価値観でだけど、誰にも否定はさせないね。 

 

 俺もアーシアに笑顔を向け、そのまま数秒互いを見つめ合った。

 

 こ、このままいけばまさか……キスとか出来るんじゃねえか!?

 

 心臓の音が聞こえるくらいせ静寂が俺とアーシアを包む。

 

 ヤバイヤバイヤバイこれはヤバイ!めさくさ緊張する!レイナーレとデートに行ってた時よりも心臓がバクバクしてる。気のせいかアーシアまで頬を赤く染めてるし!

 

 「イッセーさん……」

 

 「アーシア……」

 

 アーシアから甘い声が発せられ、それと平行して彼女に吸い寄せられるように顔を近付ける。

 

 アーシアもゆっくりと目を瞑り、互いの影が段々と近付いてーーーー

 

 「あのさぁ、おたくら見せつけてんの?それは俺に対する当てつけですか?そういうのは二人きりの時にしてくんない?」 

 

 摩耶さんの一言で一気に現実へ引き戻された。

 

 途端に俺達は凄まじい速度で距離を取り、お互いが明後日の方向を向いていた。

 

 何でアソコで口開くんだよ摩耶さん!あのまま行けばハッピーな展開は確実でしょうが!

 

 「あーやだやだ。周りに気を使わず自分達だけの世界に入るんだからな~。これだからリア充は」

 

 摩耶さんが怨念にも似た独り言をわざと聞こえるぐらいの大きさで呟く。

 

 タチ悪!そして腹立つ!そしてそれに連動して顔を赤くするアーシア可愛い!

 

 「なあイッセー」

 

 さっきとはうってかわって真面目な口調で俺に話しかけた摩耶さんは、遠くで気絶しているレイナーレを見ながら俺に問う。

 

 「ーーーーケジメはつけれたか?」

 

 それは、俺が悪魔になって、そしてこの人の前で初めてきった啖呵。そして俺の目標にも似た何かだった。

 

 あれからそんなに長い時間は経ってないのに、もうここまで来ちまったのか。

 

 いや、ようやくここまで来れたんだ。だからこれぐらいで満足せず、更に前を歩くとしよう。

 

 俺はアーシアの所までゆっくりと詰め寄り、彼女の双眸を覗き込んで答えた。

 

 「ーーーーつけれたに決まってるじゃないですか!」

 

 「……かっかっか!そうかいそうかい!」

 

 本当に心の底から楽しそうに摩耶さんは笑った。そして、俺の目の前に拳を突き出してきた。

 

 俺は一瞬何をすればいいか分からず戸惑ったものの、こういう時にするコトなんて決まってるようなもんだった。

 

 右手で握り拳が作ろうとしたが風穴が空いているのを忘れていたため、鋭い痛みが走ってきた。しばらくは飯も満足に食えそうもないな。

 

 俺は改めて左手で握り拳を作り、目の前で笑っているーーーー今度は兄貴のような優しい笑みーーーー尊敬している人の拳に、

 

 自分の握り拳をコツン、と当てた。




イ「そういえば摩耶さん今までどこにいたんですか?」

摩「溝に足つっこんでケガして動けなかった」

イ「は?」

摩「溝に足つっこんでケガして動けなかった」

イ「いやそれ絶対嘘ですよね!何でそこで嘘つくんですか!ちょっと聞いてます!?」

これが相談部の日常

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