戦う守られるべき存在達   作:tubukko

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もう2日に1話は限界が来たかな…?
これからは少し遅くなっていくかもしれません。


それでも読んでいただけたら幸いです。


3姉妹!

「いや~…多いわね。これは一体一体こそすぐに倒せるだろうけどこの数はねぇ」

「正影さんに任せた理由が分かるわ」

「私たちにかかれば、問題ない…!」

 

ある1つの廃ビルから下を眺めしゃべる3人。

下にいるのは無数の蜘蛛型のオスの群れ。

大きさはどれも3,4mぐらいで大きい物でも10m級いくかいかないかくらいだが数が多い。

軽く30以上はいる。

蜘蛛が集団行動するなんて正影は聞いたことがない。

まぁ、生まれたてなら分からなくもないが。

 

「そうね、私たちの力を奴らに見せつけてやりましょ!」

「「おー!」」

 

3人が片手に武器が入っているであろう大きなカバンを持ちながら士気を上げる。

あっちは大丈夫そうだなと思い、心配な方を見る。

 

「穂香ちゃんマジ天使。ハァハァ…」

「美嘉さん、暑苦しいよう」

 

美嘉と穂香だ。

いや、心配なのは美嘉だけで穂香は戦闘面では特になんとも思っていないのだが。

まさか、あの3人が美嘉を連れてくるとは思ってもみなかった。

今でも少し、穂香を連れてきたことを後悔している。

 

 

 

 

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「きゃー、穂香ちゃホブッ!?」

「なぜおまえがいる?」

 

ここに来る前、ヘリが来るという集合場所に行ったときから正影はなんでと思っている。

集合場所に穂香と一緒に行ったとき、いたのは3人ではなく美嘉だったからだ。

目の前に変態がいてそれを「はいわかりました」と納得する保護者はいない。

 

「なんでって、討伐任務あるでしょ?」

「だが俺はお前を呼んだ覚えはない」

「でも呼んでくれたのは「正影さ~ん、待ちましたぁ?」あの子たちよ」

 

3人が少し遅れてやってきた。

 

「美嘉はもう来てたのね」

「当たり前。穂香ちゃんとご一緒できるなんてそれこそ昨日からテンション上がりっぱなしで♪」

「じゃ、そのテンションを保ったまま早く行こうよ」

「エニス、藍《あい》、自己紹介まだだよ…?」

「「…ああ!?」」

 

ここで3人が自己紹介をした。

 

3人の名前はエニス、藍《あい》、梓《あずさ》というそうだ。

ちなみに「…」が語尾につく人は梓。

藍と梓は黒髪だが、エニスは金髪。

名前からも察することができるように外国人だ。

日本語が達者なのは生まれも育ちもここだからだそうだ。

 

「よし、自己紹介も終わったことだし早く行きましょ」

「待て」

「何?」

「こいつをなぜ呼んだ?」

 

自己紹介が終わり、さぁいくぞ!という雰囲気の中正影が尋ねる。

なぜこの変態を呼んだのか。

っていうか…

 

「こいつは食堂の従業員だろ?戦えるのか?」

「ふふふ…甘いよ正影さん。私がただの従業員だと思ってるの?」

「違うのか?」

「私もプロトよ。そしてここのアルツェの中では最大の情報屋にして唯一の斧使いなの!」

「…そうか」

 

それだけ聞くと正影はヘリに乗ろうとする。

 

「分かってくれたみたいね」

「ああ。お前は必要ないな。さっさと帰れ」

「なっ!正影さん、私がどれだけ今日を楽しみにしてきたか知ってますか!?」

「知りたくない」

「知ってください!っていうか本当に置いていこうとしないでください!っていうかエニスたちもなんとか言ってよ!?」

「えっ、いや、正影さんが嫌ならやめようかななんて…」

「確かにランク3くらい私たちだけでも余裕だし」

「すみません…」

 

味方をなくした美嘉がおろおろする。

まぁ、そうなるか。

少し可哀想だが変態を乗せるわけにはいかないと正影も何も言わない。

 

「パパ、美嘉さんはなんで置いてくの?」

 

そんな時に穂香に話しかけられた。

理由を説明してもおそらく分からないだろう。

 

「…大人の事情だ」

「でも今いるのは5人。もう1人いけるよ。乗せようよ」

「しかしだな…」

「パパ、お願い」

「…」

 

 

 

 

 

 

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「放したくない」

「おい、それ以上のことをすればあの蜘蛛共にお前の頭から順にすべてくれてやるから覚えておけよ?」

「大丈夫、正影さん。仕事はちゃんとするから。もっとも…」

 

穂香を抱き寄せながら美嘉が3人の方を見る。

 

「蜂の巣三姉妹がいる以上、私の…いや、私たちに出番があるかは不明だけど」

「蜂の巣三姉妹?あいつらは姉妹なのか?」

「いいえ。ただいっつも一緒にいるからみんながそう言うだけ」

「蜂の巣ってのは?」

「武器よ」

 

3人が持っているのは大きなカバン。

旅行用鞄だろうか?

いや、それよりもう少し大きい?

 

「正影さん、そろそろ始めない?」

「ん…。そうだな、話していても意味ないな」

 

それを聞くと3人が鞄から武器を取り出した。

3人武器は…

 

「成程。それで蜂の巣ってわけだな」

 

ガトリング銃だ。

別に体格がいいわけでもない彼女たちが使えるのはアクリス細胞のおかげだろう。

普通なら照準が定まらないどころか持ち上げることすら不可能だ。

 

「正影さん、悪いんだけど囮になってもらえる?」

「俺は蜂の巣になる気はないぞ」

「だけど正影さんにしか頼めないの」

「お願いします…」

 

3人全員が同じくガトリング銃を持っている。

何をする気かは知らないがおそらく全員で撃つのは間違いない。

 

「ここは絶対に生き残れる方法をとりたいの。そのためには正影さんの力が必要。その並外れた力がね」

「悪いが通常時では弾丸は見えないぞ?」

「なら本気をだしてよ」

「そんなことをしなくても倒せる。わざわざやる必要はない」

「男見せてよ、正影さん。でないと…」

 

エニスが歩いて美嘉と穂香の前まで来た。

そして美嘉の襟首を掴む。

 

「へ?」

「この子使っちゃうけど?」

「構わない。唯一の斧使い、ぜひ見てみたいしな」

「決定ね、リム」

『既に2人は配置についています』

 

すでにさっきまでいたはずの2人がいなくなっている。

 

「じゃ、いくわよぉ!」

 

ガトリング地面に置き、美嘉の襟首を持つ手に力をかける。

 

「おらぁぁぁ!」

「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

悲鳴と同時に美嘉が外に投げ出された。

このまま地面に落ちれば最低でも足の粉砕骨折は免れない。

だが、プロト。

これくらいじゃ痛いだけで済ませられる。

 

「おい、武器は?」

「今投げる。ほいっ!」

 

次いで大きな斧が投げられた。

既に下は騒がしくなりつつある。

オスが気づいて一斉に襲いかかろうとしているのだろう。

銃声が聞こえる。

 

「早くしてやれ、既に銃声が聞こえるぞ。おそらく穂香だな」

「穂香ちゃん!もうちょっと引きつけてからじゃないとこっちに来る可能性が…!」

 

言いかけたところで気づく。

穂香がいない。

 

「…」

 

黙ったまんま美嘉が落ちたところを見る。

美嘉が斧で敵を蹴散らしている中、その後ろで応戦している穂香がいた。

 

「…おい」

「ご、ごめん。すぐ助けるから!藍、梓!」

『了解』

『始めます…!』

 

すぐに掃射が始まった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「今日は幸か不幸か微妙なところ!」

 

斧を振り回しながら叫ぶ美嘉。

 

「美嘉さん!何かいいことあったの?」

「ええ。穂香ちゃんと密―――」

 

その先は言わせないとばかりにオスが糸を一斉に吐き出す。

ネバっとする蜘蛛の糸が美嘉に襲い掛かる。

 

「おっと!」

 

それを高く跳ぶことでかわす。

そしてその高さから斧を振り下ろす。

地面に斧が落ちると同時にひびが入っていたコンクリートの地面が盛り上がったり下がったりしてオスのバランスを崩す。

地面に降りた後は斧の刃先を地面に向けたまま、横殴りに振り回した。

刃に当たったオスたちが斬れることなく壁に叩きつけられる。

 

「穂香ちゃん、調子はどう?」

「ショットガンで応戦中!戦況は悪くないよ、今は!」

 

太い銃声が聞こえ、穂香の前のオスに穴が開く。

 

穂香の銃に弾倉が尽きるということはない。

穂香が動ける限り、生き続ける限り、永遠に撃ち続けることができる。

普通の銃とは構造が違うらしい。

 

だが、どんなに弾が無限でも撃つスピードと範囲には制限だある。

このままではいずれ、銃のスピードが敵の攻撃に追いつけなくなる。

 

「あー!囮にしてんだからさっさと始めなさいよあの三姉妹!」

 

通信機に片手をかける。

 

「ちょっとエニス?早くはじ」

 

しゃべりかけようとしてものすごい銃声に口を止める。

目の前の…いや、穂香と美嘉を囲い込んでいたオスが文字通り蜂の巣になり崩れていく。

減っていくスピードが尋常ではない。

だが、

 

「きゃあ!」

 

穂香と美嘉がいる場所はガトリングの対象範囲内だ。

もちろん3人に当てる気はないがガトリングは手に対する反動が強く、照準を完璧にするのは困難を極める。

近くにいる穂香たちは避けるしかない。

だから正影に最初頼んだのだ。

確実に避けられるのは彼しかいないから。

 

「穂香ちゃん!」

「パパぁ!後でお願い1つ聞いてもらうからね!?」

『すまないな』

 

穂香は声は焦っているが見た感じは冷静そのものだ。

正影は信じているからなのか、助けるつもりはないらしい。

 

「美嘉さん!」

 

銃弾があらゆる場所に散弾している中、穂香が動く。

美嘉は後になって「危ない!」と思ったのだが、その時はそれを考える暇すらなかった。

穂香は反動が少ないハンドガンに切り替え、撃ち続ける。

自分から動いているにもかかわらず弾は当たらない。

美嘉は動かず、斧で身を守るので精いっぱいだ。

 

「穂香ちゃん!危ないから、あの3人に任せればオスは全滅する!だから動かないで!」

「でも美嘉さん!」

 

いまだに動きながら撃ち続ける。

 

「オスはコアを破壊されない限り死なない!止まってたら恰好の「穂香ちゃん、後ろ!」!?」

 

話していたのと、目の前の敵に集中していたために相手に後ろを許す。

もともと穂香は遠距離からの攻撃に特化させようと訓練を組み込まれた人材だ。

この戦場にいること自体がおかしい。

そんな人が後ろをとられた。

だが、

 

「やっぱり、お前は接近戦は向いてないな」

 

声が聞こえたかと思うと穂香の周りのオスが切り刻まれる。

 

「パパ遅い」

「お前も俺に本気を出させた。これでおあいこだ、穂香」

「っていうかちょっと本気出すだけでそんなにやれるなら全部パパやってよ」

「何度も言うがこの後はグロッキー確定だ。たまったもんじゃない。だが…」

 

ひどい弾幕の中、まだ生きているオスを見て言う。

 

「娘を殺されそうになって黙っていられるほど、腐っちゃいないんだよ。俺は」

 

ほどなくして敵は全滅した。

正影が本気を出した後、殺されたオスはすべてがスライスされていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「ああぁ…。たった1分程度だったのにこれかよ」

 

帰りのヘリの中、正影は気分悪くぐったりしていた。

 

「…今なら穂香ちゃんに何しても大丈夫かな?」

「美嘉ぁ、裸で食堂に磔にするぞ?」

「なんていう屈辱的な死に方!?」

 

ヘリにはさっき戦った6人が乗っている。

帰る途中なのだがまともに起きているのは美嘉のみ。

 

「しかし…、まさか弾を使いまわしにするなんてなぁ…」

 

この3人はなんと戦いが終わった後、使った弾をできる限り拾い集め始めたのだ。

3人が使ってる弾はビービー弾と似たような作りらしく、使いまわしがきくようだ。

もっとも、ビービー弾だって使いまわしはあまりよくないのだが。

 

「予算削減のためなの!」

 

そんなこと言って拾ってた。

 

「いくら要塞と言っても資源が足りてないの。陣地を広げたくてもどこも敵が多く、唯一少ないところにはペリコラムや、オーロワームが待っている」

 

外を眺める。

あるのは廃墟と平野。

 

「みんな、正影さんに希望を持っているんです。きっと…」

「責任重大だな」

「ええ。でも、みんな正影さんに押し付けたりはしないわ。だから…頼ってね」

 

この瞬間不覚にも正影は美嘉を普通の人として見てしまった。

 

「さて、じゃ今回の労を労うため今日は穂香ちゃんと一日一緒に過ごしたいのであります、隊長殿!」

「…さっきいいこと言ってたから磔は勘弁してやる」

「へ?」

「代わりに縛り付けて男子更衣室、またはトイレに投げ捨てる」

「もっとひどい屈辱がありそうな予感!?」




ふむ…、しばらくは人を増やすので使うかな。
いや、ストーリーを進めるべきか?

まだ完全には構想が固まっていない状態です。

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