シノンと共にガンゲイル・オンライン   作:ヴィヴィオ

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第4話

 

 

 

 

 招かれざる客が来たので、俺はシノンと分かれてそちらに向かう。シノンの方は隠れて狙撃ポイントに移動している。シノンのナビゲーションツールのお陰で敵の接近にも気づけたから配置の先取りなんて楽勝だ。だが、警戒しなければならないのがスナイパーだ。精神を研ぎ澄まして集中する。

 

「おっ、カワイ子ちゃんが一人だぜ」

「もう一人居たはずだよな」

「ああ。逃げたか……いや、狙撃に警戒しておいた方がいいな」

 

 3人組が荒野を歩いて来る。相手の武装は両手に拳銃とアサルトライフル。最後の一人が大きなボディアーマーに身を包み、盾を持っている。その盾にも銃口が取り付けてあり、攻撃もできるようだ。というか、誰がカワイ子ちゃんだ、誰が。いや、この容姿で言っても意味ないんだろうけどさ。

 

「というかこの初心者、どっかで見た事ないか?」

「確かに……」

 

 相手が何やら考え込んでる間に速攻を仕掛ける。予備動作もなく身体を前に傾けるようにして全力で走る。反射神経や反応速度を鍛え、脳から送られる情報量が速度に変換されるって、確かキリトが言ってた気がする。まあ、違うかも知れないが素早く駆け抜けられるのだから問題ない。

 

「おいっ!?」

「ちっ!」

 

 敵が両手の拳銃をこちらに向けてくる。俺は光剣を取り出して俺の身体を貫こうと飛来してくる弾丸が表示される弾道予測線(バレット・ライン)を見極めて身体を捻り、左右に飛んで避ける。

 

「おいおいっ!?」

「化物かよ!」

 

 他の男がアサルトライフルの引き金を引いてくるが、それら数が増えただけで問題ない。現実ではできなくとも、こちらは所詮仮想の身体だ。ならば肉体に縛られる事などない。だが、流石に避けきれない弾丸は光剣で弾いて進む。接近と同時にしゃがんで相手の視界から消える。大男ならば簡単だ。こっちは身長160センチくらいだしな。

 

「ぐっ!?」

 

 タンクの男を回転しながら斜め下から光剣で切り上げると同時に回し蹴りを放ち顎へと命中させる。上体が上を向いた瞬間に光剣を放り投げてデザートイーグルを引き抜いて喉目掛けて連続で引き金を引いていく。発射された弾丸はタンク役の男のヒットポイントを全損させる。最後に消える前に男達の方へと蹴り飛ばした後、走って追いつき、踏み台にして飛び上がる。そして、落ちてきた光剣を持ってアサルトライフルを持っている男の上に着地して光剣を突き刺してもう一人に適当に牽制としてデザートイーグルの弾丸を放つ。

 

「ちくしょう!?」

 

 ハンドガンの男は味方諸共撃ってきた。だから回避しつつそちらを狙う。だが、銃声が聞こえてハンドガンの男のヒットポイントが減る。それと同時に背後から気配がしたので予定を変更して飛び退きながら光剣を口に咥えてデザートイーグルを構える。2丁のハンドガンとアサルトライフルから発射された弾丸は互いの身体に命中するだろうし、俺はさっさとアサルトライフル持った男から殺す事にした。転がりながらデザートイーグルを2発撃って弾切れとなるが、そのまま持った状態でアサルトライフルを持った男の背後に回ってデザートイーグルで頭を殴りつけ、体勢が崩れた所を光剣で追撃する。みるみるうちにヒットポイントが削られてアサルトライフルの男が倒れる。

 

「ひっ!?」

 

 そして、残りの男は逃げ出そうとする。だけど、そこに銃声が響いてヒットポイントが無くなって他の連中と同じように倒れる。

 

『キリトっておかしいね』

『なんだよ?』

『普通は銃弾避けたり、切ったりできないから』

『訓練すればできるって』

『……参考までにどんな?』

『拳銃を設置してランダムに発射される弾丸を避ける。銃口とトリガーをしっかり見てな。速度に慣れればアサルトライフルでも同じ事ができる』

『絶対無理』

『現にできているんだが……』

『はぁ……まあいいや。でも、援護射撃は必要なかったみたいね』

『まあね。でも助かった。ありがとう』

『あっそ』

 

 どことなく嬉しそうな声を出すシノン。それからシノンと合流する。

 

「これからどうする?」

「そうね。バギーって使えるのよね?」

「ああ。ドライバーのお陰か、仕舞えるから契約時間切れか破壊されない限りは大丈夫だ」

 

 シノンが俺の言葉を聞きながら携帯端末を操作していく。

 

「じゃあ、ちょっと遠くにあるエネミーハウスでも倒しに行きましょうか」

「エネミーハウスね」

「遠くだから他のプレイヤーはあまり居ないから」

「そうなのか?」

「ええ。このGGOでの移動手段は今のところ歩きが基本よ。その他には死に戻りでグロッケンとか登録した復活ポイントに移動する方法。最後にバギーとかの乗り物だけど、こっちは実際に現実と同じような運転技術が必要だからあまり運転できる人は居ないわね。だから遠出すると開始してそんなに日が経っていない今なら人はあまりいない」

「じゃあ、そっちを狩りに行くか」

「運転よろしくね」

「任せてよ。代わりにナビゲートよろしく」

「任せて」

 

 アイテムストレージからバギーを取り出して、シノンの指示通りに移動していく。時速300キロで目的地へ向かう俺達を見つけたプレイヤーも居るけれど、追いつかれる事は無いから無視する。そして、斜面を駆け上がった所でシノンの指示に従って停車する。

 

「ここの下に溜まってるみたいよ」

「なるほどね」

 

 俺達はバギーから降りて少し登ってから身体を伏せて先を覗き込む。下り坂の先には大量のメタルラビットとメタルドックが居た。その数ラビットが25体、ドックが68体も居るそうだ。ここはクレーターになっていて、連中は上がってこれないのか知らないがウロウロしているだけだ。

 

「さて、いっちょやっちゃいましょうか」

「数が多いけどどうするの?」

「4連ミサイルポッドの出番だろ。狙わなくてもあたるし」

「そうね」

 

 取り敢えず取り出して担いでみる。重たい。

 

「シノン、支えるの手伝って」

「はいはい」

 

 2人で支えて引き金を引くとミサイルが発射されて下で爆発が起きる。空になったミサイルポッドをアイテムストレージに仕舞って様子をみると、敵さんは生き残った奴から必死にこちらを目指して上がってくる。

 

「近づいてくるのから殺そ」

「そうね。じゃあ、狙撃するから」

「よろしく」

 

 俺もアサルトライフルを取り出して両手で構えて連射する。ミサイルによって少なくないダメージを負ったエネミー達は簡単に死んでいく。中には何体かのメタルラビットがドリルを飛ばして来るが、それは俺が光剣で斬り払って防ぐ。なので、シノンと共に掃討戦を行う簡単な仕事になった。十分ちょっとで処理してから他所に移動して効率的に狩っていく。もちろん休憩も挟んでだが、夕方まで狩りをすると俺のアイテムストレージが一杯になった。ナビゲーションツールで効率的にエネミーを探して、バギーで移動して狩るという方法はかなり良い戦術のようだ。

 

「夜はどうする?」

「ご飯作って食べてから勉強しないといけないし、ちょっと無理かな」

「宿題もあったか。じゃあこのまま解散かな」

「それでお願い」

「わかった。後、明日宿題の答え合わせもしようか」

「ええ、お願いしたいかな」

「了解」

 

 ブロッケンへと戻って、バギーを返却する。それから宿屋に一緒に入ってそれぞれの部屋で別れた。宿題は既に終わっているし、ご飯を食べたら他の仲間達と相談してALOの設置場所とかを相談していく。それも終われば直葉と道場で試合をして、動けなくなるまで直葉を扱いた後に、ランニングに出かけた。

 

 

 

 

 

 


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