ネタ短編集   作:龍牙

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新作の話です。なのはメインの能力のみとある作品四つのクロスオーバーです。

なお、その内書こうと思っているLBBの別史3のネタを先行で使っています。


オリ主(真)とオリ主(エセ)の対立で逆行ユーノが苦労するお話 その1

『だ……カ、た……ケテ』

 

 

(鬱陶しい……)

 

 彼、『龍陣 コウヤ』は体を起こしながら頭の中に響いてくる声に不快感を覚えていた。両親共に海外で仕事中のため国内に居らず、学校を自主休業した(サボった)訳だが頭に響いてくる声に心底鬱陶しさを覚える。

 

 コウヤは俗に言う転生者と言う人種に当たる。彼を転生させた愚神は『踏み台転生者』と言う役割で転生させたわけだが……彼を転生させた後に……ウルトラマンノアやら黄金進スペリオルカイザーに袋叩きにされてガンドラワールドから持ち込まれた封魔の聖剣によって厳重に封印された。……具体的に言うとその上から更に改めて封印を施された……二重に。

 まあ、本気でスペリオルカイザーがバロックガンにこの世界の管理を頼んでいたが断られたと言うのは一応追記しておく。

 

 愚神に掛けられた踏み台の呪いは消されているが既に影響下にある相手には意味は無く、改めて封印した愚神の力を無理矢理使って与えられた物をリコール、改めて貰った能力は……適当にカレンダーと時計を見て言った結果……ある意味トンでもない能力となった。

 まあ、それが原因で愚神が封印された状態で瀕死になっているが、誰も気にしちゃ居なかった。

 

 

『僕……声……聞……エ』

 

 

「煩い」

 

 そう言って手を翳すと宝石の様な赤い輝きを持った狼が彼の手の中に座すと、紅い狼は掌サイズの宝石に変わる。

 

 

『……カ…………』

 

 

 赤い鉱石を持っていると頭に響く声にノイズが掛かり、最後には何も聞こえなくなった。

 

「……G波による通信妨害、念話にも効くんだな」

 

 彼の貰った力は四つの物語の世界に関する力。とは言っても、うち二つの力はある意味ではハンパな物になってしまって入るが……。

 

 自分に向かって響いてくる念話が消えるのを確認すると時計を一瞥……すっかり昼食も食べずに放課後の時間までサボっていた事を自覚して……

 

「コンビニにでも行って何か買うか」

 

 そう考えて家を出る事にする。

 

 

 

 コンビニで適当にパンやサンドイッチを購入するとそれを食べながら帰路についていた時、視界の隅に四人組の男女の姿を確認する。

 

(あいつらか)

 

 心の中で吐き捨てる様に呟くとそのまま道を変えて彼女達を遣り過ごす。

 彼女達はこの世界の本来の中心人物である『高町なのは』とその友人である『アリサ・バニングス』と『月村すずか』の二人と……正史には居なかった筈のなのはの幼馴染の少年『狩主(苗字のみで名前は知らないし興味もない)』である。

 

 少女三人が慌てている様子で近くにあった動物病院へと駆け込んでいく。

 

 

 

???SIDE

 

(う……ん……。ここは?)

 

「うちじゃ流石に飼えないわ、犬に食べられちゃうかもしれないし」

 

「私も難しいから、アリサちゃんじゃないけど猫が居るから」

 

「私も飲食店だから」

 

「ぼくもちょっと無理かな。家族が動物があんまり好きじゃ無いし」

 

 目を醒ましたフェレットがあたりを見回していると四人が深刻な表情で頭を悩ましていた。当然ながら狩主、なのは、アリサ、すずかの三人である。

 犬猫が大量に要る家にはフェレットの命の危機であり、なのはの実家は飲食店で有る為に無理……と言うよりもご法度である。最後の希望とばかりに向けられた狩主の家は他に動物もおらず、飲食店の経営もしていないが家族が動物が好きでは無い為に説得が難しい……。

 

 まあ、前世の記憶からこのフェレットの正体を知っている狩主は自分が引き取るわけには行かないと、そう言って断っているわけだが……なのは達はそんな事は知る由もない。

 

(そうか、また戻ってきたんだ(・・・・・・・・・)……)

 

 そのフェレット……正確にはフェレットに変身している少年『ユーノ・スクライア』は疲れ切った表情で伏せる。最も傍から見ていればまだ弱っているフェレットが倒れた様子にしか見えない。

 

(……これで何度目だろう……)

 

 何時の頃からか数えるのを止めた内容を思い出す。

 彼、ユーノ・スクライアは逆行者である。彼の辿った未来ではどれも漸次元世界が地球以外破滅を迎えている。

 原因は三つの敵勢力による次元世界への侵略……。必死に抵抗する時空管理局だったが、その三勢力の前には手も足も出ずに敗れていった。だが、そんな彼らが希望を見たのが第97管理外世界『地球』である。

 三勢力からの侵略を撥ね退ける力を何時の間にか入手していた事から、反撃に移れると考えていたのだ。

 そう考えた管理局は時空管理局に復帰した『ギル・グレアム』、僅か一年の活躍で伝説の部隊と謡われるようになった『機動六課』の部隊長である狩主、上記の二人と同じく地球出身でエース・オブ・エースと呼ばれるようになったなのはの三人が交渉に当たったが……結果は交渉すら出来ず、逆に彼ら三人は地球からの追放、及び許可の無い次元世界人の地球への立ち入りの一切を禁じられた。

 

 だが、追い込まれていた彼らにとってそれに従う事は死を意味する。正式なルートでは無く、盗み出してでもその力を手に入れようとしたが、幾度も失敗に終った。

 

 防衛組織として立ち上げられた組織の隊長となったコウヤと、その組織の副隊長『八神はやて』と次元世界から地球へと帰化した分隊長『フェイト・テスタロッサ』の三人を中心とした組織により、奪おうとした者達は次々に捕えられた。

 

(……今、思えばアレはまだ良かったかもしれない)

 

 少なくともその未来がユーノの経験した未来では一番最良だったと理解したのは、彼が時間逆行する為のロストロギアを手に入れた後だった。

 白い甲冑の騎士と蒼い鎧の騎士と黒い少女の三人にそれを渡される夢を見た時言われた『選択を間違えるな』と言う言葉の意味を思い知った。今になって思えば、それは本当に夢だったのかと何度も疑問に思う。目を醒ましたら手に入れていたのだし。

 

 少なくとも、特殊な方法だが安全な場所に居られる分だけ幸せだったかもしれない。地球にしても、防衛力を持った地球を攻撃対象から外していた節のある三勢力との戦火を広げる危険のある技術提供はデメリットしかないし……最初の逆行を迎える前に知った事だが、管理局側の言い分は要約すれば『なんか凄い技術持ってるから、こっちに寄越せ。お前らよりも有効に使ってやるよ』だ。今になって考えれば交渉は無理が有ったとユーノは思っている。

 

(……問題はその次からなんだよね……)

 

 コウヤの仲間だった二人を管理局側に取り込む事に成功……正史に近いメンバーが機動六課に揃う中、最初の世界と同じく三勢力に追い詰められる地球を除く全次元世界。そんな中で地球のとった行動は、『次元世界人の地球よりの追放及び、次元世界人への協力者の地球よりの追放』だった。

 同じ組織のトップとなったコウヤを中心に進められた結果、管理局や次元世界の人間に協力した人間は家族に至るまで地球から追放された。

 同時に捕えられた次元世界人の引渡しを条件に地球は三勢力との条約を締結。地球の安全の為に次元世界の人間を売り渡したのだ。

 

(……どうしても良くならなかった)

 

 力の出所を調べるうちにその力の出所がコウヤと知り、コウヤが自分達の味方になるように行動したが……全て結果は二度目と大差ない結果に終った。……寧ろ、酷くなったことさえある。

 

(……あいつを巻き込んで逆行できたし時は少しは良くなるとも思ったんだけどな……)

 

 友人である『クロノ・ハラオウン』と共に逆行できた時は……寧ろ酷くなった。……五回の逆行でやっとその原因に辿り着く事が出来た。『狩主』だ。彼と多く関わった人間は一部の例外を除いて何故かコウヤと敵意を向け合うようになる。そう言う意味では、既に彼と関わってしまった為に、クロノを巻き込んでの逆行はそれだけで危険と理化した時には、クロノを逆行に巻き込むのを止めた。

 

 だが、僅かながら希望が見えた瞬間でもあった。

 

(……今度こそ、あいつらから侵略を受ける未来だけは回避しないと……。なのはが平和に生きていける未来を、作るんだ)

 

 ユーノは改めて強く決意する。それは彼女を魔法と言う物に巻き込んだ者としての責任ゆえなのかは、本人さえ知る由もないが……ただ、既になのはが手遅れだとは知らない方が幸せかもしれなかった。

 

 

 SIDE OUT

 

 

 

 


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