真剣で私に恋しなさい!-きみとぼくとの約束-   作:chemi

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『歪な存在』

 

 

 

 始業式から数日。多くの生徒はようやく夏休みボケが抜け、ペースを取り戻し始めていた。時刻は昼になり、2-Fの教室は一気にガヤガヤと騒がしくなる。

 クリスが京へ話しかける。

 

「京、今度は一体、何の本を読んでいるんだ?」

「怪談本……」

「ふーん……残暑もきついから、気持ちだけでも涼しくなろうってやつだな」

「クリスも読む? 寮に戻ったら、他にも何冊かあるけど」

 

 クリスの体がピクリとはねた。

 

「……いや、京の気持ちだけ受け取っておく」

「遠慮することないよ。ついでだから、この間借りたDVDも貸してあげる」

「それって京の部屋にあった……あの白い子供が載ってたやつか!? いい! 絶対見ない! ……じゃなくて、自分あまりそういうのに興味がないからな」

 

 京はクリスに向かって、ニヤリと笑う。

 

「クリス……もしかして怖いの?」

「そ、そんなわけないだろ!? はははっ自分は騎士クリスだぞ! 恐れるものなど何もない!」

「それじゃあ――」

 

 そこまで言いかけた京であったが、マルギッテがクリスを呼びだしたことで、うやむやになってしまった。

 ちなみに、そのときのクリスの反応は恐ろしく早かった。

 

 

 ◇

 

 

『ハーイ、エブリバディ。今週も――』

 

 皆がご飯を食べ始めると、準の声が聞こえてきた。

 カツサンドを頬張った大和が喋り出す。

 

「そういえば、今週の川神ラジオ……ハガキの枚数が凄かったらしいぞ」

「へぇー。今日いれても3日しかないのに、そんなに聞きたいことでもあったのか?」

 

 凛が首をひねった。その横から岳人が会話に混ざる。

 

「やっぱあれじゃねぇ、ひと夏を終えて、俺様に彼女がいるかどうか……それが気になるんだろ?」

「……で、何通くらいきてたんだ?」

「200通くらいだったらしい」

「いつもの倍か……それは確かに凄いな」

 

 2人にスルーされても、岳人はめげない。わざとらしく、右手を額へと持っていき、いかにも悩んでますというポーズをとる。

 

「いやぁ……まいっちゃうぜ。今日のお便りが、俺様一色になってても2人とも怒らないでくれよ」

「まぁ何が聞きたいのか、大方予想はつくけどな」

「なんかおもしろいことあったか?」

「聞いてたらわかるよ。ところで――」

 

 遂に、岳人が耐えきれずに机を叩いた。その震動で、机の上にあった菓子パンやパックジュースが揺れる。

 

「お前ら、いい加減なんか反応してくれよ! 俺様がバカみてえじゃねえか!!」

「「馬鹿みたい?」」

 

 2人が声を揃えて、心底不思議だという顔をした。そして、彼らは顔を見合わせ、また岳人の顔をまじまじと見つめる。

 

「みたいじゃなくて、馬鹿だろって言いたげな! オイ!!」

 

 立ち上がった岳人の肩に凛が手をおく。

 

「落ち着け、岳人。皆が皆そう思ってるわけじゃない。希望を捨てるな!」

「誰も皆なんて言ってねえだろ!? 俺様はお前ら2人に対して言ってんだよ!」

 

 そこで、凛が人差し指を自身の唇にあてる――静かにしろの合図である。その顔は真剣そのものであり、興奮していた岳人も口をつぐみ、辺りを見回した。

 

『――では、お便りを読んでいきましょう! ペンネーム、反撃の小人さん。モモ先輩に質問です……さらに美しさに磨きがかかっている気がします。夏の間に特別なことを何かされましたか?』

『もちろん、特別なことをしてるぞ。というか、今もしてる……それは、ズバリ恋だ! 凛と一緒にいるだけで、胸がドキドキするからな。あとは、色んなケアに気を遣うようになったかな? やっぱり、好きな男には褒めてもらいたいだろ?』

「アタイと同じだ! やっぱ彼氏に褒められてなんぼだよな――」

 

 最後に聞こえてきた声は意図的に遮断した。

 静かに聞いていた凛に、岳人が小声で声をかける。

 

「おい、凛……」

 

 しかし、凛はいまだ指を口元にあてたままである。瞳だけは岳人へと向けられるが、彼を制するような鋭さがあった。

 次の便りへとうつる。

 

『はい、次! 堕元帥☆漆原さんから、モモ先輩……彼氏の好きなところを一つ挙げてください』

『凛の好きなところかー……ありすぎて困るけど、一つだけ挙げろって言われるなら、私だけに見せてくれる無邪気な笑顔だな。いつもは大人っぽく見えるけど、そのときはめちゃくちゃ可愛いからな』

 

 岳人の額には青筋が走っている。その間、凛は携帯を取り出し、素早くボタンを押すと、またポケットへとしまった。

 準が少し投げやりな感じで、さらに進める。

 

『はいはい、次行きますよ!! 黒猫マジ白猫さんから……僕も好きな人に告白しようと思っているのですが、モモ先輩はなんと言って告白されましたか? 参考までに教えてほしいです』

『おお! 頑張れ! 私も陰ながら応援しているぞ。それで告白の言葉だが……残念ながら教えることはできないな。ただ! 告白するときはストレートに言ったほうがいいぞ。回りくどい言い回しなんて必要ない。自分のありのままの気持ちを伝えてやれ!』

 

 岳人がまた声をかける。

 

「おい、凛……」

「しーっ……今、百代の声聞いてるとこだから」

「おい、大和! 俺様、今猛烈にこの男を処刑したくなったんだが!?」

「お前の気持ちはわからんでもないが、やめておけ。負けが見えてる……」

 

 大和は至って冷静に返し、2つ目のパンへと手を伸ばした。海老カツとシャキシャキのキャベツ、それにたっぷりとかかったタルタルソースが病みつきになる味だった。

 そんな大和の隣では、岳人がぐぬぬと歯を食いしばっている。そこで、突然凛が振り向いた。

 

「あ、そうだ岳人……俺の京都の友達が、お前のこと紹介してほしいって言ってきたんだけど、どうする?」

「親友よ! 心の友よ、もちろんOKに決まってるだろ! さっきのメールか?」

「まぁな。お前のナンパに付き合えなかったし、これからも付き合えないだろうから……せめてもと思ってな。年は俺らの一個上、来年から龍王大学通うらしいから、それの都合でこっちに引っ越してくる」

「OKOK! 写真は!?」

「写メがそのうち届くかな……言っとくけど、かなり美人。まぁ百代には敵わないけど」

「お前のノロケは置いといて……ま、まじか!?」

 

 凛の言葉に、大和も岳人と同じ言葉を吐きそうになった。

 龍王大学に入学するほどの頭脳と凛が言う美人である。そんな女性が岳人と知り合いたいなど、裏があるのではと勘繰ってしまう。彼が聞いたら怒るかもしれないが、心配だった。

 凛はそんな大和の視線に感づいたらしい。

 

「燕姉の中学時代の友達で、俺も世話になった人だ。だから俺もよく知ってる。名前は――」

 

 そこで、放送中のスピーカーから学長の声が響く。

 

『ここで学長がお茶目に放送ジャッーク!』

 

 ――――相変わらず、自由な学長だなぁ……。

 凛の前の高校では、学長の声を聞く機会など少なかったし、加えて存在感などまるでなく、何らかの式等で壇上に登った時、そういえばこんな顔をしていたという程度であった。

 百代も突然の鉄心登場にツッコミを入れていた。しかし、彼はそれも無視して話を進める。

 

『皆、今、残暑きちぃーと思っとるじゃろ? そこで学園が突発企画を打ちたてたぞい……その名も季節外れの納涼肝試し大会!』

 

 百代の微かな声が、スピーカーからこぼれおちたが、それもざわつく教室では、誰も聞いていなかった。さらに鉄心が言葉を続ける。

 

『場所は多馬盆地の方角。川神山!』

 

 そこは、樹海に並ぶ全国でも指折りの心霊スポットである。

 突然、百代の声が弾む。

 

『残念だったなーじじい。あの山入ったらダメなんだろ?』

 

 ――――中止になると思って喜んでるな。

 しかし、百代の希望は、市長の許可が下りているという現実によって、容易く崩れ去った。彼女の小さなうめき声がした。

 開催日は今日の夕刻。学長はそれを伝えると、最後に生徒を煽って去って行った。イベント好きな生徒たちは、すぐさま参加するかしないかで盛り上がり始める。ラジオの方でも、準と百代が来週のこの時間に、肝試しのことを話し合う約束を交わしており、彼女も参加することになっていた。

 ――――百代……河原でもあんなに怖がってたのに、そんなとこ行って大丈夫なのか?

 凛が大和に問う。

 

「川神山って、そんなに危険なのか?」

「数十年前は自殺のメッカになっていて、そのせいで山が封鎖されたんだ。噂では、遊び半分で入って行った奴が、そのまま帰って来なかったとか……他にも似たようなものをいくつか聞いたことがある」

 

 ガタンッ!

 物音がなった方向を見ると、クリスが急に立ち上がっていた。その後、「すまない」と言って、また静かに座る。

 

「まぁ学長たちもいるんだから、大丈夫だろ」

「凛はこういうの平気なのか?」

「実際に遭遇したことないからな……妖気とかは感じたことあるけど。まぁそれにいざとなれば……なんとかする」

 

 凛はそう言うと、顔の高さまであげた右手をギュッと握りしめた。

 

「凛が言うと本当に何とかしそうだな。俺は姉さんがどうなるか心配だよ」

「んなことはどうでもいいんだよ!! 凛! さっきの話の続きを――」

 

 岳人が凛に詰め寄るが、そこにさらなる人物が加わる。教室の扉が勢いよく開いたかと思うと、彼らの座っている場所へ一目散に駆けてきた。

 その人物が、勢いもそのままに、凛と岳人に肩組みしてくる。

 

「おい! さっきの放送聞いたか!? 肝試しとか超楽しそうじゃねぇか! お前らもちろん参加するよな? な?」

 

 満面の笑みの翔一である。彼は順々に3人の顔を見た。さらに――。

 

「結構おもしろそうだよね。さっき、スグルと川神山の色んな噂をネットで調べてたんだけど――」

 

 卓也が椅子を引っ張って、皆の中に混ざった。そこからは川神山の話題になる。白い影、丑三つ時に聞こえる不気味な音、頂上にあるらしい五寸釘で打たれた藁人形、所々に散見される擦り切れたロープや衣服――その近くで唸る声などなど。

 しかし、一人だけ心底どうでもよさそうだった。

 

「りぃーーん!! 俺様に年上のお姉様の話を聞かせてくれー!!」

 

 岳人の魂の叫びが教室内に木霊した。それと同時に、女子からの注意が四方八方から飛んできた。結局、凛が知りうる限りの情報を聞き出して、ようやく彼は静かになった。

 

 

 □

 

 

 そして、あっという間に夜がきた。参加した生徒は約60名。山はしんと静まり返っており、時折頬を撫でる風が生暖かい。参加者の多くは、川神山の噂を知っているため、どうしても不気味な印象を持ってしまう。もっとも、そんなことをまるで気にしない連中もおり、山に入ってからもマイペースを保っていた。

 パキ――。

 誰かが小枝を踏んづけたのであろう。しかし、雰囲気に呑まれている者は、その音にも反応し、キョロキョロと辺りを見回したり、友達と体を寄せ合ったりしている。次に「うおっ」と誰かが声をあげた。

 ――――確かに心霊スポットって言われるだけある。友達にどうしてもと言われて、ついて行った首塚大明神を思い出すな……。

 凛は山頂をじっと見つめる。少し目を細めると、そこは薄らと靄がかかったようになっており、見通しが悪い。空は星が輝くほどに晴れている――雨が降ったせいなどではなさそうだった。

そんな凛のもとへ、百代がすすっと近寄ってきた。そこからは別に服を掴んだり、腕を組んだりはしない。ただ彼の近くにいる。

 それに気づいた凛は、百代に囁いた。

 

「怖くなったら、正直に言ってね」

「! ……へ、平気だ」

 

 今にも消えそうな声で答える百代。しかし、凛が少し動くと、彼女もそれに合わせて動く。右へ行けば右に、左へ行けば左に、という具合だ。

 凛はそんな百代にそれ以上何も言わず、ただ頭を一撫でするだけだった。

 

「おーい」

 

 そこへ、この雰囲気にそぐわない鈴がなるような声が響いた。凛がそちらへ顔を向けると、そこには清楚がいた。

 

「清楚先輩も参加されていたんですね」

「うん……私もあんまりこういうの得意じゃないんだけど、義経ちゃんと弁慶ちゃんも行くっていうし、百代ちゃんとかも行くって聞いたから、大丈夫かなと思って……」

 

 ――――すいません、清楚先輩。今の百代は、清楚先輩以上に怖がっているので、大丈夫ではありません。

 清楚の視線の先には、少し落ち着かない様子の義経とそんな彼女を愛しそうに見守る弁慶。その手には、しっかりと川神水が握られている。与一は興味がないのか、参加すらしていなかった。そのときの彼の言葉は――。

 

『俺がそこに顔を出せば、別のお客さんが増えちまう。肝試し所の騒ぎではすまなくなるだろうよ』

 

 といった感じで、これを聞いた義経は、頭にハテナマークを浮かべていた。

 百代が清楚に話しかける。

 

「ま……まかしておけ、清楚ちゃん。ゆ、幽霊なんて私の波動でイチコロだからな!」

 

 ――――打つ気満々!?

 臨戦態勢に入っている百代に、凛は驚いた。

 

「いざとなったらお願いね……あ、でも百代ちゃんは凛ちゃんと回るよね? 私は――」

「き……京極でいいんじゃないか? アイツも確か来ていただろ?」

 

 百代の言葉に、3人が辺りを探す。山に入っても着物姿の彦一はすぐに見つかった。

 彦一が傍に来ると、凛が口を開く。

 

「清楚先輩がお一人らしいので、京極先輩一緒に行ってあげてください」

「他の奴だと、私の可愛い清楚ちゃんに何するかわからないからな! 不本意ながら、京極お前にまかせる」

 

 彦一は凛に寄り添う百代を見るなり、口元を緩める。清楚も優しい笑顔を浮かべているあたりを見るに、彼女がどういう状態にあるのか察したらしい。

 

「葉桜君に同行することに異存はないが、川神がそこまで言うなら、代わってやらんこともないが?」

「お、お前! 美少女2人を山の中に放り込むとか、その神経を疑うぞ! なんか出てきたらどうするんだよ!?」

「何か? ふっ……まさか幽霊に怯える武神ではあるまい?」

 

 凛は、目の前で微笑む彦一を見た。

 ――――この人、楽しそうだわぁ……。まぁ百代が弱気になるところなんて、滅多にないからな。

 百代が吠える。

 

「あ、当たり前だろう! ……私は超絶美少女武神だぞ! 幽霊如き、私の拳で軽くのしてやるさ!」

 

 ――――この台詞どっかで聞いたことあるな。

 百代の啖呵に、彦一が満足そうに頷いた。

 

「そうだろうな。それでこそ川神だ。……それで、君は葉桜君と行くのかね?」

「まぁまぁ、京極先輩もそのくらいにしておいて下さい。このままだと本当にムキになって、清楚先輩連れて行ってしまいそうですから」

 

 凛が苦笑しながら割って入った。現に「私なら平気だぞ! 本当に行っちゃうぞ!」と百代が抗議している。

 

「そのようだな……少しからかいが過ぎたようだ。葉桜君、俺でよければ同行させてほしいのだが、どうだろう?」

「もちろんだよ。よろしくね」

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

 肝試し大会が幕を開ける。

 

 

 ◇

 

 

 まず、1年生から肝試しが始まり、それに続いて2年生、3年生とぞくぞくと山へ入って行った。特に順番が決まっていたわけではないが、鉄心が「1年生から」と言ったため、学年順になった。山の中からは、時々生徒たちの悲鳴が聞こえている。

 そして、凛と百代のペアの順番がきた。彼女がくるりと後ろを振り返り、彦一を無言で睨む。

 ――――さっきの怪談話が余程怖かったんだな。しかし、実際京極先輩の力は凄いな……俺でも心にじんわりと響いてきた。言霊恐るべし。

 そのときだった。

 

「うわぁぁーーー!! いったんもめんだぁー!!」

 

 それに続いて――。

 

「妖怪出てこぉーい!! 俺と会話しようぜ!」

「お嬢様!? どこにおられるのですか!? 返事をなさってください!」

「にょ、にょわぁぁーー!」

 

 ――――賑やかな肝試し大会だな。

 鉄心に促され、凛と百代は山へと入っていく。そして、しばらく歩き、人影がなくなったところで、彼が彼女の手をしっかりと握る。

 

「そろそろ人気もなくなったし、我慢する必要もないでしょ?」

「うぅ……」

「それとも手つなぐ必要もない?」

 

 そう言って、凛が手を離すと、百代が彼の腕へとしがみついた。

 

「は、離さないでくれ! なんだここ……怖すぎるぞ、凛。……なんか妖気も感じるし。時々悲鳴も聞こえるし……うぅ、怖い~」

 

 百代は我慢の限界がきたのか、瞳に涙を貯め、辺りへと気を配る。

 

「大丈夫大丈夫。いざとなったら、俺が何とかするから」

「そんなこと言ったって、相手は幽霊だぞ!?」

「触れないのに、襲ってきたらどうするんだよ……だったっけ?」

 

 百代が以前凛に言った言葉を彼が繰り返した。

 

「その通りだ。どうするんだよ!?」

「俺も倒すことができればいいんだけどね……まぁ何かあっても、百代をちゃんと守るから。それとも俺のことは信用できない?」

「そんなの…………信用どころか、信頼してる」

 

 百代がさらに強く凛の腕を抱きしめ、頭を彼の肩へと預けた。

 

「ありがとう。……それじゃあちょっと話題を変えて、京極先輩の話が予想以上に怖かった件について」

「あれ、アイツ絶対怖がるの楽しんでるんだ! 間違いない!」

「ほとんどの人があの話に引き込まれてたからね。でも、それは清楚先輩も含まれてるから、俺はあの2人の道中が気になって仕方がない」

「それは本当か!? 京極の奴、清楚ちゃんを怖がらせて、自分が頼りになるところを見せるつもりだな……」

「いやいや、京極先輩はそこまで考えてないよ。だからこそ、なんか起こりそうじゃない?」

 

 凛はチラリと後ろを振り返った。彼らのあとが、彦一と清楚の順番だったからだ。しかし、まだまだ後ろにいるのか、姿を見ることはできない。

 

「でも、京極は清楚ちゃんのこと、ただの友達だって言ったんだろ?」

「それはそうだけど、俺はかなり好意があると思うんだよね。じゃないと、未だに2人きりで帰ったりしないでしょ? 2人ともそれに気づいてないから、ずっと2人で帰れると思うんだけど、どう?」

「つまり、その気持ちに気づいたら、2人の関係が変わると凛は思ってるのか?」

「そうそう。俺も百代のこと好きなんだなぁって思ってからは、行動の一つ一つが気になったりして、大変だったし……」

「あーそれはなんかわかるぞ。私も凛に無性に触れたくなったり、逆に触れるとドギマギしたりしたからな」

 

 百代が少し以前を思い浮かべて、楽しそうに笑った。彼女も話が逸れていくに従って、あまり辺りを気にしなくなった。そして、そんな話をしている間に、山頂へとたどり着く。

 しかし、2人はそこで表情を固くした。百代は凛にピッタリと寄り添い、体を少し震わせている。自然と口を閉じた彼ら――沈黙が場を支配する。音が全て死んだように、虫の鳴き声や風のざわめきすら感じられない。

 凛は辺りの木々を見渡したあと、空へと目を向ける。黒く濁った空は、星が見えなくなっていた。

 ――――なんか、おかしい……。

 百代が声を震わせながら、凛に尋ねる。

 

「凛、なんかやっぱりおかしくないか!? よ、妖気がさっきより強くなってる気がする」

「うん。俺も思った……百代、俺から離れないで」

 

 凛の声は、先ほどの陽気さが消え、固くなっていた。

 百代が頷くのを確認した凛は、その場にしゃがむと、近くに落ちていた小枝に気を込める。そして、青白く光るそれで、地面に大きく円を描き、その中に五茫星を刻んだ。

 その間も、じわりじわりと周りを侵食するかの如く、妖気が漏れだしてきていた。百代もそれを敏感に察しているのか、顔が白を通り越し、若干青くなっている。彼女は何かに耐えるように、必死に凛の腕を握った。そこから感じる温もりだけが、彼女を現実に引き留めてくれている。

 ――――百代の方も何とかしてやりたいけど、その余裕がない。

 凛は次に、気を込めた小石をその五茫星の頂点へそれぞれ配置した。すると、それらから流れ出るように、紫電が円の中を走りだす。ぶつかり合うそれらは、やがて五茫星をも彩り、刻印の全てを満たした。

 凛が言の葉を紡ぎ出すと同時に、彼の気が一気に膨れ上がる。

 

「高天の原に神留まります。皇が親、神漏岐・神漏美の命以ちて――」

 

 いつもの凛の声ではない――澄んだ、それこそ小川のせせらぎのような清らかな声だった。

 その声から紡がれる台詞を耳にした瞬間、百代の中から不安や恐怖が一掃されたように、心穏やかになった。風もないのに、凛の短髪がフワフワと逆立ち、次いで百代の髪もまるで重力に逆らうように、なびき始める。

 

「神問はしに問はし給ひ。神掃ひに掃ひ給ひて――」

 

 落ち着いた声が、静かな山頂に染み込んでいった。

 

 

 □

 

 

 山の変化について、壁を越えた者たちも気づいていた。

 釈迦堂がルーへ声をかける。

 

「ルーよ……これは川神院が仕掛けた手品かなんかか?」

「冗談じゃなイ。私達まで結界の中に閉じ込めるなんて、修行僧たちにできる芸当じゃないネ」

「……とすりゃあ、ますます嫌な予感がするぜ。辺りから俺ら以外の気を感じねぇ。一瞬でこんな真似できる奴なんざ、この世に……いねえよな」

 

 宇佐美が2人に声をかける。

 

「さっきから生徒の姿も見えないんだけど、一体どうなってんの?」

「山に入ってる奴ら全員が、それぞれ神隠しにあってんだよ。どえらい力が働いてるってやつだ」

「えっ……冗談きついな。おじさんにもなって、そんな超常現象にあうの? それで、どうやって抜け出すの?」

 

 宇佐美が顔をひきつらせた。ルーも笑顔が消えている。

 

「一応、歪みを探してみよウ。ただ……私たちのところからじゃ、多分どうしようもないネ。情けないことだが、他を頼りにするしかなイ」

「おいおい……生徒たちは無事なんだろうな?」

 

 宇佐美の声が空しく響いた。

 

 

 ◇

 

 

 そして、山の麓――。

 梅子が鉄心に報告する。

 

「現在、戻ってきていないのは、3年の川神百代、京極彦一、葉桜清楚、2年の九鬼英雄、忍足あずみ、夏目凛、直江大和、椎名京、風間翔一、川神一子、源忠勝、不死川心、榊原小雪、源義経、武蔵坊弁慶の15名と教員その他3名です」

「うむ、御苦労……」

「しかし、これは一体どういうことでしょうか? 最後に帰ったきた者の話では、後ろにいたペアが突如消えたと言っていましたが……」

 

 梅子の視線の先では、クリスと千花がカタカタと震えながら、「一瞬だけだ……目を離したのは一瞬だけ……」と呟き、マルギッテと羽黒が震える彼女らの背中をさすっている。その傍には、岳人や卓也もおり険しい表情をしていた。

 

「小島先生は神隠しを知っておるか?」

「それはもちろんです……まさか、生徒たちが今それに遭っていると?」

「山頂近くから、禍々しい気配を感じるわい……それが恐らく元凶じゃろう。何かのはずみでこちらとあちらがつながり、何かが出てこようとしとる」

「どうなさるおつもりですか?」

「出てきたところを叩くしかあるまい……教え子たちにはもうしばらく、我慢してもらわねばいかんがのう」

 

 そう言って、鉄心は息を吐いた。このような事態にまで発展することは、今までになかったことであり、さすがの彼でも予想がつかなかったらしい。

 

「生徒たちなら大丈夫でしょう。どの者も頼りになる者たちです――」

 

 そこで梅子の目が一人の生徒を捉える。

 

「黛! どこへ行こうとしている!?」

 

 由紀江の体が大きく跳ねる。

 

「いえ! そ、その……私の力をお役に立てることができないかと……」

「黛、気持ちはわかるが、中に入ってはならん。今しばらく……ん?」

 

 そこまで言うと、鉄心はまた山頂を見た。別の気を感じたように思えたからだった。

 

 

 □

 

 

 少し時をさかのぼり、清楚と彦一。

 清楚は辺りを見ながら、少し心細げにしていた。それに気付いた彦一が声をかける。

 

「葉桜君」

「ひゃい!」

 

 清楚は自分の出した声に気づき、頬を赤く染めた。彦一が少し言い辛そうに、言葉を発する。

 

「すまない……どうも俺の話が、必要以上に君を怖がらせてしまったようだ。肝試しを楽しむための余興になればと思ったのだが……」

 

 彦一は、百代の言葉通り楽しむために怪談を話したわけだが、その楽しむというのは、彼が周りの反応を見て楽しむというより、皆がこの肝試しを楽しめるように話した――いわば、彼なりの厚意からきたものだった。もちろん、その過程で彼が周りの反応を楽しんでいたのも事実だったが。

 そのため、いざ清楚の怖がり方を見ると、少なからず罪悪感も湧いたらしい。

 

「いいのいいの。怖くない肝試しなんて、肝試しって――」

 

 ガサガサッ――。

 2人から少し離れた場所で、草木が大きく揺れた。

 

「きゃあ!」

 

 清楚は思わず彦一の腕にしがみついた。ぎゅっと目を閉じると、首を横にふる。

 

「やっぱり無理無理。京極君……悪いんだけど、山下りるまでこうしてるわけにはいかないかな? これ以上は、私怖くて進めそうにないの」

「それは構わない。……一応このまま下山するという手もあるが?」

「それはダメ! 私、ももちゃんと色紙とってくる約束しちゃったから……だから、京極君さえよかったら、付き合ってくれないかな?」

 

 清楚は恐怖から目を潤ませ、そのまま彦一を見上げた。

 変なところで律儀な清楚に、彦一は顔を背けて笑ってしまう。それを見た彼女が口をとがらせる。

 

「京極君、今笑った? 私が怖がってるの見て、笑ったよね?」

「……いやすまない。私が笑ったのは、君が怖がってるからではない」

「じゃあ、なんで笑ったの?」

「律儀な葉桜君が、どうもおかしくてね。気を悪くしたなら、すまない」

「許しません……」

 

 清楚はその言葉と裏腹に、既に笑顔だった。彦一も先の展開が読めたのか、ふっと雰囲気が和らぐ。

 

「では、どうすれば許してもらえるだろうか?」

「私が色紙を取りに行くのに協力すること」

「ふむ……葉桜君の機嫌が悪いままでは、あの2人から怒られそうだな。これは付き合うしかなさそうだ」

「ふふ、それじゃあ……気を取り直して出発!」

 

 2人は腕を組んだまま、山頂を目指す。

 

 

 ◇

 

 

 そこから歩き続けた彦一と清楚であったが、一向に頂上へ着く気配がない。

 

「なんか変だね……」

「まるで同じところを何度も歩かせられているようだ」

 

 そこへ新たな人物が現れる。

 

「ん? 京極と清楚じゃねえか。お前ら2人とも無事だったんだな」

 

 不敵な笑みを浮かべるあずみだった。彼女は抜き身の小太刀を一旦仕舞う。

 

「あずみさん、どうしてここに?」

「あたいは英雄様の命で、辺り一帯をくまなく調べ回ってるのさ。おまえらの他にも、義経や弁慶、小雪なんかも見つけた。それにしても――」

 

 あずみがじーっと2人を見つめた。清楚はその視線を受け、不思議な顔をするだけ。

 

「あたいが来ないほうが、2人にとってはよかったか?」

 

 その言葉を聞いて、清楚は慌てて彦一との腕組を解いた。

 

「ち、違います! あずみさんの誤解です! 私と京極君はそんな関係ではなくて……その、ただのお友達です。今のも私が怖がっていたのを京極君が和らげるために、してくれたことで……と、とにかく! 誤解ですから!」

 

 アタフタと言葉を並べる清楚に、「へぇー」とあずみはニヤニヤしたままである。いつも落ち着いている姿を見るだけに、彼女のこういう姿は珍しい。

 皆まで言わなくてもわかってる。あずみがそんな顔でしみじみと頷くと、清楚はさらに焦って言葉を重ねる。

 その間、彦一は「ただのお友達」と言われて、若干心を痛めていた。そして、そんな自分に驚いてもいた。彼が凛に言った言葉を清楚が口にしただけであるのに――。

 清楚は混乱しているのか、さらに続ける。

 

「それに誤解されたままだと、京極君に迷惑がかかります! 私なんかとそういう関係に見られるなんて……」

「わかったわかった! もうあたいもお腹一杯だ。とにかく、2人とも英雄様の所に連れていくから、ついて来い!」

「あずみさん!」

 

 あずみが先頭を歩き、清楚がその隣を歩こうと速足になり、彦一はそんな2人のあとを追った。

 

 

 □

 

 

 場所と時間を戻して、凛と百代の山頂。

 

「――成り出でむ。天の益人等が過ち犯しけむ。種々の罪事は、天つ罪・国つ罪幾許だくの罪出でむ――」

 

 凛は両手を円の外側に添えたまま、次々と詞を口ずさむ。それに呼応するが如く、刻印の中を走る紫電が激しくなり、彼が描いた順の頂――五つの頂から次々と天へと昇っていく。

 百代もそれを目で追った。高く高く昇ったそれは五角の柱となり、その周りをゆっくりと円が昇っていく。2人の周りは、まるで昼間のような明るさで、木々にも影ができるほどであった。それだけの光が漏れていても、誰一人山頂に現れる者はいない。

 凛の髪がキラキラと輝いている。その毛先が揺れる度に、気の残滓が飛沫のように飛び、消えていった。それがとても儚く、そしてとても美しい。

 

「……も、百代」

 

 凛の苦しそうな声に、百代が我に帰る。

 

「ど、どうした、凛!?」

「ちょっと……力貸して……」

「もちろんだ! どうすればいい?」

「俺の……手に、手を重ねて……」

 

 百代はすぐに凛の正面に回ると、円柱をはさむようにして、彼の手に自身の手を重ねた。彼が続ける。

 

「……目を閉じて……ゆっくりと、深呼吸……俺に……身を委ねるようにして……」

 

 百代はそれに従い、目を閉じ、深い呼吸を繰り返す。感じるのは凛の手から発せられる気のみ。数秒もしないうちに、凛と一つになるような、溶けていくような感覚に陥った。

 

「斯くかか呑みてば、息吹き処に坐す。息吹き処主といふ神。根の国・底の国に息吹き放ちてむ――」

 

 凛がまた再開させると、勢いよく百代の気が消費されていった。それは瞬間回復を連続で使われるような感覚だった。量が多いため、その急激な消費が手に取るようにわかる。彼が苦しむのも無理はない。

 遂には円が天空へと達する。そこで百代は目を開いて、ぎょっとした。なぜなら、地面に描かれた五茫星から梵字が浮かび上がり、目の前にできた柱をユラユラと昇って行っていたからだ。

 

 キィン――。

 

 耳をつんざく音が鳴った。同時に、円柱が凛と百代を呑みこみ、山一帯へと広がっていく。それに加えて、五角柱が何層にも出来上がる。耳鳴りは止み、彼の声だけが木霊した。

 

「――祓へ給ひ清め給ふことを天つ神、国つ神、八百万の神たち、共に聞こし召せと白す」

 

 凛が紡ぎ終わると、広がっていた円が収束を始める。それに合わせて、五角柱も急速に中心へと集まってきた。風が吹き荒れ、地面に落ちていた葉や砂を巻き上げる。百代は咄嗟に目を閉じた。髪が乱暴にあおられるが、彼と重ねた手を離すことはない。

 風が収まったところで、百代が目を開けると、地面から10㎝ほど浮いた筒が出来上がっていた。大きさは、大人一人が楽に入れるほどであり、筒の周りには斜めに走る梵字。小さな文字は、まるで鎖が巻き付いているように見え、さらに黒から赤へ、赤から黒へと明滅を繰り返していた。開けてはならない物――本能的にそう思わされる。

 凛が立ち上がるのを見て、百代も一緒に立ちあがり、彼の横へと移動する。

 

 中に何かいる――。

 

 百代は好奇心からそれを見ようとするが、凛の手が優しく彼女の視界を遮った。

 中の壁が何枚か破られたため、筒がうっすらと透けてくる

 

「おい、凛? ……見ちゃいけないのか?」

 

 凛に頭を抱かれる格好のまま、百代は静かになった。意味もなく、彼が隠すこともないと思ったからだ。

 そして、それは遂に姿を見せる。百代と目を合わすことができなかった何かは、ギョロギョロと動き回る瞳で、妨げた凛を睨む。

 乱れた長髪。血に染まった眼。太い眉。蒼白の肌。その角ばった顔が、右脇に抱えられていた。その姿は豪奢な鎧を纏い、背に弓矢、腰には一本の刀――真っ白い鞘が目を引いた。

 ――――初めて見たけど……百代が見たら、きっとトラウマになるな。

 凛は、こんな得体の知れない者と戦ってきた先代たちに改めて敬意を払う。

 さらにその何かは、真一文字に閉じていた口を開くと、激しく動かし始めた。それは人が動かせるスピードではなく、とても異様な光景だった。それに連動するかのように、梵字が激しく点滅する。

 

「音も届かないよ……」

 

 ――――百代がいてくれて助かった……。

 力の強い者を封じるためには、それだけ多くの気が必要となる。加えて、凛はこれに関して慣れているわけではない。そのため、どうしても力技になってしまい、自身の気だけでは足りなくなってしまったのだ。もし、彼一人だけであったのなら、到底うまくはいかなかったであろう。

 凛の見ている前で、筒がどんどん縮み始める。蛇が獲物を締め付けるように、梵字の鎖もその間隔を短くしていった。そして最後は、小指ほどの大きさになると、上部から少しずつ塵となって消えていった。虫の鳴き声が戻ってくる。

 凛は全てを見届けると、その場に座り込み、天を仰ぎながら大きく息を吐いた。百代が慌てて、彼の身を案じる。

 

「大丈夫……ちょっとほっとしただけ」

 

 凛は白い歯を覗かせながら、答えた。百代はそれに頷くと、彼の頭に絡まった葉を払いのける。

 そんな2人の背後から声がした。

 

「なんだよ! こんな近くにみんないたのか!? 俺達探し回る必要なかったじゃん」

「でも、みんなと合流できてよかったわ」

「結局、なんだったんだ?」

 

 翔一、一子、大和だった。その傍に、京、忠勝がいる。

 

「フハハハ! どうやら、皆無事であったようだな!」

 

 その少し離れた場所に、英雄を中心としたSクラスの生徒。林の向こうからは、ルー達も顔を出した。

 

「心よかったねー。無事にあの世から生還できて」

「小雪! 縁起でもないこと言うでないわ! もう肝試しなんぞ一生やらんぞ!」

「ほら弁慶! ちゃんと戻ってこれたぞ。しっかりしろ!」

「もう……飲めない」

 

 清楚が百代に駆け寄る。

 

「ももちゃん、大丈夫だった?」

「ああ。私は凛がいたからな。清楚ちゃんこそ、京極に変なことされなかったか?」

「変なことって、京極君に失礼だよ。ちゃんと私をエスコートしてくれたよ?」

 

 清楚は後ろを振り返り、「ね?」と彦一に同意を求めた。彼はそれに扇子を振るだけで、そのまま凛の傍へ寄る。

 

「色々大変だったようだな……」

「まぁそれなりには……でも、みんな無事で本当によかった」

 

 凛の目の前には、いつもと変わらぬ賑やかな光景が広がっていた。

 その後、下山した一行の姿を目にしたクリスや千花が泣き出したり、マイペースな小雪が不思議体験を準と冬馬に聞かせ、彼らに安堵のため息をつかせるとともに、呆れさせたりした。その一行の中で翔一と英雄だけは、自身が霊と出会えなかったことに悔しがっていたりする。

 一方で、当事者であった凛と百代――特に凛は、今回の出来事について鉄心やルーたちに詳細を伝えた。

 こうして、肝試し大会は無事に幕を閉じた。このときの誰もがそう思っていた――。

 




陰陽師にクラスチェンジ!
幽霊怖い……私は結構そういう存在信じてるんで、心霊スポットとか絶対近づかない!
でも、怪談は嫌いじゃない。映画とかも見てしまう。
そして、夜の鏡とかを見るのに怯えるというありきたりなパターンへ……。

肝試しの開催時期もそうですが、これから起こるイベントの時期をいじります。

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