IS学園潜入任務~壁の裏でリア充観察記録~   作:四季の歓喜

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・シリアスな展開
・黒い大人達
・キャラの心理描写

アイ潜における、執筆鈍足化の三大要素なり…


6とM 後編

 

「なーにしてんだ馬鹿野郎ーーーーーーーーー!?」

 

 

 なんとも言えない空気が漂い始めたこの場を壊したのは、鬼気迫る表情でセイスの頭にチョップを叩きこんだトールだった。突然のことにセイスは少しだけよろけるが、視界にトールを捉えると興味を失い、視線をエムに向け直した。逆にエムの方はというと、トール自身のことは知らないが、雰囲気でセイスの仲間であることを悟り、目の前のセイスを含めてどうすれば良いのか分からず、オロオロと軽く混乱し始めていた。

 

 

「ちょっと目を離した隙に洒落にならん事態を引き起こしやがって、自重しろって言ったじゃねぇかよおおぉぉぉ!!」

 

 

 トールは行方をくらませたセイスを捜していたのだが、その途中でトワイライトが子供相手に暴れていると小耳に挟み、嫌な予感がして足を運んだら案の定だった。トワイライトが嬲っていた子供こそ違ったが、結局それにセイスは関わった。おまけに割と本気を出したようで、そこで気絶しているトワイライトに目を向ければ、悲惨な状態になった片腕が嫌でも目に付く。自分の部下がここまでやられたとあっては、スコールが黙っている筈が無い…

 

 

(とは言え…)

 

 

 しかし、視線を半殺し状態のトワイライトから、セイスの隣に居るエムへと向ける。何とか自分の足で立ってはいるが、身体中傷だらけの満身創痍で、既に限界間近なのは火を見るよりも明らかだった。相手が小物臭い事に定評のあるトワイライトだったとは言え、その幼く小さな身体で良く耐えられたものだと思わずにはいられなかった。

 

 

「……まぁ、女の為に身体張った点は褒めてやる。さっさとエム連れて、医務室に行って来い…」

 

「え?」

 

 

 そして、どう言う風の吹き回しかは知らないが、仲がお世辞にも良いとは言えない彼女を、セイスは助けた。そこには彼なりに何かの思惑があったのかもしれないし、逆に何も考えていなかったかもしれない(まぁ、今の二人の様子から察するに後者なんだろうが…)。しかし、彼がエムの為に動いたのは事実。セイスのことだから″掟″を意識した訳では無いのだろうが、彼の行動はフォレスト派の一人として実に好ましいと思えた。故に自然と、ちょっとは大目に見てやりたくなるものである。

 そんなトールの胸中を知ってか知らずか、彼の予想外な態度にセイスは思わず目を丸くした。自分でも良く分からない感情に身を任せ、面倒事に自ら首を突っ込み、更に騒ぎを大きくしたのだ。にも関わらずトールは叱りの言葉も程々に、自分のことを褒めてくれた上に気遣ってさえくれた。その事がどうしても信じられず、セイスは逆に狼狽えてしまった。

 

 

「え、でも…」

 

「良いから、行け。心配しなくても、説教は後でたっぷりしてやる」

 

「……はい…」

 

 

 何かいつも以上に落ち着きがなくなったが、トールに促されたセイスはエムと一緒に医務室を目指してその場を離れ始めた。因みにエムは『スコールに無断で行動は出来ない』と言って渋ってたが、トールが後で伝えておくと約束し、強引にセイスに背負わせて事なきを得た。彼女自身、既に体力の底が尽き始めていたのか、あんまり抵抗らしい抵抗も出来ていなかったので、やはり連れて行かせて正解だったかもしれない。

 そんな二人の背中を見送り、トールはもう一度周囲に意識を向ける。騒ぎが収まった為か、野次馬達は粗方居なくなり、トワイライトの方も呻き声が漏れているので、一応は生きているようだ。

 

 

「さてと、それじゃ…」

 

「何がどうなっているのか、説明して貰えるのかしら、トール?」

 

 

 背後から凄まじいプレッシャーをぶつけられ、トールは思わず舌打ちして振り返る。するとそこには、長い金髪を靡かせた美人…実働部隊『モノクローム・アバター』のリーダーことスコールが、ゾッとするような微笑を浮かべ、死に掛けの部下に一瞥もくれずにツカツカと歩み寄ってくるところだった。トールから大体10歩分ほど離れた位置で立ち止まった彼女の表情は笑顔だが、例によって目は全くと言って良い程に笑っていない。何かと手遅れであることを悟ったトールだが無視する訳にもいかず、内心で溜め息を吐きながらも彼女と向き合う。

 

 

「ご機嫌よう、ミス・スコール。しかし生憎と、自分も詳しいことは知らんのですよ」

 

「あら、そうなの? けれど私には、大切な部下を、お宅の坊やが半殺しにしたようにしか思えないのだけど?」

 

 

 その言葉を聞いて、トールは再び舌打ちを漏らす。口ではそう言うが、十中八九スコールはある程度の状況を把握しているようだ。それでも尚、こんな回りくどい言い方をするということは…

 

 

「何度も言いますが、俺は何も知りません。事情が知りたいのなら、その場に居なかった自分よりも、周りのギャラリー達に尋ねた方がよろしいのでは?」

 

「勿論、彼らにも話を聞くつもりよ。けれど、今から目撃者を全員集めるより、フォレスト派である貴方が、″私が予想した通りの事実″を証言してくれた方が、何かと手っ取り早いと思わない?」

 

 

 スコール率いる『モノクローム・アバター』と、彼女と協力関係を結んだ他の実働部隊による共同体…通称『スコール派』。そして次々と多勢力を傘下に収め、未だにその規模を肥大化させ続けるフォレストの実働部隊、『ルナティック・インプレス』…通称『フォレスト派』。この二大勢力は幹部会の者にすら一目置かれ、同時にライバル関係にある。そもそも実働部隊の連中は一部の例外を除いて、互いを競争相手として見る節があり、部隊同士による小競り合いが頻繁に起きている。同じ亡国機業の一員であるが故に、流石に一線を越えるような真似はせず、まれに幹部会の指示で手を組むこともあるのだが、それでも互いのことを意識せざるを得ないのが現状だ。そして件の二大勢力は、それが最も顕著に表れる。

 故に、スコール派とフォレスト派の者の意見が互いに一致した場合、殆どの確率で周りはそれを真実として捉えることだろう。例えそれが強要した、もしくは強要された偽りだったとしても…

 

 

「そいつは無理な相談ですな。証言も何も、俺は何も見てないのですから…」

 

「ふふふ、そうでしょうね。でも…」

 

 

 突如、辛うじて残っていた野次馬達は、背筋を這うような寒気に見舞われた。ただスコールとトールの二人が向き合っているだけだというのに、まるで空気そのものが凍りつくような勢いで、その寒気は次第に大きくなっていった。身の危険を感じて何人かはその場から逃げ出したが、何人かは逃げ遅れ、不幸にもその場で腰を抜かしまう程であり、当事者達はこの場に足を運んだことを心底後悔した。

 やがて寒気は…ぶつかり合う二人の殺気は限界まで膨れ上がり、そして……

 

 

「貴方に選択肢があると思って?」

 

「ほざけ、阿婆擦れが」

 

 

 その瞬間、二人は動いた。トールは目にも留まらぬスピードで折り畳み式ナイフを取り出し、一瞬で刃を展開してスコールの顔面に投げつけた。しかし、それに勝るとも劣らない速度で、スコールは薙ぎ払うようにして自身の腕を横に一閃した。すると投擲されたナイフはどういう訳か、ギィンと甲高い音を立てながら砕け散ってしまった。そのままスコールはトールとの距離を早足で詰めてくるが、それに対して彼は余り狼狽えることなく、迫る敵を迎え撃つべく予備のナイフを取り出した。そして、互いに互いの射程圏に入った、その時…

 

 

「ハーイ、そこまでー」

 

 

 この場にそぐわない、間延びした声が響いた。それに反応したトールとスコールの二人は、互いの攻撃が相手に当たるギリギリで動きを止め、意識をそちらへと向ける。

 二人の視線の先には、紳士を思わせる一人の男が微笑を浮かべていた。彼の姿を目にしたトールは、慌ててナイフを仕舞って姿勢を正し、逆にスコールはこれ以上無いほどに顔を顰めた。そして、嫌悪感を隠そうともせず、忌々しそうにその名を口にする。

 

 

「フォレスト…」

 

 

 彼女が最も毛嫌いしており、同時に警戒している『ルナティック・インプレス』。その現首領であり、象徴でもある男が、いつの間にか現れていた。

 

 

「やぁスコール、たった10分の間に随分と老けたね。それはさて置き、どうしてうちのトールと殺りあってるのかな?」

 

「むしろ私が教えて欲しいくらいだわ。彼ったら、いきなり私に襲い掛かってくるんだもの。てっきり、貴方の指示かと思ったのだけど、違うのかしら?」

 

 

 フォレストの言葉に一瞬だけ青筋を浮かべたが、すぐにそれを引っ込めて放たれたスコールの言葉に、思わずトールは今日一番の舌打ちを漏らした。スコールによる先程の過激な挑発が、この理不尽な言い掛かりをフォレスト派に行う口実を作る為だったと、遅れながら気付いたのである。思わせぶりな台詞と、尋常じゃない殺気をぶつけられ、思わず反射的に身体が動いてしまったとは言え、自分がスコールに刃を向けたのは事実だ。スコールは確実に、この小さなチャンスを最大限の利益に変える算段を立てている筈だろう。

 そして、彼の予想は当たっていた。実際に今のスコールは頭の中で、今回の件を基にして、フォレスト派の力を削る為の計画を次々と練り上げる最中であり、理想の未来を想像した彼女の表情は歪んだ笑みを浮かべていた。

 

 

「うーん、それに関してはイエスでありノーだね」

 

 

 しかし、フォレストのその言葉で、彼女の笑みは一瞬にして消え去った。無論、先程の主張は出鱈目だ。それを否定せず、それでいて肯定もしないんなんて中途半端な返答は全く予想しておらず、スコールは内心で大いに戸惑った。しかし、その動揺をなんとか隠しながら、スコールは問いかける…

 

 

「……どういうこと…?」

 

「いやいや、ちょっとした悪戯心だったんだけどね、とある噂を流したのさ。冷酷で無慈悲な鋼の女ことスコール・ミューゼルは、身体も鋼で出来てるからナイフなんて刺さらない、ってね。ただ困ったことに、それを真に受けてる奴が何人か出ちゃってさ、君にとっては迷惑極まりない話だと思うけど、彼らは常日頃からあの手この手で真相を確かめようとしているんだよ。トールも、そんなお馬鹿達の一人なんだろう?」

 

 

 突拍子も無く、それでいて誰かにとっては冗談では済まない話。あまりにぶっ飛んだ内容と設定に、思わずトールとスコールは目が点になるが、話を振られたこともあって、すぐにフォレストの思惑を察した彼は気持ちを切り替え、即座に話を合わせる。

 

 

「えぇ、そうです。ぶっちゃけ半信半疑だったんですが、つい出来心でやっちまいました、大変申し訳ありません。まぁ、尤も…」

 

 

 チラリと、視線を最初に投げた一本目のナイフに向ける。それが見事に砕け散っている姿を目にした後、無傷で立っているスコールに視線を移し…

 

 

「……噂は本当のようですが…」

 

 

 『ルナティック・インプレス』のメンバーは役職問わずに全員、ナイフと拳銃の使い方はある程度覚えさせられる。その為、フォレスト派にとってナイフと拳銃は必需品みたいなものであり、大抵の者はこの二つの質や性能に対し、相応のこだわりを持つ傾向がある。例に漏れずトールもその一人で、彼のナイフは相当な切れ味を誇っていた。それを、腕を一閃されただけで弾かれるだけに留まらず、真っ二つに砕かれたとあっては、彼女の異常性を疑わずにはいられなかった。

 あまり触れられたくない話題に入りそうなことを察したのか、スコールはわざとらしく咳払いをした後、強引に話題を摩り替えることにした…

 

 

「だとしても、いきなり人の顔に刃物を投げつけといて、謝罪一つで済ませようとするのは虫が良過ぎるのではなくて?」

 

「ふむ、それもそうだ。じゃあうちのセイスが、君のとこのエムを助けたことは、その落とし前としてチャラにしよう」

 

 

 フォレストの発言に、再び硬直するスコール。彼を相手に話を長引かせたら、これ以上不利な空気になることを悟って本題に入ったにも関わらず、出てきたのはこれまた予想外な言葉。既に何度か思考が止まりかけているが、どうにか問いかけの言葉を搾り出すことに成功する。

 

 

「ちょっと、何を言ってるのか分からないのだけど?」

 

「そこに居る彼らに聞いた話なんだけど、さっきセイスとエム、そしてそこで死に掛けてるトワイライトの3人で一悶着あったらしいね。何でも、トワイライトに一方的に痛めつけられるエムを、セイスが身を挺して助け出したそうじゃないか。たかだか8才の子供が、随分と泣かせてくれると思わないかい?」

 

 

 先程のトールの如く、スコールは露骨に舌打ちを漏らす。どうやら既にフォレストは、ここに来るまでにセイス達が何をやっていたのかを把握しており、それを利用して自分が何をしようとしていたのかも全て察していたようだ。それでも尚、途中まで此方の話に付き合っていたのは、彼の性格の悪さ故か…

 そうだ、この男はいつだってそうだ。その胡散臭くて気味の悪い笑みを浮かべながら、こっちが懸命に隠そうとする腹の内を見透かす様に暴いて、全てを知った後に相手を操るかの如く弄ぶ。どんなに足掻いても、どんなに抵抗しても、いつも気付けば奴の手のひらの上で踊らされている。

 その事が、スコールは心の底から気に入らない。こうも自分をコケにしてくれる、目の前の存在が異常な程に気に入らない。故に薄々敗北を悟りながらも、彼女は諦めずに口を開く。

 

 

「だとしても、アレはやり過ぎじゃない?」

 

 

 そう言って彼女は、そこに瀕死の状態で蹲っているトワイライトを指差した。セイスに腕を握りつぶされた彼女は未だに立ち上がることが出来ず、呻き続けていた。実際のところ、トワイライトの相手がセイスでは無くトールだったなら、顎に高速ジャブを叩き込んで終わっていただろう。無論、怪我一つさせずに気絶させた上でだ。尤も、トワイライトがフォレスト派の誰かを傷つけていた場合、話は幾らか変わってくるのだが。

 

 

「おやおや、これはおかしなことを。君は日頃から、トワイライトを『役立たず』だの『穀潰し』だの散々に貶しては、ずっと除隊させるタイミングを窺っていたじゃないか。そんな無能と、わざわざ某施設から攫ってきた上に、組織的に見ても希少なISを優先的に渡すくらい大切で、期待している少女の将来を天秤に掛けたら、むしろあの程度で済んで良かったろ?」

 

 

 そう言われてしまうと、スコールは何も言い返せなかった。フォレスト本人の前で言った事は無かったつもりだが、しっかりと耳にしていたらしい。おまけに、こうも断言されてしまっとなると、相手はそれなりに根拠があると思って良いだろう。それ故に、強く否定することが出来ない。ゴミ女の魔の手から、未来ある若き少女を助けてやったと言う、無茶苦茶とも言い切れない向こうの主張を…

 

 

「とは言え、確かにアレは加減知らずも良いとこだ。御詫びと言ってはなんだけど、『ゴールデン・ドーン』の件で君に作った貸しを、これでチャラにさせて頂こう」

 

 

 だが意外にも、先に折れたのはフォレストの方だった。圧倒的に向こうが有利な空気であったにも関わらず、自らそれを放棄した彼の真意を計りかね、スコールは狼狽すると同時に警戒心を露にする。

 

 

「それはまた大きく出たわね。部下一人の不始末に対して、随分と奮発してくれるじゃない…」

 

「君に作った貸しの中では、コレより小さいのが他に無いからねぇ」

 

 

 薮蛇だったと、彼女は心底後悔した。此方にとって有難い申し出なのは確かだが、フォレストの口振りから察するに、上手くやればもっと大きな代償を受け取ることが出来たかもしれないのだ。なのに無駄に警戒して余計なことを口走り、折角のチャンスを自ら棒に振ってしまったのである。遠まわしに『謝礼としては充分過ぎる』と言ってしまった手前、今更になって不足しているとは口が裂けても言えない。そんなことをすれば、間違いなくスコール派の面子は地に落ちるだろう。しかし、ここで彼の申し出を了承することは、自分にとっては敗北宣言に等しい。何より、目の前のフォレストの顔を見ると、どうしても苛ついて素直に受け入れることが出来なかった。

 そんな感じで、心の中で後悔と葛藤に苛まれること約60秒。無言と無表情で散々悩んだスコールは、遂に折れた…

 

 

「……まぁ良いわ、それで手を打ってあげる。今回の事は、全て水に流すわ…」

 

「それはどうも。僕としても、君とは良い関係を続けたいからね、今後もよろしく頼むよ」

 

「ふん…」

 

 

 それだけ言って、スコールはフォレスト達に背を向けてさっさとその場から立ち去ろうとした。心なしか、その背中は限りない疲労感を漂わせており、トールは心の中で思わず『ご愁傷様』と呟いてしまう程だった…

 

 

「ちょっと御嬢さん、忘れ物ですよ?」

 

 

 スコールがフォレストの言葉に足を止めて足元に目をやれば、涙と鼻水でグチャグチャになった顔で助けを乞うように、辛うじて無事だった腕を伸ばしてくるトワイライトが居た。うめき声こそ無くなったものの、未だに激痛に苛まれているのか、伸ばした腕はプルプルと痙攣しており、発する声も呂律が回ってなくて不安定だった。幾ら自業自得とは言え、ここまでくるといっそ哀れにさえ思えた位だ…

 

 

「す…ズ、ごォーヴ…」

 

 

 そんなトワイライトに対してスコールは、ゾッとする程に冷え切った眼差しと、自身の足を彼女の頭に踏みつけるように乗せることで返事をした。そして彼女に、その行動の意味を問われるよりも早く…

 

---スコールは、トワイライトの頭を踏み砕いた…

 

 普通の人間とは思えない力によって声を上げる暇も無く、グシャリと不快な音を立て、トワイライトは周囲に血と肉片を撒き散らしながら即死した。まだ残っていた野次馬達がその余波を受けてしまい、彼女の肉片の一部を浴びてしまった者は悲鳴を上げ、何人かは情けない声を出しながら這うように逃げ出し、辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。しかし惨劇を引き起こした張本人は、至近距離でトワイライトの返り血を浴びたにも関わらず、顔色一つ変えず、その場から今度こそ立ち去っていく。その背に先程の疲労感と、それを遥かに凌駕する大きさの苛立ちを漂わせて…

 

 

「おぉ怖ッ、良く生きてたねトール」

 

「ぶっちゃけ、あんなおっかないの相手にして五体満足でいられたことが不思議でしょうがないっす…」

 

 

 そんなスコールの後ろ姿を、冷や汗一つ浮かべずに笑顔で見送るフォレストと、自分が無事でいられたことを心の底から喜ぶトール。ふと周囲に意識を向けてみると、最後のアレが完全なトドメになったようで、しぶとく残っていた野次馬達は完全に居なくなっており、この空間にはトールとフォレストの二人しか残っていなかった。

 

 

「何はともあれ、お手数お掛けしました。申し訳ありません…」

 

「いいよいいよ、この程度。大したことじゃ無いし、むしろ得たモノの方が大きかったかな…」

 

「……セイスのことですか…?」

 

 

 幾ら相手がスコールだったとは言え、まんまと乗せられて相手に此方を責める口実を与えたのは事実。おまけにフォレストが介入しなければ、更に大きなトラブルへと発展していたことは間違いない。そんな危ない橋を渡る羽目になったことを考えても、またその原因を作った事を差し引いても、今回のセイスの行動はフォレストにとって良き収穫となった。

 

 

「彼の無気力さには頭を悩ませたが、その素質には目を張るものがある。もしかすると、彼はティーガーに匹敵するかもしれないね。今回はそれを確信したし、今の彼を突き動かす鍵も分かった…」

 

「スコール派のエムですね?」

 

「あぁ、そうとも。彼と彼女は真逆の存在であり、同時にそっくりでもある。二人を会わせれば、何かしら面白い事が起きるかもしれないとは思っていたけど、これは予想以上だ…」

 

 

 2年前、フォレストがドイツで出逢った、男の『遺伝子強化素体』の生き残り。この近年、『ルナテッィク・インプレス』が急速に力を付ける事が出来たのは、一重に彼のお陰と言っても過言では無い。

 無論、彼以外のメンバーによる貢献も決して小さなものでは無いし、今居る仲間の彼らが一人でも欠けていたら、現在の『ルナテッィク・インプレス』の発展は有り得なかった。それでもフォレストは、更にトールを含めたフォレスト派のメンバーは、彼の…ティーガーという存在と実力を認めている。現に今も彼はフォレストの命令の元に、この施設を嗅ぎ付けた諸外国の諜報部員を仕留めるべく単騎で出撃中だ。そして誰もが、彼が無傷で凱旋することを信じて疑わない。

 もしも彼の様な仲間が、もう一人手に入れることが出来るのなら、あらゆる手段を用いてそいつの忠誠を勝ち取り、見事に従わせてみせよう。そう心に誓ってから僅か数か月、待ち望んだ出逢いは、すぐにやって来た。そして今日、閉ざされた彼の心を開く鍵も見つけ出した…

 

 

「今後、二人の事はどうします?」

 

「君には当分セイスの世話を続けて貰うけど、暫くしたら彼には正式なパートナーを付けようかと思う。なるべく、彼と年齢が近い者が良いな。エムに関しては、可能ならすぐにでもうちに引き入れたいのだけど、流石にスコールが黙っていないだろうから、ゆっくり外堀から埋めていこうかね…」

 

「セイスの相棒ですか。バンビーノやアイゼン、エイプリル辺りが妥当ですかね?」

 

 

 出てきたのは性格に一癖ありながらも、腕は古参に引けを取らない期待の若手メンバー。確かに彼らと組ませれば、それなりに面白い事になるだろう。しかし…

 

 

「……いや、丁度適任が居る。きっと、彼ならセイスとも上手くやれるだろう…」

 

 

 そう言って思い出すのは、ティーガーよりも早くに自分と面識を持つ事になった、かつての恩師の忘れ形見。まだ正式な組織入りこそ果たしていないが、セイスやティーガーとはまた別の才能を持っており、思わず自分が直接世話することに決めた程だ。今では誰に似たのか年に不釣り合いな鋭い洞察力、更には心神掌握術まで手に入れており、すぐにでも主力メンバーとして活躍することも可能だろう。

 何より彼は、随分と愉快な性格をしている。それが周囲の人々にに与える影響は良くも悪くも絶大で、それはきっとセイスとて例外では無い筈だ。きっと彼なら、セイスとも上手くやっていける筈…

 

 

「さぁて、これから忙しくなるぞ。君にもしっかり働いて貰わないとねぇ…」

 

 

 故にフォレストは躊躇することなく、通信端末を取り出して自分の愛弟子に連絡を取り始めた…

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「……」

 

(……どうしよ…)

 

 

 フォレストが色々な事を企んでいた頃、セイスは医務室を目指し、エムを背負いながら無言で歩き続けていた。セイス自身はナノマシンの治癒力のお陰で治療は必要ないのだが、普通の人間と大差の無い身体であり、重傷のエムはそうも言ってられない。その為、見知らぬ組織の同僚達が此方を見て驚こうが、目を丸くして指をさしてこようが、ヒソヒソと何かを呟こうが、彼は全て無視して歩き続けた。

 だが実際のところは、このまたと無いチャンスを活かしてエムに話し掛けたいのだが、何と言って話しかければ良いのか分からずに悩んでおり、それ以外のことを考えられなくて周囲のことに殆ど気付いていないだけだったりする。そんなセイスの心境を知ってか知らずかエムも沈黙を保っており、顔を突き合わせる度に大乱闘を繰り広げていた二人とは思えない、彼らのことを知っている者達からしたら、静か過ぎて逆に不気味な雰囲気を感じさせていた。

 

 

「……どうして、私を助けた…?」

 

 

 そんな空気を先に壊したのは、エムだった。体勢のこともあって、セイスはエムの顔を見る事が出来なかったが、彼女の声音にはいつものような敵意は感じられず、どちらかと言うと純粋な戸惑いの念を感じ取ることが出来た。

 ある意味、彼女の疑問は当然だ。セイスとの仲は良好とは言えないし、むしろ険悪である。しかも最近は自分から喧嘩を売る事が多く、今日だって彼の顔面に唾を吐きかて殴り合ったばかりだ。そんな自分を怪我をしてでも助ける理由が、無言で背負われながら運ばれている間に考えても考えても分からなかった。なので彼女は自分で考える事を諦め、目の前に居る本人に直接聞いてみる事にしたのだった。 

 

 

「話がしたかった」

 

 

 そのエムの疑問に対する返答は、思いのほかシンプルなものだった。この予想外で短すぎる答えだけでは流石に全てを察する事は出来ず、疑問が深まったエムは質問を重ねる。

 

 

「なぜ今更?」

 

「なんで俺のことを羨ましいと思ったのか、その理由が知りたかった」

 

 

 思わず自分を背負うセイスの肩に置いた手に力がこもり、自然と目つきが悪くなるのが実感することが出来た。それに気付いているのかいないのか分からないが、セイスは特に反応を示さない。その事に余計苛々が増したものの、彼女は何とか自分を抑え込み、口を開く。

 

 

「……その疑問に、わざわざ私が答えるとでも…?」

 

「あまり深く考えてなかった。でも、とにかく話がしてみたかった」

 

 

 そう言われると、エムは何とも複雑な気分になった。結局は骨折り損になった挙句、物理的にも骨が折れたあの日、自分も似たような理由でセイスの元を訪れたのだから…

 

 

「そしたら、質問する前に答えが分かった」

 

「ッ!?」

 

「お前も、殺したい奴が居たんだ。俺と同じで、そいつを殺す為だけに生きていたんだ」

 

 

 瞬間、エムの身体が強張る。戯言と断じる暇も無く、至極あっさりと自分の芯とも言うべきモノの正体を言い当てられてしまったのだ。しかも、それをやってのけたのは自分を拾ったスコール達ではなく、よりによってセイスだ。故にその衝撃は想像以上で、彼女の頭の中を真っ白にして、暫し何も考させなくするのは容易な話だった。

 それでも何とか我に返ったエムは少しの沈黙を挟んだ後、その小さな体を僅かに震わせながら、絞り出すように小さな声で呟き始めた。

 

 

「……そうさ。私にも、この手で殺したい人が居る。その人を殺す為だけに、私は生きている…」

 

 

 自然とセイスは足を止め、彼女の言葉を一言も聞き逃さないように、静かに耳を貸す。それに応えるように、エムは言葉を続ける。今まで溜め込んできたモノを、少しずつ吐き出すように…

 

 

「その為だけに、私はこんな場所に居る。蔑まれても、嬲られても、あの人を殺す為だけに私は生き続けている。それだけが私の生きる理由で、私が私であり続ける為に必要なことだったから…」

 

 

 思い出すのは自分という存在が創り上げられた場所と、多くのモノが壊れると同時に、全てが始まったあの瞬間。あの時から自分の未来と可能性の選択肢は決められ、この忌々しい現状を甘受する羽目になっているのだ。その原因を作ったあの人を殺すまで、自分は永遠に暗闇の中に囚われたまま、絶望を抱いて死ぬことになるだろう。

 

 

「なのに、お前は…!!」

 

 

 そんな結末は、断じて受け入れることは出来ない。自分は最後まで足掻いて、我武者羅に生き延びて、全ての元凶を消し去り、失った全てを取り戻す。そして、こんな薄汚れた暗い場所には早々に別れを告げて、光ある場所で笑いながら人生を歩み、笑いながら死んでやる。

 その願いを叶えるには、あの人の死は絶対だ。あの人を殺さない限り、きっと自分は何をしても満たされることは無い。さながらそれは、自分を逃さんとばかりに縛りつく呪いそのもの…

 

 

「お前は、どうしてそんなに虚しそうな顔をしている!? どうしてそんなにも絶望に染まっている!?」

 

 

 そんな呪いを、自分より早くに解いてみせた男の子。きっと彼は、とても幸せそうな顔をしているに違いない。そしてその顔はきっと、全てを終わらせた自分が浮かべるであろうモノと同じ筈。勝手にそう思い込み、未来の自分がどうなっているのか確かめるつもりで、彼女は興味心の赴くままに彼の元へと足を運んだのであった。 

 

 

「殺したくて仕方なかった奴らは死に絶え、自身の存在を縛る者も、否定する者も居なくなった。お前の今は、まさに私が目指している未来そのものなんだ。にも関わらず、お前はどうしてそれを、全て無意味とでも言わんばかりに振る舞う!?」

 

 

 半死半生…それがセイスに対して抱いた、エムの第一印象だった。消えない傷を負った訳でも、不治の病を患った訳でも無い。にも関わらず、あの時のセイスは絶望に…否、完全なる虚無感に苛まれていた。まるでこの世の全てがどうでも良いかのように、その瞳には怖いくらいに何も映らず、ただただ何も無い空間を見つめ続け、壊れたみたいに生気を感じさせないまま存在していた。

 その余りに想像とかけ離れた現実を目の当たりにして、エムは今までに以上の絶望を味わった。セイスの姿こそが復讐者の末路だと言うのなら、自分も同じ結末に行きつくのだろうか。自分も同じように最後は壊れてしまい、静かに狂いながら、ただ存在するだけの半死人になってしまうんじゃないのだろうか。最初こそ自分は違うと否定する事が出来たが、あれから彼の姿を見る度に想像した未来の自分を重ねてしまい、中々その幻想を振り払う事が出来ず、最近は彼を直接叩きのめそうとすることで頭を過ぎる不安と恐怖を誤魔化してきた。しかし、最早それも限界だった。

 

 

「それとも、お前の今の姿が、私が辿ろうとしている未来だとでも言うのか? だとしたら、私は一体、なんの為に……本当に私は、何も変える事が出来ないのか…?」

 

 

 怒りと悲しみをぶちまける様に叫んだ後、打ちひしがれて嗚咽を漏らすように声を絞り出すエムの頬に、いつの間にか熱いものが流れていた。改めて言葉にして、何もかもが嫌になったのだ。

 何より、先程のトワイライトに言われた『何も変えられない』という言葉が、彼女の心に深く突き刺さり、今まで目を背けてきた現実を目の前に突き付けていた。結局自分は、こんな場所に居る時点で、あの人のように…織斑千冬のように光で満ち溢れた世界で生きることも、彼女をを見返すことも出来ないまま、負け犬の如き惨めな一生を送るのだろう。

 

 

「違う」

 

「え…?」

 

 

 そうやって人知れず全てを諦めようとした刹那、沈黙を続けていたセイスが否定の言葉を挟み込んだ。突然の事で再びエムは困惑するが、それに構う事無く、何かに背中を押されるように、絶望に沈んでいくエムに手を伸ばすように、セイスは次々と言葉を続ける。

 

 

「俺とお前は同じだけど、違う。俺も俺を造った奴らと、苦しめた奴らを俺の手で殺したかった。他でもない自分の手で、殺したかった。でも、その前に皆は勝手に死んだ。だから俺はもう、自分でアイツらに仕返しする事が出来ない。そう思うと、これから何をすれば良いのか分からなくて、何もかもがどうでも良くなった…」

 

 

 人間不信と半分コミュ障なせいもあって、不器用で口下手なことが丸分かりの歪な言葉の数々。だけどその内容は、彼が生まれて初めて誰かの為に、心から何かを伝えたいと思って語り出した、偽りの無い自分の本当の気持ち。″先生″にさえしたことのない、自分の心の内の吐露。

 

 

「だから俺は、お前とは違う。全部無くなった俺と、まだ生きる理由と、それを叶えるチャンスが残っているお前は違う…」

 

 

 自分が何故エムに対してこんな事を言うのか、そして何故エムを励ます様な真似をしているのか、それはセイス自身にも分からない。だけど今は、それが一番自分のやりたいことだと感じ、同時にそれが正しいことのように思えた。この感覚は、生きる目的を失って以来、本当に久しぶりに感じた。まるで、奴らに対する復讐を決めたあの時のような…いや、もしかしたら、それよりもずっと……

 

 

「でも、本当に今更だけど、お前の言う通り俺は自由なんだ。もう、好きに生きていけるんだ…」

 

 

 それに何より、先程の彼女の言葉に気付かされた。というか、思い出すことが出来た。何も持っていないと思っていた自分は既に、あの場所では決して手に入れる事が出来なかったであろう『自由』を手に入れたでは無いか。流石に幾らか制限はあるだろうが、当時と比べたら雲泥の差だ。

 こんな当たり前のことに、何で今まで気付けなかったのか不思議でしょうがないが、一度そう思うと、自然と笑みが浮かんできた。

 

 

「……あぁ、そうだよ。本当に羨ましい…」

 

 

 それを何となく察したのか、セイスに背負われたままのエムが呟いた。先程の彼の言葉に少なからず思う事があったのか、心なしかその声音には言葉通りの彼に対する妬みで隠すように、安堵の気配が混ざっており、涙も止まったようだ。

 

 

「だけど俺も、お前が羨ましい…」

 

「は?」

 

 

 だからセイスは、最後まで自分の本音を語る。それが自分の為であり、彼女の為になると思ったから…

 

 

「感情(いかり)をぶつける相手を、歪だけど固い絆を、生きる理由を持つお前が羨ましい。俺にはもう、残っていないから…」

 

 

 自由は手に入れた。力も少しずつ身に着け、いつかは目指した高みへと辿り着くだろう。だけど、それらを求めた一番の理由は、自分よりも早く消えてしまった。元気に存在され続けても胸糞悪いだけだが、やはり自分の人生にとって最大の楽しみだったことが消えてしまったことに変わりは無く、逆に未だそのチャンスを持っているエムの事が、セイスはとても羨ましかった。彼女にとっては非常に不本意かもしれないが、憎悪の原因が未だに健在であり、それを消し去ることを生きる目的にすることは、生きる理由を無くしたセイスにとって、どんなに強く願っても決して出来ないことなのだか…

 

 

「ふんッ!!」

 

「痛てッ!?」

 

 

 因みに、それに対するエムの応えは、何故か頭突きだった…

 

 

「何をする…」

 

「煩い、皮肉にしか聴こえないんだよ!! そもそも、つい最近その感情とやらを思いっきり私にぶつけてきたじゃないか!!」

 

 

 初日の喧嘩は、思ったよりエムに少なからずトラウマを埋め込んでいたらしい。尤も、自分の生き方に対して初めて肯定的な言葉を向けて貰ったことが嬉しく、それを隠すための照れ隠しの面も強かったようなのだが、その事にセイスはおろかエム自身も気付いていない。

 更に石頭のセイスに頭突きしたツケが時間差で来たのか、エムは唐突に片手で額を抑え、呻き声を上げて沈黙してしまった。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 流石に心配になったセイスだが、本当に小さな声で『一応…』と呟いたので、ホッと胸を撫で下ろした。それから暫くして、唐突にエムは顔を上げて何かを悩んだ後、やや躊躇いがちにセイスに話掛けた。

 

 

「……なぁ…」

 

「ん?」

 

「もっと、お前のことを聞かせてくれないか? ここに来る前のことや、どんな経験をしたのかを…」

 

「良いよ。その代わり、俺にもお前の事を聞かせて…」

 

「あぁ、構わない。早速だが、お前はどうして亡国機業に?」

 

「実は二年前、俺は―――――――」

 

 

 

 この日を境にセイスとエム、二人の関係は大きく変わった。互いの事を語り合い、互いの事を理解した二人は生まれて初めて、本当の意味で仲間意識を共有出来る相手と出逢えたと、心の底から感じることが出来たのだ。そして、一人は生きる理由を探すことを、もう一人は復讐を果たすこと誓い、同時に互いにそれを手伝い、助けることを約束した。その約束は決して誰にも切れない強い絆へと変わり、二人に関わる様々人間を巻き込むほどに、大きなモノへと成長していくのだが…

 

 不器用な二人が、その絆の歪さと、知らぬ間に生まれていた本当の想いを自覚するのは、もう少し未来の話…

 




○『ルナティック(狂人)・インプレス(足跡)』
○強固な一枚岩になってるのがフォレスト派、一応は対等な者同士の集まりがスコール派
○でもモノアバ隊が一番強いので、皆してスコール派と呼称
○数年後は完全に支配下に置いて名実共に姉御の天下
○阿呆専門の裏設定、亡国機業としての経歴は若手組と大差ないけど、旦那との付き合いはティーガーより長い

本当に時間掛かったよ、今回…;
さてさて次回は遂にお待たせしました、皆大好きアイ潜の恐怖の象徴とも言うべき、あの人の登場です。殆どギャグパートなんで、今度はスラスラと書けそう(笑)

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