落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君 作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定
──────────────────────────────────────────とある盗聴器から抜粋。
午前七時十五分
・正性男:『あー、えらい』
・蒼 拳:『おいおい、大丈夫かよ。ほれ、水』
・正性男:『スマン、……うわ、三十八度もある』
・瑠璃姫:『完全に風邪ですね』
・蒼 拳:『まあ、五月とはいえ海にダイブしたんだからしょうがないだろ』
・正性男:『好きで飛び込んだわけじゃねえょ……ゴホッゴホッ』
・蒼 拳:『どうせただの痴話喧嘩だろ』
・瑠璃姫:『甲斐性がないからいけないんですよ』
・正性男:『お前らほんと容赦ないな……。あー、そういえば白雪は?』
・瑠璃姫:『朝ご飯だけ作ってすぐに学校行きましたよ。仕事があるとか。』
・蒼 拳:『ははは、まぁ今日は一日休んでろよ。学校には連絡しといたから見舞いがくるかもだせ?』
・瑠璃姫:『来てくれなければ寂しいですね』
・正性男:『しみじみ言うな!……ゴホッゴホッ!』
・蒼 拳:『大人しくしとけよ。じゃ、行ってくるな』
───────とある後輩たちの場合──────
・──玄関にて 午後五時二十九分
・風忍者:『師匠ーー! 大丈夫でござるか!? 那須どの! 早く玄関からどくでござる!』
・鳶 子:『ちょっと、陽菜ちゃん静かにしたほうがいいよ!』
・物干竿:『あかりちゃんも声が大きいよ?(そんなあかりちゃんも……ハアハア)』
・雷 火:『いや、お前ら。先輩の部屋なんだから自重しようぜ』
・蒼 拳:『……相変わらずだなぁ。ホラ、入れよ。静かにするならな。……てか、中等部《インターン》のちっこいのはいないのか? ライカちゃんの戦妹《アミカ》で間宮ちゃんと同じくらいちっこい子』
・雷 火:『来たがってたましたけど、予定が合わなくて』
・鳶 子:『ていうか、私そこまで小さくないです!』
・──寝室にて 午後五時三十二分
・瑠璃姫:『おやおや、まず後輩が来るとは──やはりロリですか』
・正性男:『後輩の前で変なこと言うな!』
・風忍者:『師匠! ご無事でござるか!?』
・正性男:『あー、風魔。心配はありがたいんだが出来れば静かにしてくれるか?』
・風忍者:『そ、そこまでヒドいとは……こうなれば!』
・正性男:『こうなれば?』
・風忍者:『秘伝の房中術で……!』
・約全員:『やめろよ!』
──────────とある友人たちの場合────────
・──寝室にて 午後五時五十分
・乗物男:『よう、キンジ! 調子どうだ?』
・イケ男:『はいこれ。今日の分のプリントとかね。那須くん忘れてっちゃったから』
・正性男:『悪いな不知火。ていうか蒼一、プリントくらい忘れんなよ』
・イケ男:『しょうがないよ、那須くんなんだかんだ言って授業終わってすぐに飛び出して行ったから』
・蒼 拳:『おいこら、余計なこと言うな』
・正性男:『……ありがとな、蒼一』
・蒼 拳:『勘違いすんなよ、俺はただ──』
・乗物男:『おおっ、コレが噂のツンデレ!?』
・蒼 拳:『――弱ったお前でいじりたかっただけなんだからな』
・正性男:『俺の感動返せ!』
・乗物男:『ていうか、お前ら俺を無視す んな!』
・全 員:『あれ? いたの、お前?』
・乗物男:『ちくしょー! ひいてやる!』
──────────とある同級生の場合─────────
・──寝室にて 午後六時二十分
・発明家:『おーい! 遠山くん、だいじょうぶなのだ!?』
・正性男:『……とりあえず、頭が割れそうだ』
・発明家:『そーかそーか、ファイトなのだ!』
・正性男:『……』
・瑠璃姫:『それでアヤポン一人なのですか?』
・発明家:『おーレキたん! うんうん、そうなのだ!くーちゃんは恥ずかしいから来るの諦めたのだ!』
・蒼 拳:『また、なんとも言えずにらしいな……』
・発明家:『その代わりに! なんと! 電話を繋げてるのだ!』
・正性男:『……ホント、テンション高いなぁ』
・音前髪:『……………………』
・発明家:『? どーしたのだ、くーちゃん』
・音前髪:『…………………………………………いえ』
・瑠璃姫:『どうかしましたか? くーちゃん』
・音前髪:『なんでもありませんよ、レキたん。では、遠山さん、お大事に』
・正性男:『お、おう』
・音前髪:『では』
・蒼 拳:『……なんか、様子おかしくね?』
・発明家:『うーん、まぁあれなのだ。――くーちゃん変わってるから!』
・全 員:『お前が言うな!』
・──寝室にて 午後六時三十七分
PiPiPiPiPiPi
・蒼 拳:『あ、電話だ……はい、あれ? なんで………………へぇ』
・正性男:『……どうした?』
・蒼 拳:『いや、なんでもない。ちょっと外すから大人しくしとけよ、レキも行くぞ』
・瑠璃姫:『はい』
・正性男:『……………………行っちまった。なんだ? まぁいいや。寝るか───────────────なんかうるさいなオイ、ちょっと見てくるか……』
・緋 桃:『キンジ、いる?』
・正性男:『あ、アリア?』
・──寝室にて午後六時三十八分
・正性男:『………………』
・緋 桃:『………………』
・正性男:『………………』
・緋 桃:『………………』
・正性男:『………………』
・緋 桃:『………………』
・正性男:『………………』
・緋 桃:『………………はい、コレ。この前キンジが言ってたとくの……なんとかよ』
・正性男:『ああ……『特濃葛根湯』な。スマン、わざわざ買ってきてくれて。アメ横まで行ってきてくれたのか?』
・緋 桃:『ベ、別に。ちょっと近くまで寄ったから、ふと思い出ただけよ』
・正性男:『そっか、ありがとな』
・緋 桃:『な、なによその半笑い』
・正性男:『………………』
・緋 桃:『………………』
・正性男:『………………えっと、そうだな。結局さ、
・緋 桃:『いるわ』
・正性男:『……ちなみに、どっからその自信は湧いてくるんだ?』
・緋 桃:『カンよ』
・正性男:『お前ご先祖様に土下座しろ』