台 詞 で 創 作 1 0 0 の お 題 作:まかみつきと
唐突ですが、質問です。
あなたの考えるところの『いい男・いい女』って、それぞれ誰ですか?
「陽子ったらどうしたの、急にそんなこと」
まあいいからいいから。
「いいって言われてもねえ。どういうのかよくわからないわ。良い人ってことなら、あたしたちのまわりみんなそうでしょ」
……うーん、範囲広すぎ。
祥瓊は?
「え? ああ、その、まあ私も鈴と同意見かしら」
……ふーん、その動揺が気になるところだけど、追求はやめといてあげるよ。
「あ、いい女ってことなら、陽子よね!」
世辞はいらないから。
さて次。
「主上、なにやってるんですか?」
インタビュー。桓魋も答えてくれないか?
「いんた……なんですって?」
あー、質問質問。
『いい男・いい女』で思いつく人物って?
「男……は、やはり浩瀚様でしょう。女なら、そうだなあ、祥瓊かな」
やっぱりそうきたか。
「で、それってなんです?」
そのうちわかるよ。
あ、虎嘯、ちょっとこっち。
「陽子、台輔が探してたぞ。なにやってんだ?」
「御下問だそうだ。いい男、いい女と言われて思いつく奴って誰だ?」
「はあ?」
あー、虎嘯には難しかったかな……。
「んー……うーん……むー……」
あー、いいよそんなに悩まなくても。
ありがと、じゃ。
浩瀚、聞きたいことがあるんだけど、いいかな。
「そのお顔だと、
ぐ、鋭いな。
「それくらいはわかります。それで、なんでしょうか」
えーと、『いい男・いい女』って言われて、誰を想像する?
「一目置ける器ということでしたら、女性では主上と申し上げておきましょうかね」
……おきましょうってなんなんだ?
「男性でしたら延王であらせられましょう。桓魋や、虎嘯もあてはまるとおもいますが」
まあ、大体想像通りだな。ありがとう。
「また延台輔となにか画策なされておられるのですか」
バレてる。いや、ほんのお遊びだから。じゃあね。
「あ、主上。男性にもう一人心当たりがありますよ」
ん?なに?
「楽俊殿も、『いい男』に入るでしょうね」
……伝えとくよ。
「おや、照れておいでですか?」
絶対人をからかってるし!
くっそー、まだ笑ってるな。
「主上! どちらまでおいででしたか!」
すまない、ちょっとそのへん。
「いくら執務の時間外でも、そううろうろされては王の威厳と言うものが……」
この見てくれで威厳とか言ってもつりあわなすぎるだろう。
それよりちょっと答えてくれないか?
「は、なにか」
景麒の知っている範囲で『いい男』と『いい女』って、誰?
「主上……それはどのような……?」
ちょっとした集計調査だ。気軽に考えてくれ。
「またなにか企んでおられるのか」
そんな怖い顔するなって。
人聞きが悪いな。別に企んでるわけじゃないぞ。
「ではそのように人に序列を作るような真似はおやめ下さい。天から国と玉座を預かる方がよりによって……」
あー、やっぱりお前に聞くんじゃなかったよ。
「よう陽子。どうだ、集まったか?」
「あ、六太君」
「延台輔?」
「よ、景麒。で、どのくらいだ?」
「まだ五人。六人目で説教されてるところ」
「だから景麒は最後にしろって言っただろ。内容はどうだ?」
「まあ大体予想通りだね。バラバラ」
「主上、それに延台輔!」
「おいおい、べつにお遊びでやってんだから、そんな目くじら立てるなって」
「そっちは?」
「男だと圧倒的に朱衡だな。女はまちまち。大体人気のある女官に票が集まってるけど、尚隆が花街の女ばっかり十人以上数えてるから目安になりゃしねえ」
「……らしいけどね」
「主上!」
「うるさい景麒。ちょっと向こうへ行ってろ」
「あーあ、可哀想に。そうだ、陽子にも入ってるぞ」
「ええ?」
「陽子を見知っている奴等に限られるけどな。朱衡も入れてるし」
「隣国の王だからって気を使わなくていいのに」
「はは。へえ、浩瀚が楽俊に入れてんのか」
「え? あ、えーと、うん。その、並列票だけど」
「ほーお。で、陽子は?」
「え、だって、ほら、私はインタビュアーだから、中立中立」
「ふーん」
「……なんか、その笑い方気に入らないな」
「別に意味ないけど? あ、朱衡の他に陽子に入れたヤツな」
「ん?」
「うちの大学の、首席学生だぜ」
「……っ」
初稿・2005.01.19
お遊びお遊び。
内容が内容だし、たまには色味を変えてと思って台詞だけにしてみました。
心理描写がないのでちょっと難しかったですが、そのへんも含めて想像していただけると嬉しいです・他力本願
誰が誰だかわかりますかね?