新校舎の屋上ではグレモリー眷属とフェニックス眷属のレーティングゲームの最終決戦が行われていた。
いや、そんなものは無かったのかもしれない。何故なら、戦う前に勝敗は既に決していたのだから。
グレモリー眷属は滅びの魔力を持つ『
フェニックス眷属は不死身である『王』ライザー・フェニックスと、これまで『
そして、開始直後にアーシアはユーベルーナによって封じられ、実質リアス、一誠VSライザーという構図になった。
数だけ見れば有利だが、相手は不死鳥。不死身という絶対の壁が、二人には破れなかった。
最早グレモリー眷属に勝ち目はなかったが、一誠は諦めずに立ち向かった。気絶してもなお、諦めることなく。
それを見ていられなかったリアスが
バギィン!
屋上の鉄扉が弾け飛び、ライザーへとぶち当たった。
「少し待ってもらいましょうか。このままじゃ、俺が何のために参戦したのか分かりませんからね」
かつて扉があった場所に、
間一髪の所で戦いに間に合った朧は、入口より状況を確認する。
(相手は健在のライザーに『女王』。こちらは既に戦闘不能のイッセーに、魔力を使い果たした部長に囚われの
朧の足元から、黒い墨のような液体がアーシアに向けて広がり、彼女の足元にあった魔方陣を塗り潰す。それによってアーシアの拘束が消え去る。
自由になったアーシアはイッセーに駆け寄り、
「私の拘束をいとも簡単に……!」
「そもそも、あなたも相当
驚愕するユーベルーナに、朧は何でもない口振りで語りかける。
「よって、今の貴女は驚異ではない。でも――仇討ちという訳ではありませんが――邪魔なので散れ」
右手を向けて、そこから能力で作り出した大量の黒の剣群を打ち放つ。
『女王』はそれを魔力でガードしたが、途中で防ぎきれなくなり、その身に幾本の剣を浴びて倒れた。
『ライザー・フェニックス様の「女王」、リタイアです』
「さて、残るはお前だけだ」
リタイアしたユーベルーナが居た場所を
「貴様のような人間如きが、俺に勝てるとでも思っているのか!」
さも自分を倒すことが決まっているとで言いたげな物言いに、ライザーは激怒し身に纏う炎の火力を上げる。
「俺はさ、そう言う奴らに何時も決まって言う事があるんだよ」
顔を僅かに伏せ、手元を暗く染め上げる朧に、ライザーは
「人間を舐めるな」
そして、不死鳥へ人間の悪意が襲いかかる。
朧が右手に何かを創り出し、ライザーの左腕をつかむ。掴んだ左腕に振り下ろされるのは大きな鉈。ただし、それは
「ぐおおおっ!」
その一撃はライザーの腕を
しかし、ライザーは無限の回復能力を持つ不死鳥。鈍い大鉈である程度腕を断たれても、すぐに元に戻る。つまりは、
「ぐ、お、おぉぉぉぉっ!」
朧が握る左腕から炎を吹き出し、その拘束を外す。
一旦距離を取ろうと、飛び上がったライザーの胸に、黒い円錐状の物体が突き刺さる。その物体は螺旋状の模様があり、それに沿ってびっしりと
朧が柄の後端に付いているハンドルを回すと、それに連動して螺旋模様に生えた棘が回り、傷口を
ライザー苦痛の声をあげながらも、炎でその円錐を焼き払う。
「全く……ただの不死身ならもっと楽なのに……不死鳥は色々と厄介だ」
朧の攻撃――否、暴虐はまだまだ続く。
わざと関節を壊さない程度に極めたり、首を切断しない程度に締め上げたり、一度ばらばらにして再生途中の体をプールへ投げ込んだり(水も再現されていたが、ライザーの炎で蒸発した)した。
朧も、何も好き好んでやってるのではない。フェニックスの精神をすり減らすための行為であって、それ以外に他意はない。
「
ライザーを閉じ込めた拷問道具が、一日やそこらで思いついたとは思えないほどやけに精巧でも、別に前々から用意していたという事はないはずなのだ。
「ぐあぁあぁぁあぁっ!」
閉じ込められたライザーは、内部に生えた刺で刺し貫かれる。そして、炎と共に再生し、その炎で蒸し焼きにされる。
当然、不死鳥は自分の炎で害を
外気にさらされている状態ならそれも起こらない。だが、現在のライザーは
無論、その
人間ならすぐに焼け焦げそうな温度まで熱せられた
状況はライザーと朧の根比べ。
悪魔と人間――不死鳥と
朧が崩れ落ち、
ライザーは見た目は無傷だが息も絶え絶え、身につけた衣服も見るも無残なぼろきれになっていた。
ライザーは倒れ伏した朧を見る。彼の姿は
それを見たライザーは内心で
風が吹けば倒れてしまいそうな体でも、それでも彼は倒れなかった。そして、それがゲームの勝因となった。
その直後、リアス・グレモリーは