落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君 作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定
「結局
ふと、タンスを運びながらキンジが言った。
「さあ?」
俺は手ぶらで答える。
「さあって、なんかないのかよ」
「んなこと言われてもなぁ。正直、わからん」
都市伝説と言われているのだ。なにが真実でなにが虚構か判断がつかない。わかっているのは一つだけ。
「超偵専門の誘拐魔、もし本当にいるとしたら何を考えてるんだか」
「俺は
「今時お前そんなんでよく武偵やってられるなぁ。だからお前無恥ロリコンなんて呼ばれてるんだぜ」
「待てこら」
「ん?」
「ん、じゃねぇよ。まさかとは思うが最近所々で囁かれていたその2つ名は」
「おう、俺が考えたんだ」
「やっぱりかーーーー!」
タンスを投げつけてきた。
危ないわ!
「なにすんだ!」
「うるせぇ! ふざけた名前つけやがって!」
「事実じゃねぇか! このロリコンバカ!」
「お前だってかわんねぇじゃねぇか! 無口バカ!」
「てめぇ人の嫁に色目つかってんじゃねぇよ! ツンデレバカ!」
「変な誤解すんな! アリアと白雪に聞かれたらどうすんだ! 似非クールバカ!」
「誰が似非だ! 根暗ハーレムバカ!」
「ぐるるるるる!」
「がるるるらる!」
俺たちは唸りを上げ、
「この桜吹雪、散らせるものなら散らせてみやがれ!」
「ただしお前は俺に負けて超落ちこぼれになるけどなぁ!」
決めセリフと共に飛びかかった。
●
「
全身ボロボロになりながらキンジと共にぶちまけられたタンスの中身を片づける。
およそ五分間に渡り繰り広げられた戦争については是非とも語りに語りたい所だが、文字数にして10000文字は必要なのでここでは割愛しよう。
「だから、どう違うんだ?」
「そうだなぁ……、『
「あ……?」
なんと言えばいいのだろうか。
俺も受け売りでしかないんだが。
「
人の出力器官は一つだけ、筋肉だ。人の動きは筋肉の動きだ。
筋肉。
普通の活動はもちろん、表情は顔の筋肉の動き、声は声帯の動きでしかない。人は筋肉の動きをもってしか世界に働きかけを出来ないのだ。
「だからこその人を超えた性能、能力――超能力だ。言ってみれば、ニューカマーだな」
「それは……なんか違うんじゃないか?」
まあ、いいじゃないか。
「で、お前みたいな『異常』っては血で遺伝するわけじゃない。しないわけじゃないけどな」
「ああ、俺のは遺伝だろう」
確かに、キンジの『
けど。
「『
根源。その人の基となるもの。その人を構成するもの。それらはどうしようもない。どうしようもなく、どうにもできない。
「ただ、そういうものでしかない。だから正直こうやって解説しても意味はない」
語るに足らず。語ろうにも――語れない。
『
存在証明。
自己存在の理由を、説明なんて――誰にもできない。
自分のことなら尚更だ。
「……やっぱり、わけわからん」
キンジは頭を横に振る。痛そうに。まぁ、頭の痛くなる話だ。
「俺にもよくわかんねぇよ。これだけ言っても異能としては対して区別がつかないんだからな」
「なんだそれ」
互いに苦笑。
「やれやれ、なんでこんな話になったんだ? 確か
「お前が超能力なんだったけとか言うからだ」
「悪かったな」
「土下座したら許してやるよ」
「言ってろ」
は。さて。さてさてさてさて。とりあえす話に一区切りついたわけだが。ここでさらに頭の痛くなる問題が発生した。キンジと共に頭を抱える。
さあ、どうしよう。この散らばった星伽の下着はどうしよう。ていうか、この黒いのは拙いだろ。大人向けじゃん。過激すぎる。