極東の騎士と乙女   作:SIS

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 IS学園が、日本を出港して数日がたった。

 

 既に学園は規定の航海コースに戻り、静かに海原を漂っている。

 

 だが、中にいる者から見れば、常に対空レーダーが眼を光らせ、対空砲がときおり試験稼働している音が昼夜を通してやむ事は無く。それらの騒音は室内には防音設備によって届く事はないのだが、それでも一度その存在を知ってしまえば無音だからとて安らぐ事はできない。平和な世界からやってきたものには、実に居心地の悪い空気が流れていた。

 

 それにもやがて慣れていくのだろう。人は慣れる生き物だ。

 

 でもそれでも、やはりこの空気はおもしろくない、と織斑一夏は思った。

 

 与えられた個室のベッドにすわっていても分かる、学園内に満ちた異様な空気。緊張感とも違う、焦燥とも違う、舌に辛い空気。この例えを、一夏は知らない。

 

「…………嘘みたいだよな」

 

 廊下から物音ひとつすらしない。

 

 ここは、本来一年生の為に設けられた区画。だが新学年を前にして、ここに住んでいた者達は新しい住まいへと移り、一夏以外の人間はこのあたりにはもう住んでいない。一夏がここにいるのは彼の安全の為に早めにIS学園に隔離する為、という事だと彼は聞いていたが、こうがらんとしているのも保安上大丈夫なのか、と一夏はどうにも不安に思う。

 

 実際のところ、人間に聞こえない範囲の駆動音を立てて無数のガードロボが天井裏や床下を徘徊しているので、彼の心配は無用なのであるが。

 

 実感がない、という事はもうない。一夏は彼なりに、現状を把握している。理解している。

 

 だがそれと、感覚が訴えるものはまた別なのだ。

 

「……勉強でもするか」

 

 そんな事を呟いて、ベッドから身を起こす。

 

 見渡せば、備え付けの机の上には分厚い教科書。数々の専門書に、一夏には難解なレベルの教科書。

 

 本来、IS学園というのは学業の面でもエリートが集う場所だ。得に一般募集ではその傾向が強く、有名国立高校すら比較にならない程の狭い門を潜り抜けた者だけが、この学園に在籍を許される。理由は単純、将来国家の看板を背負うかもしれない人間が無学では話にならないし、そもそも超技術の塊であるISは、唯操縦するだけでも膨大な知識を必要とされるのだ。中には知識を抜きにしてその操縦適正を買われてIS学園にスカウトされてくる人間もいるが、そういった人材はもっと幼いころに適性検査で見出され、国家側に確保されている事がほとんどだ。

 

 そして一夏はそのいずれでもない。

 

 彼は唯、その希少性からIS学園に招かれただけだ。彼の学力は公立高校に入学するのがやっとであり、さらにISを起動できたもののその適正はCと平均レベル。彼に、このIS学園で生き抜けるだけの特異性は存在していない。

 

 だからこそ、彼はその立場に甘んじるつもりはなかった。

 

 勉強は苦手でも、やらなければならない。

 

 どんな苦境に立とうと、彼は誇りを持ち続けなければならない。新しく入学してくる女子生徒達に歯が立たないとしても、彼は胸を張り続けなければならない。

 

 それがきっと、男で唯一のIS乗りとなった自分がなさなければならないという事を、彼は本能的に理解していた。

 

 言うなれば、自分以外は全て敵。圧倒的多数の女性の中で、たった一人、頼る同性もなく、己の身一つでこの業界に立たなければならない。

 

 ならば甘えるな。牙を研げ。自分以外の全てに、その存在を驚異に思わせろ。

 

 でなければ。

 

 呑まれて、消えるだけだ。

 

「………訳、わかんねえよ」

 

 教科書を手に、一人つぶやく。

 

 少年の孤独は、防音素材の壁に拡散、吸収され、世界のどこにも届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「等と、考えていたのだろうが」

 

 織斑千冬が、ふんすと鼻を鳴らす。

 

 その体は、びしっとしたスーツに覆われている。まさに世の中の女性の憧れである”できる女・織斑千冬”の姿であった。

 

 無論、一夏はそのスーツが自分が実家から引っ張り出してきたものであり、実際のところ私生活ではダメ人間であった姉の姿を知っているので何の感慨も浮かばなかったが。

 

「どうせお前に勉学で追い付くのは不可能だ。ならば、実力を鍛えて周囲を黙らせる方がよっぽど有意義な時間の使い方というものだ」

 

「………ええ、と。実力を鍛えるって……」

 

「スタジアムまで来たんだ、大体分かっているだろう」

 

「いやまあ。こんなもんまで装着させられたら、大体は」

 

 そういって自分の恰好を見下ろす一夏は、その全身を白い装甲に覆われていた。肘から先をすっぽり覆い尽くす籠手に、腰回りの三角形の花弁を複数重ねたようなスカート、設置性を考えない先端の鋭くとがった脚部装甲。両肩には、ふよふよと装甲板を漂わせている。

 

 IS学園で教材として配備されている量産型IS、打鉄だ。

 

 倉持技研が開発した第二世代ISであり、型としては比較的古い部類に入る機体だ。第二回モンドグロッソで得られたデータを基に、汎用性と安定性を重視して開発された機体で、暮桜にあったようなアンロック式の追加スラスターの代わりに実体シールドを装備しているのが最大の特徴である。高速機動で接近戦に持ち込むのではなく、装甲による防御力をいかして敵の懐に飛び込む事を想定しており、射撃武器にもある程度対応し操作も難しくないのでIS適正が低い人間でも一定の戦力を発揮できる量産機の鏡のような能力を持つ。

 

 一方で、もはや日本制ISの特徴として見られる瞬発力は健在であり、見た目からは想像もできない踏みこみの速さを誇る。また実体シールドそのものがシールドバリアの制御装置を兼ねているためスペック上のデータよりも遥かにタフであり、一流が乗れば相当なスペックを発揮できる玄人好みの面も持ち合わせている。だが設計の古さと、日本産の兵器の昔からの欠点である”現時点での最高スペックを重視し過ぎた余裕のない設計”もまた健在であり、近年開発されつつある特殊兵器に一切対応できないのが最大の欠点である。

 

 そんな機体である打鉄だが、しかし一般に流通しているのと違う部分が一つだけあった。

 

 打鉄には本来、胸部装甲が存在しない。だが、今一夏がまとっているそれには、胸部装甲らしきものが存在していた。溶接の後が残る明らかな突貫品ではあるが、しかし複合装甲でできたそれは確かに一定の防御力を持っているのが見てとれる。

 

 だがしかし、一夏の困惑はそれが原因ではなかった。

 

「……俺って、データ取り用の専用機が与えられるからそれまでISに乗っちゃだめ、って話じゃなかった?」

 

「ああ。確かにそういったな。だが事情が変わった」

 

「事情?」

 

「倉持技研が思ったよりお前専用の機体の調整に手間取っているという報告があった。だが、正直IS学園にいるからといって満足な自衛の手段も持たずにお前を歩かせられるほど私は事態を楽観視していない。量産機だろうがなんだろうが、お前に持たせておく必要があると感じた。それに、お前も分かっているように唯でさえ新入生どもとの学力差は歴然なんだ。ならばせめて勉学よりも見込みがあるISの実機操作技術を磨いておいた方がよっぽどマシだろう」

 

「山田先生は、変に量産機を使わせてその機体のクセを残したまま新型に移る方が危険だっていってたけど……」

 

「打鉄も今度来る新型も倉持技研製品だ。それに、打鉄に馴染むまでのらせるつもりもない。あくまで基本的な操作の練習をさせるだけだ」

 

 成程、と一夏は納得する。

 

 確かに、千冬のいう事は道理が通っている。そもそも、世界最強である姉がこうやって直々に指導してくれるのだ。それに文句を言うのはバチがあたるだろう。

 

 それに、IS。

 

 あの、人生で最も騒がしい一日を思い出す一夏。あの時、シェリー・アビントンに抱きかかえられて空を飛んだ時の感動を、彼は今も明確に思い起こせる。かつてはただ抱きかかえられるだけだったISを、しかし今は自分が、思うように乗りこなせるのだ。

 

 楽しみではない、といえばウソになる。いや、むしろずっと、ISに乗れると分かった時から楽しみにしていた。

 

 思い出して、鼓動が跳ねる。体が熱くなる。奔る情熱を、しかし一夏はごくりと飲みほした。

 

「………やる気は十分のようだな。よし、私が指示するから、とりあえずは基礎的な飛行訓練からだ。いいか、忘れるな。こうやってお前にISが貸し出されているという事は、今も訓練をするはずだった一人の女子の未来を奪っているという事だ。その重みをよく考えて取り組め」

 

「はい!」

 

 そして、一夏の特訓が始まった。

 

 しかし彼は忘れていた。

 

 姉にこうしてワンツーマンで特訓してもらった事がないわけではない。しかしその時は剣道で、姉はあくまで門下生の一人に過ぎなかった上に、一夏はまだ幼い子供だった。だから姉にはちょっと訓練を抑えめにする必要があった。だが今はISの訓練、千冬の専門職である上に、一夏はもう体の成長した15歳。

 

 手加減する理由は、どこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜。

 

 IS学園内部、教員用のバーにて、二人語り合う教師の姿があった。

 

 一人は山田真耶。もう一人は織斑千冬。

 

 二人が語り合うのは、今日行われた、一夏への基礎訓練の話だ。

 

「……とまあ、そんな具合でな」

 

「へえ、もう基礎教習Aコースを終わっちゃったんですか。早いですねー」

 

「早いのは早いが、お世辞にも成せていたとは言い難いな。とりあえず一通りこなした、といったところだ」

 

「それでも凄いですよー」

 

 仏頂面で身内をこき下ろす千冬に対し、山田の表情は朗らかだ。一夏への評価も正反対だが、しかしこれは千冬の評価が辛辣なだけだろう。

 

「確か、織斑君ってあのシェリー・アビントンに訓練された時期があったんですよね? その影響でしょうか?」

 

「それはないな。あの時一夏はあくまでただのガキだったからな、シェリーも基本的な生きていく為の訓練しかほどこしてないはずだ。ISの操縦技能とは関係ない。……まあ、一夏はシェリーに救われた時、本気で戦う国家代表の高速戦闘を生で見ている筈だからな。むしろ、これぐらいできなければアイツはどこに眼をつけていたんだという話になる」

 

「辛口ですねぇ」

 

「IS学園の教師としては、当然の判断だ。奴には、これからいくらでも厄介事がついて回る。この程度で音を上げてもらっては困る」

 

「……だから、今日はあんなにハードだったんですか?」

 

「何?」

 

 何が言いたい、と横目でにらむ千冬の眼光は鋭い、というよりほとんど凶器だ。だが山田は長い付き合いでそんな視線をものともしない。

 

「あれでしょう? 今は織斑君もいっぱいいっぱいだから、敢えて訓練漬けにしてあげたんでしょう? きっと今頃、考え事なんかせずにぐっすりですよ」

 

「………」

 

「本当にもう、弟さん思いですねえ。これも愛のなせるわ……イタイイタイイタイ!?」

 

 突然悲鳴を上げる山田。その隣で澄ました顔をする千冬。

 

 だが、その様子を見ていたバーのマスターは、カウンターの下でぐりぐりと山田の脚をえぐる千冬のハイヒールの踵を幻視していた。だが彼は何も言わない。バーで騒ぐ客とか本来追い出したいところではあるが、今の千冬に近づく危険性をよく知っているから。

 

 時には人間、諦めも肝心なのだ。

 

 そんな風に縦線を背負ったマスターと、痛みに突っ伏す山田をよそに、ふん、と千冬は鼻を鳴らしてアルコールをあおった。

 

 

 

 

 

 

 それからも、一夏へのスパルタ訓練は続き。

 

 やがて、新入生入学前日を迎えた。

 

 普通の学園なら新入生を迎えるにあたってあわただしく動いているのだろうが、IS学園はいつもと変わらない通常運営だ。この学園に勤める優秀なスタッフ達はすでに半年以上前にその準備を終えている。ただ単に、後は人を迎え入れるだけで済む。

 

 なので、今日も今日とて一夏は千冬にしごかれていた。

 

「だが、新入生が入ってくれば、今までのように訓練機を借りっぱなしという訳にはいかなくなる。なので今日は今までの総括を行う事としよう………聞いているか?」

 

「お、おう……」

 

 IS学園の外周部に存在する訓練港。今も背後でまた訓練生の操るISが離陸していくその場所で、一夏は疲れ切った顔でISを装着したまま千冬の説明を受けていた。一夏の疲労は色濃いが、しかし仕方ない。学園に入学してからそれこそずっとISに乗りっぱなしだったのだから。既に彼の搭乗時間は100時間を超えており、千冬のいう基準はともかく一般的な訓練生でいえば一年終了程度の基礎訓練は終えている。

 

 正直、千冬としてもこの成長速度は予想外だったといえる。かつてなすすべもなく誘拐された事がそうさせるのか、それともシェリーとの時間で思う事があったのか。千冬の目論見以上に一夏は訓練に前向きだった。とはいえ、それに乗じてやりすぎてしまった感は否めないのだが。

 

 だから、今日はご褒美。厳しい姉から、弟への気遣いだ。

 

「で、今日は何をすればいいんだ?」

 

「飛ぶだけでいい」

 

「………え?」

 

 きょとんとする一夏に、千冬は苦笑しながら補足した。

 

「今までよくやった。今までISに乗った事もないお前には多少酷な訓練だったはずだが、よくついてきた。実は基本的な運用データが足りてないとの事なんでな、今日はIS学園の防空領域を飛びまわるだけでいい。別に何か訓練をして、そこら辺を飛んでいる元一年生どもと競ってみるのもいい。お前の思うように飛んでみろ」

 

「え……いいの?」

 

「いいも何もそういってるだろうが。私は管制室からお前を見ている、間違ってもIS学園の防空領域を飛び出すなよ? 領域侵犯で撃墜されてもしらんからな」

 

 そういって千冬は踵を返してさっさと遠くに見える管制塔に歩き去ってしまう。取り残された一夏はしばし姉の真意を探りかねてぼけっとしていたが、ややって我に帰ると急いで近くに見えるカタパルトに向かっていた。

 

 飛べる。自由に、あの空を。

 

 その思いが一夏の思考を埋め尽くしていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「やれやれ。現金な事だ」

 

 管制塔、監視室。そこでIS反応を監視しながら、千冬は椅子にふんぞり返っていた。流石に授業中でもないので監視室の中はがらんとしており、いるのは千冬とこの時間帯たまたま監視をやっていた山田だけだ。二人の目の前には特大の立体スクリーンが空中に展開され、飛びまわる機影を示すマーカーが縦横無尽に動き回っている。同時にそれらの姿を複数の監視カメラが追尾し、手元のモニターに映し出していた。

 

 IS学園は国籍を問わず多くの学生を抱えている為に、カメラに写る光景は実に多彩だ。肌の色、瞳の色、髪の色を問わず多くの生徒が訓練用のISを身にまとい、ターゲットに機動射撃を繰り返したり高速飛行のアプローチ訓練を行っていたりする。機体も多彩で、日本製の打鉄の他にフランス製第二世代ラファール・リヴァイヴの姿や、アメリカ製第二世代ブラック・ナイフの姿も見られる。基本的に授業で使われているのは打鉄だが、それだけでは偏りが生じるし母国の開発した機体が違うコンセプトである事も踏まえ、また帰国後代表候補生として活動する優秀な生徒の能力を発揮してやる為に、基本性能に優れ総合スペックでは最強のラファール・リヴァイヴや驚異的な射撃管制機能と超近接戦闘能力を併せ持つブラック・ナイフ等の高性能機体も用意されているのだ。

 

 そして訓練する者達の中には、他にないシルエットを持つ者もいる。

 

「……あれはヘル・ハウンド………ダリル・ケイシーか。相変わらずの訓練狂だな。……今日は何機巻き込まれてる?」

 

「ええっと、三人ですね。打鉄が二機に、ブラック・ナイフが一機。やっぱりまだ自動攻撃端末の識別能力に問題があるみたいですね。仮想的である打鉄はともかく、ブラック・ナイフまで巻き込んでるあたり」

 

「だから攻撃能力最優先のキ○ガイAIなんか積むなというんだ……」

 

 面倒くさそうに呟いて、千冬は手元のマイクを通して問題の生徒に連絡を取り、練習空域を移動させた。万が一にもあれと一夏が接触したら面倒な事になりかねない。そうして安全距離を確保して、千冬はそれきりヘル・ハウンドの存在を脳から消し去った。

 

 彼女にはもっと気にしなければならない事があったからだ。

 

 一夏は、今ものんきに空を飛びまわっている。だがそのマーカーから通して見える動きは、とても素人のそれではない。千冬による地獄の猛特訓が早くも効果をはっきしているのか、彼の中に今も焼きついているのであろうシェリー・アビントンの動きがそうさせるのか、あるいはもっと別の理由なのか。いずれにせよ、その動きは周囲で訓練している二年生一日手前達にそう劣るものではなかった。

 

 だから、千冬が心配しているのは一夏がヘマをするか否か、ではない。

 

 一夏に関わる、周囲の反応だ。

 

「……やはりな」

 

 眼を細める千冬。

 

 織斑一夏は、この学園において異物だ。

 

 女性しか扱えないIS学園、そこに通う者達もまた、女子ばかりだ。教員をはじめとする運営スタッフには男性もいるが、彼らは極力生徒の眼につかない処で仕事をし、可能な限り接触は抑えている。無用な混乱を避けるためだ。

 

 そうして構築された女の園……そこに放り込まれてきた、部外者の存在。

 

 ただそれだけなら問題は無かった。だが、ここがIS学園であるという事が、問題となる。ここにいる女子はみな、IS乗りを夢見て必死に学び、鍛え、そして実力だけではどうにもならない選別の狭い門をくぐってきた。知恵も、力も、運すらも人並み外れた存在であり、そうあり続けるという自負がある。だが一夏は違う。彼がIS学園に来たのは、知恵も力もない、運だけだ。ただ珍しい存在だから、ただそれだけの理由で、自分達が血のにじむような、実際に流血すらともなう努力の果てに立った場所にずかずかと踏み込んでくる異物。

 

 それに拒絶反応を示す者が、居ないはずはなかった。

 

 訓練中の一夏に急速接近する反応が三つ。いずれも二年生、それも実力派で名をしられる三人組だ。千冬も教師として接触した事はあるが、プライドが異常に高く、それ相応に自分に厳しく常に向上心を絶やさぬ三人だった。それ故に、努力の足りない者を蔑み、軽蔑する傾向もある。

 

 あるいは、と思っていた事が現実になってしまった事に、千冬は深いため息をつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 織斑一夏にとって、IS学園で最初の試練が訪れようとしていた。

 

 


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