インフィニット・ストラトス×ヴァンガードネタ(通常ルート、クラス代表戦)
ユウヤ選択
1.クラス代表戦を見に行く
2.クラス代表戦を見に行かない
ニア2.クラス代表戦を見に行かない
「ふぁあ」
校舎や周囲の影で日が当たらない場所に有るベンチ。生徒の多くは知らない……特に一年生に知る者は皆無な場所にある其処で横になりながら欠伸をする。
今頃アリーナでは一年生によるクラス代表戦が始まるだろうが、ユウヤは興味が無いので……簡潔に言えばさぼっていた。彼の所属するクラスの担任教師の織斑千冬は怒るだろうが、そもそも根本的に千冬の事を嫌っているユウヤにとっては『嫌がらせになりそうだから丁度いい』程度にしか捕えていない。
横になりながら缶ジュースを飲むという器用な真似をしながらユウヤは空を見上げる。優勝商品のデザートフリーパスにはちょっと興味は有るが、それでもクラス代表の一夏は『頑張れよー』とやる気のない応援だけを送っていた。
向こうは仲良くしようと近付いてきたが、そもそも一夏のせいで自由意志を無視されて政府から無理矢理入学させられたのだ……友達になどなりたくも無い。
謝るなりなんなりすればまだ対応も変わったかもしれないが、それどころか悪いとさえ思って居ない様子なのだから、印象は最悪と言っていいだろう。姉弟揃って禄でもない連中、と言うのが織斑姉弟に対するユウヤからの評価だ。
『やれやれ、授業をサボるのは感心しないな』
ユウヤの肩に半透明な人型のロボットの様なもの……ユウヤの専用機『ダイカイザー』に宿る次元ロボ『カイザード』が現れる。
「あの横暴暴力教師への嫌がらせ。宿題のレポートももあ書いたぞ」
『……あれがが?』
本日は授業がない代わりに試合についてのレポートの提出が宿題となっているのだが、ユウヤの書いた内容と言うと、
『織斑一夏の自爆振りが笑えました。あの白い欠陥機、本当にガラクタ。開発中の機体放り出してあんなガラクタしか作れない倉持本当に無能』
と見事に一夏、専用機、開発元の企業、果ては専用機を用意した千冬にまで喧嘩売っているとしか思えない内容なのだから、流石にカイザードも頭を抱えたくなるだろう。
「いや、あの暴力教師の事は嫌いだって公言しているし、オレの所属はDP社……一応倉持のライバル企業だし、別に良いんじゃないのか?」
『……どの辺が良いんだ? 兎も角、真面目にレポートくらいは……』
「やだ」
基本的に授業は真面目に受けているユウヤだが、初日以降千冬が監督する授業に限ってこの調子だ。……クラス代表決定戦の一件をまだ怒っているらしい。
『……まあ、譲りたくは無いが百歩譲ってそれで良いとしよう。だが、自爆するとは限らないだろう?』
「いや、あの欠陥機のワンオフって外したら即座に自爆だろ?」
『それもそうだったな』
その辺は納得するカイザードだった。流石にイギリスの代表候補生『セシリア・オルコット』との試合の一夏の負け方、あれはないと思っている。
『だが、此処は兵器の扱いを学ぶための学校だ。そして、彼女の授業は兵器の運用の実技だぞ』
「チッ! それもそうだったな」
流石にカイザードのその言葉にはユウヤも折れるしかない。己の腕にあるブレスレッド……ダイカイザーの待機状態に視線を向けると納得せずには居られない。
「……出場しない試合の観戦とレポートだけにしておく」
『それならば良い。オレもこれ以上は何も言わない』
千冬から何を言われても無視するだろうし、実力行使なら反撃に移るであろう相棒の妥協点に納得する事にしたカイザードだった。最低限には出ると言っているのだから、納得しておこう。……窘める役は自分では効果は薄いだろうと言う考えもある。
ユウヤが試合が終るまで一眠りしようか、等と考えていると丁度試合が行なわれているであろうアリーナのある方向から爆発音が聞える。
「派手にやってるな」
安全性が高いとは言えISが兵器である以上爆発音の一つも聞こえるだろうとは思っているので大して気には止めていない。現にミサイル程度なら装備されているIS幾らでもある。だが、
「……まてよ。試合しているISって此処まで派手な爆発を起す武器を装備していたか?」
『二機ともミサイル等は装備していなかったはずだ』
そう、中国の代表候補生の鈴の専用機の『甲龍』も、一夏の専用機の欠陥品にもミサイルなどの派手な爆発が起こりそうな武器は装備されていなかったはずだ。
その事実に『異常事態』の四文字が二人の脳裏に過ぎる。
「チッ! 流石に、教師に全部押し付けておくってのは無しだな!」
『ああ、急ぐぞ!』
そんな言葉を交わしながら走ったユウヤはアリーナへと向かう。
「っ!?」
アリーナの近くへと着いた時真上を漆黒の光とでも証するべき何かが飛び去っていく。
「あれは……?」
『羽崎、お前今まで何処に居た!?』
突然繋がった通信から千冬の声が届いてくる。
「アンタへの当てつけに外でさぼってましたが、織斑先生」
正直に悪意交じりの言葉を告げるユウヤ。普段から嫌いだとか公言している上に、先のクラス代表決定戦でも弟をボコボコにしたのだから、覚えは悪いだろう。今更ご機嫌を取る気もないので告げるが、帰ってきたのは予想外の台詞だった……。
『……外で、だと? しかも理由が私への当てつけ……。そうか……私のせいなのか……』
珍しく沈んだ声に疑問を覚える。自分に嫌われた所で落ち込んだりはしないだろうとと思っていることなのでは有るが……。
『……先ほどの砲撃、お前の居る位置から見えたか?』
「……オレの真上を飛んで行った……まさか!」
『先ほどの砲撃で篠ノ之が死んだ。しかも、あいつが殴り倒した他の生徒を巻き込んで、だ』
「『なっ!?』」
思わずそんな声を上げるユウヤとカイザード。
聞けば一夏を応援するためにアリーナの放送室に入り、避難しようとした解説と実況役の生徒を殴り倒したそうだ。其処に先ほどの砲撃が直撃し、他の生徒も巻き込んで箒は死亡したらしい。
『最初の襲撃者に続いて新しい襲撃者が現れた。三つ巴の戦いになり、教師部隊の出撃も間に合わず、仕方なくアリーナに居ると考えていたお前とオルコットを一夏達の援軍として送ろうとしたんだが……』
ユウヤが意図的に千冬からの通信を届かないようにしていたために連絡が出来ず、その際の混乱で箒を見失ってしまったことが惨劇に繋がった。
現在、二機の無人機に対応している一夏と鈴の二人もかなり拙い状態らしい。唯一の幸運は新たに現れた無人機は最初に現れた物の味方では無い様子で、三つ巴になっている事だ。
『……教員部隊が出撃する時間稼ぎをお前達に任せたい。行けるか?』
「オレ、一応アリーナの外に居るんですけど」
『無人機が空けた穴がある、其処から飛び込めば良い』
「了解」
通信を斬るとユウヤは腕輪のある腕を掲げ、
「来い! カイザード!!!」
その後、アリーナ内に飛び込んだ際に出会ったリンクジョーカーによって洗脳されたカイザードの仲間である『“Я”ダイユーシャ』を撃退する事に成功、同時に一夏達も最初に飛び込んできた無人機の撃墜に成功した。
三名の死者を出してしまったクラス対抗戦は中止となり、死人が出た事に恐怖した生徒の数人がそのままIS学園を辞めて行った。
『何故アリーナに居なかったのか?』とユウヤを責める一夏だったが、箒が他の生徒を巻き込んで死んでしまったのは彼女自身の行動の為、それだけは理解していたのだろう、周りにとめられて直ぐに収まっていった。
だが、ほぼ単独で“Я”ダイユーシャをユウヤのダイカイザーが単独で抑えていた事から、ユウヤがいれば箒達も犠牲になっていなかった可能性がある。そう思うと、一夏も納得できないのだろう。
結果、ユウヤと彼の周りに集まる代表候補生達との間に溝が出来てしまったが、ユウヤにとっては気にするほどの事でも無かった。
そして、彼が三年になった頃……一夏達が行方不明となり、リンクジョーカーの尖兵としてユウヤと戦うことになるのだが、一夏を取り込んだ最終兵器『ダーク・ゾディアック』をユウヤが撃墜した事で無事世界は救われた。だが、その代償は大きかった。
ダーク・ゾディアックの力でIS学園は壊滅し、生存者も十名に満たなかった。その犠牲者の中には世界最強と歌われた千冬の名も刻まれていた。皮肉にも、一夏は姉を差の手にかけてしまったのだ。
かつての戦いさえも懐かしい思い出と変わり、その戦いの中で想いを通じ合った二人と交際する事になった日々を過ごしながら思う。もっと他の道が有ったのでなかったかと?
あの時、アリーナに居ればもっと別の選択肢が。
無意味な考えと思いながら、ユウヤはその考えを切り止める。更識楯無と更識簪……二人の恋人達と過ごす休日なのだから。
END①『更識姉妹END 微BAD風味』
あとがき
前回の作品の別ルートです。ルートとしては早い段階でカイザードと接触。ディメポリの面々が日本に新たな企業DP社を設立してユウヤを所属のパイロットに。というルートです。
各地のテロ組織、主に亡国を襲撃すりISより強い巨大ロボの集団の図。
今回はユウヤの選択で箒が犠牲になりそれが原因で最終的には他の一期ヒロインと一夏が敵になりました。
また、箒死亡ルートではダイユーシャは元に戻ったあとも罪の意識から機能を停止し、ユウヤの専用機もグランギャロップに変更されています。
なお、シャルとラウラについては一夏がフラグを立てたと思ってください。
最終的には更識姉妹との交際ルートで、学園は壊滅、BAD風味のエンディングです。