真剣で私に恋しなさい!-きみとぼくとの約束-   作:chemi

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『姉包囲網』

 登校時、今日は翔一と百代を除いたメンバーで、いつもの川沿いの通学路を歩いていた。岳人と卓也は、発売されたばかりの単行本を読みながら、盛り上がっている。

 

「おいおい! 今週のトラブルンやばくないか! 乳首モロ見えじゃねぇか。さっさと次めくれ……おぉこれいいのか!?」

 

 その姿を見ていた凛と京、大和が感想を述べる。

 

「ガクトはあの姿をさらしながら、モテたいと望むか」

 

「図々しいよね」

 

「確かに。まぁあとで俺も見せてもらうが……」

 

 その一言で京がコロリと態度を変える。

 

「正直で素敵。あとで一緒に読もうねー」

 

「これも恋のなせる業か。ところで、クリスは眠そうだな?」

 

 凛は、大和の腕に寄り添う京に感心しつつ、あくびをするクリスに声をかけた。眠たげな彼女にいつもの快活さはない。

 

「うー。昨日、大和丸のDVD見てたら止まらなくなって、つい夜更かししてしまったんだ。眠い」

 

「だがら、ちゃんと寝なさいって言ったのに。クリ吉ったらもう!」

 

 松風に注意され、ブーたれるクリス。そんな彼女に凛がミント系のガムを差し出す。

 

「気持ちはわからなくないな。ほい、ガムでも噛んで目を覚ませ」

 

「ありがとう凛。ふふーん」

 

 凛という味方を得て、クリスは得意げに松風を見返した。由紀江が、その姿に呆れ半分といった反応をみせる。

 

「見事に甘やかされてます」

 

 凛は苦笑をもらす。

 

「すまん、まゆっち。クリスを見ていると、どうしてか甘くなってしまう自分がいる」

 

「いえ、お気持ちはわかります。しかしこのままでは……」

 

「我儘クリスが一丁上がり! ってなことになりかねないぜ。むしろもうなってる?」

 

 由紀江の言葉には、クリスの将来が心配という気持ちが見て取れる。そこに、京が入ってきた。

 

「わかっていても甘やかしてしまう。私も昨日、ケーキ半分あげたしね」

 

「クリスの魅力かな?」

 

 凛の視線の先には、眠気がさめてきて元気を取り戻すクリスがいた。その横では、先ほどまで会話していた大和と一子が握手をし始めている。彼女は、とても嬉しそうに握った手をブンブン振っていた。

 

「こっちも可愛いな」

 

「凛。手が勝手にワンコの頭に向かってるよ」

 

 京の一言に、凛ははっと我に返った。

 そして、凛の言葉に便乗して大和が京を褒めると、彼女が即座に求婚――タックルで体を使った交渉――を迫る。それを彼が持ち前の回避能力を駆使して――といつものパターンに入った。

 その後、休日の話などを交えながら歩くファミリーは、へんたい橋にさしかかる。そこに、後ろからご機嫌な声が聞こえてきた。

 

「りんりんりりーん♪ファイトー」

 

 それに加えて、今日は別の声も混じっていた。

 

「いっぱーつ!」

 

 軽やかに自転車を進める清楚と荷台に座った燕だった。一子が彼女らに向かって挨拶するのに合わせて、ファミリーも挨拶をかわす。

 それに、荷台から降りた燕が応えた。

 

「おはよう。朝から納豆食べてるおかげで、私は元気」

 

 清楚もそのあとに続き「おはよう」と笑顔で返してくる。

 そこで、燕は凛の顔色が若干優れないことに気がついた。

 

「凛ちゃん、体調悪いの?」

 

「いや、朝にちょっと飲んではいけない物を飲んで……気づいたら登校してた。そのうち治ると思う」

 

 大和のために作られた『京特製ジュース』を凛が知的好奇心から味見をした。それがもたらした結果だった。彼は朝の出来事を思い出して、一度大きく身震いする。その後ろでは、その単語を聞いた岳人も体を震わせ、卓也が心配していたりする。彼の体を持ってしても意識を飛ばすほどのそれに、その現場に出くわしたファミリーは改めて恐怖を感じた瞬間だった。

 そして、そんな凛の様子を見た京が、不満そうに口を開く。

 

「おいしいのに……」

 

「さすがにあれは同情した。でも復活するのも早かったな。ガクトなんて2週間ほど入院するという大事にまで発展したんだぞ」

 

 京と違い、大和は凛に憐れみの目を向けた。それに、「頑丈な体に感謝する」と彼は、海外にいる両親に祈りを捧げる。

 しばし祈ったあと、和気藹々と会話する清楚と燕に、凛が声をかけた。

 

「それにしても燕姉と清楚先輩仲いいね」

 

「図書館でお友達になったのよ」

 

「そうそう。私がハローってな感じで声かけてね。今日も朝から清楚見かけて、ヒラリと飛び乗ったのさ」

 

 その問いかけに、2人が笑顔で答える。そして、燕の言葉を聞いた凛は、清楚に軽く頭を下げた。

 

「清楚先輩、すいません。燕姉がご迷惑をおかけして」

 

「大丈夫だよ。スイスイ号がついてるからね。それに燕ちゃんから夏目君の話も聞いたよ」

 

 スイスイ号――九鬼で作られた人工知能が搭載されている。クッキーの後輩にあたる――に取り付けられたAIが「お任せください」と見事に相槌をうつ。

 凛は清楚の隣でにっこりしている燕に視線をうつした。

 

「おーい、一体何を話してくれたのかな? 恥ずかしい話とかしてないでしょうね!」

 

「それは、お姉さんたちだけのひ・み・つ♪」

 

 燕はそう言いながら、楽しそうに唇に人差し指をあてる。そんな姿も実に様になっており、彼女を離れたところから見ていた男子生徒たちは、テンションをあげていた。

 

「そんなこと言う人には、出来上がった写真はあげません。清楚先輩には、はいどうぞ。あと俺のことは凛と呼んでください」

 

 凛が「to Seiso」と書かれた白い便箋を手渡す。

 

「わぁありがとう♪……凛ちゃん?」

 

 清楚が小首を傾げながら、凛の名を呼んだ瞬間、相変わらず熱い視線を送っていた男子生徒たちが立ち止まり、ほーっと癒されるとともに何人かの男は川に向かって叫んでいた。

 

「夏目のアホー! なんでおまえばっかりやねん! アホーアホー!」

 

「清楚先輩! 俺の名前は……朔太郎です! 朔ちゃんと! 朔ちゃんと呼んでいただけないでしょうかー!」

 

 そんな叫び声が聞こえる中、凛は目の前の光景に胸を打ち抜かれていた。漫画であれば、ズキュンという効果音が背景に入っていただろう。想像してみてほしい。学園で一番を争う美人の先輩に、笑顔で少し顔をかたむけてからのちゃん付けである。

 

「……燕姉に呼ばれ慣れてるはずなのに、なんか嬉しい。って、ちゃんとあげるから脇をつっつくな」

 

「それでよろしい。凛ちゃん、私に呼ばれるだけじゃ不満なの?」

 

 しかし、年上からの攻撃はそこで終わらなかった。第二の刺客は、下から覗き込むように凛の顔を見上げてきたのだ。燕の目は潤んでいる。

 凛は耐え切れずに、顔をそらし白状した。

 

「……上目遣いとか卑怯だ。あと不満じゃない。ただ綺麗なお姉さんに呼ばれるのは素直に嬉しい。それだけ」

 

「ふふ、生意気ながらも時折素直な凛ちゃんは可愛いねー」

 

 そう言いながら、燕は凛を撫でる。そんな2人の横で、清楚は岳人と卓也が読んでいる漫画に興味をもった。もちろん2人は慌てることになる。その漫画が、エロのきわどいものであったからだ。

 

「純文学じゃなくてごめんなさい。見捨てないで! お詫びと言ってはなんですが、外国人の物まねをしますので――――」

 

 岳人が必死に物まねをするも、結局は漫画を読まれてしまう。しかし、意外にも清楚は、女の子が可愛いと褒め、ページをめくっていった。その傍で、顔を赤くした卓也が身を縮めている。

 その様子を見ていた燕が凛に話しかけた。

 

「凛ちゃんのお友達もおもしろいよね」

 

「でしょ。みんなそれぞれ個性強いけど、仲良くて飽きないよ」

 

「みたいだね。……なんか島津君、喜んでるね」

 

「恥ずかしいが気持ちいいって、公衆の面前で何を叫んでんだ。そして京おまえもだ!」

 

 そのまま一行は、ワイワイと学園を目指して歩いていく。

 そして、学生の本分である授業にはいるわけだが、授業中にも関らず2-Fにはゆるい空気が流れていた。この時間は人間学の授業。今日のテーマはマナーについてだった。

教壇に立った巨人が弁を振う。

 

「ナイフとフォークは外側から使っていくんだぞ。――――」

 

 凛と大和は、その言葉を耳に入れながら、関係ないことを喋っていた。

 

「本当にこの授業なんでもありだな」

 

「まぁな。でものんびり聞ける授業があって、学生にとっては楽だろ?」

 

「俺は最初、人間の身体構造を学んで急所とかのつき方、どうすれば相手を簡単に戦闘不能にすることができるかとかを勉強するんだと思ってた」

 

 凛の持ったフォークがキラリと光った。

 

「その授業も案外人気でるかもしれないな。川神学園では」

 

 そんな2人に、巨人から軽い注意が入る。

 

「おまえら喋ってないで、おじさんの授業を聞きなさい。ためになること教えてるんだから」

 

「すいません。……そういえば写真できあがったんで、あとで先生にもお渡しします」

 

「おお。小島先生との2ショットのやつな」

 

 凛の一言に、巨人はテンションをあげた。このように、彼の授業は脱線することも多く、その内容はほとんどが彼と梅子の進展に関してのものだったりする。加えて、教師である彼自身が嬉々として喋りだしたりするため、始末に負えない。梅子の授業では、決してありえない光景だった。

 育郎が席を立ち、巨人に詳細を求める。

 

「なにぃ! 2ショットで写真撮るなんて、仲に進展でもあったのかよ?」

 

「おまえらにもあとで見せてやるから、それを見ればわかる」

 

 余裕の笑みを浮かべる巨人に、凛がすぐさま事実を述べる。

 

「いや、ただ偶然の一枚が撮れただけですよね」

 

「夏目、そんなはっきりと生徒の前で言わなくてもいいんじゃない?」

 

 その後もつつがなく授業は進行し、お昼休みになる。いつもなら、ここで食堂に向かったり、屋上に向かったりとバラけていくのだが、今日は2-Fの生徒の大半が残り、さらに他のクラスの生徒もやってきていた。その理由は、満の目の前にあった。

 

「いやぁマナーの話で食事のこととか言われるから、お腹すきすぎてちょっと気絶してたよ」

 

 満はそう言いながら、携帯コンロで身がギッシリ詰まった蟹と新鮮な川神野菜を煮込んでいた。ほどよく煮込まれたそれは、蟹のよい香りで教室いっぱいにしていく。窓が開けられているため、幾分か香りは外へと逃げていくが、それでも赤く色づく蟹と出汁を吸い込んだ色とりどりの野菜は、食欲をそそるのに十分であり、それを目の前にした生徒たちは、彼の合図をまだかまだかと待っていた。

 鍋の様子を見ている満に、凛が声をかける。

 

「教室で調理OKとは。向こうの学校ではすぐに先生がとんできただろうな。……クマチャン、もうこの中に川神水を入れてよくない?」

 

「そうだね。そうそう、このポン酢ありがとう。一口味見させてもらったけど、そのまま飲めるほどまろやかな味で、和洋中なんでもいけると思う。昨日メールで教えてもらったから、今日はこのかに鍋にすることを決めたんだ」

 

「クマチャンの情報にはいつも助かってるからお安い御用だ。クマチャンの料理を引き立てられるなら、このポン酢も本望だろう」

 

 鍋の近くに置かれたポン酢は、祖母の銀子から送られてきたものだった。しかし、まとめて送られてきたポン酢を凛は一気に使うこともできず、それならばと満に話を持っていったのだった。2人が話し込んでいるうちに、鍋の様子からもう少しと判断した生徒たちが、彼の鍋にあやかろうと列をなしていた。そしてできあがった鍋は、順番通りに分けられていく。そこにさらに客が来た。

 

「なにやらいい匂いをさせておると思ったら、猿共なにをしておるのじゃ?」

 

 客の正体は心であり、大和が彼女の疑問に答える。

 

「カニパーティだ。豪勢だろ?」

 

 教室内で賑やかに食べる生徒たちを見渡した心は、着物の袖で口元を隠しながら上品に笑う。

 

「ヒューホホホ。蟹ひとつで大喜びか。良かったのう庶民。たんと食べるがいい」

 

 個性的な笑い方から、心の姿を見つけた凛が声をかける。

 

「あれ? 不死川さんも食べに来たんだ? これかなりうまいよ。さすがクマチャンって感じだ。早くしないとなくなるぞ」

 

 それに続いて、川神水を飲みながら蟹の身と格闘する弁慶、いつもの無邪気な笑顔を浮かべる義経がそれぞれ感想をもらす。

 

「凛の言う通り。川神水にも良く合う」

 

「義経はいたく感激した。御呼ばれして嬉しい」

 

 その様子は、心の興味を十分に誘うものだった。3人を順に見たあと、視線は残り少なくなった鍋へと向かう。

 

「西の名家で育った夏目に、九鬼で過ごす義経たちが言うのなら、それは相当美味いのじゃろうな。ごくり……よかろう! 此方が特別に食してやってもいいのじゃ」

 

「ぎりぎり一杯分。はいどうぞ」

 

 心は満から最後の一杯をもらい食べる。そのリアクションは、クラスで一番大きなものだった。

 心の様子に満足した凛は、一際大きな器を空にした満にサムズアップ。

 

「クマチャンよかったな。不死川家にも認められたぞ」

 

「夏目くんのポン酢もいいアクセントになってたよ。この出汁でうどん煮るけど、みんな食べれるかな?」

 

 満からの嬉しい提案に、クラスからは歓声があがる。その中に、心の声も混じっていたのは気のせいではない。

 そして、うどんをみなで食べた後に、ちょうど校内放送が始まった。準の土地神になり、毎年9歳の子を生贄に求めるという過激な発言に、百代がツッコミを入れている。一息つくために、風が入る窓際の席に移動した凛と大和は、そこで放送を聞いていた。2-Sの生徒はクラスに戻り、2-Fの生徒は放送を聞きながらお喋りに興じている。

 凛がパックジュースにストローを刺し、口へと運ぶ。

 

「9歳っていうと小学生か。準って本当にペッタンコが好きなんだな」

 

「あいつの性癖はよくわからないな。凛はどうなんだ?」

 

 自然と声のボリュームを抑える2人。

 

「いやそりゃあるに越したことはないな。モモ先輩とか弁慶とか最高。でもバランスが重要だと思う。体とあってないのは、ちょっとダメかな。そう言う意味では、燕姉とか清楚先輩とかもいい。大和はどうなんだ?」

 

「おまえの気持ちはよくわかる。マルギッテさんとかもいいよな。俺は付け加えるなら、ア……」

 

 大和は口を開いたままフリーズした。

 

「あ……なんだ?」

 

「あ、あー顎の……顎のラインとか結構好きかな?」

 

 大和の顎発言に、凛が想像を巡らす。

 

「顎? もっとわかりやすい部分とかあるだろ? いや人の好みだから、とやかく言わないが顎ねぇ。…………ケツ顎とか?」

 

「それ絶対男だよな! 女の子のケツ顎とか見たことないわ!」

 

「そういや1-Sにも綺麗に割れた顎をもってる生徒いたな。阿部とか言う苗字で、男が好きだって紋白から聞いた。今度連絡先聞いとくか?」

 

「それも男だろーが! なんで割れてるところから離れない! しかし、1-Sの生徒の連絡先は欲しい…………おい凛! 変な意味じゃないからな。おまえ本当に誰かに言ったりするなよ!!」

 

 思わぬところから、人脈が広がるチャンスに揺れる大和だったが、凛の冷めた目を見た瞬間、真剣な顔でお願いをする。

 

「わかってる。からかいすぎたな。そいつも料理部で、腕もなかなからしい。知り合ってて損はないだろ」

 

 笑いをこらえながら話す凛とツッコミをいれる大和。その間も校内放送は進み、百代が松永納豆の宣伝を行う。

 

「モモ先輩、燕姉のこと気に入ったんだな」

 

「メールとかでもときどきでてくるからな。姉さんにとっても、燕先輩は同学年ではしゃげるから、余計楽しいんじゃないか?」

 

「同年代ではしゃげる相手ってのは重要だな」

 

 2人は、パックジュースの残りをズビビと飲み干す。放送はもう終わりに近づいていた。そこで、百代が突然一人の男に召集をかける。

 

『あー最後に、もう一つ私から伝言がある。3年のお姉様の中で私だけ渡されてない物がある。今から20秒以内に持ってこなければ、ちょっぴり恥ずかしい過去を小話の一つとして放送する。心当たりのあるそこの男! 私は、燕から見せてもらってずっと待ってるんだぞ!』

 

『ちょっとモモ先輩。勝手に何言い出してんの? ……ふんふん、あーなるほど。その小話は俺も聞いてみたいな。そこの男さん、来なくてもいいですよー』

 

 どうやら筆談でその内容を準に伝えたらしく、彼も乗り気になる。教室は、なんのことかわからない様子で、少しざわつき始めた。もしくは、その男の小話が気になるのかもしれない。

 スピーカーから、再度百代の声が学園内に響く。

 

『これは最終警告だ。凛! 恥ずかしい――――』

 

「おい凛の、こと……ってもういない」

 

 名前が出た瞬間、大和が凛に話しかけるも、彼の姿は教室からすでに消えていた。机に置いた空のパックジュースが、風で倒れると同時に、スピーカーから彼の声が聞こえてくる。

 

『校内放送使って、何しようとしてるんだ! あと! 過去ってなんだ!?』

 

 凛の声がスピーカーから聞こえると、黄色い声が廊下から響いてくる。

 

『おまえが早々に持ってこないからだろ。過去の話は、燕が一つ教えてくれたぞ。あとそういうお便りも結構増えてるんだ』

 

『そういうことか。……お便りの件は、ありがとうございます。それより準、せめて止めろ』

 

『いやー夏目さん家の凛くんの話とかみんな興味ありだと思ったから、パーソナリティとして、期待に応えてあげないと……って、凛さんそれ以上握力いれちゃうと、俺の頭が破裂するかもしれないなーなんて』

 

『『大丈夫。元に戻るだろ』』

 

『あんたら2人揃って、俺をなんだと思ってるんだ!?』

 

『……おおー綺麗に撮れてるな。あっこれも入れてくれたのか。ありがとな凛』

 

『無視か! 俺は無視か!! 言っておくが女の子は小学生までだろ。ホント小学生まで。変な意味じゃないぜ。いやまじボグァァ!』

 

 準の悲痛の叫び声を最後に校内放送は途切れる。今日も賑やかな学園であった。

 


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