子連れ番長も異世界から来るそうですよ?   作:レール

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やっぱりまた投稿‼︎

今回は明確な理由がありますが長々と前書きで言うのもあれなので後書きで言います。

それではどうぞ‼︎


虎との決闘日

ジンが十六夜を引きずって連れていったが、男鹿とベル坊は眠くて仕方がなかったので着いて行かなかった。

男鹿達が呼び出されたのは夕方頃であり、元の世界の時間で考えればもうすぐ明け方であろう時間帯である。

そういうわけで詳しい十六夜の考えは聞かずに眠りに着こうとしていた。

 

「・・・ん?」

 

周りが静かになったから敏感になっているのか、どこからか視線を感じて辺りを見回す。

 

「・・・気のせいか?」

 

特に何も感じなかったためにすぐに意識から外す。

もう少し気にしていれば二つの異なる視線に気付いていたかもしれなかったが、今は眠気を優先して本拠に帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

箱庭二一O五三八O外門。ペリベッド通り・噴水広場前。

 

「あー‼︎ 昨日のお客さん‼︎ もしや今から決闘ですか⁉︎」

 

『お、鉤尻尾のねーちゃんか‼︎ そやそや今からお嬢達の討ち入りやで‼︎』

 

“フォレス・ガロ”のコミュニティに行く道中、“六本傷”の旗が掲げられた昨日のカフェテラスで声をかけられた。

 

「ボスからもエールを頼まれました‼︎ 二度と不義理な真似が出来ないようにしてやって下さい‼︎」

 

ブンブンと両手を振り回しながら応援する鍵尻尾の猫娘。

感情表現が分かりやすくて和む店員だ。

 

「えぇ、そのつもりよ」

 

「おお‼︎心強い御返事だ‼︎」

 

飛鳥の言葉に満面の笑みで返す猫娘だが、急に声を潜めてヒソヒソと呟く。

 

「実は皆さんにお話があります。“フォレス・ガロ”の連中、領地の舞台区画ではなく、居住区画でゲームを行うらしいんですよ」

 

「居住区画で、ですか?」

 

黒ウサギも怪訝な顔をして答えるが、飛鳥は初めて聞いた言葉に小首を傾げている。

 

「舞台区画とは何かしら?」

 

「ギフトゲームを行う為の専用区画でございますよ。他にも商業や娯楽施設を置く自由区画など様々な区画があります」

 

舞台区画とはどうやら白夜叉のように別次元に作ったゲーム盤の代わりのようなものらしい。

 

「しかも‼︎ 傘下に置いているコミュニティや同士を全員ほっぽり出してですよ‼︎」

 

「もう愛想尽かされたんじゃねぇの?今から潰れるんだし」

 

「いえ、元々の“フォレス・ガロ”の人達もほっぽり出されたようですし、聞いた限りではほっぽり出された人達もわけが解らないみたいですよ?」

 

「・・・それは確かにおかしな話ね」

 

「でしょでしょ⁉︎ 何のゲームかは知りませんが、とにかく気を付けて下さいね‼︎」

 

ウェイトレスの熱烈なエールを受けた一同は“フォレス・ガロ”の居住区画を目指す。

 

「あ、皆さん‼︎ 見えてきました・・・けど、」

 

黒ウサギは一瞬、目を疑った。

他のメンバーも同様である。何故なら、

 

「・・・ジャングル?」

 

「虎の住むコミュニティだしな。おかしくはないだろ」

 

そう、とても人が住めそうにない鬱蒼と生い茂る木々が広がっていた。

野生の動物が暮らすという分にはおかしくはないが、

 

「いや、おかしいです。“フォレス・ガロ”のコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず・・・それにこの木はまさか」

 

それもジンに否定される。

まぁ相手はヒト型をしていたのだから十六夜も本気で言っているつもりはない。

しかもその樹枝はまるで生き物のように脈を打ち、肌を通して胎動の様なものを感じさせる。

これだけでも普通のジャングルとは言えないだろう。

 

「やっぱり・・・“鬼化”してる?いや、まさか」

 

「何だこの木?魔界の木でも少し変わっただけの木だったが・・・」

 

男鹿もジンに続いて見回すが、どうやら辺り一帯はこの木に変わっているらしい。

 

「ジン君。ここに“契約書類”(ギアスロール)が貼ってあるわよ」

 

飛鳥が声を上げたので視線を向け、門柱に貼られた羊皮紙に記されている今回のゲームの内容を確認する。

 

 

【ギフトゲーム名 “ハンティング”

・プレイヤー一覧:久遠飛鳥、春日部耀、ジン=ラッセル

 

・クリア条件:ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

 

・クリア方法:ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”(ギアス)によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

 

・敗北条件:降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・指定武具:ゲームテリトリーにて配置。

 

宣誓:上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

“フォレス・ガロ”印】

 

 

「ガルドの身をクリア条件に・・・指定武具で打倒⁉︎」

 

「こ、これはまずいです‼︎」

 

「このゲームはそんなに危険なの?」

 

「いえ、ゲームそのものは単純です。問題はこのルールです。“恩恵”ではなく“契約”によって身を守ることにより、神格でも手が出せなくなっています‼︎ 自分の命をクリア条件に組み込む事で、御二人の力を克服したのです‼︎」

 

黒ウサギの説明に飛鳥と耀はイージーゲームだったものがハードゲームに変わったことを理解したようだ。

余裕だった表情は少しだけ硬くなっている。

 

「敵は命懸けで五分に持ち込んだってことだ。観客にしてみれば面白くていいけどな」

 

「気軽に言ってくれるわね・・・条件はかなり厳しいわよ。指定武具が何かも書かれていないし」

 

確かにこの文面だけではどのような武具かさえも予想することができない。

 

「“指定”って書かれてるんだからなんとかなるんじゃねぇか?」

 

あっけからんと男鹿が言い放つが間違いではないようで黒ウサギも同調する。

 

「辰巳さんの言う通りです。もしヒントが提示されなければ、ルール違反で“フォレス・ガロ”の敗北は決定‼︎ この黒ウサギがいる限り、反則はさせませんとも‼︎」

 

「大丈夫。黒ウサギもこう言ってるし、私も頑張る」

 

「・・・ええ、そうね。むしろあの外道のプライドを粉砕するためには、ちょうどいいハンデだわ」

 

審判として黒ウサギは目を光らせているし、耀もやる気を出している。

飛鳥も二人の檄に奮起する。

その陰で十六夜とジン、男鹿は昨夜の事を話していた。

 

「この勝負に勝てないと俺の作戦は成り立たない。予定に変更はないからな、御チビ」

 

「・・・分かっています。絶対に負けません」

 

「作戦ってのは昨日の魔王がなんたらってやつか?」

 

「ああ。まぁ見てろよ」

 

こんな事で躓くわけにはいかない。

参加者三人は門を開けて突入した。

 

 

 

 

 

 

ゲーム終了を告げるように、木々は一斉に霧散した。

すぐに待機していた三人は走り出す。

 

「おい、そんな急ぐ必要ねぇだろ?」

 

「大ありです‼︎ 黒ウサギの聞き間違いでなければ、耀さんはかなりの重症のはず・・・‼︎」

 

「ったく、急ぐぞ‼︎」

 

黒ウサギの言った通り、耀は怪我をしてしまった。

ジンが言った木の“鬼化”に次いで、ガルドも“鬼化”していたのだ。

理性を失った分だけ獣の力が増大していて飛鳥達は一時撤退を余儀無くされたが、耀は今のガルドには飛鳥とジンでは勝てないと思い、二人が逃げる時間も稼ぐという意味も合わせて残って戦ったのだ。

しかし耀でも勝つことはできず、飛鳥が開花させた“ギフトを支配するギフト”の力によりなんとか勝利を勝ち取ったのだった。

 

「黒ウサギ‼︎ 早くこっちに、耀さんが危険だ‼︎」

 

「すぐにコミュニティの工房に運びます‼︎ 皆さんは飛鳥さんと合流してから共に帰ってきて下さい‼︎」

 

耀を抱えると、黒ウサギは全力で工房へと向かった。

 

「おい御チビ。黒ウサギは春日部を救えるギフトを持っているのか?」

 

「いえ、工房に置いてある治療用のギフトを使います。しかし扱いが難しいため、今は彼女しか使えないんです」

 

「ふぅん。やっぱりアイツも面白いな。俺並みには程遠いも、“ノーネーム”じゃ明らかに別格だ」

 

十六夜のアイツ“も”が指している他のメンバーは勿論男鹿である。

白夜叉との戦いで強さは見させてもらった。

だが、理屈は聞いていないものの男鹿が途中で飲んだ戦闘力を増幅させるミルクは半分以下、その上ベル坊は幼くて力も十全ではないときた。

本気の男鹿とベル坊はどれほどの強さなのか。

機会があれば戦ってみたいと飛鳥を出迎えている男鹿を見ながら十六夜はそう思い、昨夜話した作戦を進めるためにもう一仕事するのだった。




今回はここまでです。

さて、前書きで言った理由ですが、はっきり言って今週の投稿はオリジナル要素が少なくて面白さ半分だったと思います。
文才がない作者を許してください。

だがしかし‼︎次からはオリジナル要素が入ってきます‼︎この言葉だけで展開が読める人もいるかもしれませんが、面白くする努力はしますのでまたお読みいただけると嬉しいです。それではまた来週‼︎

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