子連れ番長も異世界から来るそうですよ?   作:レール

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お久しぶりです‼︎
タイトルからも分かる通りの内容です‼︎

それではどうぞ‼︎


さらなる異世界人

ゲームが終わり、大勢のコミュニティに旗を返しながら打倒魔王を掲げる自分達“ノーネーム”を売名していった。

目的の魔王を誘き出しつつ、他に誘き出された魔王を隷属させてコミュニティを強化し、他の打倒魔王を思うコミュニティと連携を取っていく。これが十六夜が考えた作戦である。まず第一歩は成功と言えるだろう。

 

その日の夜に談話室で黒ウサギと十六夜、男鹿でこれからのことを話していたのだが、

 

「ゲームが延期?」

 

「はい・・・申請に行った先で知りました。このまま中止の線もあるそうです」

 

「ゲームってなんのことだ?」

 

男鹿には二人の言うギフトゲームについて何も心当たりがないので当然の疑問だ。十六夜もそのギフトゲームを知ったのは昨日の夜に男鹿と別れた後なので多くは知らないが、その重要性については知っているので簡単に教える。

 

「昔の仲間が商品に出される“サウザンドアイズ”のギフトゲームのことだ。黒ウサギ、白夜叉に言ってどうにかならないのか?」

 

「どうにもならないでしょう。どうやら巨額の買い手が付いてしまったようですから」

 

十六夜の表情が目に見えて不快そうに変わった。

 

「チッ、所詮は売買組織ってことかよ。エンターテイナーとしちゃ五流もいいところだ。“サウザンドアイズ”にプライドはねぇのかよ」

 

「仕方がないですよ。“サウザンドアイズ”は群体コミュニティです。今回の主催は白夜叉様のような直轄の幹部ではなく傘下コミュニティの幹部、“ペルセウス”。双女神の看板に傷が付く事も気にならない程のお金やギフトを得れば、ゲームの撤回ぐらいやるでしょう」

 

達観したような物言いの黒ウサギだが、悔しさで言えば二人の何倍も感じている筈だ。しかし仲間を取り戻すにはギフトゲームしかない。だから今回は純粋に運がなかったと諦めるしかない。

 

「こっちから殴り込みに行くのは駄目なのか?」

 

「“ペルセウス”は“サウザンドアイズ”の幹部を務めているコミュニティです。万が一揉め事を起こしてはただでは済みません」

 

「次回を期待するしかねぇか。ところでその仲間ってのはどんな奴なんだ?」

 

「そうですね・・・一言でいえば、スーパープラチナブロンドの超美人さんです。加えて思慮深く、黒ウサギより先輩でとても可愛がってくれました。近くに居るのならせめて一度お話ししたかったのですけど・・・」

 

「おや、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」

 

と、突然会話に入ってきた声に三人ははっとして窓の方を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、ピチピチのTシャツにトランクス姿のヒゲのある、ダンディ顏のでかいおっさんがいた。

 

 

 

「・・・え?本当に誰ですか?」

 

黒ウサギの呆然とした疑問は最もだろう。気付いたらおっさんが窓辺にいたのだ。訳が分からない。

男鹿が何かを言う前におっさんが割れて中から数人の人影が現れる。

 

苦笑いを浮かべた、長い金髪をリボンで結んで紅いレザージャケットに拘束具のようなスカートを着た少女。

前髪で隠れた左眼と鋭い目つきで、少女と同じ金髪を後頭部で団子状に纏めた黒いゴスロリ服を着た美女。

疲れたような顔をした、銀髪に男鹿の改造制服と似た作りをした学生服を着た男。

 

「レ、レティシア様⁉︎ いえ、それよりもどんな所から出てきているのですか⁉︎ それにそちらの方々はいったい⁉︎」

 

「いや黒ウサギ、まずはおっさんが割れた事にツッコもうぜ」

 

「それに関しては私もなんとも言えんよ」

 

黒ウサギの質問と十六夜の感想にレティシアは苦笑いのまま答える。彼女もよく分かっていないのだから仕方がない。

レティシアと一緒に来た三人はというと、

 

 

 

「このドブ男が。貴様だけが消えるのならともかく、坊っちゃまを連れて行くでない」

 

「俺だって問答無用で引っ張り込まれたんだよ‼︎」

 

「おい男鹿、お前ふざけんなよ‼︎ 何いきなり別次元の世界に行ってんだよ‼︎ 俺だって問答無用で引きずられてきたんだぞ‼︎」

 

「知るか‼︎ それは俺のせいじゃねぇだろうが‼︎」

 

「そうですぞ男鹿殿‼︎ 引きずられた貴之が私の中に入れられながら暴れていたんですぞ‼︎」

 

「アランドロン‼︎ てめぇ気色の悪い言い方するんじゃねぇよ⁉︎ 俺はノーマルだぁぁぁあああ!!!」

 

 

 

蚊帳の外の三人をそのままに言い争っていた。

 

 

 

 

 

 

「それで、そちらの方々はどちら様なのですか?辰巳さんの知り合いだということは分かるのですが」

 

レティシアも詳しく知らないそうなので黒ウサギが代表して質問する。

 

「ふむ、挨拶が遅れたな。私はベルゼ坊っちゃまに仕える侍女悪魔、ヒルデガルダだ。ヒルダと呼んでくれ」

 

「私は次元転送悪魔、バティム・ド・エムナ・アランドロンと申します。アランドロンとお呼び下さい」

 

「えーと、俺は古市貴之。悪魔でもなんでもない普通の人間です。他とは違うんでそこんとこよろしく」

 

三人はそれぞれ自己紹介してから何故レティシアと一緒にいたのか説明をする。

 

「男鹿と坊っちゃまが夕飯になっても帰ってこなかったので探していたのだが見つからず、魔力探知によって探りを入れてみたら魔界とも違う次元で坊っちゃまの反応が見られたのだ」

 

「我々は直ぐに向かおうとしたのですが、安全を確保するために少々時間が掛かってしまい、転送を一日遅らせたのです」

 

「そして何故か俺を連れて転送してきたってわけだ・・・ねぇマジでなんで連れてきたの?ここが別次元ってこと以外は何も知らないんすけど」

 

古市は言外に“俺を連れてくる理由ないよね?”と言っているが、ヒルダは当たり前のことのように、

 

「奴隷がいて損はないだろう?」

 

「おおぉぉぉおおい⁉︎ やっぱりそんな理由かぁぁぁ‼︎」

 

喧しい嘆きを無視してヒルダは続ける。

 

「転送できたまでは良かったのだが、ここは横だけに繋がる次元ではないらしく、転送から時間差が出てしまったのか誰もいない場所に出たのだ」

 

「そこにレティシア殿が現れて、男鹿殿のことを知っているというので一緒に来た次第です」

 

そもそも三人が現れたのは“ノーネーム”の敷地内で、気配を察知したレティシアが様子を見に来たのが始まりらしい。

ここで転送してきた三人は箱庭について訊いてきたので、初日に召喚された五人と同じく黒ウサギが説明をしていく。

 

「ーーーということです。何かご質問はございますか?」

 

スッと古市が手を挙げる。

 

「つまりこの世界は人間も含めて化け物が揃っていて、そいつらがギフトとやらを使ってゲームで戦っている・・・って事ですよね?」

 

「まぁ大雑把に言ってしまえばそうですね」

 

「いやいやいやいや、マジで俺が来る意味ないじゃん⁉︎ 俺は普通の人間だって‼︎ ビックリ不思議ショーにツッコむことしかできねぇぞ⁉︎」

 

古市の最もな発言に意外にも十六夜が反論する。

 

「それは違うぞ古市。このボケの集団にツッコみが増えることによって黒ウサギの疲れが五割は減ると言っても過言じゃない。ゲームでは何もできないとしてもそういう面で俺達を助けてくれ」

 

「そもそもお前らがボケるなっ‼︎」

 

「うぅ、これで黒ウサギは救われます」

 

「黒ウサギさんもここぞとばかりに乗らないで下さい‼︎」

 

すでに古市のツッコみキャラが定着しつつある中で、黒ウサギは“ボケるだけって凄い楽で楽しい”と思っていた。黒ウサギもやり過ぎないように注意しなくては。

 

 

 

 

 

「それで、レティシア様はどうしてこちらに?」

 

話の区切りがついて今度はレティシアに質問する。レティシアは他人に所有されている身分。相応のリスクを負ってこの場に来ているはずだ。

 

「大した用件ではない。新生コミュニティがどの程度の力をもっているのか、それを見に来たんだ。結果的にお前達の仲間を傷つけることになってしまったが」

 

黒ウサギはガルドが鬼化していたことにより予想はしていたが、ガルドを裏で操っていたのはやはりレティシアだったようだ。

 

「実は黒ウサギ達が“ノーネーム”としてコミュニティの再建を掲げたと聞いた時、なんと愚かな真似を・・・と憤っていた。それがどれだけ茨の道かは分かり切っているからな」

 

壊滅に追い込まれた魔王を相手に戦うということは、今度こそ完膚無きまでに魔王に滅ぼされる可能性があるということだ。

 

「コミュニティを解散するよう説得するため、お前達と接触するチャンスを得た時だ・・・神格級のギフト保持者が複数、それも内一人は将来確実に神格を手に入れるだろう者が同士としてコミュニティに参加したと耳にした」

 

レティシアは十六夜と男鹿、特に男鹿に視線を向ける。本気ではないとはいえ白夜叉にギフトゲームでギフトを使わせたのだ。神格を手に入れた時の力は計り知れない。

 

「そこで私は試してみたくなった。その新人達がコミュニティを救えるだけの力があるかどうかを。生憎、ガルドでは当て馬にもならなかったし、そちらの二人は参加していなかったがな。・・・さて、私はどうすればいいのか」

 

レティシアが新生“ノーネーム”の実力を測るために現在行える作戦がなくなった思案の言葉に、男鹿がなんでもないように答える。

 

「殴り合えばいいんじゃね?」

 

「何を物騒なことを言ってるんですか⁉︎」

 

「みんながみんな、お前みたいな戦闘狂思考じゃねぇんだよ‼︎」

 

火力の増えたツッコミが炸裂するも、男鹿の発言に悪い笑みを浮かべた十六夜が同調してしまう。

 

「いや、男鹿の言い分も的を得ているんじゃねぇか?魔王と戦えるのかを確認するために元・魔王と戦う。実に分かりやすい方法だと思うが・・・アンタはどうだ?」

 

意見を求められたレティシアは一瞬唖然としていたが、すぐに哄笑に変わる。

 

「ふふ・・・なるほど、私もそう思うよ。下手な策を弄さずに初めからそうしていればよかったな」

 

男鹿の発言に十六夜とレティシアの二人が賛成意見のため、ツッコミを入れた古市と黒ウサギが間違っていたかのような空気ができてしまい、二人はこの超展開にツッコミにくくなってしまった。

 

「じゃあ決まりだな。男鹿の実力は白夜叉に聞いてんだろ?実際に見たいとしてもまずは俺からいくぜ」

 

そう言って十六夜は窓から飛び出し、レティシアもそれに続いて飛び出したので残ったメンバーも中庭へと向かうのだった。




やっと登場しましたよ‼︎長い、ここまで長いよ‼︎

でも、私はある程度原作知識のない人にも分かりやすくしたいので長いのは勘弁して下さい‼︎

それではまた明日‼︎

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