ネタ短編集   作:龍牙

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内容はフェニックス編の後から聖剣編直前くらいからスタート。ヒロインはイリナとゼノヴィアと後は他作品から二、三人くらい?


ウルトラマンオーブ×ハイスクールD×D -Ⅰー

「ウルトラマン! ウルトラマンティガ! 光の力、貸してくれ!」

 

 彼、『暁 大和』の左右に銀と赤の二色の巨人と赤、青、銀の三色の巨人が並ぶ。

 遙か銀河の彼方からやってきた光の巨人『ウルトラマン』。超古代の地球の守護者『ウルトラマンティガ』の二人の巨人が並び立ち、

 

『ウルトラマン』

『ウルトラマンティガ』

『フュージョンアップ』

 

 高々とリングを持つ手を振り上げると同時に左右の巨人も腕を振り上げ、二人の巨人の姿が大和へと重なる。

 

『ウルトラマンオーブ、スペシウムゼペリオン』

 

 駒王学園と呼ばれる場所の校庭……そこに居る三つ首の獣『ケルベロス』と戦う者達が、空中に浮かぶ黒い羽を生やした男が、その場に居る全員が驚愕の表情を大和だったものへと向ける。

 

「き、貴様、何者だ!?」

 

「オレの名はオーブ、ウルトラマンオーブ! 闇を照らし、悪を討つ!」

 

 己の打つべき悪、黒い翼の男の問いに大和は……ウルトラマンオーブはそう宣言する。

 

 

 

 これは『ハイスクールD×D』と呼ばれる世界で、一人の転生者が早々に死んだ事が原因でそれの持っていた光の巨人の力だけを受け継いでしまった少年の物語である。

 

 

 

 

全ての始まりを語る為に時は僅かに遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「またあの夢か」

 

 彼、『暁 大和』が何度も繰り返し見ている、光の剣を持った光の巨人が巨大な怪物と戦う夢。

 

 

 『光の魔王獣 マガゼットン』

 

 

 何故か脳裏に浮かぶ名があの怪物の事だとは理解できる。だが、それ以上の事は分からない……高校二年になった時……もっと言えば本格的に、毎日の様に変態行為で女子から制裁を受けている幼馴染の友人と別のクラスになった事をきっかけに縁を切った時から見始めた夢……。

 

「しかも」

 

 枕元に有った一振りの剣を取り上げると、それはゆっくりと消えていく。夢を見る頻度が多くなった時から夢を見る度に現れる剣は輪郭だけだが、光の巨人の持っていた物とよく似ていた。

 いや、似ていると言うよりも、

 

「間違いなくそれなんだよね……」

 

 ぶっちゃけ、どう言うわけかその巨人が自分だと言う自覚も有るが、自分が人間だという自覚もある、だが何よりも……

 

 

『謎の巨人が世界各地に出現した円盤を撃退してから……』

 

 

 テレビのニュース映像に映し出されているのはビルよりも巨大な巨人と、空に浮かぶ巨大な円盤。約三ヶ月前、世界各地に出現した円盤……異星人の宇宙船と捉えるべきそれを迎え撃ったのが、テレビに映る巨人であり、その巨人の正体は……

 

「オレなんだよな……」

 

 『愚かな地球人よ、直ちに降伏せよ』と行き成り宣言したのだから、侵略者と捉えても問題なく、四脚の戦車と思われる物体を地上に送り込んで破壊活動したのが、友好的な相手であるはずが無い。正にいんでぃぺんでんすなデイだったが、それは一日に終った。

 光の巨人へと変身した大和によって地上に送り込まれた兵器も、空に浮かぶ円盤も全て叩き落された。やった本人が一番気にしているレベルのオーバーキルで、だ。

 

「忘れよう……」

 

 そう斬り捨てる。地球侵略の危機の回避したのだから、正体がばれなきゃ問題なしと完全に斬り捨てたのだった。主に、

 

『この巨人ウルトラマンオーブは……』

 

「あぁ……」

 

 宇宙に逃げる巨大円盤を追いかけて撃墜した事よりも、変身した直後の自分の名乗りのほうにダメージを負ってしまっていた。『オレの名はオーブ、ウルトラマンオーブ!』等と名乗りを上げたのはしっかりと周囲にも響き渡ってしまったようだった。

 

「それにしても……なんなんだろうな、この感覚は?」

 

 此処最近は最大級の変化は自分なのだが、周囲にも大きな違和感を感じてしまっている。縁を切った一誠の周辺や生徒会などに。

 

「……あれ?」

 

 其処で有る事に気付く。今までは待っていたピースが組み立てていくうちに急に当てはまらなくなる、そんな感覚を……。

 

「オレは、何時一誠の家の隣から引っ越したんだ……?」

 

 真新しい壁に触れながらそんな疑問が自然と零れてしまった。ウルトラマンに変身出来るようになった前後からの記憶が不鮮明な部分が多い、

 

「っ!? なんだ……この違和感は」

 

 彼の手の中に現れる一枚のカード、黒い戦士の絵が描かれたそのカードを握り締めながら脳裏に浮かび上がる記憶を呼び起そうとするがどうしても浮かび上がってこない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何か強い違和感を感じているのに、その違和感がなんなのか分からない感覚……。それでも、最近は元幼馴染の『兵藤 一誠』の周辺が変わっている事の方に注意が行ってしまうのは、大き過ぎるインパクトだからだろう。

 

 学園の人気者の生徒が集まるオカルト研究部に彼が入部した事を皮切りに、転校生の女子が一誠の家にホームステイしていたり、オカルト研究部が十日間ほど休んだり、オカルト研究部部の部長の『リアス・グレモリー』も一誠の家に住み始めたと言う噂が流れ始めたり、だ。

 

 それでも、所詮は元幼馴染、弱みを握って無理矢理同居していると言うへんな噂も流れているが、普段の行動を鑑みると間違いなく流れても仕方ない噂な為に一瞬本気で信じてしまったが。

 

「っ!?」

「イッセーさん!」

 

 ふと、久し振りにすれ違った一誠が何故か尻餅をついて、転校生の『アーシア・アルジェント』が彼に駆け寄っていた。

 

(どうしたんだ、あいつ?)

 

 そんな彼の様子に疑問は覚えるがそれ以上は特に気にも留めない。その程度の関係の間柄なのだ、態々気にする必要も無いだろう。

 

 

 

 

 

(な、なんなんだよ、今の? 大和の奴とすれ違っただけで……)

 

『おい、相棒! あいつは一体何者だ!?』

 

 尻餅をついて倒れていた一誠に彼が宿す神器(セイクリッド・ギア)の中に宿る赤龍帝『ドライグ』の声が響く。彼の問いに答える間も無く、ドライグは言葉を続けていく。

 

『いいか相棒、アイツには迂闊に近づくな! あの人間の小僧から、あの巨人の気配を感じる……。いや、奴の武器だけかもしれんが、今の相棒では敵対したら一瞬で殺されるぞ!』

 

 まくし立てる様に言葉を続けるドライグ。何よりも彼自身が近付きたくないのだ。……二天龍の誇りも今だけはどうでも良い。敵対したら確実に滅ぼされかねない。

 まだドライグが神器に封じられる前に現れた怪物……二天龍を、魔王を、聖書の神さえも意にも介さなかった怪物を葬った光の巨人の気配……。敵対したいなどとは思わない、いや……考えたくも無い。

 

(……良く分からないけど、部長に相談してみよう)




夢の中のウルトラマンオーブ=転生者。大戦時に転生して何かやらかそうとしていたが、力を制御出来ずにマガゼットンと相打ちに終わりました。
二度と出番のない人なので、ウルトラマンオーブがいる理由づけ程度の扱いです。

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