IS学園特命係   作:ミッツ

44 / 67
すいません。最近何かと忙しく感想の返信ができていませんでした。

この話を投稿してすぐに感想を返していきたいと思っているので、遅くなりましたがどうぞよろしくお願いします。


起爆

「呼び出してもいないのにわざわざ出向いてくるなんて。今日はいったいどんな面倒事を持ってきたのかしら?」

 

 開口一番にきつい嫌味を繰り出したのは、警察庁長官官房室室長の小野田公顕である。そして、相変わらず何を考えているのかわからない小野田の仏頂面と相対しているのは、これまた無表情の杉下であった。

 

「芝浦真紀子殺害の犯人である高原夫妻の処遇についてお話があります。」

 

「また単刀直入に来たね…で、何について知りたいの?」

 

「高原夫妻が精神鑑定を受けることになったと耳にしましたが?」

 

「ああ、それね。うん、どうやらそうみたいだよ。IS委員会も相変わらず芸がないね。4月の時と同じやり方で収拾を図ろうとしてるんだからさ。」

 

「やはり、IS委員会の差し金でしたか…高原夫妻の裁判ですが、僕としては正常な形で行って欲しいと思っているんですがねえ。」

 

「そう思うなら何か行動を起こしたらいいんじゃないかな?」

 

「ええ、そう思いまして本日はこのようなものをお持ちしました。」

 

 そう言って杉下は書類の入った封筒を小野田に手渡した。小野田は封を開け、中の書類に目を通すと珍しく仏頂面を崩し、不機嫌な表情を作った。封筒の中に入っていたのは杉下が作成したと思われる事件の報告書。そして…

 

「情報開示請求…対象は前田由紀の所持していたというボイスレコーダー、請求者は誰だい?」

 

「前田さんの遺族です。前田由紀さんの死は自殺として処理されています。しかし、自殺理由はまだ明らかにされていません。このままボイスレコーダーの存在が高原夫妻の起こした事件と共に闇に葬られるというのなら、前田さんの遺族を説得し、情報開示請求を申請するつもりです。」

 

「警察庁長官あてに開示請求がされれば、長官の経歴に傷がつくだろうね。そうなってほしくなければ警察組織が独自に動き、事件の裏にIS委員会があったことを明らかにしろってことね。関係者の証言だけでなく、わざわざ証拠品を見つけ警察の手に渡るように仕向けたのは警察を巻き込むためだったわけだ。でも杉下、こんな事したら警察とIS委員会とで戦争が起きるよ。そこら辺は理解しているんだろうねえ?」

 

 小野田は声を低くさせ、威圧するように杉下に迫る。表情は相変わらず無いものの、彼を取り巻く雰囲気は寒気がしてくるものに一変した。若い職員であれば、すぐにでも回れ右をして部屋の出口に急いでいたことだろう。

 しかし、そこは小野田と付き合いの長い杉下である。小野田の剣幕に怯む様子はなく、逆に自分から小野田の方へ近づくと、熱の籠った声で主張する。

 

「そもそも今回の事件の発端は柳原純一の死です。その時点で適切な処置がされていれば、このような事態にはなっていなかったでしょう。高原詩織、芝浦真紀子、前田由紀の三名が命を落とすこともありませんでした。いえ、元をたどれば名成中学がいじめの実態を明らかにしていれば柳原純一が亡くなることも無かったのかもしれません。

 最初の悪意の火を完全に消すことなく放って置いたが為に、悪意の炎が燃え広がってしまったんです。これ以上放って置けば、手の付けられない大火へと変わってしまうでしょう。あるいは、新たな火種を生むかもしれません。そうならない為にも今、この時点で完全に悪意の炎を消し去ってしまわなければなりません!」

 

 杉下はわずかに顔を硬直させながら強く言い放つ。それに対し、小野田はやれやれと言った様子で顔を横に振る。

 

「……そのためなら、何だってするってわけね。まあ、お前の言いたい事は分かったよ。今回はお前の言うとおりにやってみようか。その代わり、こちらのやり方には口を挟ませないから。」

 

 そう言って小野田は書類を封筒に戻す。形だけを見れば小野田が杉下の提案を全面的に認めたことになるだろう。しかし、杉下はあまりにもうまく行き過ぎる展開に違和感を抱いていた。

 

「…随分あっさりとお決めになるのですねえ。」

 

「どうした?何か不満でもあるの?」

 

「いえ、そういう訳では…」

 

「だったらもういいんじゃないかな。僕は忙しいんだから。お前だってIS学園での仕事があるんだろう。」

 

「……解りました。それでは失礼します。」

 

 結局、杉下は話を切り上げ、部屋を出ることにした。もし、小野田が杉下の提出した書類を握りつぶすというのなら、杉下は美和子に全てを告白するつもりでいる。そうなれば、IS委員会からの圧力に警察は屈していたという事も明らかにされるだろう。それが予想できない小野田ではない。

 ではなぜ、言いようのない違和感を抱くのであろうか?杉下は遂にその正体をつかめなかった。もし、ここに亀山がいればこう言っていたであろう。嫌な予感がすると。

 

 

 

 

 杉下の出ていった部屋の中で、小野田は机に備え付けてある電話の受話器を取るとボタンを入れ始める。数秒後、三度目の呼び出し音がちょうど終わったタイミングで相手と繋がった。

 

「小野田です。ええ、たった今杉下が来ました……はい、すべて予定通りです。それでは以前お話ししたとおりに……、あとのことは我々が…では、失礼します。」

 

 受話器を下すと小野田は椅子の背もたれに背を預け、大きく息をついた。それからしばらくの間、目を瞑ったまま考えに耽っていたが、ふと瞼を開くとぽつりと呟く。

 

「そろそろ、あの二人の立場も変えてやった方がいいかもしれないねえ。これから、何かと忙しくなるだろうし。」

 

 社会の情勢は常に変化し続けている。特に、ここ数年、大きな影響力を持ち続けているISとその周辺ではそれが顕著だ。そして、変化に対応できない者がはじき出されていくのも社会の理である。小野田は杉下達にはもう少しISの世界に身を置いていてほしいと思っている。だったら、奴らが動きやすいように場を整えてやるのは必要なことだろう。小野田に取って特命の二人はまだまだ利用していきたい存在なのだ。いまのところは…

 

 

 

 

 

 

 杉下が小野田のもとを訪問した数日後、この日IS学園は休校日であった。IS学園の受験日が翌日に控えているため、教職員がそろって試験会場となる学校に出張っているからだ。とはいえ、全校生徒が寮に入っている関係上、学園内を生徒だけにするわけには行かない。

 そのため、学園でトラブルが起こった際に対応できる職員が留守番をするのが毎年の恒例なのだが、今年白羽の矢が立ったのは杉下と亀山の二人であった。外部組織から出向してきている関係上、試験内容に深く立ち入ることが出来なのが理由である。特に今年は去年大規模なカンニング事件が起きたことから、学園側も試験問題の外部流出に神経を尖らせているようだ。

 

 そういう訳で、杉下と亀山の二人は朝から教官室で待機しているのだがこれと言って問題は起きていない。学園の業務に関する書類に目を通していた亀山が壁に掛けてある時計を確認すると、時間は11時を示している。

 

「はあ、暇っすねえ。右京さん、あれから小野田さんから連絡は?」

 

「今のところ音沙汰がありません。動きがあるとすれば直ぐにわかると思うのですが…」

 

 小野田とのやり取りから今日までの間、警察は芝浦の事件に関して何も発表していない。あの小野田にしてはやけに動きが鈍い。もしや小野田は最初から杉下との約束を反故するつもりだったのか?そんな疑問さえ浮かんでくる。

 一度警察内の動きを確認する必要があるかもしれない。そう杉下が考えていると教官室のドアが勢いよく開かれた。

 

「杉下先生、亀山先生!今すぐテレビをつけてください!」

 

 部屋に入ってきたのは楯無であった。彼女の顔には普段浮かべているような余裕のある笑みはなく、走ってきたからか僅かに息が乱れていた。

 

「お、おい。どうしたんだよ楯無?」

 

「いいから早くテレビをつけてください!今、片山議員が緊急会見を行っているんです。」

 

「片山議員が!」

 

 片山議員の名が出された途端、杉下たちの間に緊張が走った。片山議員が緊急会見。その言葉の響きに大きな不安を抱えながらも亀山はテレビの電源を入れる。画面に大量のフラッシュに照らされる片山議員の姿が映った。そこで彼女の騙る話の内容を聞くうちに亀山の表情が驚愕で染められていく。

 

「右京さん、これって…」

 

「ええ。どうやら僕たちは体よく利用されていたようですねえ。」

 

 そう呟く杉下の視線は画面に映し出された片山議員の手元にある書類に注がれている。それは、数日前に杉下が情報開示請求書と共に小野田に渡した、芝浦真紀子殺害事件に関する報告書だった。

 

 

 

 

 議員会館の行動はマスコミによって埋め尽くされていた。ある者はカメラのレンズ越しに、ある者はメモ帳とペンを手に、ある者はこの後お茶の間に映るであろう自分の髪形を気にしつつ、今回の会見の主役が口を開くのを今や遅しと待ち構えていた。

 

 片山雛子が会見でたびたび爆弾発言を行うのはよく知られている。だがしかし、わざわざマスコミ各社に宛てて会見を行うことを告知し、議員会館の行動を貸し切って行う会見は例がない。だからこそ、彼らは期待していた。あの片山雛子の口から語られる特ダネを…

 

「間もなく会見を開始させていただきます。」

 

 進行役と思われる女性の声に講堂内の空気が引き締まる。そして、ざわめきが消え、衣類の擦れる僅かな音以外聞こえなくなったのを見計らったかのように、本日の主役が口を開いた。

 

「本日お集まりいただいたのは日本IS委員会、および、それに関わる複数の団体において、見逃し難き不正が行われていたことを告発するためです。」

 

 片山がいったん言葉を区切ると、夥しい数のフラッシュが彼女の顔を照らす。片山はそれがやむのを待って再び口を開いた。

 

「昨年2月、都内において当時中学生だった女子生徒が殺害されました。その事件で日本IS委員会は、逮捕された容疑者に責任能力があるにも関わらず、精神鑑定において精神失調とわざと間違った鑑定結果を出すように指示し、容疑者に裁判を受けさせないように取り計らった次第です。」

 

 途端に会場内が騒がしくなる。片山議員の口から語られたのは一組織が日本の司法システムに介入したことを示唆したものだったからだ。当然、記者団の中からも疑問が上がる。

 意を決して手を上げたのはまだ幼さの残る顔立ちをした若い女性だった。

 

「日日新聞です。なぜ、IS委員会はそのようなことを?」

 

「それに付きましては、これからお配りする資料を用いて説明させていただきます。まず、被害にあった女性とですが、彼女はISの適性が非常に高く、高校進学と同時に代表候補生となる事がほぼ確実となっていました。そのため複数の企業が日本IS委員会に接触し、その際違法な金銭のやり取りがあったことを追記しておきます。

 しかしながら、その女生徒には素行面で問題があり、在籍していた学校では男子生徒に対するいじめが日常化していたそうです。その結果…男子生徒の一人がいじめを苦に自殺しました。日本IS委員会はその事実を隠ぺいし、男子生徒の死を事故として処理するように手回しをしています。 

 そして…女生徒を殺害した容疑者というのは、自殺した男子生徒の母親でした。」

 

 つい先ほどまで騒がしかった会場が今では水を打ったように静かになっている。報道陣は皆、あまりの告発の衝撃に我を失っていた。

 IS委員会がいじめ自殺を隠ぺいし、その主犯格であったとされる女子生徒の死の遠因になった事実は、ISを信仰する者たちの心を大きく揺さぶるものとなったのだ。やがて、彼らの手元にホッチキスで止められた冊子が回されてくる。

 

「ただいまお配りしたのが、女子生徒が殺害された事件と今月に聖ミカエル精神病院内で起きた殺人事件に関して、日本IS委員会が隠蔽しようとした事実と事件の詳しい内容についてをまとめたものとなっています。それでは、1ページ目を捲ってください。まず、昨年の2月に起きた事件に関してですが…」

 

 

 

 

 

 瀬戸内議員事務所には今、二人の人間が対面する形でソファに座り部屋に設置されたテレビを眺めている。瀬戸内と小野田だ。瀬戸内は火の付いたタバコを指で挟み口元に笑みを浮かべている。

 

「こりゃあ、えげつねえなぁ。今頃IS委員会の奴らは大混乱なんじゃねえか?」

 

「ええ。彼女たちからすれば、身内の人間が自分たちの所持していた爆弾に火を放ったようなものですから。テロと言っていいんじゃないですか。」

 

「そのテロを主導したのはお前さんだろ?雛ちゃんと手を組んで、俺を使い走りにして杉下の奴を担ぎ出してまで。」

 

 瀬戸内はテーブルの上にある灰皿を自分の近くに引き寄せると、根元近くまで灰になったタバコを押し付ける。そして、新しい煙草を箱から取り出すとそれに火をつけた。

 

「こんなやり方で杉下は納得するのかい?あいつらからすれば上手いこと利用されただけだろうに。」

 

「これでも約束は果たしたつもりですよ。真実をすべて明らかにする。それがあいつの要求でしたからね。それに、やり方には口を挟ませないとも言っておきましたから。」

 

「ほんと抜け目がねえなあ、お前さんは。で、結局あいつを担ぎ出したのは芝浦真紀子が殺された事件を解決させて、その報告書を提出させるためってことでいいんだな?」

 

「まあそんなところです。警察が派手に動けば委員会がちょっかいをかけてくるのは分かってましたから。現に警視庁の刑事が一人謹慎に追い込まれています。なので杉下たちの存在は非常に助かりました。今の奴らの立場なら、警察にいた時よりも好き勝手出来ますからね。」

 

「アラスカ条約か…ありゃあ、IS学園の教師にも適用されるからなあ。」

 

 そういうと瀬戸内は再び視線をテレビに向ける。画面内の様子を察するに、すでに片山は説明を終え、今は質疑応答に移っているようだ。

 報道陣にいた一人の女性が手を上げる。彼女はマイクを渡されると、片山に厳しい視線を向けながら質問を始めた。

 

『毎朝新聞です。片山議員は与党とIS委員会に繋がりが深い政党とのパイプ役を担っていた思うのですが、今回の一件はそうした政党との繋がりの中で得た情報と考えてよろしいでしょうか?』

 

『……ええ、そのように考えていただいて構いません。』

 

『それはつまり、片山議員は内部告発を行ったという事になると思うのですが、なぜ今回の会見を行おうと思ったのですか?』

 

 ここに至り、大半の人間は質問者の意図に気が付いた。この質問者は片山を糾弾しようとしているのだ。片山の行為はISの総本山であり、女性至上主義社会に大きな影響力を持つIS委員会を陥れる者であり、ISを神聖視する者たちへの重大な裏切りと言ってもよい。事実、報道陣の中には質問者以外にも片山をにらみつけている者たちが多数いる。

 片山はそうした者たちの視線を確認すると、質問者の目を正面から見据えた。

 

『…あなたには、お子さんはいますか?』

 

『…はい?あの、いったい何を…』

 

『教えていただけませんか?あなたにお子さんがいるのかを。』

 

『…いません。けど、それが何か?』

 

『でもあなた、薬指に指輪をしているって事は結婚はなさっているってことですよね。つまり、将来的には子供を産むこともあり得るわけですね。まだ日本では同性婚は認められていませんから。

 そうなると、生まれてくるお子さんが男の子の場合もあります。その子が将来、男であるという理由で虐められることがないと、あなたは言い切れますか?』

 

『!!そ、それは…』

 

『他の方々も考えてみてください。今の教育現場では男であるから、ISが動かせないからという理由で男子が理不尽な仕打ちを受けるのが当たり前になっているところもあります。そうなるように主導したのは私たち大人であり、一連の事件の元凶はそこにあります。今後、このような社会が続いていくようであれば、私たちの息子、あるいは孫世代にこの理不尽を味あわせることになるんですよ。』

 

 誰も口を挟むことが出来ない。今や報道陣だけでなく、テレビのモニター越しに見ている全ての人が片山の主張を固唾を飲んで見守っている。片山が語ったのは誰しもが予想できるものでありながら、誰も直視しようとしなかった当たり前の未来だったからだ。

 

『私はそんな未来を認めたくありません。だからこそ、今回はこのような形で日本IS委員会の不正を告発させていただきました。悲劇の原因が分かっているのなら、原因を隠すのではなく改めるべきなんです。日本IS委員会にはそれができなかった…。その結果、より多くの悲劇が起きてしまったんです。

 これ以上、私は坐していることはできません。もう二度と、このような悲劇を引き起こさないためにも、ISを巡る環境を改革する必要があるんです。そのためなら、私はどのような災厄をも蒙る覚悟があります!」

 

 そう力強く片山が言い切ると、再び会場が静寂に包まれる。やがて、一つ、二つといった具合に疎らな拍手が起こり始めた。それは次々と会場内に波及し、ついには熱烈な歓迎となって新たな時代の導き手を祝福するものとなった。

 

 

「いやはや、えらい熱狂ぶりだなあ。マスコミがああなるとIS委員会はもう手出しができないんじゃねえか?」

 

「まあ、そうでしょう。今後は片山議員が先頭に立って日本IS委員会の改革に着手することになると思いますよ。たぶん、粛清の嵐が巻き起こるでしょうね。あとは、政府の息が掛かったものが空いたポストについて、日本IS委員会は晴れて日本政府の管理下に置かれるって寸法です。」

 

「でもよう、果たして国際IS委員会の奴らが黙って指をくわえてるかねえ?子飼いの組織をダメにされて、このまま引き下がるとは思えねえんだが…」

 

「その点は問題ありません。既にロシアとドイツが我が国と同調することになっています。あの二か国は我々に借りがありますからね。その借りを返してもらうってことで動いてもらいました。」

 

「なるほど、欧州最大のエネルギー輸出国と工業国に動かれちゃ、さすがの国際IS委員会も迂闊は出来ないわけだ。本当に抜かりがねえなあ。」

 

 そう言って瀬戸内はタバコの火を灰皿に押し付けて消す。それを見計らったように小野田はソファから腰を上げた。

 

「それでは、私はこれで失礼します。なにぶん、今後忙しくなってくると思うので。」

 

 小野田は頭を下げると、出口に向かって歩を進める。

 

「小野田!」

 

 小野田がドアノブに手をかけたとき、突如として瀬戸内が小野田を呼び止めた。小野田が振り向くと瀬戸内はどこか怒りを滲ませたような顔をしている。

 

「お前さんや雛ちゃんが何をしようとしてるなんざ、爺の知った事じゃねえ。だがよ、一つ忠告をさせてくれ。お前さん、今回みたいなことを続けてると、いつか後ろから刺されちまうぞ。」

 

「……御忠告、痛み入ります。」

 

 それだけ言うと、小野田は事務所を後にした。

 小野田自身、誰かに殺される覚悟など当の昔に済ませてある。

 あの夜、反対する杉下を押し切って突入を命令した時から、自分はいずれ殺される事を心の中で確信しているのだから…




 すでにお気づきの方も多いと思いますが、作者は官房長が大好きです。
 ていうか、腹黒おっさんが大好きなんです。好きな戦国大名は黒田官兵衛と最上義光な感じです。
 なので今回のエピソードを含め、この作品内では官房長が右京さんの上手を行くパターンが多くなる傾向にあります。
 もし、この傾向に不満がある方がありましたら感想欄かメールでお知らせください。作者自身も参考にしていきたいと思っています。

 次回は最終話、およびエピローグになる予定です。

 いよいよ、第1シーズン完です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。