極東の騎士と乙女   作:SIS

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code:34 プライド・オブ・レオ

 

 

 

 加熱する、黒と赤と青の戦い。

 

 そこに割ってはいる、橙色の薫風。

 

 その名は、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ。

 

 

 

「……セッシー。ちょっといいかしら」

 

「なんでしょうか、鈴さん」

 

 突如現れたオレンジ色の機体。間違いなく味方ではないそれを前に、鈴とセシリアは呼吸を会わせながら防衛ラインを築いていた。先ほどの、シャルル・デュノアの語りには一寸たりとも応じていない。

 

「あの機体。ラファール・リヴァイヴっての。私、あんまし知らないから、セッシー訳で一つ」

 

「いや、ラファールはきちっと教えたと思うんですが……まさか忘れたのですか?」

 

「いや、一般に流通してるラファール・リヴァイヴのままなら問題ないのよ。でもあれ、完全に別物でしょ。私の見立てだと、ネジ一本からして特注品なんじゃない?」

 

「根拠は?」

 

「甲龍が警戒してる。ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンにはよくて対抗意識だったけど、あのオレンジは別よ。敵だって認識してる」

 

 突然のカミングアウトに、セシリアは頭痛を覚えてくらり、と足をもつれさせた。

 

 それは果たして、あのラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの驚異度にか、それとも明確な自律行動を行っているとおぼしき甲龍にか、それとも記録上史上初のISコアと人間の意識共有についてか。いずれにあってもセシリアの手にあまる問題である。

 

「どしたの、セッシー? はっ、まさかBT兵器の過剰運用で脳にフィードバックがうんたら……?!」

 

「ああ、いえ。そういうのではないので、大丈夫です。それで、どうします? 2と2で乱戦に持ち込みます? それとも」

 

「私がやる。あのキザ男は、私と甲龍で潰す」

 

「……ここは私がいくべきでは? 鈴さん、割ともういっぱいいっぱいでしょう?」

 

 いくら予想外の戦闘力を見せつけたとはいえ、鈴は素人だ。ISが自主的にサポートしていても、才能があっても、実戦で磨耗する精神力を最初から持ち合わせているかどうかはまた違う。

 

 だが鈴は気丈に笑って見せて、それから神妙な顔で告げた。

 

「アイツ、強いよ。多分、技巧でひっくり返してくるテクニシャンタイプ。そういうのは、素の性能で対抗したほうがいい。セシリアなんて、ふつうに戦うのだってウルトラCなんでしょ?」

 

「そこまでひどくはない……いや、どうなんでしょう? ううむ……、ちょっと否定できないかもしれませんわね?」

 

「ふふ。まあそういうことだから、ラウラの相手お願い。AICの効果範囲に入らなければビットの制御を奪われることはないはずよ。データを送るわ」

 

「あらまあ……」

 

 やはり、AICを意識して無力化しているのではないか、というのは間違っていなかったらしい。送られてきたデータに、セシリアは驚くしかなかった。

 

 やはり、類は友を呼ぶ、というべきか。

 

 規格外(織斑一夏)の幼なじみもまた、規格外だったらしい。

 

「データ把握しましたわ。それじゃあ、始めますか」

 

「ええ。律儀にまってくれているお相手方を、これ以上またせるのも悪いしね」

 

 対面する両者に動きはない。シャルルは感情の読みとれない、表向きはさわやかなアルカイックスマイルを浮かべてたたずんでおり、ラウラはそんなシャルルにまるで敵のような視線を送りつつ、腕を組んで待っている。

 

 一瞬だけ、鈴とセシリアはアイコンタクトで互いの武運を祈り。

 

 鈴はシャルルに、セシリアはラウラにそれぞれ向かっていった。

 

 

 

「君が、僕の相手をしてくれるのかい?」

 

「そういうことね。踊ってくれるかしら、色男さん?」

 

「喜んで、マドモアゼル」

 

 衝撃砲を乱れ撃ち、両手に巨大なブレードをひっさげての甲龍の突撃。それを迎え撃つ貴公子は、軽やかにほほえんでトン、と軽くステップを刻んだ。瞬間、目の錯覚のような唐突さでその両手にアサルトライフルが転送され、猛烈な弾幕が圧力となって甲龍におしかかった。

 

 それをブレードを盾にしてつっきる鈴。攻撃にたえかねた刀身が砕けるが、鈴はそれに構わず相手を殴り砕くつもりで柄を握ったままの右拳を振り抜いた。

 

 が、その一撃は空を切る。目を見開く鈴の背後で、宙返りを決めたシャルルがふっと笑い、手品のように両手の銃をショットガンに切り替えた。

 

 散弾の連射。シールドバリアごしでも骨に響く衝撃に、鈴がたたらを踏む。故に、甲龍は己の判断で、背後のシャルルの存在する座標を衝撃砲で爆破した。しかしそれも間一髪で回避するシャルルに、スラスターを最大出力で噴射、緊急離脱を試みる。

 

 そのスラスター噴出口にスナイパーライフルの弾丸が飛び込んで、エンジンがせき込んでそのまま沈黙した。ベクトルスラスターと残ったスラスターで転がりそうになる体を立て直して振り返れば、シャルルは余裕綽々で手にした3mを越える巨大な銃身を肩に担ぎなおして爽やかに鈴にほほえみかけているところだった。みている前でライフルが薔薇に一瞬でかわり、彼はそれを口元に持ってきて何事かフランス語で囁いた。

 

「コイツ……ッ!?」

 

 その、明らかに本気ではない相手の態度を前に鈴の胸に去来した感情に根ざすのは、侮蔑でも恥辱でもない。純粋に、理解できないものに対する恐怖だ。

 

 次々と武器を入れ替えるシャルルだが、あの手品は最初からばれている。ISはどんな機体でも、量子転送という方法で武器を自由に出し入れすることができる。これはISコアの処理能力もだが、使う人間のイメージする力が非常に重要で、慣れていない人間では一分ほどかかるが、熟達した人間……それも国家代表クラスなら一秒もかからないという。

 

 おそらくシャルルは、それが他と隔絶して早いのだろう。変化する互いの間合いに最適な武器を瞬時にいれかえあらゆる状況で最高のパフォーマンスを発揮する、それがシャルル・デュノアの戦い方。自らの得意な距離に相手を止めておくのが重要な鈴や一夏の戦い方とは根本的に異なる戦術だ。

 

 だが、それだけでは今の攻防はあり得ない。

 

 シャルルはただ避けて、撃っただけだ。もっと詳しくいえば、鈴が予想される軌道上にバラまいた衝撃砲をあえて動かないことで全て回避し、近接型の甲龍の一撃をギリギリで回避して攻撃し、反撃の衝撃砲と離脱すら予測してスラスターの噴射口という理論上の弱点に一撃を放り込んだ。

 

 そんなことが、果たして得意な転送速度、ただそれだけで実現できるか?

 

 否だ。

 

 物事には、限度がある。限界がある。それを越えようと思えば、努力するしかない。

 

「何が……史上二人目の男子適合者よ。あんた、数千時間はIS乗ってるでしょ!?」

 

「そんなことはないよ。ISに乗り始めたのは、本当に最近。その前に、IS技術をフィードバックしたパワードスーツにはかなり乗ってたけどね」

 

「そんな御託はもういいわ」

 

 それきり、鈴はシャルルの言葉を意識から消し去った。彼が悲しそうな顔を形作って、何かしゃべっているがそれも聞こえない。

 

 やれるか、と甲龍に問いかける。答えは、急激に跳ね上がった機体の出力。いい子ね、とつぶやいて、鈴は両手に新たなブレードを展開した。その速度は、目の前で行われている曲芸とは比べものにならない。

 

 それでも、戦わなければならない。

 

 鈴自信の誇りのため、ではない。そんなものは狗にでも食わせてしまえばいい。守らなければならないのは、親友と、一夏だ。

 

 この得体のしれない男を、一夏の隣においていてはならない。それはきっと、誰も望まない未来しかもたらさない。

 

 その直感に従って、鈴が再度突撃をかけようとした、その時だった。

 

 

 

「臭いわ」

 

 

 

 彼女は、ふらりと訓練場に姿を見せた。未だ体のあちこちに巻かれた包帯は痛々しく、しかし苛烈な眼光は病人のそれではない。

 

 手負いの獅子。

 

「鉄臭い軍人に、素人臭い闖入者。挙げ句の果てに、何もかも偽った狐の臭い。ああ、臭い、臭い。臭いものは……捨ててしまうに限るわ」

 

 主人の意志に同調するように、漆黒のISが翼を広げた。

 

 ブラックナイフ・プロミネンスカスタム。

 

 現状の第二世代の性能不足を想定して某国主導で進められたプロミネンスⅡ計画において開発された、ブラックナイフの強化ユニットを装備した形態。アメリカ国内での配備が完了し、わずかに諸外国へも輸出されたそれはIS学園にとっても非常に貴重な資材であったが、故に優秀な人材への貸与には何の問題もなかった。ならば、彼女がそれをまとって現れた事そのものは何の不思議もない。

 

 量産型第二世代で試作第三世代と互角以上に渡り合ったほどの腕なのだから。

 

 その事は、彼女の血なまぐさいまでの努力が認められた事を示しており、だからこそ、彼女は認める訳にはいかなかった。

 

 織斑一夏は武と覚悟を示した。ならば。

 

「全員……引き裂いてあげる!!」

 

 相手は第三世代が二機に、最新最強の第二世代が一つ。だからどうした、戦力差など問題ではない。

 

 そのすべてを引き裂いてやると、村上響子とブラックナイフは、雄叫びの如くスラスターの炎を吹き上げた。

 

「せ、先輩!? 怪我は……」

 

 ようやく事態を把握したセシリアが困惑の声をあげる。だが、それはもはや事態を動かす切っ掛けにしかならない。

 

 響子が最初に目をつけたのは、三機のうち、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ、シャルル・デュノアだ。それは一番驚異度の高い相手をねらったのか、はてさて一応自分が織斑派閥だという事を自覚しての事か。

 

 いずれにしろ、シャルルにとっては降ってわいた災害のような話であり、事実彼は頬を思い切りひきつらせて困惑を通り越して混乱していた。

 

「や、やぁ。僕、何か君に恨みでも買ったのかな?」

 

「存在自体が罪よ」

 

 会話の余地もありはしない。漆黒の彗星と化したブラックナイフが猛然とシャルルに迫り、それをアサルトライフルで迎撃するシャルル。しかし、甲龍さえも圧倒したその射撃は、黒の襲撃者にかすりもしない。

 

 完全な慣性掌握機動。UFO機動だとかゲ●ター機動と巷で呼ばれるような非物理学的な機動の前に、直進するだけのタングステン弾は悉く空を切る。反撃とばかりに響子がアサルトライフルを連射し、それをシャルルは緩急織り交ぜた機動で回避し、避けきれないものを副腕のシールドで防御した。

 

「さすがだね。病院のベッドの上でどうやって訓練したんだい?」

 

「ベッドの上は以外と暇でね。イメージトレーニングには事欠かなかったわ」

 

「イメージ、ねえ。確かにISは、イメージが大事みたいだしね」

 

「ほざけ」

 

 ぶん、とブラックナイフの姿がブレる。直後、大口径の砲弾がブラックナイフの残像を貫いて炸裂した。

 

 砲撃の主は、会心の狙撃が回避された事に舌打ちをすると、素早く地上をホバーで移動、ポジショニングを変更する。

 

「ちっ。しとめ損なったか」

 

「ラウラ・ボーデウィッヒ。少し待っていろ、コイツをしとめたら次はおまえだ」

 

「それに律儀につきあう理由も意味もないよ、こっちには。軍人相手に、勝ち気な事だな、学生」

 

「ならばこう返す。学園は学生のものだ、軍人は帰れ。ここは、IS学園は私たちのものだ。貴様らの居場所はない」

 

 シャルルに牽制射撃をする傍らで、地上のラウラに刺すような精密な射撃。それを紙一重で避けながら、ラウラはリボルバーカノンで反撃を行う。当然、シャルルもアサルトライフル両手にそれに割って入り、場は混戦の様相を示し始める。

 

 困ってしまったのは鈴とセシリアだ。二人は顔を見合わせると、そろって壁際まで後退した。戦術的撤退というやつである。

 

「ねえ、セッシー。これ、何がどうなってるの……?」

 

「おそらく、ですが。あの村上響子という先輩は、人一倍、IS学園に思い入れが強い熱心な人でして、それ故にコネだのレアケースだの大人の事情だので、実力や努力に関係なく踏みいってきた者達が気に入らない……いや、認められないのでしょう」

 

「でも一夏は認めたんじゃ……。それにその理由なら、箒はどーなのよ」

 

「どうでしょう、表向きは、という事かもしれませんよ。それにしたって、一夏さんは自分がIS学園に望む物があり、そのために努力しているという事を自らの武をもって示しました。箒さんについては……彼女の場合、特例と呼べる扱いには遠いですしね。同じ女性という事もあって、セーフなんでしょう」

 

「……ああ、なんか納得。ラウラってば軍人で畑違いだし専用機だし、私もにたようなもので、シャルルにいたっては出自がブラックで専用機もってるし搭乗時間明らかにごまかしてるしね。そりゃあキレるわ、真面目に熱心にやってる奴からすれば」

 

「そういう事です」

 

 納得して、二人そろって戦いを見上げる。眼前では、格上機体に挟まれてニ対一の状態にも関わらず、響子は絶好調で渡り合っていた。

 

「そろそろ決める……!」

 

「狙いは僕か。情熱的な人ですね、貴女は」

 

 ラウラへの攻撃を中断し、ブラックナイフが一直線にシャルルへつっこんでいく。それを後退しながら迎撃するシャルルだったが、訓練場はISにとってはかなり狭い。すぐに背後に壁が迫るのを意識したシャルルは、このあたりが潮時かと攻めに転じようとした。

 

 その瞬間だった。

 

 回避したライフルの狙撃。その軌道を塗りつぶすようにとんできたグレネードが、シャルルを挟み込むように左右で炸裂した。

 

 軽く驚きつつも、副腕に備わったシールドでそれを軽くしのぐシャルル。こんな子供だましの攻撃を今更、と困惑した彼は、目の前からブラックナイフの姿が消えている事に目を見張った。

 

「え……」

 

「コンバットパターン、スリー」

 

「!!」

 

 背後から聞こえてきた響子の呟きに振り返る。そこには、何か巨大な物を、振りかぶった腕に量子転送しようとしている響子の姿があった。

 

 コンバットパターン3。それは、響子が実戦の中で思いつき、ベッドの上でのイメージトレーニングによって確立させた必殺のコンビネーション攻撃だ。

 

 響子得意の高機動砲撃戦で相手を追い立て、追撃戦を演出する。それに対して相手が反撃に転じようとしたその瞬間、グレネードで機先を潰し、互いの相対速度差を利用する事で疑似的に通常の倍以上の加速を得て敵背後に機動。意識の間隙をついて、最大の一撃を叩き込む。

 

 その為に用意したのは、直径1m、全長3mを越える、超巨大な成形炸薬の杭。アメリカのヘルハウンドも愛用するそれは、対戦艦用に開発されたヒートパイル。最大の特徴は、その有効範囲の狭さ故に、ISにとって近接武器と見なされる事。直撃したが最後、その莫大な破壊力はISのアシストもあって、通常兵器では最高の破壊力を誇るとされる。

 

 その破壊の申し子を振りかぶり、シャルルめがけて突進する響子。とっさにシャルルもそれを回避しようとスラスターを噴射したが、慣性掌握機動をものにしている響子はそれに併せてスライド移動するため離脱できない。腹を括ったシャルルは、シールドを装備した副腕を展開し、迎え撃つ構えを取る。

 

「しょうがない。女性の誘いを無碍にするというのも、あるしね」

 

「くだらない。その矜持と共に死ね」

 

 

 

「はい、そこまで」

 

 

 

 ゴ、と何かが、衝突寸前の両者の間を駆け抜けた。

 

 急停止した響子が突き出していたヒートパイルを確認し、シャルルが構えていたシールドを戻してみれば、共にその先端部が完全に消滅していた。

 

 恐る恐る、声のした方に振り返る。

 

 訓練場の二階出入り口。当然ながらISを装着しての出入りが前提とされるその通路に、仁王立ちするシルエットが一つ。

 

「みなさん血気盛んなのはいいのですが、そこまでにしておきましょうねー?」

 

「山田教官……?」

 

「はい、皆大好き山田先生ですよー?」

 

 にこにこと微笑む、メガネの女性。ISを纏っていても、その柔らかい雰囲気は変わらない。だからこそ、先の凶悪なまでの一撃のギャップに、その場にいたものは反抗の気力を根こそぎ奪われていた。

 

 何をしたか。答は簡単、山田教諭は殴っただけだ。ISを装着して、拳をふるい、その拳圧を飛ばした。それだけ。

 

 ただその破壊力が、ヒートパイルを起爆させる事なく原子崩壊させて粉砕し、複合合金のシールドを粉砕し、反対側の壁にくっきりと拳の後を刻み込むほど強烈だった、という事で。

 

「……何、今の。空気の移動だけで、あんな破壊力がでるわけが」

 

「それは勿論、いろいろと小細工しましたよー。コツは、空気をつながった一つの固体として認識して、それをまとめて殴り飛ばす感じ、ですかね? あとはヒートパイルの固有振動数は簡単に割り出せますし、そういったもろもろでしょうかー?」

 

「……」

 

 げんなりとした表情で、響子は武器を片づけた。慣性掌握機動をマスターした事で成長したと思っていたのに、上はまだ遙か遠かった。

 

 ちなみにシャルルはひきつったような苦笑いを浮かべ、ラウラは自分の両手に視線を落として首を横に振り、セシリアと鈴はそろってわかりやすい驚愕の表情を浮かべていた。

 

 そんな彼女達をみて、山田先生は楽しそうにニコニコと笑う。

 

「まあ、ともかく! 訓練場でぶつかりあうのもよいですがー、しかしそんな熱意があるのなら、ここで発揮してしまうのはもったいないです! そういうのは、もっとふさわしい、しかるべき場所で昇華させるべきかと先生思うんですよ」

 

「ふさわしい、場所?」

 

「そうですよー。ついでだからみなさんにこの場で公開しますねー」

 

 

 

「近日、学園でタッグバトルトーナメントが行われます。参加者は一年から二年全員、タッグを組む際の学年制限はなし。上位入賞者には、IS学園生徒会への所属の権利が与えられます。無論、拒否権はなし、ですからね?」

 

 

 

 

 

「た、タッグバトルトーナメント? 強制参加って……困ったな。どうする、簪?」

 

「それよりも、学園が何をねらってるかが気になる。戦力外の一年も参加させるなんて……」

 

「そうだな。それは確かに気になる。なあ、一夏。一夏はどう思う?」

 

「……」

 

「一夏?」

 

「……俺、あの拳に殴られるとこだったのか、あの時……」

 

「おーい、一夏ー?」

 

「やれやれ……」


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