落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君   作:柳之助@電撃銀賞5月10日発売予定

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原作は死んだ! もういない! 
だけどこの胸に……一つになって生き続ける!

というわけで原作通りにドイツだぁ!(


エピローグ「ばいばい、セリヌンティウス」

 

「勝った……」

 

 その言葉を捻り出すのに俺は恐ろしいまでの精神力を必要とした。

 全く力が残っていない。最後の一刀で、持てる全ての力を叩き込み、曹操へと勝利を叫んだ。それを彼女も受け入れた。だから勝ったと判断してかいいのだろう。けれど、そう簡単には信じられない。彼女はそれほどまでに強く、俺にとっては壁であった存在なのだから。京都における決定的な敗北は忘れらない。あれから強くなったという実感はあったし、勝つつもりだったがそれでも信じられないという想いは大きい。

 緋刀を杖代わりにして支えるがまっすぐ立つのもつらい。姿勢は下に下がり崩れ落ちそうなり、

 

「どうした、胸を張れ」

 

「ッ」

 

 視線の先に曹操は笑みを浮かべながら確かに腕を広げながら立っていた。

 

「お前、まだ……!」

 

「きひ、安心するがいい。言ったはずだ、お前の勝利だと。そして同時に私の敗北だ。自分の言葉を違えたりなどせんよ。バスカービルと曹魏の決着は……バスカービルの勝利だ」

 

「……ホントかよ」

 

「無論だ。その絆の一刀は私の胸を切り裂いた。ここまでの損傷は初めてだな。色金のせいで子考の回復も一度しか効かなかったようだな」

 

 確かに曹操の身体、右肩から左の腰に掛けてまで血に染まっていた。『緋刀祈願』による袈裟の斬撃痕が刻まれている。それ以外のはほとんどが治癒されているようだがそれだけは修復する気配はない。黄金の装束は血に染め、いつの間にか羽織はどこかに消えていた。

 かなり訝しげ見ていた俺に曹操は笑みに仕方なさそうな感情を混ぜる。

 

「そう警戒しなくともよい。敗者には敗者なりの矜持がある。敗北を認めた以上はそれを受け入れよう。誓約通り、我ら曹魏の全てはお前のものだ。好きにするといい。殺すもよし、一兵士として戦場に駆り出すもよし、お前の妾にするもよしだ」

 

 からかう様な最後の言葉を無視するが、確かに彼女からはあのふざけた覇気はなかった。戦いの最中に無意識に体から広がっていた波動も完全に消えている。二刀もいつの間にか鞘に戻っていた。その言葉は本当らしい。まぁ彼女が嘘をつくような性格ではないのは解っていたことだが。

 

「……そう、か」

 

 長く息を吐く。熱のこもっていた。緊張が解けて体中の激痛がよみがえり、疲労感がのしかかってくる。そのまま地面に座り込んだ。どこもかしこも亀裂が入ってばかりで、ちょっと前までの庭園の面影はどこにもない。寧ろよく形を保っていたと思う。

 

「これでひとまず……終わりか」

 

「あぁ。細かい処理は必要だろうが、少なくともこれでアジアは師団(ディーン)側になるだろう。静幻や私がそちら側に行けば上海藍幇の老害共も無視できないだろう。欧州や米国はまだ残っているが、とりあえずは一段落だ……む」

 

 曹操が視線を真上へと動かした。

 つられて俺も天を見上げれれば落ちてくる影が二つ。特別強い存在感や覇気があるわけでもなく夜の闇にまぎれて振ってくる人影。それでも誰なのはかはっきりと解った。

 蒼一と猴だ。

 二人ともボロボロなのは言うまでもないが、猴の方は意識を失っているようで蒼一に担がれている。かなり高所からの落下だったようだが危うげなく着地し、

 

「よう、お疲れさん」

 

 飄々とした笑みで手を掲げながら声をかけてくる。一見すればかなりの血を流した重傷人なのに余りにも余裕があった。

 なんかムカついた。だから、疲れをそのムカつきで押し殺して立ち上がった。

 

「別に、余裕だぜ」

 

「かはは、そりゃ重畳」

 

 笑い飛ばされた。

 なんとなく、雰囲気がそれまでと違った。ちょっと前から、体育祭から帰って来た時から変わっていたのは確かだが、それでも何かが違ってしまったように見えた。

 最もそれは、俺だって人の事言えないだろうけど。

 

「……猴は負けたか」

 

「あぁ。俺が勝ったぜ」

 

 応えながら曹操は蒼一から猴を受け取る。身長差が大きいがそれを苦ともせずに抱え、少しだけ距離を置いて比較的亀裂の少ない足場に寝かせる。。血色の髪や赤銅の肌はなく、一見すればただの少女でしかない。仰向けて力なく横たわり、薄く目を開けた。

 

「……華鈴か」

 

「その名で呼ぶな。気分はどうだ?」

 

「私は……負けたのか」

 

「そうだ、そして私もな。これにて完全敗北だ、いっそ清々しいがお前の方は?」

 

「…………解らないよ。私が負けた……どうして……」

 

「それが解らねーからお前は負けたんだよ」

 

 突き放すようなことを言うのは蒼一だった。

 

「解らない解らない解らない……そこで思考が止まってから。解らないのならどうして解らないのかを考えてないんだ。誰とも繋がらないでいればそりゃ浮遊する。俺はお前のことなんか知らなーけど、それじゃあ何も変わらないよ。お前は結局、誰も見てなくて、相手に映った自分を見るばっかりで、血と戦だけに酔ってればそうなるに決まってるんだ」

 

「……」

 

「多分誰かはそれを気づいていたはずだぜ」

 

「っ……どうしてお前がそれを」

 

「さぁな。そんな気がしただけだよ。深い意味はない戯言だ。俺だって偉そうなこと言えないしな。結局自分から何とかするしかないんだよ」

 

 自嘲気味に蒼一は苦笑し、俺を一瞬だけ見た。

 

「指し延ばされた手を取るには自分からも手を伸ばさなきゃいけない。解らないって泣いて喚いていたら誰かが助けてるくれるなんて甘いにもほどがあるぜ」

 

「……甘い、か」

 

 蒼一の言葉に猴は目を閉じ息を長く吐いた。まるで消えてしまった誰かを悼むように。

 

「……私には解らないよ蒼一。お前の言っていることも、お前の生き様も。目にし、敗北し、それでも私には解らない。だって私はずっとそうだったから……簡単に私は在り方を変えられない」

 

 あぁ、でも、

 

「……猴の想いを考えよう。あの子が何を想っていたのか。何を想って消えてしまったのか。……それくらいは今の私にはだってできるはずだ」

 

「お前がそう思ったのなら、それでいいんじゃねぇの? それで偶に周囲見回せば、案外誰かいるもんだぜ」

 

「少なくとも私はいるぞ、孫。今更私とお前が離れることはなかろう。最後まで付き合うし、行けるとこまで行こうと行ったのはお前の方だ。約束は、守らねばあるまい?」

 

 蒼一に繋いだ曹操は笑いかける。横たわる彼女に手を伸ばし、普通の女の子のように。さっきまで馬鹿げた人外バトルを行っていた二人とは思えないくらいだ。あの二人の間だけしか存在しない絆があるのだ。それは俺もよく知っているもので、そいつは笑っていた。

 

「とりあえず、私の手を取れ。敗北は受け入れるが、それでも何もしないわけではない。キンジが志を失えば反逆するし、間違ったのなら寝首をかく。当分は心配ないだろうから私の隣で自分でも探していろ。腐れ縁、だからな。退屈させんよ」

 

「……そうか。それは……うん、悪くないのかもな」

  

 儚く、小さく、それでも確かに猴は笑みを浮かべて指し延ばされた曹操の手を握りしめ、

 

 

「なるほどそう終着したか。いや、素晴らしい歌劇であった。万雷の拍手として君たちに私からささやかな贈り物をしよう。いささか役者不足は否めなんが――前振り程度にはなるだろう」

 

 

 ――全員に真っ青な鎖が絡みつき拘束した。

 

「――!?」

 

 俺を、蒼一を、曹操を、猴を、残らずまとめて青い光で形成された鎖が纏わりつく。数十本近い光鎖が雁字搦めとなり、先端に付いた楔が床に突き刺さり停止する。咄嗟に力任せに引きちぎろうとしたがそれでも揺らがない。俺だけではない。蒼一たちも同じように繋ぎ止められている。

 

「――勝利万歳(ジーク・ハイル)!」

 

 現れたのは逆卍の旗(・・・・)だった。 

 そしてそれを担う黒衣の魔女。カスタマイズしたSS軍服に全身を覆うマント、寓話めいた三角帽子。おかっぱ頭で眼帯の少女を俺は知っていた。『宣戦会議』の時にいた各勢力の一人!

 

「カツェ・グラッセ……!」

 

「よーう、遠山キンジ、那須蒼一。それに負け犬王様にお猿さん。久しぶりだなぁ」

 

 拘束する鎖と同じものが中空にも張り巡らされ、そこを足場にしてカツェは俺たちは見下しながら立っていた。

 

「面白い見世物だったぜぇ。戦争というにはちと派手さが足りなかったけどよぉ、決闘に関しちゃいいもんだった。これでずっと鬼払結界の中に籠っていたお前らバスカービルはアジア一帯を手中に収めたわけだ、よかったなぁ!」

 

 腕を大きく広げたカツェは独眼を見開き、哄笑と共に叫んだ。

 

「そぉーしぃーてぇ? 覇王様よぉ、アンタ負けてるってどういうことだよぉ? んー? その上で師団側に移籍するとかそりゃ困っちまうじゃねぇか! な、の、で! お前ら全員ここでぶっ殺したいと思いまーす! カモン!」

 

 指を鳴らし、最初は何が変わったか解らなかった。当然だ、変化が生じたのはカツェではなかったから。

 海面上にそれはいた。

 

「――おいおい、何の冗談だ」

 

 巨大な化物。それが俺の第一印象。どう見ても全長百メートル以上はある。全体的なフォルムは四足歩行の獣、狼をベースにしているように見えたが絶対に違う。そんなもんじゃない。

 ごちゃごちゃだ(・・・・・・)

 基本が狼だとしてもまるで要所要所を移植しかかのように毛皮だったり、鱗だったり、無毛だったり、羽毛だったり、甲殻だったり。巨大な足が四本あるがそれぞれ全ての形は違うし、指の一歩一本までもどれ一つ同じものがない。まともな生物じゃない。あまりにも説明しがたい。あえて言うならば、狼の形に地球上の生命全てをぶち来んだかのよう。鼻に付くのはむせ返るような獣臭さ。気の弱い者ならばこれでも十分に卒倒できそうで、低いうなり声は地獄から響いているようだ。

 流石にこれには俺たち全員が驚かざるをなえない。

 

「驚いたか? 驚いたよなぁ、俺だって驚いたからよぉ! 最初はお前ら皆殺しにするためにタンカージャックでもして香港全域を燃やし尽くしてついで香港藍幇ごと滅茶苦茶にしてやろうかとおもったけどよぉ、こーんな化物貰っちまったよ。ジェヴォーダンっつー百獣の王をクローニングしたんだけど失敗したらしくてなぁ。地球上の生物繋ぎ合わせてついでに色々呪物突っ込んだらこうなったらしいぜ。アタシ的にやべぇと思ったのはクトゥルー系の魔導書だと思うんだ」

 

 水面に足を置く怪獣は不気味なほどに動かない、そう思った直後、

 

「まぁ、いいや。やっちまえ」

 

「――――――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーー!!!!」

 

 絶叫。

 音とはつまり空気の振動だ。音を武器とする音響兵器なんてごく普通に存在するし空気の振動を使った技というも数多く存在する。そしてこの怪獣の咆哮はそれに近いものだった。物理的な破壊力はそれほどないだろうが、香港全域にその音は届いていたはずだ。

 

「きゃはははははははははははは! 本物みてーな、動物支配能力はねぇけど、その分超凶暴で私が解き離して止めるまで破壊を振りまくぜ!? 普段ならともかく今のお前らならただ蹂躙されるだけだろ!? きゃはは、新世界なんて始めさせるかここで終っちまえ!」

 

 カツェの哄笑をかき消すように再び怪獣は絶叫を上げ、巨大な顎を上げ動き出した。水面を蹴り、『蚩尤天』の空中庭園にいる俺たちへと飛びかかる。

 

「きゃははははははははははははははははははははははははは!! はは、はははははははははははっ、はは、はは……ひぃーひぃっー……・は、はは……げっほごほ、おうぇ……ぇうあぁ……っ……ひ、はは……」

 

 笑いすぎて噎せ、嗚咽を吐くカツェに指図され確かにそれに従っているらしい化物はカツェの鎖には引っかからないように動いていた。あんな巨大な顎や足ならば今の『蚩尤天』ならば軽く吹き飛ぶ。視界一杯に怪獣の開いた顎が迫り――

 

「――黙れ」

 

 血の閃光が撃ち抜き、

 

「――消えろ」

 

 金の破壊が崩壊もたらし、

 

「――うるせぇ」

 

 緋の斬撃が切り裂き、

 

「――ふざけろ、くそったれ」

 

 蒼の拳が叩き込まれ――怪獣が完全に消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

 えづくぐらいに笑っていたのを忘れてカツェは呆然と声を漏らすがが、現実は変わらない。後には何も残らなかった。俺、蒼一、曹操、猴。四人の同時攻撃で巨大な化物は完全に消滅していた。一々語るまでもない。ただそれだけだ。普通のアニメとか漫画とかだったら敵味方合わせて全力攻撃とか合体攻撃でもぶち込む所なのだがそんなの必要ない。たかだかでかいだけの怪獣に手古摺るわけがない。

 

「……ふん。手傷がなければ一撃で灰燼に帰していた、というのは負け惜しみか。全員似たようなものだしな」

 

「私は蒼一に神格の力消し飛ばされたばかりで碌に力発揮できなかったんだぞ」

 

「そんなこと言ったら俺だって絶不調だし? 猴に全身穴だらけにされてるし?」

 

「というか俺だけ静幻と二連戦だぜ? 超劣化してたっつぅの」

 

「いや……お前ら、え、その……は? ちょっと待てよ。どこいったあの化物。解き放ったら都市一つ完全に壊滅させることだってできるとか言われて借りてきたんだぜ? それが、ちょっと、どこにいないんだが………………えっ」

 

「カツェ・グラッセ」

 

「え、あ、はい」

 

「先ほどまで私は実に気分がよかった。初めて敗北し、それを受け入れたのだからこの先私はこれまで私が味わうことのできなかった未知を体験できると思った。孫と共にそんな道を往けると思っていた……貴様に邪魔されたがな」

 

「……っぁ」

 

「今すぐ私の前から失せろ。どうせあの魔女の差し金であろう。ここで貴様を殺してもいいが、我が盟主は不殺が信条だ。だからあの詐欺師に伝えろ――この借りは必ず返す」

 

 殺さなかったのは俺たちのノリを尊重してくれたらしいが、実際そうでなければここで殺していたのだろう。放たれる殺気と怒気は本物だ。カツェは顔中から冷や汗をだらだらと流していた。無理もない。

 

「……は、はい」

 

 頷くしかない。俺たち四人を前にしてまともに戦って勝てるはずが、戦いになるはずがない。今ここにいる四人を同時に相手して勝てる存在など宇宙にもいるかどうかだ。恐ろしくみっともないし情けないし出オチ極まりないがそれでも撤退するしかない。

 

「………………お、覚えていやがれ遠山!」

 

「なんで俺だよ!?」

 

 訳の分からない飛び火に反抗したが既にカツェの姿はなかった。鎖から飛び降りるか、転移でもしたのだろう。

 そして今度こそ静寂が残った。

 

「……なんというか」

 

 ぼそりと蒼一が零した。

 

「グダグダにもほどがあることね? なんでさっきので終んなかったんだよ……」

 

「とりあえずヨーロッパ行くときは気を付けよう。当分行く気ねぇけど」

 

「きひっ。日本ではそれをフラグというのだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………」

 

 摩天楼の最上階にて夜の風を浴びる。

 ビルの淵に腰かけ、百万ドルの夜景を一人眺める。最初のホテルへと戻ってきていた。『蚩尤天』はほとんど崩壊直前で、人が足を踏み入れるのにはあまりにも危険だった。戦闘に参加した全員が全員満身創痍で、城の外にいた藍幇の治療班から受ける応急処置。輸血やらなんやら受けたりしてから体を休める所として俺たちの拠点であるICCビルへと戻っていた。そこで追加の治療を受けたり、話し合いをしたり、飯食ったり、眠ったりと様々なことをする中で俺は屋上から街を見下ろしていた。

 

「……キンジか?」

 

「……おう」

 

 背後に気配があったが、振り返ることなく名前をいい当てる。

 

「なんだよ、レキじゃねぇのか」

 

「レキが探してたから手伝ったんだよ。戻ってやったらどうだ?」

 

「そりゃどうも。んじゃあ我が愛しの嫁に会いに行くかね」

 

 立ち上がって夜景から背を向けた。そのままキンジが出てきた扉へと足を進める。レキが探していたのだ。彼女の意思に応えるのは俺にとって当然のことで、探していたというのなら俺から見つけに行って抱きしめるなりキスするなりするべきだろう。正直かなり疲れていたのでレキ分を補給したい。

 歩みを止めず、キンジとすれ違い、

 

「なぁ蒼一」

 

「あん?」

 

 声を掛けられた。顔を合わせず、見えるのは背中が少しだけ。逆の方向を向きながら隣り合う。

 

「お前は……それでいいのか?」

 

「いいんだよ、これが俺だ。前から解ってたし、猴のせいで強制的に押し付けられた感覚はあるけどまぁ結局こうなってたんだろう」

 

「……そんなもんか」

 

「そんなもんだよ。俺は俺であるように、お前だってお前だろ」

 

「……そうか? そういう意味だと俺はお前に礼を言わないとな」

 

「はぁ?」

 

「良いから聞けって。……つまりさ、お前がいなかったら俺はいなかったて話さ。お前とのことなかったら俺は多分武偵なんてやめてただろうし。アリアともこんな風に上手くいくこともなかっただろ」

 

「なんだそりゃ。ばっかじゃねぇの? 安心しろよ。お前は俺がいなくったって変わらねぇ。主人公体質で所構わずフラグ立てて無駄に女引き連れて馬鹿みたいに頑張って敵も仲間にして皆一緒になかよしこよしで結局ハッピーエンドだよ。賭けてもいい」

 

「そうかもしれない。でも、それでも似たようなものかもしれないけどさ。似ているってことは違うことがあるってことだろ? だったら、少なくとも今ある俺はお前のおかげでもあるんだよ」

 

「…………かはは。そりゃ傑作だぜ。戯言って言ってもいい。そんなこと言いだしたら俺だって一緒だ。お前がいなきゃ俺は屑のままに死んでたぜ」

 

「……お互い様か」

 

「そういうことらしいな」

 

「ははは」

 

「かはは」

 

「ありがとう」

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

「どういたしまして」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……他に言うことあるか?」

 

「あぁ……なかったかなぁ。ねぇなぁ」

 

「そっか」

 

「……ほんとにいいのか」

 

「いいんだよ。これでいいんだ」

 

「……解った」

 

「じゃあ、後は頼んだぜ」

 

「あぁ、任された」

 

「ばいばい、セリヌンティウス」

 

「走れ、メロス」

 

 パシンと手を鳴らして、

 

 那須蒼一と遠山キンジは――決別した。

 




原作は死んだ(ry
あの面子でまともに戦えるわけないじゃないですかやだー(

これにて二部終了。
あとは原作の敢行まち。
最初キンジ目線だけどフランス編はキンジ目線が基本。
蒼一? 
奴は死んだ(ry

まぁ詳しい今後の予定は活動報告にて。

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