「烈火拳!!!」
黒い翼を巧みに操るコカビエルと鋼鉄の翼を広げ空中を飛翔するライディーンイーグルが空中戦を繰り広げる。
コカビエルが投げつける光の槍を炎を纏った拳『烈火拳』で撃ち落しつつ、相手の懐に飛び込みその拳を叩き付ける。
「ガハッ!!!」
「烈火脚!」
それによって出来た一瞬の隙を逃さず炎を纏った蹴り『烈火脚』を回し蹴り気味に叩き付ける。
「おのれ!!!」
光の剣を作り出して反撃として切りかかるが、
「イーグルソード」
ライディーンイーグルもまた己の専用武器である『イーグルソード』を出現させてコカビエルの光の剣と切り結ぶ。
「我が剣に……」
切り結んでいた光の剣をゆっくりとイーグルソードが切り裂いていく。
「切れぬ物、無し!」
「っ!?」
危険を察知したコカビエルが咄嗟に横に避けると、黒い羽と鮮血が舞い散る。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
避け切れなかった翼の一つをライディーンイーグルのイーグルソードが切り裂いていた。
「があぁ!!!」
続いて叩き付けられるのは炎を纏ったライディーンイーグルの拳、続いて炎を纏った踵落としがコカビエルの頭に叩き付けられ、そのまま校庭へと激突する。
「ふはははは! 良いぞ、良いぞ! 実に良い! 流石はかつて天使の勇者と謡われただけの事はあるな、ライディーン!」
狂喜と言う表情を浮べながら笑うコカビエル。
(……ああ、そう言えばオレの前のイーグルの事を知っている。そう言うわけか)
ライディーンイーグル……勇気の中にある神器の中に封じられているのはライディーンの力と記憶のみ。魂などは入っていないのだから、既に以前のライディーンは死んでいると言うべきだろう。
「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、お前達神の信者はよく戦う。より処と成る偉大な主を失ってもな」
「……」
コカビエルの言葉に疑問に近い反応を見せるライディーンイーグル。そんな事は既に知っている。いや、誰よりも知っていると言うべきだろう。
「……?」
「どう言うことだ?」
そんなコカビエルの言葉に疑問を抱くのは木場とゼノヴィアの二人。
「フハハ! お前達下々ねまで真相は語られていなかったな!? ついでだ、教えてやるよ! 神は死んだ。先の三つ巴の戦争で四大魔王だけでなく、神も死んでいたのだ」
その言葉に衝撃を受けるリアス達。だが、
「それで、それがどうかしたのか?」
「貴様は大してショックを受けていないようだな?」
「そりゃ、知ってる事を言われた所で驚くわけ無いだろう? 大体、オレは神器を通じてライディーンの力を得ただけで九割は人間……。それほど神様に頼った事もないし……。何より、神を殺したのは……先代のライディーンイーグルだ」
『!?』
その言葉にもっと衝撃を受けるリアス達。そのショックはリアス達だけでなくコカビエルにさえ衝撃を与えるものだった。
「バカな!? 神に反逆する所か、殺しておいて堕天していないだと!? そんな事が有る訳が……」
「先代ライディーンの知識によれば……天使族の勇者ライディーンは前線で戦う為に堕天と言うシステムの唯一の例外に設定されていた。当然だろ、勇者と謡われた者達が敵になるなんて悪夢以外の何物でもない」
ようするに、天使であった頃のライディーン達は特例が認められる程の戦士達だったと言う事だ。
「そ、それだけの特権が与えられていたお前達が何故神を……?」
「奴は悪魔や堕天使だけでなく、作り上げた究極の
正しく言えば神が壊そうとしたのは世界そのものだ。その事に気付いたライディーンイーグルは追っ手として放たれた他のライディーン達と戦い、真意に気付いた者達から仲間になって言った。そして、ゼロへと戻す為に作りあげた究極の兵器……。
「神の元から『ゴッドライディーン』を奪う為に、何者にも使わせない為に反逆したのが先代達だ」
尚もショックの抜けていないコカビエルへと向かってイーグルは飛翔する。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」
炎を纏ったアッパーでコカビエルを上空へと殴り飛ばし、
「イーグルフレア!!!」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
そのまま追撃として必殺の火炎放射、イーグルフレアを放つ。
「ゴッドバード、チェンジ!」
光に包まれてイーグルは鷲を思わせる白い鳥の形へと姿を変える。
「ならば、神を殺した奴等の後継者のお前の……魔王の妹の首を手土産に、我等堕天使が最強だとルシファーやミカエルに見せ付けてやる!!!」
「それがくだらないって言ってるんだよ!!!」
鷲の姿へと代わったイーグルの体を炎が包み、高らかに咆哮をあげる。その姿は正に伝説の中の聖獣としての『フェニックス』。
火の鳥と化したイーグルに貫かれ、真っ二つになったコカビエルを他所に炎の鳥が校庭へと降り立つと、炎は飛び散りその中から現れるのはライディーンイーグルの姿。
「バカな……主のためでもなく、最強だと見せ付けるためでもなく……お前達は何のために神に反逆した……?」
それがコカビエルの最後の言葉だった。炎の中に爆散するコカビエルはその問いの答えを聞く事無く最後の刻を迎えるのだった。
「簡単だ。先代のライディーン達は人を守る為に神を裏切った」
何時の日から、ライディーン達は三大勢力の戦争に巻き込まれる無力なる人と言う種族を守る為に戦う様になった。だからこそ、ライディーンは神へと反逆したのだ……決して堕ちる事の無い鋼鉄の翼を持って、