ネタ短編集   作:龍牙

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ハイスクールD×A 鋼翼の反逆者
ハイスクールD×A 鋼翼の反逆者 その1


「っ!?」

 

 先程まで眠っていた彼『鳳 勇気』はベッドから飛び起きると、窓を開けて通っている学校である駒王学園の方を見る。

 

「“また”堕天使の気配。それも上級の……しかも、街全体に流れてる力は……」

 

 彼の中に眠る神器の力に目覚めてからと言うもの、超常の力を感知できるようになった頃から、何度かハグレ悪魔を倒してきたが此処最近では、悪魔の領域となっているこの地で堕天使の気配を二度も感じていた。

 内心、『ここを任されてる『リアス・グレモリー』やとか言う先輩と生徒会長、舐められてる?』と思わずには居られない。

 だが、一度目は兎も角今回の相手は舐めていても無理は無いほどの力……確実に勝てないであろう大きな力の差が有る相手と言う事が分かる。

 

 それも当然だろう。彼は知る良しも無いが学園では教会よりエクスカリバーを強奪した堕天使の幹部『コカビエル』とその手下を打倒すべくリアス達が戦っていた。しかも、時間制限付きで。

 

(……現魔王の妹が二人も居るんだ……。足止め程度の役割なら彼女達でも果たせるだろうけど……)

 

 そう判断するが、実際リアス自身は呼んでなかったりする。まあ、彼女の女王(クィーン)である『姫島 朱乃』が連絡済だったりするので問題は無いが。……お家騒動の後ととは言え、明らかに舞おうが出てくるレベルの相手に対して自分たちだけで戦いを挑むのはどうかしていると思う。

 

 勇気が窓の縁にその背中から透明な翼が現れる。辛うじて月の光を遮る姿からそれを翼だと判断できるが、目を凝らさなければそれを見る事は叶わないだろう。

 

 

 

 駒王学園の近くまで飛翔すると校舎の方を見下ろす。生徒会のメンバーが数箇所に分かれている。恐らく戦いの被害を学園内に留める為の結界を張っているのだろう。

 見れば王である『ソーナ・シトリー』以外の眷属達は限界が近そうだ。聞いた話では元々一般人中心のメンバー、一般人では無いメンバーの多いグレモリー眷属よりも限界が近いのは当然と言えば当然だろう。

 

「急いだ方が良いな」

 

 勇気はそう判断し、拳を握ると手の甲に目の様な模様の付いた羽を思わせる紋章が現れる。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

 勇気の手の中に現れるのは透明な一振りの剣。それを前に翳して結界へと突っ込んでいくと熱したナイフをバターに刺す様な容易さで結界を貫き、その中へと飛び込む事に成功する。

 

 

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

「ぐはぁ!」

 

 結界に飛び込んだ瞬間、黒い翼を生やした男に剣では無くとび蹴りをかます。顔面を蹴り飛ばされた男はそのまま地面に突き刺さる様に激突して顔面でスライディングする。

 

 その光景に戦っていたリアス達グレモリー眷属は唖然としてしまう。突然上空から現れた人間が、神滅具の一つである『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の力を譲渡され魔王に迫る域にまで高めたリアスの滅びの魔力も、教会から派遣されたエクソシスト『ゼノヴィア』の持つ聖剣『デュランダル』も、騎士である『木場 祐斗』の神器の禁手で作り出した聖魔剣も通用しなかった『コカビエル』を飛び蹴りで吹飛ばした姿に。

 

「っ!? どうして、此処に人間が!?」

 

「強いて言うなら、オレ達の街を守る為に人間代表として参上! って所かな?」

 

 リアスの言葉にそう答えた後、透明な剣で彼へと向かってきた光の槍を弾く。

 

「ふざけるなよ、人間風情が!」

 

 光の槍を投げた主、顔面に靴の痕があるコカビエルが怒りに満ちた視線で勇気を睨みつけながらそう叫ぶ。

 

「雷よ!」

 

「鬱陶しいわぁ!!!」

 

 怒りと共に勇気を睨みつけていたコカビエルの隙を逃さず朱乃が雷を放つが、それも片手で払われて霧散してしまう。

 

「お前は、バラキエルの」

 

「……私を、あの者と一緒にするなッ!」

 

 コカビエルの言葉に激昂する朱乃だが、それを意に介さずにただ勇気だけを睨んでいる。

 

「……ふ、ふふふふふふ……、教会から派遣されたエクソシストも」

 

 睨み付けるのはゼノヴィア。

 

「魔王の妹も、伝説のドラゴンを宿した転生悪魔も!」

 

 続いて睨み付けるのはリアスと一誠。

 

「バラキエルの娘でも、聖魔剣でも無く……ただの人間に、こんな屈辱的な傷を負わせられただと!!!」

 

 朱乃、祐斗へと視線を移し、最後に勇気へと視線を止める。

 

「たかが人間風情がこのオレに傷を付けただとッ!? 戦争だ! 俺は戦争を始める! 我等堕天使が最強だと、サーゼクスにもミカエルにも理解させるのだ!!! それを高が人間がぁ!」

 

「……くだらない。だったら言ってやるよ、お前は弱い」

 

 誰にも見えていなかったが背中の翼と剣が消える。静かに怒気を含んだ声で勇気は右手を翳す。

 

「……なんだと?」

 

「どんな理由でこんな事をしたかと思えば……戦いに狂っただけの最低の理由だな」

 

 怒りを含んだ勇気とコカビエルの視線が交差する。

 

「教えてやる。化け物を倒す英雄(ばけもの)は、常に人の中から生まれるって事をな!」

 

 翳した腕に浮かび上がる羽の紋章、

 

「そして、一つだけ安心しておけ! オレは……ただの人間じゃないからな!」

 

 

―目覚めろ、オレの力―

 

 

「超者!」

 

 

―『反逆の天使達の羽(ライディーン・フェザーズ)』!!!―

 

 

「降臨!!!」

 

 羽の紋章から結晶状の物が勇気の包みこみ、それが砕け散った瞬間、鷲を思わせる白いアーマーに包まれ、白い鋼鉄の翼が現れる。

 

「な!? その姿は神殺しの……反逆の天使だと!?」

 

「さあな。この力がオレに教えてくれた。この力が何なのか……この力の名前を」

 

 背中の翼を広げる。勇気……否、『ライディーンイーグル』。

 

「ふ、ふはははは……! 面白い、面白いぞ! まさか神を殺して神の生み出した究極の兵器を奪ったとされる、かつての勇者と戦えるとはな!」

 

 そう、コカビエルの言葉通り勇気は知っている。彼ら十人のライディーンが神を裏切ったわけを。そして、自らの意思で己を神器(セイクリッド・ギア)の中に封印し、知識と力だけを残し、魂を生滅させたわけを。

 

 全ては彼らを宿した人間を守る為に、彼らが自分たち自身と共に封印した究極の兵器の存在を隠す為に。

 

 そして、万が一に覚醒した時に備えて記憶だけを残した理由を。

 

「行くぞ、コカビエル。オレは負けない……」

 

 拳を構え、ライディーンイーグルはコカビエルと向かう。

 

「鋼鉄の翼に賭けて!!!」

 

 

 

 




今日、古本屋でコロコロで連載されていた『超者ライディーン』の漫画を読んだ結果書いてみたネタ短編です。ライディーンの設定はハイスクールD×Dの世界観に合うように変更しました。

現在までに明らかにするDD世界のライディーンの設定は、

・自らの魂を消滅させて記憶と力のみを神器に封じている。
・究極兵器……ゴッドライディーンを生み出したのはこの世界観の神
・超魔の散在はなし。

と言う所ですね。

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