落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君   作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定

39 / 225
エピローグ「この色はお前と繋がってる証なんだからさ」

後日談というか、今回のオチ。

 

 まずは、吸血鬼ブラドの話。

 最後に吸血鬼スキルの弱点戻させて、スキル無効の瑠璃神モードで蒼の一撃、終の番『真・天下無蒼』を食らったブラド。 まぁ………言わずもがな瀕死である。

 全身の骨やら内臓やら関節やらは殆ど使い物にならなくてボロッボロだ。それでも生きているのは流石の一言だけど。そのブラド自体がどうなったかは知らない。多分、政府で身柄を押さえられているだろう。事実、数日後にいろんな所から書類が来ていた。面倒ながらも要約すれば、紅鳴館での窃盗行為を黙殺するから黙っていろ、ということだった。 オマケにランドマークタワーでの戦闘もただの落雷事故という事になっていた。かなり穴だらけにしたから修理費とか要求されたどうしようとか、ビビってたのは無駄になった。

 結局、ブラドに関してはこれで終わり。

 冷静に考えると報道すらされない、箝口令がしかれるという所からイ・ウーという組織の一端を垣間見た。

  

 でもまぁ、瑠璃神モードの相手としては役不足だったなぁ。

 

 

 

 

 

 続いて、理子・峰・リュパン・4世。

 これは後からキンジから聞いた話しだけれど、幼少期のアイツはブラドに監禁されていたらしい。タワーでのブラドの言葉からは想像していたが。つまりはアイツの過負荷(マイナス)の源泉はソレなんだろう。本来ならアイツは神崎や白雪のような特別(スペシャル)かキンジやレキのような異常(アブノーマル)なはずだったろう。それが監禁によって歪められたという話だろう。事実、ブラドにボコられていた時は過負荷(マイナス)特有の気持ち悪さも無かったし。

 そういやアイツのスキル見れなかったなぁ。あの髪を動かすのは超能力(ステルス)だろうし。

 結局、アイツはブラドぶっ飛ばした後にちゃっちゃっと消えちまったが、次の日何食わぬ顔で登校してきたし。

 

 ブラド倒して、劣等感から解放されたアイツが進歩するか、退化するかはまた別の話だ。

 

 

 

 

 続いて神崎の母親の件。

 約束通り理子はちゃんと証言して、差戻審が確実らしい。  それのことでキンジと抱き合ってたのは見てて面白かった。

 

 

 

 

 で。

 俺とレキは。

 

「あー、やっぱりちょっと色変わってるなぁ」

 

 鏡で自分の瞳を覗き込みながら呟いた。蒼っぽい黒から黒っぽい蒼に。まだ黒のほうが近いけどかなり蒼みが強くなっていた。

 

 瑠璃神モードの副作用───というほどでもないけどそのせいだ。

 

「髪もよく見ると蒼っぽくなってますね」

 

 俺の後ろでハサミを構えたレキは俺の髪を摘む。

 

「やれやれ、そのうち全身真っ青かね」

 

 鏡の前で椅子に座り身体にはシーツ。なにをしているかと言えば──散髪だ。瑠璃神モードのせいで延びてしまった髪レキにを切ってもらっていた。

 

「……一概に否定できませんね」

 

「だなあ」

 

 瑠璃神モードを使えばこうなるのは初めて使った半年前の時点でわかっていたことだ。元々は蒼色はあるにはあったけど半年前から強くなっていた。チョキチョキという音がなって髪が散らばっていく。

 そのまま響いて、やがて、

 

「できました」

 

「ん」

 

 元通りに。半年前に変えた───レキと同じ髪型に。

 

「どうしてすか?」

 

「おう、サンキュな」

 

 肩まで伸びていた後だから結構短く見える。 レキみたいなアホ毛っぽいのはないけど。

 あれ、かわいいよな。

 たまに寝癖なのかどうかわからなくなる。頭を振って、髪を払う。 

 バサバサ洗面台落ちると、

 

「うーむ」

 

 結構蒼い。蒼い髪とかマンガじゃねぇか。まぁレキや神崎なんか緑にピンクなんだけど。冷静に考えるとあり得ないよね、アレ。

 人のこと言えないけど。

 

「………元通りのほうがよかったんですか」

 

「ん? いや、そういうワケじゃないよ」

 

 少しだけ拗ねたような、申し訳なさそうレキに苦笑する。不満とか嫌とかいうわけではなくて、ただ思っただけなのに。

 

「おいおい、レキ。お前さぁ」

 

 レキと向かいあうと結構な近さに少しだけ驚く。

 近い。

 近いなあ。

 近いから──ついでに詰め寄ってみた。

 

「……ん」

 

「そんなわけないだろ? ──この色はお前と繋がってる証なんだからさ」

 

 思わずレキが後ずさるが所詮は脱衣場だ。大した空間でもないから、意味もない。壁にぶつかって、すぐに距離がなくなる。

 レキの顔の横に手をついて、

 

「この色もこの髪型もお前と一緒に生きてくって決めた証だぜ? 俺が好きでやってるんだから」

 

 少なくとも髪は。レキと一緒だからこの髪型なんだ。レキと会わなかったら、多分長いままだったろう。あいつと、遙歌と同じのままだったろう。

 

「………蒼一さんは」

 

「ん?」

 

「蒼一さんは、たまにそういう殺し文句普通に言ってきますよね」

 

「そうか? ……へん?」

 

「いいえ」

 

 レキはふんわり微笑んで、少し誇らしげに、

 

「彼氏がカッコいいっていうのは彼女からしたらスゴく嬉しいものですよ」

 

「………」

 

 あのさぁ。

 殺し文句普通に言ってくるのはどっちだよ。

 マジかわいすぎるよ、俺の嫁。

 くそぅ。

 ここで黙ってなにも出来なくなるのもしゃくなので、

 

「……」

 

「んん……」

 

 キスしてみた。

 そのまま、

 

「愛してるぜ、ハニー」

 

「私もですよ、ダーリン」

 

 こんなかわいい嫁がいるんだ。

 こいつと一緒に居続けたいと思うのは───道理だろう。

 

 

 

 




感想評価等お願いします

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。