シノンと共にガンゲイル・オンライン   作:ヴィヴィオ

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幕間 バレンタインデー

 

 

 

 

 2月14日。俗に言うバレンタインデー。前世ではまったく縁のなかったこの日だが、今では違う。転生して和人になった俺は本来の姿こそ違うが、スペックの高いこの身体で俳優やモデルとして活躍している。そのため、ファンからチョコなどをたくさん貰うのだが……何が入っているかわからず、非常に怖いので食べられずにいた。先輩達の話を聞くと実際に被害があったというので俺も食べないようにした。その為、家族からのチョコしか貰えなかったのだが、今では恋人である詩乃が居るので毎年楽しみにしている。

 今年は何やら準備があるとの事で直葉に家から追い出された。その為、ドクターに呼ばれた事もあって暇つぶしも兼ねてラボに顔をだした。

 

「あれ、ドクターは?」

「いないわよ。何か企んでるみたいね」

 

 リタが多数のパソコンを思考で操作して瞬く間にデータを作成したり、改変していく。画面の一部にはALOやGGOに関するイベントのプログラムや運営を行うプログラムなどが高速で書き込まれている。

 

「ドクターが呼んだのに?」

「知らないわよ。それよりアンタも食べてよ」

 

 そう言ってリタが食べていたチョコを投げ渡してくる。

 

「これって」

「別に本命とかじゃないから、買いすぎただけだから勘違いするんじゃないわよ!」

「ああ、わかってるよ」

 

 口に入れたチョコはリタが開けている市販のチョコの味ではない。つまり、これは……

 

「……なによ?」

「これって──」

「食べたんだから手伝ってよ。ドクターがいなくなったせいで仕事がたまってるんだから。チョコは好きなだけ食べていいわよ」

「はいはい」

 

 リタの隣に座りながらグローブとヘッドギアを装着して並列思考を使いながら膨大な量のデータを処理していく。おもにALOとGGOに特別なモンスターを作成して無作為に放つだけの簡単なお仕事だ。モンスターの名前は嫉妬団というものにされている。これはドクターの趣味らしい。

 

 

 

 

 

 数時間が経ち、いい時間になったので帰宅する。気配があるのになぜかリビングの電気が消えているので電気をつけてみる。すると目に入ったのは等身大の巨大なリボンが巻かれたチョコだった。チョコは詩乃の姿で身体のところどころがデコレーションされている。

 

「なにこれ?」

 

 気配がする方を見ると、真っ赤になってもじもじとしている可愛らしい詩乃と元凶であろう直葉が居る。

 

「何って、お兄ちゃんにお姉ちゃんからあげる本命チョコだよ!」

「はぁ……」

「直葉、引かれてる」

「えぇ~? おかしいな。ドクターやアメリカの友人はこれで一発だって笑ってたのに! やっぱり、裸にチョコを塗って私を食べての方が良かったのかな?」

「別にいつでも食べてもらってるから……それに流石にそれは恥ずかしい。これでもかなり恥ずかしいし……」

「くっ、可愛くてずるいな~」

「とりあえず、直葉」

 

 直葉に気づかれないように視線を外して視界から消えた後、音もなく接近して首根っこを掴んでもちあげる。

 

「ひゃい!?」

「ところで、詩乃のだけかな? 直葉のは?」

「あはははは、こんな恥ずかしい事を自分でやるわけないじゃん」

「酷い」

「というか、詩乃も断れよ」

「だって……」

「お姉ちゃんはお兄ちゃんへの愛を表す為って言ったら簡単に乗ってくれた……イタイイタイっ!」

 

 直葉を落としてから、頭を両手でぐりぐりしてやる。

 

「で、このチョコだけどさ……」

「型はドクターにお願いして材料を用意したよ。もちろん、お姉ちゃんの裸をみたのは私だけだからね」

「うん。チョコレートで型を取ったのは驚いた」

「どうせだからね」

 

 だから、詩乃の身体からチョコレートの甘い匂いがしてきていたのか。

 

「あと、男の人は女体盛りとかも好きらしいから、このチョコで再現してみたの。私も流石に本人でするのは気が引けたしね」

「和人がどうしてもって言うなら、やるけど……」

「いや、それはいいよ」

「よかった。二人っきりならまだしも、直葉もいるから……」

 

 二人っきりなら構わないのか。二人だけで同棲した時の楽しみにしておこう。

 

「まあ、ドクターには後で話しをするとして……このチョコは食べられないな」

「え~~」

「駄目?」

「だって詩乃の身体を削ったり割ったりして食べる事になるしな……そんなのは嫌だ」

「和人……」

 

 抱き着いてきた詩乃を抱きしめかえしてそのまま軽く口づけをする。

 

「私を放っていちゃいちゃしないでよね! 私も混ぜて!」

「だが、断る」

「がーん」

「よしよし」

 

 直葉がORZの姿勢となり、詩乃が頭を撫でて慰める。詩乃からしたら、直葉と俺が付き合いだしても問題ないと思っているので、むしろ応援しているのだろう。

 

「まあ、寸劇はこの辺にしてまじでどうするか」

「溶かしてチョコフォンデュにする。粗末にしてほしくないし、やっぱり食べてほしい」

「それもそうか。わかった」

「まあ、材料はもう用意してあるんだけどね。こんなに食べれないし」

「だろうな」

 

 等身大なので量が量だ。普通に食べるには凄く多い。

 

「準備するから和人はゆっくりしていて」

「わかった」

「ホワイトデーを期待だね」

「まあ、何か考えるよ」

 

 基本は3倍返しだったっけ。男には辛いイベントだよね。そんな事を考えつつホワイトデーの為にホテルを予約しておく。どうせなら旅行に行くのも面白そうだ。

 

 

 チョコフォンデュを楽しんだ後、詩乃と一緒にチョコ風呂に入り、そのまま寝室で身体が甘くなっている詩乃をぺろぺろして楽しんだ。

 

 

 

 

 

 




バイトから帰って急いで書き上げたけれど、色々と限界だった。

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