舞台裏の出演者達   作:とうゆき

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鏡界面上のホライゾン

鏡映しのIF

想像の中のその姿は

優美華麗

配点(鏡像)

 

 

 

ストーリー

私立西秋川高等学校に通う君はある日、謎の光に包まれて見知らぬ場所で目を覚ます。

困惑する君の前に現れた“少女”は手を差し伸べこう言った。

「大丈夫? 私は葵・トーリ。ここの総長兼生徒会長だよ」

 

過去の歴史を再現する後ろ向きに前向きな世界。

葵・トーリの協力でアリアダスト教導院に通う事になった君。折しも三河争乱が発生する一ヶ月前だった――

 

 

ヒロイン紹介

 

葵・トーリ

「私、葵・トーリはここにいるよ!」

常にハイテンションな元気娘で武蔵の人気者。

成績は並だが家事万能で芸能も嗜む。

いつも笑顔。でもその裏には悲愴な覚悟が。

果たして君は彼女の支えになる事が出来るのか!?

 

 

点蔵・クロスユナイト

「主の為に我が身を削るのがくノ一で御座るよ」

いつも顔を隠している恥ずかしがりやなくノ一の女の子。

人からの頼みごとには快く応じる優しい子だが、ちょっと自己犠牲が強いかも。

その生き方を尊重するか否定するかで彼女との関係が大きく変化するだろう。

 

 

キヨナリ・ウルキアガ

「ところで貴方にお兄さんはいる?」

教会のシスター。異端審問官も務めているので常に白銀の鎧を身に付けている。

一見堅物だが親しくなればお茶目な一面も見せてくれるだろう。

自身の信仰に殉ずる覚悟であり、その信仰と君は相容れないのだが……

 

 

シロジロ・ベルトーニ

「お金! お金を使うのよ!」

若くして商会を持つ商人。

何よりお金が大事と公言する攻銭奴。

彼女がお金以上に大切なものを見付けるかどうかは君次第だ。

 

 

トゥーサン・ネシンバラ

「さあ、人生という物語を紡ごう」

不治の病を患った眼鏡っ娘の文学少女。

自分の世界に入りやすく、好きな話題になると止まらない事も。

あえて彼女の世界に飛び込んでみるのが仲良くなる鍵かも?

 

 

ノリキ

「二度は言わない。忘れないで」

家族を養う為にアルバイトを掛け持ちする健気な勤労少女。

クールであまり人を寄せ付けない態度だが、彼女には大きな秘密が――?

 

 

彼女達以外にも登場する女の子は五十人以上!

華麗なCGとフルボイスでお届け!

 

    ●

 

「というエロゲを考えたんだが、どうよ?」

「どうよ? と言われてもな」

 

 昼休みになるなり複数の表示枠を展開して熱弁を振るう秋元にげんなりする。

 三要先生の授業も聞かずに何をやっているかと思えば、この馬鹿は。

 

「やべえ、ビッグサクセスの予感がするぜ。俺のエロゲサークル「ディープバレー」の時代が来ちゃったかな、これ」

「……さよか」

 

 過去作を浅間・智に酷評されて数日教導院を休んだ過去は秋元の脳内からは消去されたらしい。

 

「こういうアイデアで勝負する作品は早いもん勝ちだからな。ルート毎に別のライターを起用して納期短縮を図ろう。絵師も複数の体制で行く」

「何だかそれ、失敗しそうな予感がしてならないんだが」

「全裸や太陽全裸は立ち絵でも常に全裸で客を釣る……いや、コンシューマ化の際に面倒だな。それに全裸は肩の傷あるから反転させて使い回せないか……」

「……」

「あと総性転換で女性層も狙うか男性層一本に絞るかが悩ましい所であるな。銀髪美形無感情で貴人の隠し子な男性キャラってかなりイケると思うんだが」

 

 ……聞いちゃいないな。

 

「昔いた学校の副会長と書記は男同士で突き合……いや付き合ってたんだが、そんな二人を題材にしたBLゲーが学園祭で完売したんだ。あの時にヤオラーの購買力のデカさを思い知ったね」

「まあ、それは否定しないが……」

「あと名前どうしよう。エロシーンで「ふふ、もうこんなに濡れてるね、キヨナリ」とかやったらジョイスティックが一気にふにゃっちまうぜ!」

「じゃあ名前変えれば良いんじゃないのか。ちょっと前に出た水滸伝の女体化も名前変わってると聞いたぞ」

「……女性化全裸の名前、聖とかティエンとか思い浮かんだが他に案ある?」

「そんな特殊な案、ぱっと思いつく訳ないだろ。というか俺はこれから飯食うから」

 

 話を強引に打ち切って学食に向かう。

 

    ●

 

 昼食を終えて教室に戻ると秋元は表示枠に向かって話しかけていた。

 

「ああ綴、俺だ。エロゲのシナリオ頼むわ。……いや、まだキャラ設定は固まってないから当たり障りのないイベント書き溜めといてくれ。駄目だったら次回用にすればいい。期限は、有明のお祭りで体験版を配布したい所だから……そう言うなよ、俺だって尊敬する白蕪氏のエロゲ詰んで製作に入るんだから。今度お前の資料用の情報も送ってやるから頼む。……ああ、悪いな。それとお前が前に話してた荒川さんに出演交渉してくれ。ギャラは相場の十倍までなら出せる。……あん? 予算なら大丈夫だよ。いざとなれば鳥居前総長に貰った谷村城の権利書を担保に入れても捻出するから。まあ、最悪の場合お前等の給料はエロゲの完成品になるが勘弁してくれ」

 

 何やら熱くなっている秋元を見ていると不意に初めて会った頃を思い出した。

 第一印象は変な奴。終ぞその印象を払拭する機会はなかった。

 

「お前、以前自分は常識人みたいな事を言ってなかったか?」

 

 秋元が表示枠を消すのを見計らって尋ねる。

 

「おいおい。俺以上の常識人が武蔵のどこにいるっていうんだ?」

 

 ……少なくとも武蔵王はこいつよりまともだよな。

 ただ、それを指摘しても秋元が武蔵王の尊厳を傷付ける発言をするだけな気がしたので黙っておく。

 

「まあ、頑張れ。義理で一つくらいなら買うから」

「すまねえ。もし余裕があったら尼子家関係は優遇しとく」

「………………いや、遠慮しておく」

 

 多少心惹かれたが性転換のエロゲだという事を考慮して否定する。

 

    ●

 

 翌日、教室に入ると秋元が椅子の上で体育座りしていた。

 机の上で開かれた家族婚通神にはどこかのサークルが武蔵の役職者の女性化エロゲを開発中という記事が掲載されていた。

 ……言ってるそばから先を越されたか。

 顔の前で手を振ってみるが反応はない。しかしそのうち復活するだろうと放置。

 HRや授業中、まだ秋元の奇行に慣れていない三要先生がおどおどしていたが、秋元の言動が治る事はないだろうから早く慣れてほしいものだ。

 

 その後、エロゲの開発に難航し、資金繰りに困った秋元がまるべ屋に土下座交渉を挑んで病院送りになったりしたが、それはまた別の話。


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