戦う守られるべき存在達   作:tubukko

13 / 56
読んでくれてる方々どうもでーす!
なんか毎回、前書きに似たようなこと書いてるような気がする…。
けど、気にしないでください。



帰還
再会


「…」

 

ヘリの轟音のみが聞こえてくる。

正影は今、ヘリに乗り帰還中だった。

穂香は疲れ果てて正影の膝の上で寝ている。

 

周りにはプロトと思われる人々がいるが…あまり活気がない。

数は見た限り6人。

仲間が死んで憔悴しているであろう人もいるが、何か違う感じもする。

 

「正影…だったわね」

 

明季が話しかけてきた。

 

「なんだ?」

「あっちに着いたら…分かってるわね?」

「忙しくなるって話だろ。そんなの前からだ、問題ないさ」

「そう…。ならいいんだけど」

 

再び黙り込んだ。

仕事のこと以外の会話はないのか、と疑問に思う。

 

外見は黒いロングヘアーに白い肌。

基本、外にプロトは戦うためにいるため肌は黒とまではいわないが少しは褐色になる。

だが、彼女のはきれいな白い肌。

外見は結構いいのに仕事ばかりするタイプなのかと、勝手な考えを持つ。

 

「今はただ話す気がないだけだから」

「…ご説明どうも」

 

エスパーのごとく、間違いを訂正してきた。

 

「あんたがこの部隊の隊長とみていいんだな?」

「そうね。肩書はそうなってるわ」

「…一つ、頼みがある」

「物にもよる、といいたいところだけどおそらく私には無理だから言わないで」

「隊長なんだろ?」

「民間人の救出を私に言っても上層部が良しとしなければ動けないわ」

「…アクリス細胞はそこまで進化したんだな」

 

勿論アクリス細胞にそんな力はあるわけない。

アクリス細胞はもともと身体能力を上げる。

他の人に干渉力を手に入れたりした事例はない。

 

「あんた」

 

違うところから声をかけられた。

こちらも女子だ。

 

「正影でいいんだね?」

「お前は?」

「美姫《みひめ》」

「何の用だ?」

「あたしを仲介者《メディアトール》に指名してくれない?」

 

初対面ですごいお願いだ。

 

その子は今いる6人の中でもあるところがすごかった。

それは服装。

完全武装といわんばかりに支給されているであろう武器をすべて身に着けている。

これではスピードが損なわれるのは間違いない。

 

「お前、タイプは?」

「Bだよ。正影はAでしょ?」

 

初対面で呼び捨てか。

別に構わないのだが、かなり馴れ馴れしい。

 

「美姫さん。突然図々しくはなくて?」

 

また違う人がしゃべる。

やけに特徴的なしゃべり方だ。

 

「なによ、鈴《りん》。何か問題でも?」

「正影さんがロスと分かった瞬間から虎視眈々と狙うあなたの目、見るに耐えられませんわ」

「どういう意味よ?」

「下品だと申し上げているのです。もっと品良く振る舞えないのかしら、ケチ姫?」

「なんですって…?」

 

静かだったヘリの中が騒がしくなる。

しかし、周りは止める気が全くない。

全員流している。

部下の躾ぐらいちゃんとしろよな。

 

「悪いわね。部下の躾がちゃんとなってなくて」

「…お前、本当にエスパーなのか?」

「好きに考えなさい。あと、あの子たちは見ての通り仲がいいから」

「あれは喧嘩するほどじゃなくて犬猿の仲だろ?」

「あなたの解釈に任せるわ」

 

すると明季は通信を始めた。

帰還中とでもいうのだろうか?

それにしては報告が遅すぎるだろう。

 

1分足らずで通信を終える。

未だにさっきの2人は口喧嘩中。

手が出てないのは躾がなってると言えるのだろうか。

 

「恭二」

「はい、隊長」

 

突然声をかけられたにもかかわらず、1秒と時間を空けない返答。

 

「あっちに着いたら私は指令に言いたいことがあるから報告等はお願いね」

「了解しました」

「それと…、別にいいわよ。連絡しても」

「…隊長はすべてお見通しですね」

「恋人は大切にしなさい。このご時世、いつ死んでもおかしくないんだから。それに…」

 

正影の方を見る。

正影も気づくがなぜ見てきたのかわからない。

 

「他の子も喜ぶわ」

「分かりました。では少し失礼します」

 

恭二は通信を始めた。

さっきの話からして相手はおそらく恋人。

恭二の顔が笑顔になるのも当然だ。

 

「寝ておきなさい、正影」

「今は眠くない」

「これから忙しくなるわよ?」

「それは俺の体をいじくる研究者共の話だ。どうせ俺は眠らされる。だが、一つお願いがある」

「…さっきも言ったわ。私にお願いしても意味は―――」

「この子は俺のメディアトールだ」

 

話を遮られて顔をムスッとしたが正影は話を進める。

 

「武器だって創り出せる」

「それで?」

「こいつを研究機関に回すのはやめてほしい」

「史上初のロスのメディアトールよ。そんなこと出来ると思ってるの?」

「だからお前から伝えておいてくれ。もし、こいつに何かするなら俺はお前らには協力はしない、と」

「…あなた一人の意見で上の人間が答えを変えると思う?」

「もしそんなことすれば、殺す。とも伝えておいてくれ」

 

明らかな脅し。

そんなことを言えばどんな結果になるかは予想できない。

だが、正影はこの世界で生存する唯一のロストチルドレンだ。

そんな正影を簡単に殺すはずがない。

正影にとって最悪の展開は殺されること。

それ以外ならばどうとでもなる。

 

「…分かったわ。あなたの気持ち、理解できないわけじゃないしね」

「助かる」

「でも、どんな扱いになるか分かったものじゃないわよ?」

「知っている」

「妹に会えないほどになるかもよ?」

「嬉々を知っているのか!?」

「名前だけね、この部隊に入れないんだから目に止めてないわ」

「あいつの今の状況は?」

「知らないって言ってるでしょ。自分の目で確認しなさい。見えてきたから」

 

窓に目をやると遠くに何やら建物が見えた。

城…、ではない。

要塞、だろうか。

その周りに何層も分厚い壁が並ぶ。

 

「ごっつい建物だな」

「そのごっつい建物の中にあなたの妹はいるのよ」

「嬉々…」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

真理奈は廊下を走っている。

もともとオペレーターなので足はそんなに速くない。

息だってすぐに上がる。

だが、これだけの朗報。

 

「リム、嬉々はいる?」

 

受付まで来たが見当たらない。

 

「嬉々なら10分程前に帰還してるよ。今は…、部屋に戻ったのかなぁ。今日の任務はもうないし…」

「分かった!ありがとう」

 

場所は分かっている。

エレベーターに乗ればすぐだ。

すぐに走っていく。

友の喜びの顔を見れるのは嬉しい話だ。

 

エレベーター前にいる嬉々を見つける。

 

「嬉々ぃ…!」

 

息が上がっている。

 

「真理奈。どうしたの?」

「ちょ…待って…」

 

久しぶりに走ったもんだから顔も真っ赤。

20秒ほどしてようやく息が整い始める。

 

「嬉々…、朗報よ」

「朗報?」

「正影さんが…、お兄さんが見つかったわ!」

「…えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~~~、でっかいな」

 

アルツェに到着した正影は大きな要塞を見上げて驚いている。

自分がいない間にこんなでかい建物が建てられるものかと感嘆する。

 

「パパ、ここが目的地?」

「そうだな」

「じゃあ、ここにはカレーもふかふかのベッドもある?」

「もちろん!」

「やったー!」

 

穂香が嬉しそうな顔をする。

 

「…あなた何歳?」

「15だが」

「それで子持ちですか…。まぁ、このご時世だしね」

「あいにく、こいつは養子だよ。それでも2人しかいない俺の大切な家族の1人だがな」

「成程。とりあえずついてきて。まず司令に会わせないと」

 

ヘリから降り後、正影と穂香は明季の後についていく。

人目につけないためか、裏道と思われる人影の少ない道を通っていく。

汚れたパイプ管。

錆びた鉄の手すり。

網目状になっており、タンタンと歩くたんびに音がする床。

時間を感じさせる作りだ。

 

やがてそこを抜けると、突然絨毯が広がる高級感あふれる道に変わる。

温度も先ほどと違って快適だ。

 

「まさにお偉いさんがいそうなスペースだな」

「いつの時代もこんなものでしょ。偉い奴は表でなんだかんだ言っても結局自分が儲かってる」

「それもそうだな。ところでお前がさっきから言ってる司令ってのは?」

「先に言っておくけどあなたの知ってる司令じゃないと思う。まず女よ」

「なら違うな」

「指図をするつもりはないけど、あまり逆らわないほうがいいわよ。ここで暮らすなら」

「ご忠告どうも。で、ここというわけだな」

 

目の前に大きな扉が立ちふさがる。

特に門番的な人はいない。

しかし、なぜこんな大きな扉を作るのだろうか?

小さかろうが大きかろうが一緒だと思うのは俺だけだろうか?

 

「私もそう思うわ」

「…これからお前をエスパーと呼ぶよ。仮に上司になったとしても」

「さっさと入って用事を済ませなさい。妹に会いたいんでしょ?私はここまでだから」

「そうか、ありがとうな」

「これも仕事よ」

 

そういうとその場を去っていった。

穂香と正影が扉の前に残る。

 

「穂香、準備はいいか?」

「なんで準備するの?」

「一応お偉いさんだからな?失礼のないようにするんだぞ」

「はーい」

 

ノックをする。

 

「入れ」

 

すぐに返事がしたので「失礼します」といいながら扉を開ける。

 

部屋はかなり広かった。

床じゅうきれいな絨毯。

なのに、あるのは奥にある机が一つ。

豪華な机だが、これもどんな趣味をしていたらこんな配置にできるのかと疑問に持つ。

 

「お前が、正影か?」

 

いたのは女。

オレンジ色の髪をした女。

 

「そうです」

「私はここで働いている、ラグフィートだ。ちなみに日本人だからな」

 

上の人間は基本名前が豪華だ。

なぜだろう?

 

「その子供は?」

「穂香です」

「穂香…な。覚えておこう。早速だが、これからの話に移らせてもらう」

「そのことだが…」

「なんだ?」

 

明季に伝えておいたこととまったく同じことを伝える。

穂香をいじりまわすな。

最悪殺す、と。

 

ラグフィートはそれを聞くと紙を1枚取り出した。

 

「お前の言いたいことは分かった。だが、それは難しいことだ」

「百も承知だ。だが、お前らの事情など知ったことじゃない」

「ここに住むなら従ってほしいものだが…、実は研究体になるのを回避する方法がある」

「…それは?」

 

紙を渡してきた。

大きく「誓約書」と書かれている。

 

「お前らにはここで働いてもらい、私直属の兵士になってもらう」

「…それだけか?」

「それだけだ。ただし、私が出した指令には従ってもらう。もちろん、人を殺せだの無謀な戦場に行けだのとは言わない。だが、普通の指令を受けながら私からの特別な指令も受けてもらう」

 

悪い話ではない。

人を殺せと言わないということは犯罪者にはならないということ。

無謀な戦場といったがオーロワームを1人で相手しろとでも言われない限り、正影にとって無謀な戦場などない。

 

「もし断ったら?」

「普通の待遇だ。毎日研究室で実験だな。勿論最低限の人権は残すが最悪の状況もあり得る。その子もな」

 

穂香も対象になる。

それならばこの話を受けたほうがはるかにいい。

自分もわざわざいじくられずに済むのだから。

 

「…他の条件は本当にないんだな?」

「ええ。本当にそれだけよ。何にでも誓ってあげる」

「ならいい。その条件、のんでやる」

 

それを聞くとラグフィートは紙を正影から取り上げる。

破いたと思ったら暖炉に投げ捨てた。

 

「…いいのか?」

「もともと私は証拠を残す気はない。口約束だけで十分。お前は今の約束を破れないだろうしな」

「そうだな」

「それだけだ。帰ってくれて構わない。他に言いたいこともあるかもしれないがまた後でにしてくれ。外に出れば明季がいる」

「でもあいつはさっき帰ったぞ?」

「エスパーだからな。いるはずだ」

 

…こいつもそう思っているのか。

以前の集落について言っておきたいが今は穂香が疲れ切っている。

休ませてあげたい。

 

「では言葉に甘えて…」

「まず、3日間は休んでくれ。それからだ」

 

それを聞くと部屋を出る。

扉を開けると明季がいた。

 

「…エスパー」

「こっちよ、あなたたちの部屋は」

「部屋、1つしかないのか?」

「あるけど…、その子は一緒に居たがってるわよ?」

 

穂香がうなずいている。

 

「お前も年頃の女の子だろうに…」

「せっかくふかふかのベッドに寝れるんだからパパと寝たい!」

「お前がそう言うなら構わないが」

「なら決まりね。すぐに着くから」

 

正規のルートであろう道を通る。

明季が通るとたいていの人は「お疲れ様です」と声をかけた。

精鋭部隊の隊長なのだからそうなのだろうがいまいちそう思えない。

 

ちょうどエレベーターが開いたところで前に着いた。

そして、再開した。

 

「…正兄?」




意地で書こうとするとまた深夜2時前。

少なくはあるが読んでくれている方々がいる以上、出来る限りは更新したいと思っています。
ただ、こういう時間に更新したものは誤字の確認をおろそかにしているため、誤りが多いかもしれません。

そこのところはすみません!
ですが、寝たいんです!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。