シノンと共にガンゲイル・オンライン   作:ヴィヴィオ

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第9話

 

 

 

 

 

 起きた後、家に帰らずに詩乃と一緒に買い物に出かける事にした。俺は黒いジャケットにジーンズという格好で、詩乃はコートとズボンだ。下は肩に掛かってるセーターかな。それにお化粧もしている。詩乃が準備している間に軽く朝食を作る。といっても、目玉焼きとトーストだけどな。ほら、懐かしいアニメ、天空の城で出てきたアレだ。

 

「本当に帰らなくていいの?」

「別に今更だしいいよ。それに妹にもメールは送っておいたし」

「そう……」

 

 向かいあって食事を取り、詩乃が入れてくれたコーヒーを飲んでから出かける。詩乃は照れているのかなかなか顔を合わせてくれない。まあ、真っ赤に染まった顔を見られるのが恥ずかしいんだろうけど。そんな詩乃を後ろに乗せてバイクで渋谷まで移動する。到着したら直ぐにガレージの方へと入れる。

 

「こんにちは」

「和人か。どうしたんだい?」

「知り合い?」

「ああ。バイクで世話になってる」

 

 ガレージで働いているツナギ姿の男性ぽい人に声を掛けると詩乃が聞いてきたので知り合いと答えておく。この人はバイクの面倒を見ている人で、ぽいと言ったことから分かるようにこの人は男のような女の人だ。いや、もっと正確に言うなら女の子だ。

 

「僕はキノ。このバイクショップの店長だよ。君は……」

「私は――「俺の彼女の詩乃」――そっ、そうです。朝田詩乃です……」

 

 顔を真っ赤に染めながらそんな事を言った。最初は絶対に無難な挨拶をしようとしてただろうしな。

 

「へぇ~おめでとう。それで、何をしに来たんだい?」

「バイクにサイドカーをつけて欲しい。ちょっと詩乃と遠出をするからね」

「別にいらないんじゃないかな? 荷物なら後ろに括りつければいいし、サービスエリアとかあるし食料の心配はないだろう」

「それもそうか……でも、ずっと後ろから抱きついていると疲れない?」

「ああ、それならゴムバンドで運転手と身体を固定しておけば大丈夫じゃないかな。まあ、ゆっくり行くのもありだけど」

「あの、アミュスフィアを持っていくんじゃ……」

「そうだった。途中で仕事とかしたいし……」

「今ならホテルとかネカフェに置いてあるはずだけど……個人認証用のカードさえ持っていけばいいんじゃない? ホテルはそれなりにいい所になるだろうけど、お金あるでしょ」

「まあ、使い切れないくらいはあるね」

「じゃあ、このままになるの?」

「まあ、メンテナンスはするとして、後ろに乗る彼女がリュックサックで荷物を持たないなら少し器具を取り付けて荷物を積める用にする必要はあるかな」

 

 詩乃には出来る限り負担をかけたくないしな。

 

「じゃあ、それでお願い」

「うん……直ぐにメンテナンスに取り掛かるよ」

「それとライダースーツが欲しいんだけど、いいの無い?」

「彼女のだね。なら、店の中にあるから店にいるエルメスにお願いして出してもらって」

「わかった。じゃあ、行こうか」

「うっ、うん……」

 

 詩乃の手を繋いで店の中に入る。今の時代、バイクそのものが減ってバイクショップは数が減っているのであんまり客が居ない。なので、暇そうにしている店員の人工知能にお願いして女性用のライダースーツのある場所に移動する。

 

「じゃあ、どれでもいいから好きに選んで」

「わからないから、和人が選んでよ」

 

 詩乃は何着か見てさっさとこっちに委ねて来た。彼女のコーディネート……これはこれで面白そうだ。

 

「じゃあ、素材からしてこれかな……色は……」

 

 詩乃にあてがって色々と調べる。少しして選んだライダースーツは、黒を基準にして緑色のラインが入った奴で、股下と肩の一部に白く、肩を包む場所が緑のものだ。身体にフィットする奴で詩乃のラインがしっかりと見える。エロい。ちなみにこれは特殊繊維でできていて、衝撃吸収能力も非常に高く時速60キロでぶつかっても打ち身程度であり、頭部さえ守っていれば100キロまでは即死は確実に免れるというとんでもない代物だ。防弾もできるので軍部でも使用が検討されているらしい。開発者はリタとドクター。

 

「こっ、これは恥ずかしいわね……」

「似合ってるよ」

「そっ、そう……?」

 

 胸と股間を手で隠すようにして身体を抱いている詩乃は耳まで赤い。でも、直ぐに真っ青になった。

 

「こっ、これ、値段がおかしいわよ!」

「うん、まあ、100万だしねえ」

「高すぎよ!」

「詩乃の安全には変えられないし別にいいよ。ヘルメットはこれかな」

「それも高いわね……」

「気にしない気にしない」

「あっ、ちょっ」

 

 試着室に押し込めて着替えて貰っている間にさっさと会計を済ませる。全部で250万。うん、高級車以外のバイク買うより高いな。

 

「本当に買ってるし……」

「ほら、次に行くよ」

「あっ、待って」

 

 詩乃の手をとって店から出て行く。渋谷から原宿まで歩きながら買い物をしていく。一応、髪の毛を三つ編みにして帽子を深くに被っている。その状態で詩乃と手を組んで一緒に買い物を楽しむ。これはデートだからね。詩乃も理解しているのか、ずっと顔が赤いままだ。

 

「さて、これからどうしようか」

「あ、あそこは?」

「アクセサリーショップか。いいね」

「行こ」

 

 詩乃の言葉に従って中に入る。アクセサリーショップの中は女の子ばっかりで独特の甘い匂いがしている。少し恥ずかしいね。取り敢えず、詩乃に似合いそうなのを探そうかな。

 

「ねえ、これが欲しい」

「ちょっ、それって……」

「首輪ね。私が和人の物だっていう証明が欲しいの。駄目?」

 

 上目遣いでお願いしてくる詩乃に勝てそうにない。瞳は不安そうにしているし、泣くかも知れない。いや、それ以前に詩乃さんや、貴方はどこまで飼い猫になるつもりなんだ……まあ、買うけど。赤い鈴付きの首輪のようなチョーカーと雪だるまの髪飾りを購入する。一応、人間用だけどペットにもそのまま使えそうな奴だから色々と背徳感があるけど支配欲が刺激されるのは事実だ。

 

「じゃあ、着けて」

「わ、わかった」

 

 顔を真っ赤に染めながらそっぽを向きながらチョーカーと首を差し出してくる詩乃にしっかりと着ける。詩乃が着けられた首輪を何度か撫でる度にチリンチリンと鈴がなる。

 

「不思議な気分ね……」

「全くだ」

「でも、嫌じゃないから。次はどこにいく?」

 

 詩乃の方から腕に抱きついて身体を寄せてくる。詩乃にとって自分を納得させる為のケジメなのかも知れない。色々とぶっ飛んでいるが。

 

「じゃあ、寄りたい場所がある」

「どこ?」

「こっち」

 

 携帯で調べた場所に詩乃を誘導する。服とかも結構買っているので荷物は多いが、まだ大丈夫だ。入ったのは宝石店だ。

 

「なっ、何を、かっ、買うつもり……」

「婚約指輪。ご両親に会うんだからちゃんとしないとね」

「はっ、はやいからっ!?」

「気にしない気にしない。婚約だけでも先にしておくんだ」

 

 あたふたする詩乃を連れて店員さんにお願いして指輪を選ぶ。綺麗なダイヤモンドの指輪を購入して詩乃の薬指に嵌めてあげる。それとチェーンも購入しておく。

 

「学校に持ってくのは色々とまずいだろうし、これで首にかけたらいいよ」

「そうね。流石にこんなの手には着けてられないわよ……」

「まあ、今は手に着けておいてよ。これから食事に行くし」

「そうね」

 

 2人でホテルのディナーをちょっと早いけど食べにいく。街灯テレビで映し出されたニュースでは未明に起きた奇跡について次々と説明しているけれど気にしない。世界規模の奇跡は一部混乱しているけれど、重病者が回復した事により喜びの方が多い。宗教関係者が特に我々の神が行った事だと声明を発表したりもしている。まあ、彼らの大概の者は偽物で逆に不正が露見したりしている。少し知り合いに頼んで潰して貰ったのだ。せっかくの奇跡を崩して欲しくないしね。

 食事が終わり、お土産を買ってからバイクを受け取って詩乃の家に向かい、荷物を置いて別れる事になる。

 

「それじゃあ、またね」

「ええ、また明日」

 

 そわそわとしている詩乃を見て、思い出した事があった。

 

「あっ、おやすみなさいのキスしようか」

「っ!? ばか……勝手にすればいいじゃない」

 

 ぷいっとそっぽを向く詩乃の頭を掴んでこちらに向かせてキスをする。そのまま詩乃の細い身体に手を回して抱きしめる。詩乃の唇は気持ちよくて柔らかくて楽しくなってつい夢中で楽しんでしまう。

 

「あっ……んっ、んんっ」

 

 しばらく玄関で詩乃と抱き合ってキスをして、舌を絡めていく。詩乃も俺を抱きしめてお互いを貪っていく。次第に息が続かなくなって、頭が真っ白になってくる。

 

「ぷふぁっ!? はーっ、はーっ、これ、やばいわね……」

「はぁ、はぁ、そうだな……麻薬みたいなものだね」

 

 唾液の橋が出来て切れていく。お互いに顔は真っ赤だろう。

 

「じ、自重しないと駄目だからね」

「俺に言うのか?」

「だって、私は和人の物だし……望むなら何でも受け入れるからね」

「ああ、もう可愛いなっ」

「いっ、言ってるそばから……んんっ!?」

 

 結局数十分もディープキスを続けて、終わったのは俺達の意思じゃなくて携帯が鳴ったからだ。内容は直葉からの電話だったので詩乃に帰る事を告げて急いで帰宅した。

 

「お兄ちゃん、説明してもらおうか!」

 

 家に入った瞬間、竹刀を持って仁王立ちしている妹に迎えられた。

 

「彼女が出来てそのまま家に泊まった。以上」

「なっ!?」

「あっ、これお土産。晩御飯にしてくれ」

「あ、ありがとう……って、どういう事っ!!」

「五月蝿いぞ直葉。近所迷惑だ」

「このっ!?」

「甘い」

 

 怒って振り下ろしてくる竹刀を弾いて手刀を決めて竹刀を離させる。手から離れた竹刀を取って直葉の首に瞬時にあてる。

 

「まだまだ修行が足りないな」

「ぐっ……」

「俺に俺の事で意見するなら一本でも取ってみろ」

「無茶言うな~~~~~! 心配したんだからね!」

「それは悪かったって。代わりにこれやるから」

「な、なにこれ……」

「ALOの再調整テストの招待パスワード」

「本当っ!?」

「ああ」

 

 竹刀を返して2階への階段を登りながらはしゃいでいる直葉に告げる。

 

「俺、明日からしばらく旅行に出かけるから戸締まりとかちゃんとするんだぞ」

「わかった……って、誰と!? 誰と行くのお兄ちゃん!? まさか彼女さんとっ! だっ、駄目だよっ!!」

 

 無視して部屋に入って鍵を閉める。服を脱いで着替えてから明日の準備をする。着替えなどの準備をしたらアミュスフィアを着けてベッドに寝転びながらログインする。GGOで詩乃と合流して一緒に狩りに出かけながら明日の予定を話していく。それと倫理機構の部分でハラスメント行為の対象外にお互いを指定する事でキスとか問題なくできるようにした。もちろん、エッチな事もできる。まあ、キスまでしかしてないけどな。

 

 

 

 

 


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