風雲の如く   作:楠乃

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 すっごい短いお話。

 言い忘れていたけど、これにて『紅魔館 冬の陣』は終わりッ!


 『拝啓』

 

 

 

 

 

 

   拝啓 『私』へ

 

 そちらではもう三年生が卒業して、貴方は二年生へとなる準備が始まっている頃でしょうか?

 此方、幻想の私の方も荒ぶったり、ゲッダンしたり、目玉が破裂したり、右手が粉砕されてこの手紙を左手で書いたりなど、色々とやっちゃったり弾けていたりしています。

 そういう訳で汚い字なのはごめんなさい。

 私が謝るだと……? そんなバカな!?

 

 さて、東風谷早苗さんも恐らく元気です。幻想の世界で常識をかなぐり捨てていて、こちらも「うわぁ……」と引くような事をしていたりする事を元気と言うならば、ですけどね。

 まぁ、怪我をする事もありますが、それでも彼女が止まらないのは貴方が最も知っているのではないでしょうか? 私は知りませんがね。

 

 今回、唐突に手紙を書いてみたのは理由があります。

 ……まぁ、貴方なら即座に思い付いて、いや……流石にないか。とか考え付いているんでしょうかね。

 ですので書きません。面倒なので。どうでもいいので。大事な事なので。嘘です。どれが嘘かは知りません。嘘です。はい。

 

 では、また物凄く暇な時に手紙を送ります。()しくは逢いに行きます。

 オタクな友人によろしくとお伝えください。無駄だと思いますけどね。はい。

 

 

 

   幻想の『私』より。

 

 

 

   P.S.

 扇子、差し上げます。

 此方で見付けた物です。決して盗んだりはしていません。

 大切に……まぁ、しなくていいかな? そこらはご自由に。

 ではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何がしたいんだアイツは……」

「おぉ、我が弟にも遂に春が来たか!」

「……」

「……え、反論が無いところ……マジか?」

「……いや、寧ろ叶わない感じの……ゴホン……」

「おかーさーん! 弟がッ!! 末弟が大人にッ!! 今日は赤飯だ!!」

「ちょっ、ちょっとお兄ちゃん!?」

「くっ……先を越されたか……!」

「越してないからね!? 何がとは言わないけどさ!!」

「そこんところkwsk」

「……あっ、ネット用語!? リアルでいきなりアルファベット四文字言われても分からねぇから!! つーか言わないから!!」

「まぁ、ちゃんと手紙は返せよ~」

「いきなり通常運転!? 何なのそのテンションの差は!?」

「気にすんな。大体おっ母は仕事から帰って来てないだろうに……」

「……何故ここに来て『おっ母』……?」

 

 

 

 そう言って自分の部屋に帰っていくお兄ちゃんはいつも通りのフリーダム。

 自由勝手気まま過ぎる。

 

 ……ま、手紙の返信のしようがないんだけどな。

 住所も宛先も書いてないし……。

 ただ俺の名前が書かれた封筒が郵便受けに入っているだけって……そりゃ何処のサスペンスだよ……。

 

 ……まぁ、アイツらしいっちゃあ、アイツらしいなぁ。

 

 

 

「……封筒に入っていた扇子で自分を扇ぎながらニヤニヤするもうすぐ高校二年はアリかナシか……」

「うぉわっ!? 何でまだ覗いてるのさ!?」

「……兄的には……アウトッ!」

「訊いてないし!? いいから出てけぇ!!」

「大丈夫だ。既に宅配の赤飯は注文した」

「それも訊いてない、ってええええッ!?」

 

『ピンポーン! ごめんくださーい』

 

「ガチで来てるし!? ホントに何してくれてんだよ!?」

「……幸せに、なれよッ!!」

「そのサムズアップと笑顔は何なんだァーッ!?」

 

 


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