紅魔館――――目が可笑しくなりそうなまで真っ赤なその館の門にチャイナドレスを着た女性が立っていた。女性の仕事はその館の門番であり仁王立ちでその門を守る姿は門番の鏡と言えるだろう。
ただし、居眠りをしていなければの話だが。
その居眠りをしている門番の横を上海は飛んで通り過ぎていく。あっさりと屋敷の中に侵入することが出来た。
空いていた窓の隙間から入り込むんだ上海はそのまま館内をうろつき始めた。
毒々しいまでの真っ赤な廊下を一人の妖精メイドが歩いていた。そのトコトコと歩く妖精の頭の上に可愛らしい人形が乗って・・・あ、上海でした。
「ちょっとあなた。」
その頭に上海を乗せた妖精メイドの後ろから声を掛ける人が。
「あ、メイド長。」
「アナタその頭に乗っけているものは何?」
「あ、これはさっき廊下に落ちていたんですよ。」
そう言って頭の上海を抱く。
「とっても可愛いんですよ~。」
「はぁ・・・とりあえず、その人形は没収します。」
「えッ!?」
「持ち主の所へ返してくるわ。それと貴女、皿洗いはどうしたの?」
そう言って右手に一本のナイフを取り出すと妖精メイドは顔を真っ青にして「ごめんなさーい!!」と言いながら自身の仕事をしに戻って行った。
ちなみに上海は妖精メイドが落っことして行った。メイド長と呼ばれた女性は上海を持ち上げると何やら思案顔で見つめた。上海も見つめ返すが女性はふと視線を上海から外すと次の瞬間にはその場から忽然と消えていた。
そしてその赤い廊下には誰も居なくなった。
所変わって赤い館のある一室。そこに上海は居た。
部屋には先ほどメイド長と呼ばれた女性も一緒に居る。上海がキョロキョロと物珍しそうに部屋の中を見ていると、メイド長が一着の服を持って来た。
キョトンとしている上海に対しメイド長は
「とりあえず、脱ぎましょうか。」
と言った次の瞬間に上海の服が無くなった。
「!?」
その事に上海が驚いた瞬間、今度は服を着せられていた。
ただし、先程まで来ていた服とは違い、メイド服だが。
「!!?」
状況が分からずあたふたする上海に対し、メイド長は
「この館の中を歩く時はこれを着なさい。それと・・・。」
そう言ってポケットから取り出したのは小さなペンダントだった。
調度上海の首のサイズ位しかない。
「上げるわ。私にはつけられないものだし。」
そう言って女性は上海の首に小さなペンダントを付ける。上海はしばらくペンダントを見つめていたが、気に行ったのか笑顔で手を振ってくれた。
―――ありがとう―――
メイド長には上海がそう言っているような気がした。
で、メイド長にメイド服とペンダントを貰った上海がふよふよ飛んでいると何時の間にか広い空間に出た。広いと言ってもそこには大きな本棚が並んでいる。びっしりと埋まった本棚は天井に届きそうと言う位の高さを誇り、正直倒れてこないか心配である。
そんな部屋の中をふよふよと飛ぶ上海の目にある人影が飛び込んで来た。
紫の服を纏った少女は薄暗い空間の中で一人読書に熱中していた。熱中しすぎて近づいて来た上海には気付かない。
上海が少女の目の前に座り本を覗き込む。それでも彼女は上海に気付かない。が
「・・・この本じゃない。」
そう言って本を閉じるとようやく上海の存在に気付いた。
見た途端は驚いたがよくよく見てみると咲夜とお揃いのメイド服を着ている人形は何所かで見覚えがあるもの―――人形遣いの人形だった。
―――どうしてこんな所に?という疑問が浮かぶがそれよりも今は必要な本を探さなくてはならない。そう思い椅子から立ち上がって本を取りに行く。生憎とこの図書館の司書は今は居ないのだ。
「この本かしら?」
そう言って本棚から本を抜き出す。パラパラとめくって行くがこれには書いていない。
少女が溜め息を吐きながらその本を棚に戻していると、突然肩に何かがぶつかった。振り向くとそこには上海が一冊の本を持っていた。その本を見た少女は目を見開いて
「そうよ!この本よ!!」
そう言って上海から本を引っ手繰る。が、その事に気付いた少女は慌てて
「あ、ごめんなさい!それと・・・ありが
そこまで言いかけた瞬間、突如とてつもなく巨大なレーザーが少女を焼いた。幸いにも少女は防御魔法か何かを使ったらしく無事だったが肝心の本は黒こげになってしまった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
絶句している少女。その上、レーザーによって天井に開いた大穴から二人の人影が見えた。片方は箒に乗った白黒の少女で、もう片方は背中に羽を生やした少女だった。白黒の少女は大きなレーザーを、羽を生やした少女は竜巻を相手に向けて放っていた。
完璧な巻き添えである。
しかもあろう事かその二人はレーザーで空いた大穴から中へと入ってきてそこでまたレーザーや竜巻を放つ。
本棚などがめちゃくちゃになる中で紫の少女は一人、俯いてぶつぶつと呟いていると突如自身の周りに火球を創り出しそれを二人に放ち始めた。
「人の図書館で何してるのよおおおおおおおおおおお!!!!」
少女の叫びは火球と共に二人に襲い掛かった。
「はぁ・・・はぁ・・・何とか助かりましたね・・・。」
図書館で泣き喚きながら火球を放つ少女の登場に驚いて慌てて逃げ出す。逃げ込んだ部屋で呼吸を整えるのは背中から黒い羽を生やした少女だ。
服の所々が焦げているのは少女の放った火球の所為。
「あやややや・・・、弾幕ごっこに夢中になっていたとはいえ容赦無さすぎますねぇ~。」
取材口調になって言って見ても焦げた服は戻らない。気に入っていたのにな・・・。
まぁ人の家で弾幕ごっこなんかやる方が悪いのだが
ふと、自分の胸元がもぞもぞと動き出したかと思うと服の中から一体の人形――上海が出てきた。
「ふえ?」
そう言って上海をつまみ上げる。実は上海は3人が弾幕ごっこをおっぱじめた際に巻き添えを食って羽が生えた少女の胸の中に入ってしまいそのままだったのだ。動きが止まったことによりようやく胸の谷間から出てこれたのだ。
「なんで?」
そんな事情はなど知らない少女は突然自身の胸から出てきた上海に驚くばかりだ。だが上海はそんな事お構いなしにふよふよと飛び立つと少女の頭の上に乗る。
上にちっちゃな帽子が乗っていたがその帽子にしがみつくように乗っかっている。
「・・・・・・・・・まぁ、困るもんでもないし・・・。」
若干戸惑いながらも上海の頭を撫でる少女。嬉しそうな顔をする上海。
焦げた服を着直しながら少女は部屋を出るのだった。
「さてと、取材と行きましょうかね。」
そう言ってカメラを取りだし部屋を片っ端から開けては中を取り、開けては中を取りを繰り返す少女。の頭の上には上海だ。ちゃっかりカメラを取る真似をしている。
そして少女はある一つの部屋に入り込んだ。
固く閉ざされたその部屋には・・・
「貴女はだぁれ?」
小さな金髪の女の子が居た。
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それと上海そこ変われ
って蓬莱が言ってた。